2015/11/01 のログ
ご案内:「果実加工店『豊穣』」にフェリルさんが現れました。
ご案内:「果実加工店『豊穣』」にアノーさんが現れました。
■フェリル > 板張りの店内。
やや薄曇りの空から差し込む光は常よりは少し弱く。
ほの暗い印象がよろしくないと、まだ日は高いが店内のランタンをひとつ灯している。
窓辺には魔導機械の調理台と、単純な造りの洗い場。
銀製の匙や木べらが白い肌の鍋と共に乾かされて壁に提げられている。
奥の壁には食器棚。大小様々な小瓶がきちんと並んで置かれていた。
「――そろそろかな……」
室内中央のテーブルの上には、本日は陶器のポットと、カップが2セット。
販売用よりは小ぶりの瓶と、銀の小さじ。
更にクラッカーのような焼き菓子が数枚並んだ小さな皿がある。
「…………」
そわ。
そわそわ。
誰か来ることが分かっている間の待ち時間というのは、少々落ち着かず。
テーブルの周りや窓傍の間を、時々ふらふらと往復して。
■アノー > 待ち合わせの時間頃合を見計らってやってきた男は店のドアを開けて中にはいる。
「フェリル。いるか。アノーだ」
整頓されていながらも主人が使いやすいようにと設置された瓶や食器の位置が主の性格を物語っている。
小物が目立つのは主人が女性だからだろう。室内中央のテーブルと陶器の食器というのは戦場暮らしが長い自分には程遠い世界の異物なようなもので、一見して「高そうだ」という感想を抱かせた。
「待たせたな」
ひらり、と手を振って男は笑みを浮かべて挨拶した。
■フェリル > ふらふらしていた女性は、ドアが開くと「ほ。」と安堵の吐息を漏らして、後、笑みを浮かべた。
「いらっしゃいませ。アノーさん。お待ちしてました」
ぺこりとお辞儀をした後、姿勢を正してテーブル席へと客人を誘導する。
椅子を引きながら
「先日は納品ありがとうございました。大丈夫でした? 危ない魔物とかに遭ったりは…してなさそうにお見受けしますが」
テーブルの上を見れば、ぱふ。と両手を胸の高さで合わせる。
「そうそう。一番大事な物がまだ出てないですね。葉巻も出来上がってますよ~。2本だけですが…少し失礼」
食器棚に近寄って、一番下の棚の隅っこに置いてある細長い箱のうち、布をぐるぐる巻きにしていない、普通の方の木箱を両手で持ち上げる。
それをそのまま丁寧に運んで、自身もテーブル席へ。
■アノー > 「ああ、久しぶりだな。・・・・平気か?」
と、若干ふらふら? してそうなフェリルに声を掛けテーブルにつく。
「特に問題は無かった。観光気分の神官に出会ったぐらいで危険なことはなかったな。少々スリリングなロッククライミングを楽しんだだけだ」
ひょい、と肩を竦めてみせて笑った。
食器棚のほうへと向かう女性を視線で追う。
「なんか緊張してないか? 大丈夫か?」
と、テーブルに肘をつきながら聞いた。
■フェリル > 「はい。……あは。すみません……」
困り顔で笑って、小首を傾げた。
ん。と少しだけ迷ったものの、その困り笑いのままで白状して
「実は、近頃って大量生産ばっかりしてて、個人のお客さんからオーダーメイドを受注したの、本当に久しぶりなんです。
それで、その完成品の納入も久しぶりだから……なんか、ちょっとだけ緊張してしまって」
ははは。と、ばつの悪そうな笑い。
はふり。少し息をついた。
…………。
椅子に腰かけると、ようやく少し常の様子が戻ってきたか、ふわりと笑って小首を傾げ
「――ともあれ、先にご確認いただけますか?
