2022/11/14 のログ
ご案内:「平民地区/露天商街」にシャルさんが現れました。
シャル > 平民地区のとある一区画、いくつもの露天商が立ち並ぶ通りの中で。
思ったより人が多いのをぶつからないように避けながら、天幕一つ変われば並ぶ商品もがらりと変わるのを、興味のあるものないもの様々に見つつ歩いて行く。

ちょっと欲しいかな、と思うものも幾つか目に留まるけど、それを全部買おうとすると無駄遣いにも程があるし、何より持ちきれなくなるだろうし。
じっと立ち止まって熟考するようなものでもなければ、なるべく見なかったことにしながら次のお店、次のお店へと。

「……う、ここはちょっと、なんと言うか」

一般雑貨が並んでいた中で、唐突にちょっと大人向けの卑猥な商品が並ぶ店が出てくる。
どうしていきなりこうなの、と目眩がするような気もしたが、なんの事はない、こういうものも一般雑貨だと言う土地柄だと言う話でしかないのだろう。

シャル > こういうのはまだ早い、と目を逸らし、そそくさとその場から逃げるようにまた歩き出す。
……が、少し離れた所で気になり始めて、そっと振り返り視界の端で先程の露店の様子を伺う。
道行く人々も、思いの外平然とそれらを眺め、時には談笑し、また行き交う。

「た、たぶん平気なのよね、普通にこう……他のお店と同じように見ているぶんには」

じりじりと戻る。若干おどおどしているのがむしろ怪しいのだが、周りに人が多いぶん幸いにもそんなに目立ってもいないのだろう。
……うわ、とまた声が漏れそうになるのを小さく咳払いするように押し込めて、気になってしまった卑猥なあれこれが並ぶのをそっと覗き込んで。

「あ、こういうのは可愛らしいけれど。中身はきっとどうしようもないんでしょうね……」

おそらく魔法の薬かなにかなのであろう液体の入った、硝子の小瓶類は単純に見た目には可愛らしい。
こういうのなら色とりどり綺麗なだけにしか見えないから、つい手に取って眺めてしまうけど。置かれていた棚に書かれた効能であろう但し書きの方は、あまり読みたくないような気もする。

ご案内:「平民地区/露天商街」にセリアスさんが現れました。
セリアス > 平民地区の一角、露店の許可を得たものが所狭しと多種多様なものを並べる通り。
或いは無許可で出している者も混じっているかもしれないが。
この国でなら袖の下なり、あるいはそんなものが無くても管理は半端なのかもしれず。

そんなところだから、真っ当そうな者から怪しそうなものまで並ぶ中。
商売人として、冷やかし、新しい取引があればという心持ち、何時も出している店への挨拶などなど。
雑多な目的でふらりと歩いていく。

道すがら、夜の生活を豊かにするものを並べている露店を見つけ、
いくらか交流があるのもあって挨拶しようと近づいていけば、一人の少女が商品を眺めるのを見つけ。
ゆっくりと近づいてゆけば、背中越し、彼女が眺める薬瓶を見つける。

「……いえ、いえ。それもまだまだ、可愛らしい部類の効能ですよ」

それがまだそこまで強い効能の薬でないことを覚えていれば、
彼女の後ろから、ひとりごとらしき言葉に勝手に相槌を返し。
ひらりと手を振って露店の店主に挨拶を送って。

シャル > 手に取るだけ取って、何なのかも知らずに戻すだけと言うのもお店の人に悪い気もする。
何か知ったからと言ってでは買うのかと言われればそういうわけでもないのだけれど。
店が店だけに媚薬とかそういう感じのものなのでしょうどうせ、と予測しながら但し書きの方へ視線を落とそうとすれば。

