2020/09/04 のログ
ノウブル > 「いや、詳しい話は聞いて居ないな。
この地の有名人には余り詳しくない、貴族階級なら尚更。
依頼を受けて居れば別だろうがな…。」

(其処は、矢張り流れ者であるが故の。
王都の世情を全く気にせぬ訳では無いが、人脈にまで耳が及ぶ訳では無い
リルアール家、と聞いても、生憎乍ら思い当たる節は余り無かった
逆に言えば、そう言った上流階級との繋がりが無いからこそ
伝を辿っての仕事、と言った物に縁が無いのだろう。

女がグラスを手にするなら、果実酒が入った器を持ち、注いでやろう
味見程度と言うならば、先ずはグラスの半分ほどで
ギルド併設の酒場で在る分、下手に質の悪い物ではない。
少なくとも、突然エールや蒸留酒の類よりは、飲みやすい筈だろうが。)

「―――――……なら、一晩だけ借りよう。
後の作業を考えれば、其の方が遣り易い。
時々俺が借りる宿で良ければ、だが。」

(基本的には、自然地帯での野営が主だ、が
王都側の宿を全く利用しないと言う訳でもない
依頼や幼児の関係で、宿を借りる事自体は此れまでにも在り
凡そ、借りる宿も決まった場所に為りつつある。
生憎乍ら、高級な宿とはお世辞にも言い難くは有るが)。

シンディ・オーネ > 「週3回くらいしか入れないけど、冒険者ギルドの依頼を受けていきたいと丁度いいくらいね。
 結構条件が良いから、うっかりそちらをメインにしそうで怖いわ。」

収入の実態としてはうっかりも何も既にそちらがメインだが。
冒険者をやっている目的が魔術師として慣熟するためであれば、
より多様なシチュエーションを経験しなければならないと思う。
たまたまご縁があったのよと話し、果実酒をいただきます。

「…苦みのあるジュース。
 香りはいいわね、スッキリしてるというか。」

ちびりちびりと舐めるように口をつけて感想を。
これならジュースでいいなと思うけれど、効能を知るのは少し後の事。
今はこんなものかと穏やかな気持ちで、オトナな味をちびちびちび。

「ああ、それじゃあ、私が出すわ。経費でしょう?」

一緒に素材の狩りに行ってお代をまけてもらう予定だけれど、
これは元々の価格に含まれない状況に対応するための雑費と思う。
自分が払うと言って、となると気になるのが節約できないか。

…連れ込み宿のご休憩なら更に安く借りられるのではないかと気付いたが。
この間の事もあり、お互い忘れる事にしていたってそういう状況はちょっと気まずい。
ノウブルがいつも借りる宿であれば変に高級なんて事もなかろうし、むしろ安心、そこへ行こうと頷いた。

ココアやら果実酒やらを干したら、移動しよう。

ノウブル > 「生きる術は、一つとは限らん。
誰かに仕える事で、拓ける道も在るだろう。
其れが、良い縁であるなら尚良いが。」

(選び、そして進むのは他ならぬ女自身。
最終的に、冒険者としての仕事よりも安定を選んだとて
果たして其れを、誰が咎めようか。
選択肢は多いに越した事は無いと、順調そうな活動を祝しては
何処か、恐る恐る味見をする女とは反して、こくりと、躊躇せず酒精を流し込む。)

「俺が其の儘泊まるだけの事だ、経費も何もない。
ついで、他の用事も済ませれば良いだけの事だ。
……其れに、遺跡の報酬も在るからな。」

(基本的に連れ込み宿を信用して居ない、と言うのも有るが
元より稼ぎは少ないが、代わりに浪費も少ない生活
其れに、何より稼ぐ必要が在ると判って居る女に出させる理由も無いと
其処は、あっさり断って仕舞おうか。