思ったよりもちゃんとできたなって、自分では思ってるのですが――」
言いつつ木箱のふたを開けると、そこには淡い茶色の葉で丁寧に巻かれて、無印の帯で留められた葉巻が2本。揃えて寝かせられている。
■アノー > 「そんなに緊張することもないだろう。顔が怖いというなら話は別だが」
なんて冗談? を飛ばしながら木箱に手を伸ばし葉巻を一本取り出す。
すん、と葉巻の匂いを嗅ぐと満足そうに笑った。
「いい香りだ。何か特別な時に吸おう」
笑って木箱に戻してにんまりと笑おうか。
「ありがとう。いい品だ。フェリルが作ったのか? 良い品だ」
■フェリル > ぷ。と、少し吹き出し
「あはは。そしたら鏡で応戦しないといけないですもんね」
じー。と、葉巻を確認する相手に対して心配そうな視線を注ぐ。
それにしてもやっぱり植物繋がりとはいえ慣れない部位を使用した品物は出来栄えにもそうそう「これでばっちり」と言えるほどの自信は持てず。
けれども、良い品。と繰り返してもらうと、ようやく肩から力が抜けて。
ほわゎ。と幸せそうな笑顔になり
「ありがとうございます! よかったぁ……じつは、葉っぱってそんなにはご縁がなかったので、手こずってたから、大丈夫かしらって心配しちゃって」
はふー。と長い長い吐息を吐き出しながら、両腕をぺたー。とテーブルの上に伸ばして脱力する。
気が抜けすぎた女。
■アノー > 「こういった分野のことは門外漢だから知らないんだが、果実と葉の関係と言うのはそこまで縁がないものなのか?」
それとも煙草と、という意味だろうか。
などと考えながら葉巻の木箱をポケットにしまいこむ。
「それは慣れない事を頼んで悪かったな。心配するないい出来だ。よくがんばった」
そう言ってテーブルに脱力した女性の頭を撫でようと手を伸ばそうか。
気の抜けた様子が可愛いやら自分より年下に見えるからか。とてもフェミニストの振る舞いではない。
まあ、フェミニストだと自認している訳ではないが。
■フェリル > 「いやぁ、そりゃ「人間と植物」で比較したら「実と葉」のほうがすごい近いですけども……
そうですね。おじいさんのおじいさんのおじいさんのおじいさんのお嫁さんの兄弟のお孫さんのお孫さんのお孫さん、ていうくらいには遠いですよね」
頭を撫でられると、大人しくされるまま。うん。まあ良いのだ。
やがて、おもむろに頭を上げると、にぱ。と笑って、ジャムとクラッカーが置かれているのを両手を広げて示し
「まぁまぁ、それじゃお約束の、宇宙(そら)葡萄のジャムについても見てってください。一口だけですが、ご試食どうぞ――あ、取りましょうか?」
瓶からコルクの栓を開けながら問う。
■アノー > 「? いや、果実加工店を営むに当たって扱いや知識を得るのに縁がないものか、という意味だったんだが・・・」
例えば、ハーブは虫除けになるとか聞いたことがある。果実に虫がつかないようにハーブを用いたり、などと素人知識では思うのだが知らなくても問題ないことなのだろうか。いや、まったく知らないことではないだろうが・・・。あまり深く考えても仕方が無いか、と苦笑いを浮かべた。まさか、目の前の女性が人間ではないなどと言うことは気づいてもいない。
「ジャムか。戦場では砂糖漬けは貴重だからな」
そう言って「取りましょうか?」には小さく頷く。
「だが、フェリル。こんなことを俺が言うのもなんだが一人で店を切り盛りするのも大変だろう。結婚はしていないのか?」
このご時勢・・・というより中世と言うべきか。30半ばの自分が言うのもなんだが20半ばや初めに結婚している者が多い時代だ。
料理も出来て性格もきつくない。容姿や仕草も可愛らしいといえば結婚の話しの一つや二つあってもおかしくはないだろうが。
■フェリル > びしっ。と自分自身がひび割れる心象風景。
すっげぇ墓穴を掘ったことに気付くが、どうやら相手は深く考えずに流してくれたらしい。
ほ。と漏らす吐息と共に遠い目をして一瞬。
銀の小さじに黒っぽい紫色のジャムをクラッカーにひと盛りして小皿に乗せ、それを差し出した。
――食べたところで、あんまり魔力とかそういったものを漂わせていないように見える男性には、『あちら』の効能は現れまい。
もしかして、腰とか肩とかが少し具合悪いなら、そのあたりがほんのり温かくなるかもしれないが。
「? はい?」
こんなことを言うのも何だが。のあたりで出した油断しきったお返事が、最後の言葉で吐血ばりの動揺を表す効果音に変わる。
ぶばっ。とでもいうような。
「…………。いや。あの…………ええ。…………………」
動揺がまだ残る胸から、もやけたものを取り去りたくて、細く長い溜息を吐き出す。
明後日の方を向いていた。
その顔を、じ。と相手に向け直して――口を開いたのだが。
「…………お茶、いかがでしょう? お口が甘くなりすぎたら、お嫌かなって。拝見する限り、そんなに甘党には見えないですし」
じー。相手を正面から見つめているのに、これでもかというほどに会話が噛み合ってない。
■アノー > さく、と食べたクラッカーの小気味いい音と軽い食感の後に口に広がる芳醇な葡萄の甘みと酸味。
美味しい、と思いつつ腹の辺りがほんのりと暖まるのを感じる。ただのジャムではないな、と食べながら思う。
アノー の 魔力適正 が あがりました。
あらたに 隠れた魔力才能 が 開花 しました。
とか脳内で言ってみるがそこまで劇的な効果はない様子。ま、女性のほうが魔力云々は高いと聞くからな。
「・・・・いや、応えたくないなら追求はしないが。俺は傭兵で戦場暮らしが長いから身を固めたところで家庭を顧みないのが関の山だからという理由があるからな」
動揺してる。めっちゃ動揺してる。面白い。かなり面白い。
「ははっ」
肩を揺らして笑った後此方をじっと見ている女性の頬をふに、とつまもうとしようか。
「心配するな。お前はいい女だ。結婚しようと思えばすぐできるさ」
此方も紅茶の話題には乗らず意地悪を続行決定!
