2022/11/13 のログ
■バルゴラ > 幾つか手に取り、頁をパラパラと捲ってみるが今一ピンと来る内容の本が無い。
確かにどれも簡単な作り方、正確な分量が書いてあるのが判るが、簡単で豪華で見栄え良くなければならない。
自分が作るのだシンプルイズベストなんて言葉は赦されない。
しかし、どれも文字が細かくて、眉間に皺が張り付きそうで、また眼鏡をかけている時の癖の要領で眉間の皺を指先で解す。
「………アプローチを変える?いや、今すぐ彼女をつくれとか、その方が無理がないか?逆に、そう、彼女の役をやってもらう女を捕まえる?」
次なる方法を選ぶ。
それには出会いと交渉と報酬。
誰かと出会わなければならないし、人型魔導機械を代役も難しいだろう、逆に冒険者ギルド或いは親の伝手を借りる?実家の屋敷のメイドに頼む?いやそもそも何でこんな事に。
ともかく、今はこの場で出来ることを。
お菓子のレシピ、料理のレシピ、それが収まる書架に視線を向け直すと、横にかに歩きをしながら、一冊一冊本のタイトルを読み上げて、その度に当てが外れたと言わんばかりに首を左右に振る。
「……異性にもてる本とか、そっちの方がありそうじゃないか、ここ……。」
ふと、確かに此処は富裕地区にある図書館。
自分のような貴族向けに異性にもてる方法とかいう俗な本があっても、おかしくないと、貴族だって金と力があっても出来ない事がある筈で、その手の本を欲しがる貴族も居てもおかしくないし、会話のテクニックとか、マナー本の類にまぎれてありそうな、気がした。
――…気がしたで結論が出るのは書架を移動して暫く本を捜し歩いた後である。
幾つかそれっぽい本があったが、そのものはなかったのだ。
それなら後は……螺旋階段を上り当初の目的を果たす事にして、魔導書フロアの奥へと姿を消すのだった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/図書館」からバルゴラさんが去りました。