2017/06/02 のログ
■エアルナ > 語る声に。思わず風を感じる方角を振り返れば、いわゆる――鍾乳石、という氷柱のような天然石が目に入る。
岩にしみいる水は、ここが高地なのを考えれば雪解け水か雨水だろうが…どちらにしてもすぐには溶けないはずだ。
「条件――ひとつは時間だと。それも年単位の、長い時をかけてなら…雨粒は岩をも穿つといいますし」
ただ、それだけではないはずだ。
その水に含まれるのがなにか、塩、泡のような気体、果汁のようなもの…そのどれかになるのかまでは、わからずに。
調べておきます、と宿題の単語に頷く。
「はい。蝙蝠の類は、もうしかたありませんが――」
天井を這うスライム、足元に隠れた罠や落とし穴は侮れない。
ネズミのような小動物が住み着いた気配もあるが、まぁ、それはそれとして…おおがかりな仕掛けのほうが怖い。
とりあえず、埃から見る限りでは。最近ここを出入りした、人間型の生物?はいないように見えるが。
「礼拝堂、ですね――屋敷の一つくらいは、裕に建てられそうな。
…向こうが祭壇で、あれは…何かの彫像?」
かなり奥の方を眺めれば、あそこが祭壇かという作りが何とか見える感じか。
そして。ところどころに、柱なのか、元は彫刻か彫像だったのか。薄暗い中、そんなシルエットも見えた。
■マティアス > 「そう、それも一つだ。しかし、全てじゃあない。……ま、ここから先は調べてみる方がきっと楽しいよ?」
全ての答えは明かさない。蓄えた知識を以て、教え導く仕事もしない訳ではないが、そればかりではいけない。
例えて言うとすれば、水の質は含まれるものによって大きく変わる、ということである。
笑みを含んだ声を静かな空間に響かせて、歩を進める。
少しずつ傾斜しているような感覚は、きっと間違いではない。天井の高さを確保するためであろうか。
下っているような感覚を通り過ぎて、至る空間はとても広い。
壁面や天井に施された細工はまだ、十分に原形を保っている。
あちらこちらに見える白い残骸は、礼拝者や魔物の風化しきった死体なのだろうか?
否、それだけではあるまい。
「……――否、あれはきっと、此処に何かを仕込んだ誰かの置き土産だよ」
天上から、如何なる仕掛けか。祭壇と思しい造形の最奥には外からの光が差し込む。
その太陽の光を浴びて、鈍く光る何かがのっそりと身を起こす。
冷たく光る銀色の装甲を帯びた何かが、いわば人型と云うべき造形を持つ。
肉の目ではなく、一抱えもある赤玉を顔面と思しい部位に納めて光らす其れは、ゴーレムであろうか。
『――――――!』
動く。長く、大きく無骨な豪腕をついて、声無き咆哮を響かせる。
そんな交渉の余地もなければ、避けえぬものを前に剣を抜こう。
■エアルナ > 楽しみにしてます、と応える娘。
さすがにここですぐ書物を紐解くわけにはいかないが、あとの楽しみは大きい。
新しい知識を得ることは、心躍るというあたり…魔術師ならではか。
広い空間に、ずいぶんと響く足音。
自分たちのものと知っていても、気になるのは――反応するものがいるかどうかだ。
「置き土産?…あ、」
いた。遺跡には珍しくないが、物言わぬ番人。ゴーレムだ。
光沢からすると、石ではなく、表面は金属。
だが、あの光沢は…おや、と瞬く。鋼ではない、ように見える。
「マティアスさんっ、あの光沢――まさか、希少金属じゃ…?」
彼が剣を抜くなら、こちらは杖を左手につかみ。右手に魔法の意識を集中させながら、視線をそらさずに問おう。
アイアンゴーレムではない、のではと。
■マティアス > 「……嗚呼、うん。剛毅なコトだねぇ。ハイリスク&ハイリターンになるかもしれないよ?」
まさかなぁ、と。抜き放つ剣に宿る白銀の輝きと、かの薄く埃被っていても隠せぬ金属の色を見比べる。