「――ひゃぁ」

不意に声を掛けられ、うっかり小瓶を落としそうになるのを、何とか落ちる前に両手の中で確保して。
硝子瓶だったから落としたら色んな意味でひどい事になりそうだったけど、そうはならずに済んで胸を撫で下ろす。
値段どうこうよりも瓶から出して大丈夫なものかどうかの方も怪しいのだから、とは思ったが、言われた言葉を思い出すには、それほど大変なものではないのかもしれない。
声の主が露店の店主と挨拶を交わしている間に小瓶を元の棚に戻しつつ、但し書きをちらりと見てみれば、生えるだとか何とか単語が見えた気がするが、やはりまじまじとは見ないことにして。

セリアス > 店主も他の客がいるからか、小さく手を上げるにとどめるのを見れば、
陳列された商品を眺めては珍しいものが無いかと赤い瞳を細める。

その視線が、小さく声が上がった方に向けられれば、小瓶を落としそうになっている少女。
あわあわと手元で瓶を抑え、無事確保しては小さく息を吐く様子に瞬いて。

「ああ、驚かせてしまったようで、申し訳ありませんねぇ。
 それは一時的な身体の変化をもたらすだけで、媚薬効果は薄いはずですので」

精神や、性感に対する影響が薄いのでまだ可愛らしいのだと、説明しながら。
それが可愛らしい部類と言うのかどうかは、主観によるものになりそうだけれど。

改めて彼女を見ていれば、学院で見掛けた相手かも知れず。
名も、思い出そうとすれば思い当るかもしれないけれど、一旦は保留する。

そんな思慮の端で、こんな少女が生やす側か、と、慮外のこともあるなぁと思いながら。

シャル > そっと小瓶を戻しつつ、変な汗をかいたような気がしてひらひらと片手で首元を扇ぐ。
厚手の服なのがこういう時にちょっと不便だなと思ったりもするけれど、脱ぎだすわけにもいかないし。

「あ、いえ、ちょっと考え事の方に意識が行っていて……」

なんとなく様子を伺っていれば、男はどうやら店主の顔見知りなのかもしれないと思う。
そういえば小瓶の中身の方にも詳しいようだったから、関係者なのかも、と思ったけれど。
それよりも、何か変な誤解をされているような気がする、とふと感じたものだから。

「身体の変化――わ、私がこれを飲んでみようとか、そういう事じゃないんですよ……? 色々あるんだなって気になって見てたら、たまたま――」

また少々焦りながら視線を向けて。
はっきりと但し書きを確認したわけではないけれど、やり取りと一部確認できた単語からすれば中身の効果は概ね察しがつく。
首元を扇いでいた手を、今度は顔の前で横にひらひらと振りながら。

セリアス > 気になった、初見の薬を一つ手にとっては効能を眺めながら。
少女の隣に立つようになり、彼女が首筋を扇ぐ様子を眺める。
白い肌が僅かに覗き、ちらりと其処に視線を盗られてしまいながら。

「きちんと考えて露店見物をするのは、良い事ですねぇ。
 良いものも悪いものも、本物も偽物もありますし――……

 ……おや、そうなんですか? 百合の花を愛でる方も、この国には珍しくないので」

つい、商売人の性か、露店見物についての私見も聞かれていないのに返しつつ。

何事か、こちらに弁明のように掛けられる言葉を聞きながら、へらりと笑む。
了解した顔にも見えるし、緩んだ笑みは『大丈夫、解っている』と、理解を示しているようにも見えるかもしれない。

笑みの表情のまま、彼女の碧眼を覗いて。
一人納得する様に頷いて見せるのが、彼女にはどのように見えるものか。

シャル > 「ああ、偽物――いえ、これがそうと疑っているわけではなくて。そうですね、嘘がある……と言うことも考えておかないと、ですものね」

偽物、と口からは出たけれど、お店を疑っているんではないんですよと店主さんへは配慮をしながら。
目の前にあるものを、特に但し書きなどあれば見たままにそうなんだと思ってしまうかもしれない自分の考え方を、言われてみれば鵜呑みにするのは危ないのかもしれないな、と気付かされる。

「ゆ、百合の花と言う……わけでも、たぶんないのですけれど。ない……のかな?――ううん……単に男性経験があまり……
 ああ!それよりも……お店の関係者のかたなのですか? なんとなく学院で見たことがあったようにも思えます、けど」

言われた言葉がそのまま花の意味ではないのは流石にわかる。咄嗟に否定しようとしたけれど、そういう経験はあるにはあるわけで、嫌なわけではないし……などと考えがぐるぐるめぐり。
つい、余計なことまで口に出かけたのを慌てて別の方へ話をそらして。
改めて相手の男をよく見れば、落ち着いた綺麗な人だな、なんて思うけれど。見覚えがあるような、でもちゃんと話したことはないような……?