急ぎでも無い用件、今すぐ席を立つ必要もあるまい
ココアや果実酒の器が空となってから、ゆっくりと宿へ向かう事に

ギルドからほど近い場所にある冒険者宿の一つ
長期滞在者の受け入れも多くなりがちな宿の中では
一晩、或いは一寸した会議にと気軽に部屋を借りれる場所
己の様に時々しか訪れない者にとっては都合が良く
受付にて声を掛ければ、見知って居るだけ在り、簡単に通して貰えるだろう
多少、階段を上る事には為るが)。

シンディ・オーネ > 「…いやあ、待遇良いけど何と言うかこう、側仕え?側近?みたいになる事は無いでしょう。
 別に目指してやしないけど、私は護衛の中でも替えのききやすい外側、
 それ以上の身分になるにはきっと別の基礎がいる。」

良い働き口であり、当分というかそこに仕えられるだけ仕えて悪い事は無いのだが。
「生きる術」という表現をすると、自分の出自に自信が無いのもあり多少の捨て駒感を抱いてしまっている事を自覚する。
…どう生きていこうかしらねとぼやいて、ちびちびは慣れるにつれハイペースなちびちびに。

宿の支払いを断られると本当に?とうかがうような素振りを見せるが、拘るほどの事ではない。
それではお言葉に甘えてと、あとは最近出されていた依頼なんかの話をぽつぽつ。
果実酒はグラス半分の味見で満足したが、ゆっくりしてから席を立つとおやと目を瞬いた。

「…あれ、ふわふわする。お酒のせいかしら、体調は悪くないけど。」

おお、と新鮮そうに足踏みして、楽し気にへへっと笑う表情は珍しい。
慣れないお酒に少しだけ酔うが足元覚束なくなるほどでもなく、
――宿への道中も階段も、面白がってフラついてみせるが危なげはない。

「へえ、良い所ね。」

価格と用途と掃除の行き届き方と、値踏みして、無難な所ねと宿の中。
やはり自分達のとっている宿は風呂付に拘ったために高級なのだと思うと、
贅沢しているような後ろめたさがあるが風呂は必要だった。

「…さて、ええと。」

二人きりの部屋。ベッドがある。

ノウブルを恋人と誤認して事に及んだ時、ノウブルの体はノウブルのままだった。
つまり完全に恋人の幻を見ていたわけではなく、ノウブルの外見はそのままに『立場』を自分の恋人と置き換えていて。
だからその感触には違和感があったし、その違和感は今も覚えている。

出来るなら忘れてしまいたいが強烈な経験で、
またしたいなんて事は無いのだけれど、つい意識してしまって少し緊張。
脱ぐのよねとそわそわする顔は、赤みがさしている。

ノウブル > 「なら、身分を覆す程の実力を身につければいい。
人脈と家柄だけで、人は守れん。」

(確かに――今は、其の通りなのやも知れぬ。
其れは寧ろ当然の事だ。 ならば、自らが「替えの利かない存在」になる他ない。
無論、其れは女が、その道で生きて行くと決めたなら、の話だが。

グラス一杯の果実酒では有るが、さて、女は酒にどの程度強い物か
立ち上がった辺りで、如何やら其の一端は垣間見えたらしい。
酒場から宿へと移動する間、一応、其の足取りには注意して居たが。)

「――――余り強い酒は、飲まない方が良いかも知れんな、御前は。
……変に華美でもな、最低限が在れば良い。」

(踏み入った部屋の中、後ろ手に扉を閉じて、鍵を掛ける
背負って居た獲物を漸く降ろし、壁際へと立てかけ
そうして、肩に掛けていた荷物を丸テーブルの上に乗せれば
其処から取り出す、採寸に必要な道具と、紐。)

「正確に測るなら、其の方が良い。
―――――……無理にとは言わんが。」

(――間を置いて一言、紐を手に持ちながら、告げたのは
気にしないと女自身が言い出したとは言え、先の出来事が在るからだろう
荷を降ろした事で、元より軽装な自らの体躯は、女にとって記憶を甦らせるには容易いか
恋人とは何もかもが違う、其の体躯の感触を、今も尚覚えているなら。