全くの同一ではないが、裡に力を秘めた金属の輝きはとても似通っている。
何がしかの魔法金属より構築した代物、だろうか。
そうなると非常に厄介な反面、解体してもリスクに見合う報酬は手に入ることだろう。
否、恐らくは他にも何かしらの狙いがあっての事か? 思うことは多い。
「まずは僕から切り込んでみるとしよう。……行くよ、ッ」
構える剣を右手に下げ、左手で印を結んでその身に魔力を巡らせる。
奔る。身構えるゴーレムが拳を振り上げ、叩き下ろしてゆく。
それを低い姿勢から躱し、その関節部に切り込むも甲高い金属音と魔力の輝きを以て弾かれる。
固い。同時に、強い魔力の気配を覚える。魔力を巡らせることでより強度をあげているのだろうか。
だが、それだけではない。
『…………』
「……ッ!」
そのゴーレムが空いた手で石が敷き詰められた床を叩き、うぉんと異音を響かせる。
疑似高速詠唱。機械が内部に封じられた魔法を駆動し、周囲の石材を様々な大きさ、形状で浮遊させて高速回転させる。
石礫の嵐とも言うべき唸りが、この空間を掻きまわす。
如何な熟達者でも、とっさには躱せない。足元に剣を突き立てて防護魔法を纏うも、強かに吹き飛ばされる位に。
■エアルナ > 「…硬さだけなら、わざわざ希少金属にしなくてもいいはず、ですが――」
なんだろう、いやな予感を裏付けるように足元で白狼が低くうなる。
とはいえ、彼が斬りこむなら、こちらはその援護をまず行うべきだ。
【高速詠唱】 作動。右手の親指を折る、それだけで発動させる。そこまで仕込んである。
【氷結】 人さし指を折る。空中の水分が凍り付き、氷塊となって顕現する。
【圧縮】 中指を折る。両手の掌で抱えるほどの大きさが、指一節ほどに小さくなり、硬度が上昇する。
【回転】 薬指を折る。回転する氷塊は、そのまま弾丸のような形状となり。
【加速】 小指を折る。矢よりも早く、発射される。目標はゴーレムの胴体、大きな的だけに、外すまい。
「連弾奏--【氷結魔弾】!」
その流れは、音楽を奏でるがごとく、瞬時。一つ一つは単純かつ短い詠唱でなりたつ魔法を、重ね掛けしたもの。
たぶん、ほぼ同時だ。
ゴーレムの魔法が発動したのと、こちらの詠唱が完了したのとは。
だから。
「…きゃぅ!」
こちらの魔法が砕いたのは、ゴーレムが巻き起こした石材の嵐の一角。
その衝撃に、吹き飛ばされたのは同じだ――とっさにまとった風の防護魔法と、狼が受け止めてくれたおかげで、大怪我には至らないが。
■マティアス > 「……っ、い、つつ。これは思った以上に難者だねぇ……」
全身に魔力の防護膜を纏って受け身をとっても、相応以上の衝撃がその身を打ち据える。
作用としては実に単純。しかし、原動力となる魔力量が並みではないのだ。
まるで、内部に強力な魔力の発生源でも組み込まれているかのよう。
まさかな、と無事だった眼鏡を押し上げつつ、片膝をついた姿勢で身を起こそう。
折角の彼女の見せる魔法の熟達の成果もまだ、生かし切れていない。方向性としては間違いではないのだ。
「エアルナ、無事かい? すぐに身を起こせないなら、其の侭少し休みながら聞いてくれるといい。
攪乱の陣を敷く。その合間を縫って、狙い撃つといい。――何事も修行だよ」
立ち上がり、足元の石床に剣の切先を突き立てる。大きく息を吸い、吐いて魔力を巡らせる。
袖口から、はらり、はらり、と零れ堕ちるのは術符。魔力の励起に応じて記された術式が燃え上がる。
「我――四方を封じ、天地を定め、威を循環す。
害意を祓い、惑わす盾の群れよ。――起きよ。速やかに我が意を成せ。疾ッ!」
こつん、と。剣で地面を突けば、それを起点に魔法陣が浮かび上がって、青白く燃える。
それに呼応して地が震え、周囲の岩盤を素材に幾つもの石材の盾が起立する。
ただの盾ではない。縦横に動き、面で押し寄せる障害となれば、打撃兵器ともなる。