セリアス > くすくすと、つい口端から音を漏らして笑ってしまうのは、雑談交じりに出た言葉ですら店主に気を使っているから。
露天商など、上等な扱いを受けることの方が少ない。
疑われて掛かられる方が多いのに、一言配慮を告げていることに、人の好さが見て取れて。

「ふふ。趣味嗜好は自分でも案外、分からないものですし――おや、意外ですねぇ。
 貴女のように愛らしい方が、男性に声をかけられないとも思えないのに。

 ――……私ですか? この近くで雑貨商店を営んでいる者ですよ。
 学院では臨時に教鞭を預かることもありますから、お会いしたこともあるかもしれませんね」

男性経験が……と聞けば、この国で彼女のような少女が珍しいとも思い。
学院の生徒であるのなら他の女性に絡めとられたほうが経験的に多いのかもとも思い当る。
とにかく、国も、そこに所属する学院も、奔放な所であるから。

己のことに言及されれば、簡易に立場を紹介しながら。
『セリアス・ストリングスと申します』と、胸の前に手を添え、軽く腰を折って礼を向けて。

シャル > なんだか笑われているようだけど、嫌な感じはしなかったし、むしろ少し安心できる気がする。
たぶん、よく見る男の人達の笑い方がもっと……言ってしまえば下卑たものばかりのように思い出す。
自分を値踏みするような笑い方でないことが不安にならずに済むのかも、などと考えていた。

「あ、臨時で先生をされていることがあるんですね。それなら見覚えがあるのも頷けます、ね」

普段は別の仕事、でも時折学院に居ることがあるのなら、なるほど、と。
丁寧な礼をしつつ名乗る相手に、ああ、やはり落ち着いた感じの人なんだ、たぶん……と思うも。
いつも考えるのが先に立って自分で名乗るのが遅れてしまう。
よくないのだけどどうしてもそうなってしまうのを、半分詫びるような気持ちもありつつ、ラフィーナ子爵令嬢で、シャルと申します、とそっと礼を返しながら。

「――なんと言うか、こう……機会がないのか、めぐり合わせが悪いのか……良くしてくださった女性はいるのですけど」

この話の流れで、良くしてくださった、は何かおかしな意味になりそうな気もしたけれど。
どういう意味でもそれほど違うわけでもないし、ううん、とちょっとまた考え込んでいるようにも見えつつ。

セリアス > 「失礼、シャルさん……とお呼びして大丈夫でしょうかねぇ?
 貴女の人柄が好ましいと思ったもので、つい頬が緩んでしまいまして」

こちらが笑う様子に、視線を感じ。
それに何か考える様子であれば誤解のないようにと、笑みを浮かべたままに補足して。
貴族の令嬢とはいえ、場所も場所であれば大仰に扱えば逆に失礼かと。
呼び方だけ確認する様にしながら、あまり対応の態度は変えないようにと務める。

「それはこの国では運が良いのかもしれませんし――……ふむ。
 男性との経験をと、興味をお持ちであるのなら……その『経験』を、してみますか?」

彼女がめぐり合わせと言ったけれど、この国での性的経験のめぐり合わせなど、
悪い意味でのものもいくらでもあるから、一概に『悪い』とも言えないな、とも思いながら。

口振りから、また、こんな露店の前にいることも含めて。
男性への、あるいは男性とのそういう経験に興味がないわけではないのだろうかと。
そう考えたから、いくらか彼女の方に身体を寄せて。