女が如何するのかを伺い、もし衣服に手を掛けるならば、其れを待とう
真っ直ぐに立つ様にと促しながら、先ずは手始めに、其の背丈を測ろうとする)。

シンディ・オーネ > 「……ええ。」

ヴィルア・リルアールの下で頭角をと考えると、
過ぎるのは『よくも娘を』的な雰囲気で襲撃してきた推定一般男性の事。
そこは言葉少なに頷いて、道すがら強い酒について注意されるとそうねえと頷くが、
空きっ腹に酒というこの心地好さを知ってしまって、少しお酒に興味を持っている。

「――いえ、正確でないと困る。」

で、宿の中。
気遣われているのを感じると意地を張るような気分で、
無理にとはってどういう意味?くらいのとぼけ方で、さっさとシャツを、ズボンを脱いだ。
下着も黒の上下で、レザースーツのインナーとは違いブラにショーツである。
さあ来い!って感じに仁王立ちだが、やはり顔は赤かった。

「…し、下着だって、必要なら。
 せっかくオーダーメイドなのに、採寸恥ずかしがって寸法狂ったら勿体ないわ。」

医師に診てもらうのと同じ事、必要な事をするとアピールし。
促されるまま、姿勢を変えていく。

ノウブル > 「……今は、考えればいい。
自分が選ぶ道に胸を張れる様に。」

(何が在ったかを、己は知らぬ。
貴族の護衛と言う仕事を続ければ、少なからず人の世と言う物には触れるだろう
女にとっては、其れも一つの経験、と、言えるのかも知れぬ。

存外酒癖が悪くなるかも知れんな、なぞと内心の。
まぁ、適度に飲み、適度に高揚する分には悪い物ではあるまい
兎も角今は――本題、だ。)

「―――――……随分な信頼だな。
……なら、着けた寸法と、着けない寸法の両方を取るが、良いのか。
……少し顎を上げろ、先ず首周りからだ。」

(―――背後からの採寸で有るが故に
一寸、会話の間が空いたのが、男なりの絶句で在った事に、果たして女は気付けたろうか。
程無くして返った言葉は、女の言葉を買った上での物
無論、採寸として、両方を測る事に確りとした意味は有るのだが
先んじて、首周りから紐を回し、其の長さを測って行く
時折、何かペンを走らせる音が響くのは、羊皮紙に書き留めているからだろう

首回り、首の長さ、そして肩幅、腕回り――
鍛えられた女の体躯、其の肉の付き方をも共に観察しながら、着々と進めて行く作業
そして、とうとうその紐は、女の胸元の採寸へと移り始める
先ずは下着を着けた状態で測定が行われ、簡易的な数字が布に書き込まれて行く
そして、其の上で――女が、下着を外すのか、否か)。

シンディ・オーネ > 「――?
 …な、何?
 良いも何も、防具を作ってもらおうっていう採寸でしょう?
 怪我やできものを診てもらうのに、嫌がる人はいないでしょう。多少恥ずかしくたって。」

ノウブルはどっしり構えた硬派な人という印象で、まさか変な事はしないと思う。
自分に恋人がいるというのも伝えている?し、それより何よりとにかく衣類のための採寸なのだ。
身体の寸法知らなきゃやり難いでしょうって、しっかり作ってもらいたい一心でむしろ積極的に脱げる。

…言われるままに姿勢を変えていき、触れられると時折微かに身体が震えるのはくすぐったいのだろう。
口をきゅっと引き結び、少しアルコールの入った肌で、ふくくっと腹筋をわななかせ。

男性に自分の寸法を見られるというのも落ち着かない気持ちになるが、
そういった感覚が鈍いのもあって心持ちはいたって健全なものだった。

…が、努めて意識しない素振りでブラを外して――

「――ッ!?」

いつの間にかツンと尖って主張していた乳房の先端に、ぎょっとする。

「きゅ、急に脱ぐと冷えるな!
 ああああと、くすぐったくて、ちょっと…」

いよいよ真っ赤になり上ずった声。

ノウブル > 「――――――…………。
……下着が在っても無くても、着れる様にはする心算だ。
戦士が着る様な革鎧だと、今御前が着ている防具と変わらんからな、着心地は。
必要に合わせて選ぶ様にすれば良い、追加で必要な部位が出来れば、後々作る。」