それらが、ゴーレムに殺到し、惑わすように円運動を繰り返す。
ぶつかる盾を殴り、顔面の紅玉から吐き出す魔力の閃光で切断する。だが、それでも止まらない。
術者が魔力を費やし、術を持続させる限り。
■エアルナ > 「…大丈夫、ですっ。 これだから、魔法金属で作ったんですねっ――あのゴーレムはっ」
今頃呑み込めた。
魔法金属で作ることで、疑似魔力、とでもいうべきものを内蔵させたのだ老、あの製作者は。
顔が見たい、とぼやきつつ、青年の声に頷いて了解したことを伝えて。
「では――もう一度です。【高速詠唱】開始――」
立ち上がる。
ゴーレムと石材の盾とが乱舞する光景を前にして、鼓動が高鳴り、共鳴する。
こんな光景は、そうそうみられるものではないし、できるものではないから。
「連弾奏ーー【氷結魔弾】、射貫け、かの紅玉を!」
狙いはあれだ。石材の盾の乱舞の中、鮮やかに見えているゴーレムの顔の部分。
閃光の源たる紅玉を叩けば、衝撃は小さくない、と踏んで。
解き放つ、魔法の弾丸を!
■マティアス > 「そればかりじゃあ、ないと思うよ。けど……そうだね。倒せば分かるかな?」
強化魔法を刻んだ密閉式容器の中に魔力を充満させれば、この硬度上昇のタネは一応の説明はつく。
しかし、それだけではあるまい。この持久力は他に何かしらの絡繰りがある。
少なくとも作り手は自分と同じか、それ以上に凝り性に相違ないだろう。
そう思いつつ、行使する魔術を保つことに意識を振り向ける。
一からものを創成するものではないとはいえ、この規模の魔術は少なからず消耗を強いる。
より規模を高め、洗練すれば軍勢をも混乱させ得る効力を持つ魔術である。
ゴーレムが発する石礫の嵐を石盾の連動で食い止めつつ、盾をぶつけて動きを止め、破壊されれば補充を行う。
額に汗が滲む。息を詰めて、思考とともに魔力を走らせていれば。
「……! な、ら、駄目押し……だ!!」
狙い澄ませた魔弾が、ゴーレムの顔面の紅玉を微塵に砕く。
文字通り目を失ったのか。棒立ちになる金属の塊たるヒトガタを前に、術の維持を解いて剣を構える。
深呼吸と共に残存する魔力を剣に注ぎ、走る。白銀の閃光を放つその刃を袈裟懸けに気勢と共に叩き付けてゆこう。
それで終いだ。内蔵する魔力を浪費し、瞬間的に硬度を落とした装甲が切り裂かれて、どう、とゴーレムは背中から倒れ込む。
肩から胴まで刻まれた、その破断口から見える緑色の光芒がその内蔵魔力と希少金属を使った守り人を作った要因である。
感じるものには、分かるだろう。強い魔力の気配が。
■エアルナ > 「倒せば――わかり、ました」
楽しみです、と笑みさえ浮かべ応えるあたりが普通の娘ではない所以だ。
自然の光の下にいたのも、その理由の一つかもしれない。
まだ自分には未知の、魔法回路が組み込んであるのかもしれない。
可能性を確かめるのに確実なのは、やはり――
白銀の魔法剣の一閃で、さすがのゴーレムも倒れて。
そして。
「あれは…?」
なんだろう、切り裂かれた場所から見える緑の光芒。
強い魔力を感じて、目を細め、青年の様子をうかがって。
無事らしいのにほっと安堵しながら。
「大丈夫ですか?…もう、近寄っても。
あれは…初めてみますが、いったい…?」
正体は。原因はなにかと、素直に教えを乞う。
古代の魔法に関係するもの、だろうか。
■マティアス > 「……これで、終わりかな。うん、片付いたみたいだ」
しかし、警戒は怠らないように。そう教え子でもある姿に声をかけながら、動きを失った巨大な木偶を見遣ろう。
一先ず、機能を失ったと思しいゴーレムの破断部分に目を遣り、意識を集中させる。
魔力の循環経路と思しい部位を認めれば、剣の切先で切り裂いて断つことで完全に動きを止める。