半分は悪戯に、半分は本気でと。誘う様な言葉をかけてみる。

シャル > 「好ましい……でしょうか。よく、話しかけにくいと言われることはあるのですけど――
 あ、ええ、シャルで構いませんわ。セリアス様……セリアスさん、の方がいいでしょうか」

落ち着いた大人の人、だから自然と丁寧に呼ぶけれど、あまり畏まりすぎない方がいいような気がして、少しだけ呼び方を変え。呼ばれる方がどうかは、呼びやすいやり方で良いのだと思う。

「家の方からは、男全員手玉に取ってくるぐらいでいいぞ、なんて無茶苦茶と言うか無責任な事を言われましたけど――
 実際の所は、こういう道具類を見るのもまだちょっと恥ずかしいような有様ですから……って、え?」

視線を棚に向ければ、見たことはあるけどとても使ったことなどないような物があれこれ並んでいるから、やはり露骨な形をしているようなものは、興味こそ無いわけではないのだけれど、やはり、うわ、と視線を逸したくなる。
そんな事を考えていたら、ふと、掛けられた続く言葉に、理解まで行くのが暫し遅れた。
何だか先刻より立ち位置が近いような気もするし、多少慌てたようになるけれど。
不思議と、今すぐ逃げようと言うような気にはならないのは、ゆっくり落ち着いて話されているからなのだろうか。或いは興味の方が先に立っているからなのか。
困ったような、でもどこか恥じらいが混ざるような、複雑な表情になりつつそっと相手を見遣り。

「え、ええと……それは、なんというか……あやしい意味で、です?」

セリアス > 「シャルさんの呼びやすい呼び方で結構ですよ。
 ……そうですねぇ、この国の貴族であれば、そのくらいのほうが色々都合はよいでしょうね」

呼ばれ方に頓着はないゆえに、好きに、と勧めながら。
腐敗が進みながら、それでも……というより、そちらに順応するような国だから。
彼女の生家が勧めるところの在り方は、ある意味正しいとも思いつつ。

彼女が棚を見遣る様子を視界の端に捉えつつ。
こちらの言葉に反応したのならば、先程よりは近づいた距離で彼女の瞳を再度、覗き込むようにし。
口端をわずかに笑みに引き上げて。

「ええ。シャルさんのお気持ちと、お時間次第ではありますけれど。
 『妖しい意味』で。興味がおありなら……そうですねぇ。特別授業、というところでしょうか」

赤い瞳を愉し気に細め、彼女が向けてくる視線と合わせる。
そうしながら、ゆっくり言葉を吐きつつ、顔を近づけて。
彼女が避けなければ、耳元を擽る様に『特別授業』という言葉を吹きかける。

興味が無さそうでもない相手の様子に、言葉に込めた意味合いは、先程よりも本気に比重を寄せて。

シャル > 「もっとこう、貞淑であるように務めるべきなのかと思っていたのですけど……開き直ってしまうほうが生きやすいのかも、と思わなくもないのですよね……」

学院に居ても、耳に入ってくる噂がふしだらな噂ばかりで。
街を歩けばまたそういう話を避けるのが難しいぐらい、何かしらには出会う。
そんな中でどうあるか、は詰まるところ気持ちの持ちようと言うか、心の真ん中だけは自分は自分、の所だけしっかりしていれば後はもっと楽にするべき、と何となく考えてはいるのだけれど。

「時間……は、いつもならもっと散策に出るの自体も遅いぐらいです、から。
 ……うう、正直な気持ちを述べるのなら、だめとは言い難く……」

実のところ、時折そういう感じで見られていたのは気づいてはいたけれど。
暑いな、なんて扇いでいた時に、首筋へ向けられた視線が嫌な感じではなかったから。
ああ、どこか期待するような気持ちが自分の中にあったのかもしれない、とも少し思う。
じっと見ているのはやっぱり恥ずかしいから、視線こそ逸してしまうけれど、言われた言葉に否定自体はできなくて。