(――僅かな間を置いて、薄らと、溜息には為らない程度に、吐息が零れた、様な。
下着を脱ぐ事の是非については一旦据え置き、現状予定している防具の構想を伝えれば
自ら、本当に下着を脱ぎ落した女を待ってから、其の胸元へ改めて紐を通そうとした。

――当然、何も隠せぬ其の尖りに気付かぬ筈は無い。
誤魔化すような女の、上擦った声音を他所に
紐が其の尖りに掛かり、正確な乳房の――否、胸部の採寸が行われる
下着を着けていた時は、胴回りを測っただけだった、が。)

「―――――……判って居る。 余り動くな。」

(声音の位置は、近い。
真後ろに立つ己の声が、女の耳元で響く。
そして――紐が、乳房の片方をぐるりと取り巻き
今度は乳房其の物の形状を、丸みを、大きさを、測り始める。
根元部分と、最も膨らんだ部分其々に紐を回せば、擦れる感触が伝うだろう
時折指先が掠めるのは、飽く迄採寸作業のせい――其の、筈だが

鮮明に、其の脳裏に。 紐を辿る指先が、乳房へと齎した悦の記憶を
蘇らせる事には、なるやも知れぬ)。

シンディ・オーネ > 「ああっ、いや、ノウブルの腕を疑っているわけではなくて。
 ただ、良い物を作ってもらうために出来る事があるのに、それをしないのはもったいないなと思うだけよ。」

着心地が変わらないと念を押されれば、分かってはいるけどど。
決して脱いでみせたいわけじゃないのよと念を押して、
でも必要でしょうとブラを外してから、その事にちょっと後悔したが、いやこれで良いのだと息を殺した。

「……ぅ、うん。
 なんか、ごめんなさい。そんなつもりは…」

欲情しているつもりなんか全く無かった。
意識しなかったと言えば嘘になるが、ノウブルに抱かれたいなんて気持ちは無いはずだ。
せっかく『わかっている』なんて言ってくれたノウブルに蚊の鳴くような声で申し開きをするが中身無し。

紐と指が滑っていくと、ひくんひくんとまた少し身体が震えるが、それはくすぐったがっていた先ほどまでとそう変わらない。
浅く短い呼吸が少しずつ荒くなるのも、長くそんな呼吸を続けていて苦しくなっているのだと思っておく。

…少し安心したのは、やはり記憶にある遺跡での時ほどは、敏感になっていないという事だ。
やはりあそこまで乱されたのは、トラップの効果としてそういう側面があったのだろうと――

そんな事を考えてしまうと、更に悶々としてしまう。
このたくましい指が繊細に動いて、優しくも意地悪だった事を――

「……。」

しかし私には恋人がいて、ノウブルだって別に私に興味は無いだろう。
意識してはいけないし、されたって迷惑だろうし。
興奮したとして、きゅっと唇を噛んで耐えられないほどではない。

ノウブル > 「心配するな、疑われて居るとも感じていない。
……任された分、下手な物は渡さないと約束する。」

(――防具に関しては、此処までして、雑な物は造るまい。
そう約束する言の葉も又、女の耳元で響く事になる。
片方の乳房を測り終えれば、もう片方の乳房へと紐が移る
微かな摩擦が失せ、代わりに反対側が、微細な刺激に苛まれ
片方の手が、一つ一つの計測の度にペンを走らせるが故に
乳房だけでも、随分と時間が掛かるだろう

そして、そんな折――紐を抑えて居た指が、微かに、先端へと当たる
優しく、羽根で触れる様に微かな感触が、尖り切った其処を構ったなら
指先がまるで、乳房の重みを確かめる様に一度、其の膨らみを包み、下から持ち上げ。)