ふぅ、と。溜めた息を吐き出して、腰の鞘に剣を収めよう。
薄汚れ、ところどころ切り裂かれたローブや着衣の有様に苦笑が滲む。全身からも痛みがまだ抜けない。
「近寄って大丈夫だよ。魔力の循環系統は断った。……人に例えれば、心臓に繋がる太い血管を断ったのも同然だ。
だから、これ以上は動かない。けど、僕もこれは初見だね……」
説明しつつ、指先に魔力を込めて小さな術式を走らせよう。
ゴーレムの胴の装甲を止める螺子を弾き飛ばし、引きはがせば中身が露になる。
水銀の如き液体を流動させる硝子の管や、金色のワイヤー等が張り巡らされた内部構造は見事の一言。
ヒトの心臓に当たる部位に埋め込まれた、翠色の物体が問題だ。
例えて言うなら、何らかの文字を刻まれた石板の欠片のようにも見える。
それ自体が強い魔力を発し、内蔵された魔術を発動させる動力源でもあり、わざわざ大がかりな仕掛けを作る要因でもある。
恐らくは、魔力結晶の一種だが、それ自体が術式の集合体でもあり、増幅回路ともなるもの。
入手したもの、あるいは偶然創成したものが扱いに困り果てて、このように封じることにしたのだろう。
■エアルナ > 「魔力の循環回路――この巨体に張り巡らすだけでも、大変な作業でしょうに。」
これは、と思わず感嘆する。
近づいて改めて見れば、その胸の部分は…魔法で作られた内蔵のような見事な構造。
それだけでも一見以上の価値があるというのに、その心臓部は…
「古代の技術が、こんな複雑な魔力結晶を作った――と…?
あぁ、でも、こんなものがいくつもあれば――ここが遺跡になってはいない、気もしますが…」
大きな謎と、可能性と。そして。
悪用しようと思うなら、扱いは大変だが効果は絶大になりえるか。
「…どうします?これ。」
下手に表に出すものではない、それは分かるだけに。
判断を尋ねて。
■マティアス > 「本当にね。作り手はいい仕事をしているよ。惚れ惚れする位だねぇ……」
少しばかり、勿体無い気もしてしまう。
このような造形は無為に破壊するのも勿体ない。だが、出すところに出すにしても見つけてしまったものがことである。
力あるものとは、おのずと何かを引き付けてしまう。
この拳大の欠片は、それだけでも同じ体積の黄金を値としてつけてしまうこともあるかもしれない。
少なくとも、自分ならばそうしてしまいかねない。
「……壊してしまったのは、少なくとも僕に責任がある。
秘すべきなら、もっと頭のいい隠し方だってあったろうに。
わざわざこのようにしてるなら、託すべき誰かを望んでいたかもしれないね。だから、僕が持っておこう」
幸い、加工は出来なくもないらしい。もう少し持ちやすい形にもできるだろう。
形状に本質は左右されないらしい存在を、丁寧な手つきで取り外して確かめ、一先ずは取り出す革袋に納める。
魔を封じる加工をされたそれなら、当座の凌ぎにはなるだろう。
あとは、この残骸だ。休憩した後、適切に解体して軽量化の魔法を込めた術符を張り付けて、運び出そう。
急な収入と、始末と、今度の扱いに頭を悩ませながら――。
■エアルナ > 「わかりましたーー希少金属のほうは、鉱山で発掘した、とでもいうことでさばけるか、と」
中枢部は、このまま封印だ。
その方針に賛同を示すと、その運搬に手をかそう――
今回の冒険の、思わぬ発見と収穫に、いろいろと思いを巡らせながら。
二人と一匹は、洞窟寺院をあとにするのだろうーー
ご案内:「洞窟神殿跡」からエアルナさんが去りました。
ご案内:「洞窟神殿跡」からマティアスさんが去りました。
ご案内:「設定自由部屋4」にウィルバーさんが現れました。
■ウィルバー > (継続待機中です)
ご案内:「設定自由部屋4」にノアさんが現れました。
■ノア > 「 なに よ、 それ..... 」