しつつ紅茶を一口二口飲んだ。
■フェリル > 「…………」
ん。と反応したのは、男性の体内での廻りの変化。
ほんの僅かに自身の瞼が、ひくり。と動いた。
…………。
どうやら、やっぱりさほどの影響は目の前の男性には現れない。
少しだけ観察の眼差しを向けながら、男性の言葉を聞いていた。
「――――。それじゃ、きっと私も――無用なことは言わない方が良い、の、でしょうね…?」
顧みない。
……商人ギルドでも、職人ギルドでも、お仕事が好きだったり実力を認められたりしている男の人はちょっとお仕事の興が乗ると、少しだけ後方確認が疎かになったりするものだ。
……そんなことを真面目な顔で考えていたところ、頬を、ふに。とされた。
「…………」
頬がふにっとなっている傍らでものすごく真面目な眼差しを継続したまま少し無言でいたが、やがて「きぃっ」となって両手を上に挙げる。
その頃には、頬をつまむ手も離れていようか。
褒められているはずなのに、何だか自分のお目目がじったりしているのを感じた。
「むぅ……ありがとうございます……」
意地悪をされてしまった。
大人げないから、その紅茶に角砂糖を大量に投入したりはしないけれども。
ポットを置いて、自分も紅茶を一口。
「…………」
何かを言おうと思って、唇が少し開いたのだけれども。
それじゃあ、何が言いたいの?
……何となく思いつかなくて、もう一口、お茶を含んだ。
■アノー > おそらくは『男性である限り魔力が開花することはないだろう』。閑話休題。
「ま、気にするな。ただの傭兵からの無遠慮な戯言だ」
そう言って紅茶を一口で飲み終えるとカップをソーサーの上に置いた。
そして、頬をつまんでいるほうの手はフェリルが反抗するとすぐに手を離した。くつくつと笑う。
「結婚だけが女の幸せでは無いだろう。お前はいい仕事をする。下手な男よりな」
そう言ってアノーは自分のポケットに入ってる葉巻を指先でこつ、と叩いて笑うと椅子から立ち上がろう。
冬にはいった町並みはそろそろ夕暮れの気配を滲み出し、寒い季節特有のしんとした空気が見えてくるような気配さえある。
「さて。ジャムと紅茶、美味しかったよ。今回の仕事はこっちに来てからの初仕事としては楽しめた。感謝する」
一息。
「次の仕事も王都だ。しばらくはこっちに滞在しているだろうから会う事もあるかもしれないが、冬は寒い。風邪をこじらすなよ」
そう、仕事が終わった以上次に会うことは私用で訪れない限りないだろう。
そこに一抹の寂しさを30半ばになっても感じることに苦笑を洩らしつつ握手を求めて手を伸ばそうか。
「元気でな」
■フェリル > 「……少しだけ、胸に染みたような気もしますが――」
笑う男性を見つめながら、緑の目に現れているのは、何であったろうか。
自身も追うように席を立ち、笑顔を返したかったけれども――また、少し困ったような。
何とも名言のしようがない揺らぎを瞳に湛えて、少し小首を傾げるだけに留まってしまった。
「…………はい。ありがとうございました。私も、本当に収穫は、とても助かりました」
続きの世間話には、ふわ。と笑って
「……風邪の予防には、林檎ですね。そのうちまた、もしも募集をかけたら、読むだけは読んでやってください。――はい。アノーさんも、お元気で」
緩く握った左手を心の臓の上あたりへ添えている状態で、そろりと持ち上げた右手を差し出した。
いつもなら、どちらかというとお子様の体温を保持している自身は手も温かいのだが。
冬の始まりを告げる風にあてられてか、少しばかり指先が冷えてしまっていた。
■アノー > 「そうか、えぐっていないならなによりだ」
くつくつと笑う。女性の目尻に浮かんだそれを軽く指先で拭うと男は笑った。
「では、またな」
握手を終えると男は店のドアから寒空の下へと出て行くだろう。