「―――――肩幅程度に、脚を開け。」

(次に告げた言葉は、そんな台詞。
当然、其れは採寸場所が、乳房から下、下半身へ移って行くという合図でも在る
掌の熱を伝えた後で、乳房から離れる掌は、慣れた様子で下腹を、臀部を
そして両脚の採寸を行って行く筈だ、が

――女の意識は、或いは、興奮は…其れで、収まるのか、それとも)。

シンディ・オーネ > 「――ッ!」

気遣いが次第に焦らされているように感じられてきた頃。
指が乳首を弾いて、待ちかねた感触に声を殺した喉がきゅぅっと鳴ってしまった。
ぅっうんと咳払いして誤魔化すが――

「…ァっ!?」

乳房が持ち上げられると、何をするのかと高い悲鳴が甘く漏れ…
しかしアンダーの採寸であろうと解釈。 重量確認でも同じ事だ。
そりゃあそうよねと恥じ入り、咳払いが止まらない。

「……。」

脚を開けなんて耳元で言われると別のものに聞こえてしまうが、とにかくこれは採寸だ。

「……!」

言われるまま脚を動かすと、お股に感じる下着のぬめり。
しかしそこには触れられないだろうし、見て分かっちゃうかもしれないけどもう黙っておく。

採寸に興奮してしまっている、感じてしまっているが、それでも今は正気だった。
多少のアルコールが入っていようと、それで我慢出来なくなったりはしない。
私には恋人がいて、これはただの採寸で、ノウブルは防具の職人。
彼だって私に興味なんぞ無いだろうと言い聞かせて、これ以上恥ずかしくなるような要求は出て来ない。

ノウブルも動かなければ、この日は無事健全に終える事ができる。

すっかり上気した身体に衣服をかぶせ、熱に浮かされたような顔を努めて引き締めて。
よろしくお願いしますと、素知らぬふりが成功したつもりで別れるのだ。

その後の自慰は、きっと上手くいく。

ご案内:「どこぞの冒険者ギルド併設酒場」からシンディ・オーネさんが去りました。
ご案内:「どこぞの冒険者ギルド併設酒場」からノウブルさんが去りました。
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──温泉旅籠内の、主に宿泊客向けに用意されたサービスの一つが、このマッサージ室である。

その施術室はいくつかの個室に分かれており、客は専用のカウンターで受付を済ませた後、各個室で待機しているスタッフと
一対一でマッサージを受けることになる。

なお、客にどのような施術を行うかは、スタッフの判断にすべて委ねる、というあたりはこの旅籠らしいといった所。
ついでに、各個室内には客に安心感を与え、施術への抵抗感を知らず知らずのうちに薄れさせてゆく効果を持った、
ほのかな香りのアロマが炊かれていたりもする。効果がどれほど出るかはその客次第なのだが。

「──はーいお疲れチャン。また来てくれたまへ」

そんな中の一室から、満足げに出ていく宿泊客を笑顔で見送る、スタッフ用の作務衣姿の金髪の男が一人。
今日も今日とて知り合いからの依頼で、臨時のマッサージ師として仕事に精を出しているのだった。

「ふぃー……こういう普通のマッサージも悪くはないのだが、そろそろ一発エロマッサージでもしたいところであるなぁ」

個室内に戻り、施術用のベッド脇の椅子に腰掛けながらそんな詮無い独り言を漏らす。
今日は現状、立て続けに男の『標的』にならない客の来訪が続いたため、男はごく普通のマッサージ師として
仕事をこなすばかりであった。
男としてはそれもそれでやりがいを感じなくはないのだが、やはり役得の一つぐらいは欲しいところであった。

「まああそれも時の運というヤツなのだが……──おっとと一息つく暇もなさそうだったな」

ボヤキを続けようとしたところで、閉じたばかりのカーテンが開く。
さて、やってきたのは男の『標的』になりうる客か、それとも……。