好き放題出来る眷属を連れ回すという征服感、 などではなく.. 気持ちが楽になる、 だなんて。 身構えていた言葉とはまるで違う返答に戸惑い、 思わず視線を逸らす。けれど逸らした視線の先、 蜜で濡れた指を見せ付けられて
「 やっぱり、 意地 悪.. 」
眷属に指を濡らされてしまった主は、 其の頬で指を拭う。そして再び、 あの日と同じ質問を ──
「 .........愛、 して..... る.. 」
真っ向から否定していた頃に比べ、 随分と従うようになっていた。とは言うものの.. 最後の一文字は、 風の音にもかき消されてしまう程に小さく。鋭い貴方のこと、 丸々本心ではないという事くらい気付いてしまうだろうか。其の証拠に左手の薬指には今日も、 しっかりと指輪が嵌められていて。
「 多分......... 最初、 より... 嫌 じゃ、 なくなっ てる.. と、 思う。」
本心など隠せば良いものを、 やはり隠せない。その癖、 心境の変化を露呈したりと.. 女は何処までも、 正直に。
「 ............... 」
卑猥な指示に女が従うのかどうか、 机の上に腰掛けて待つ姿は.. 紛れもなく "主" の貴方。主に命じられた眷属は、 ぶかぶかの白衣を床に落とし..... トップスもスカートも、 ヒールも全て 脱ぎ捨てた。着衣を禁じられた助手と、 其れを眺める教師の姿.. とても学院内とは思えぬ厭らしい行為が、 教室にて今 始まろうとしていた。
■ウィルバー > 「僕の本音だけど? もっと喜びなよ。」
戸惑う彼女に対して、鼻息荒く答える。
何て言うか、僕がここまで言ったことをもっと褒め称えるべきだと思う。
「ふふ~~ん。 で、それは上から何番目位かな?」
彼女と遊ぶのはとても楽しいが、虐めるのもとても楽しい。
心の中に大事な人とやらがずっと残っているのは十分分かっているが、それでも敢えて彼女の口から言わせたかった。
「なんだよ、嫌なのかよ~。 ノアは面倒くさい子だな~~~。」
机の上で足をブラブラと動かし、口を尖らせていた。
「いいねいいね、口ではとんでもなく生意気だけど、意外と従順だよね。」
何も纏わぬ己の眷属の姿に、僕は心が躍り出す。
机の上に座ったまま、両足を広げて。
「この間みたいに、咥えてくれるかな。」
■ノア > 「 .....揶揄ってるんでしょ、 っ.. 」
素直に喜べと言われても、 いつだって飄々とした貴方の本心など.. 女には到底理解出来ないものと思っていて。つん と、 可愛いげのない返答を。
「 何番 目、 って... 何人居ると思ってるの.. も、 その質問は 嫌..」
何故なら、 自分でも困惑しているから。主の吸血欲求を満たす為 身を捧げてしまいそうになったり、 こうして何か命じられれば従ってしまったり、 そんな自分に.. 酷く、 困惑しているから。
「 ん.. わかっ、 た... 」
不服そうに唇尖らす姿も、 直視出来ず。こんな場所で、 脱衣を命じられた眷属は.. 身に纏うものを全て失うと、 腕を組むようにして自身の二の腕を掴み。せめてもの救いは薄紫の長い髪が所々、 胸元などの露出を抑えてくれている事。そして ── 新たな指示には小さく頷いて、 貴方の脚の間.. 教室の床に膝を付いて
「 ......... 」
ベルトやボトムスの留め具を外してゆく。二度目ともなれば、 以前よりもスムーズに.. 白い指先が貴方の下半身を露出させると、 やがて目の前には貴方の剛直が露となって
「 .....っ、 」
根元を柔く握りながら 先端に口付け、 其の凹凸の隅々まで.. 丁寧に丁寧に舐め始めた。ぺろぺろ と、 薄い舌が貴方のモノを艶かしく濡らしてゆく。
■ウィルバー > どうやら、彼女には僕のことは随分と嫌な奴に見えているようだ。
まあ、実際嫌な奴ではあるな。 なので、彼女の塩対応にも納得してしまう。