そっと移った体温を確かめるように、冷えすぎないようにポケットに手を突っ込んだ。
ご案内:「果実加工店『豊穣』」からアノーさんが去りました。
■フェリル > からかいの言葉の後に伸びてきた指は、少しばかり意地悪な笑い声と同じ持ち主のものとは思えないほど。
去っていく男性の背を見送る代わりに深いお辞儀を、開いたドアが反動で閉まるまで続けていた。
「…………」
ぽて。と、力を抜いてもう一度、椅子に腰かけ直す。
少しぬるくなってしまった残りの紅茶をポットからカップへ落す。……少し渋くなっていそうな気配に、砂糖をひとつ。
カップを両手で持ち上げて、ひとくち。
「…………」
思い出すのは、森で想っていたこと。
森から遠視していた街の様子。
人と人の行きかう通り。笑い声。
品物をやり取りしている人々。
駆け抜けていく賑わいの数々。
――寄り添い歩く、二人で一組の……。
「……ほんとは、知ってた」
何を求めて、森を離れて「人」の姿を取ったのか。
認めたくなかっただけだと。
拭われたばかりの目元を、引っ張り上げた袖で拭う。
立ち上がり、始める片付け。
指先はまだ少し冷たかったけれど、部屋の中の空気がとても温かいことだけは感じていた。
ご案内:「果実加工店『豊穣』」からフェリルさんが去りました。
ご案内:「第七師団 執務室」にオーギュストさんが現れました。
■オーギュスト > 「――ようやく資金も集まり始めたか」
ふぅ、とオーギュストは一つ溜息を吐く。
先日の海戦の査問会もようやく終わり。オーギュストは執務室でどっかりと椅子に座り込んだ。
何やらタナール砦で攻防があったようだが、知った事ではない。
取られていなければそれで良し。取られていればまた、取り返せばいいだけだ。
「あぁ、書類は適当にやっとけ。決済が必要な物はサロメに回せ」
■オーギュスト > 南側、海洋を封鎖していた海魔達には大打撃を与えた。
西側、ハデグ方面は対他国師団の担当するところだ。
東側、九頭竜山方面は査察の結果、早急の案件は無い。
と、なると、残る葉北側。タナール方面。
「竜騎士団と、それに伴う随伴軍団の訓練。
当面はこれに傾注すっとするか」
タナール奪還もほどほどにしなくては。
どうせ魔王クラスが出てくれば失陥は防げないのだ。
それよりも各町村などの迅速な避難方法を模索した方が、余程良い。
■オーギュスト > 「――よし。出かけるぞ」
オーギュストはどうしても自分で処理しなければいけない書類を処理して立ち上がる。
次の作戦はどうするか……
それを確認する為の、威力偵察であった。
ご案内:「第七師団 執務室」からオーギュストさんが去りました。
ご案内:「第七師団 執務室」にサロメさんが現れました。
■サロメ > 「……………」
タナール砦で起こった事件の顛末を詳細に記載し報告を挙げねばならなかったというのにこの仕打ちは一体どういうことだろう
広い机の上にはどっさりと書類の束
あの将軍、また面倒くさい仕事を全部押し付けていきやがった
■サロメ > とはいえ異形の向かった方角へは手練の狩魔部隊を捜索に向かわせた
王室への簡易的な報告も済ませている、ひとまず今の段階で急いでやらねばならないことは全てやった
あとは腰を落ち着けて顛末書に詳細を……と思っていたのだ
「いくらデスクワークが性に合わないといってもこれは些か酷いのでは?」
誰に言うとでもなく独りごちる
無論、オーギュスト将軍は忙しいお方だ
それをサポートするのが副官の役目である
「…でもたまにはだらけたい」
書類の山を尻目にソファにダイブするサロメ
■サロメ > 「…………すぅ」
思えば激務であった、まともに睡眠を取っていなかった彼女はそのまま眠りへと誘われる
ソファに俯せで倒れこんだような姿勢のためパッと見たら正直何か深刻な事態でも起こったかのようである
すやすやと寝息は聞こえているのだが