「なら、僕からはもう聴くのやめておくよ。 その代り、言えるようになったら自分から言ってよ。」
どうやら、自分の中で整理がつかないようだ。 ならばこれ以上触るのはやめておこう。
これ以上は冗談で済まなくなりそうだ。
「いいね、随分とセクシーな姿だね。」
髪や腕で多少隠れても、彼女の魅惑的な肢体ははっきりと僕の劣情を刺激していた。
恐らく、生徒の前ではとても見せられないしまりのない顔をしていることだろう。
その上、そんな彼女が僕の服を脱がせていくのだ。 僕の身体に奉仕するために。
こんな状況で興奮しない男はいないだろう。
彼女が僕の股の間に顔を埋め、柔らかい舌で一物に触れていくと、僕のソレはピクっと小さく震えてから
赤く染まった先から透明の粘ついた液体を零していた。
「ノアが僕の事をどう思っていても、僕はノアの事が大好きだよ。」
こんな言葉を迂闊に吐けばどうなるか。 そう考えることもなかったが、それでも理性が負けた結果口に出してしまう。
両手で彼女の頭を包み込むように抱きしめると、互いの頭頂部を触れさせて。
■ノア > 其れ以上は聞くのを止めてくれたなら、 女も其れ以上 何も口にする事もなく.. 代わりに、 口は主を喜ばす為だけに動き始めた。
「 ん......... っ、 ん.. 」
根元を握る手で軽く上下に扱き始めつつ、 唇は吸い付くような口付けで.. ちゅ、 ちゅ... と、 艶やかな音を立てていた。そんな、 丁寧でもあり 焦れったくもあるような奉仕を続けていると.. ビクんと跳ねた欲棒。ふと、 視線上げれば ──
「 ............... 」
そっと掴まれた頭と頭とが、 触れ合った。顔はすぐ其処に、 吐息が掛かる程近く。濡れた唇はまた、 要らぬ言葉を口にした。
「 ウィルバー には..... 悩みを溢したり、 弱みを見せたり.. そういう誰かは、 居る の... ? 」
■ウィルバー > 彼女の舌はとても心地よく、控えめな口の中に迎え入れられると、僕の欲望はその中でとてつもなく肥大化していく。
吸い付かれる度に、僕は半ば無意識に腰を突き出していた。
「居るよ。 今は僕の目の前で一生懸命奉仕してくれてるね。 結構口は悪いし、反抗的だけど素直で優しくて可愛いかな。 ノアは?」
実際、僕は割と歳の割に奔放に生きている方だが、それでも一応程度に立場もある為それなりに抑えている個所もあるのだ。
だが、彼女の前ではそういった配慮は全て無くなっている。 行きたい所に行き、やりたいことをしている。
それはひとえに受け止めてくれる相手が居るからだ。
■ノア > 「 ─── あたしのこと、 は..
今は、 いい ..... 」
まさかの返答に、 すぐ近くにある顔から視線を逸らす。頭を触れ合わせたままでは、 其の逃げ道もたかが知れているけれど..
「 じゃ..... 今まで は、 どう してたの.. ? "本当のウィルバー" で居たい 時、 とか... 」
恐らく、 女よりずっと長い時を生きてきた貴方が.. これまで其の長い時をどんな風に生きてきたのか。純粋に、 興味があった。本心か、 戯れか..... 女の事を そんな存在だと言った貴方。もしも其れが本心ならば、 それまでは..
其処で、 思い留まる。女の立場で其れを聞くなど.. 深く突っ込み過ぎだろうか。
「 .........っ、 ごめん.. 何でもない。」
再び、 奉仕の続きをと.. 白い指先は貴方を包み込み、 緩く上下に扱き始めた。
■ウィルバー > 「ううん、相変わらずだね。」
視線は外れ、会話も止められてしまった。 取りつく島がないとはこのことだが、慣れてきたのかこのやりとりも最近は愛着が湧いてきた。
不味いぞ? 僕の方こそ調教されちゃってないか?
「今までも時々は僕の理解者は居たんだよ。 でも、皆僕より先に死んでしまったね。 あとは、本当の僕を曝け出した為に居られなくなったこともなんどかあるよ。
僕が今の仕事に就いたのは流れてきた結果でもあるね。 君らの言い方で言えば、職を転々としてきたって奴かな?」
僕が彼女に不死を望む理由である。 不老不死の命を持つ僕は理解者を作っても大抵の場合、先に死なれてしまうことが多い。
ましてや今はいつ殺されるかわからない情勢だ。 ならば彼女には僕と不死を謳歌してもらいたい。
「言いたいことがあるのなら、なんでもいいなよ。 僕に遠慮するなんて、ノアらしくないよ?」
言葉を飲み込んでしまった助手の頭を両手で触ったまま、額にチュっとキスをして。
■ノア > 貴方の口調は相変わらず柔らかくて、 飄々としたものだけれど.. 何処か、 哀しくも聞こえて。遠慮するな と言われ途切れた言葉の続きを、 そっと口にした。
「 さみし く..... 寂しく、 なっ たり.. しない の... ? 此処は 人間の住む王都 で、 本当の姿も 晒せなくて... そんなの、 あたしだったら すごく..
.........すご く、 さみし ぃ。」
額に落とされたキスを、 抵抗もせず受け入れる。ゆっくりと言葉を選びながら、 思った事を口にして.. 奉仕を再開した手もいつしか、 其の動きを止め.. 琥珀色は、 真っ直ぐ貴方を見上げていた。
■ウィルバー > おや…。 どうやらこれは。 どうやら逃げ場がなくなってきつつあるのは僕の方だ。
その気になれば命令一つでどうにか出来るはずの彼女の眼に見つめられると、僕の身体は身動きが取れなくなっていた。
「今まではあまりその辺は自覚してなかったんだよね。 でも、寂しかったからこそノアを眷属にしたのかも知れないね。
ごめんね、いい歳してるけどなかなか自分の行動ってよくわからないんだよね。」
実際、これは僕の本音だ。 それまで寂しさを強く感じたわけではなかったが、溜まっていたモノが暴発した結果が今の状況なのかもしれない。
寂しいから仲間を作ろうとする。 ただ、僕のような平凡な吸血鬼はどこに行ってもあまり、仮に魔族の国に居てもそれほどありがたがられるとも思えないのだが。
何せあそこは力で決まる。 力のない僕に何が出来ようか。
「こうはっきりと言葉に出されちゃうと自分が凄く寂しがってたのかもって気がしてきたね。
そんな寂しい僕にノアは何かしてくれるのかい?」
口の端を伸ばし、緩い笑みを琥珀色の瞳に向ける。
■ノア > 黙って、 じっと貴方を見詰めたまま.. 心なしか、 弱々しくなっていく声に耳を傾ける。自分から聞いておいて、 返ってきた貴方の言葉に戸惑い...
( そんな の......... )
何が出来るのかなど、 わからない。そもそも、 何かしてあげたいだなんて.. いつからそんな風に思い始めていたのかも、 わからない。緩い笑みを浮かべた貴方に、 琥珀色は揺らめいて
「 .........わかん なぃ。 眷属だとか、 吸血鬼 とか..... 未だに よく、 わかんない けど..
こんな風に..... 傍に居ることくらい、 なら... でき る。 ─── いや.. 時々、 たま に..... ほんと、 時々 なら.. 」
小さな声で、 そう、 呟いた。口を滑らせたと、 慌てて付け足す可愛いげのなさは健在だけれど。
■ウィルバー > ふむ、どうやら今の僕の存在は陽炎のように薄ぼんやりしたものに見えているようだ。
しかし、己の眷属にここまで言われてしまうとは、なんとも微妙なものだ。 他の魔族にはこんな姿、とても見せられんな。
「時々具合が凄そうで詳しく聴くのが恐ろしくなるけど、それでも嬉しいかな。」
小生意気な眷属の優しが心に染みてくる。 余計に弱弱しく見えてしまったかもしれない。
「それより、ノアこそ本当の姿とか見せる相手…、結構居そうだな。 ノアは可愛いもんなあ。 僕みたいなのとは違うよな。」
あまりに慰められているので、お返しをしようと思った。 だが、それはかえって空しくなってきた。
人には人望と言う物があるのだった。
■ノア > 「 .....べつ、 に.. 本意じゃない し。逃げ出す準備だって、 同時進行で着々と進めておくつもりだけどね。」
嬉しいなどと聞けば、 途端に気まずくなって悪態吐く。無論.. そんな準備など、 未だ 1ミリだって進んでいない。非常にわかりやすい嘘を主に見抜かれぬよう、 ふるふると首を振って頭を包む手を振りほどき。誤魔化すように、はむ.. と欲棒の先端を唇で柔く挟んだ。質問返されても、 舐めたり口付けたり... 焦れるような奉仕の合間、 息継ぎのように途切れ途切れ答えて
「 .....っ、 ん.. そん な、 こと... なぃ.. っ、 ン......... 嘘、 ついた り..... かくし、 たり... そんなの、 ばっ かり.. ほんと の... じぶん、 みせら れる.. ひと、 は..... おおく なぃ... 」
熱っぽい吐息混じりに言葉を紡ぎ、 そして ── 先端を口に含み、 ゆっくりと.. 喉奥に届く限界まで、 貴方をくわえ込んだ。
■ウィルバー > 「それ、本人の前言っちゃう? 可愛い奴だね、君は。」
悪態を着く彼女の頬をゆびさきでツンツンと、突いてしまう。 四六時中横にいるわけでもないので、嘘かどうかは判別できないが、少なくとも本気ならわざわざ目の前で言わないだろう。
「そうなんだ。 なら、その中に僕を入れてはどうだい? 僕ならノアのどんな姿でもそれほど驚かないと思うよ。
それに、こっちも人に見せられない姿を散々見せちゃってるからね。」
いわば、共犯者のような関係が成り立つと、彼女に説明する。 それで彼女の気が休まればいいのだが。
「ノア、一滴零さず飲み干してね。」
彼女の唇と唾液でさんざ昂ぶらされた一物は、今すぐにでも欲望を吐き出しそうにしていた。
僕は彼女の頭を上から手で押さえつけてから、喉奥めがけて熱いドロドロの精液を吐き出した。
■ノア > 本当の姿は、 盗賊。人のモノを盗み 奪い取る、 盗賊。其れを貴方に話す日が 来るかもしれない、 ただ今は.. 色々、 要らぬ事を話し過ぎた と..... これ以上口を効けぬよう、 本格的な口での奉仕を始め
「 ん......... ン、 く... んっ.. 」
引き抜き、 一気に喉奥までくわえ込む。口内で舌を這わせながら、 軽く吸い付くように顔を上下させ.. 太く逞しい欲棒への口淫を、 女なりに一生懸命続けていると ── 頭を掴まれると同時、 勢いよく熱い白濁が喉奥へと放たれた。頭を引く事も出来ず、 苦しげに涙滲ませながら白濁を飲み込んで
「 いくら なんで、 も.........っ、 いっぱ ぃ... 出し すぎ.. ご主人、 さま..... 」
解放されると、 飲み切れなかった白濁が垂れる唇の端を 指先で拭いながら..... 涙目で貴方を見上げ、 文句を溢し。そして其れが ── 初めて貴方を、 名前でも職業でもなく..... "主人" と呼んだ瞬間だった。
■ウィルバー > 熱心に口腔での奉仕に励む姿は、愛や性と言うよりは話を途絶させる意図を感じた。
しかし、何が理由であれ目の前の美女を口いっぱいに犯しているのはまぎれもなく僕だ。
その事実は僕の征服欲をとても気持ちよく擽った。
「僕のモノなんだから、それ位できないと困るよ。 それより、今度は僕が可愛がってあげよう。
…ここは、机がいい加減壊れそうだし、壁に両手を着いて後ろを向けてごらん。」
至って冷静に、少々ぞんざいな口調で彼女に命じた。
そりゃそうだ。 心中ではガッツポーズをしている自分が居るのだから。
ついに彼女が僕の事を主と口にしたのだ。 これで僕は自他ともに認める彼女のご主人様だ。
だが、それを表だって態度に示すとまた彼女の毒を招きそうなので、そこは心の中に秘めておくことにした。