2021/12/19 のログ
ご案内:「マグメール ダンタリオ家 工房」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
ご案内:「マグメール ダンタリオ家 工房」にマリオ・ダンタリオさんが現れました。
ご案内:「マグメール ダンタリオ家 工房」からマリオ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「マグメール ダンタリオ家 工房」にマリオ・ダンタリオさんが現れました。
■マリオ・ダンタリオ > 溶鉱炉から放たれる熱気に、作業員たちは皆、汗をかいている。
それでもなお熱心に歯車をまわし、赤く熱されている鉄を打ち続ける。
その集中力はとてつもないモノであり、誰もがそこに声をかけるのが憚られるだろう。
その中心で金槌をふるう、一際存在感のある大男がいた。
玉箸で剣身を支えて、とても並の人間では片腕で振るえない大きさの金槌をふるう。
カン、カーンという甲高い音が響き渡った。
隣にその姿を見ていた男の作業員が、大男の額から流れる汗をぬぐった。
「……よし。1番と2番はそのまま溶鉱炉を見ていろ!
3番と4番は2時間の休憩だ!その間にワシらの分の弁当も買ってこい!!」
まるで怒号のような叫び声が工房内に響き渡り、吊られている道具が揺れる。
その声に鼓膜を揺られながらも鍛冶師たちは大きな声で返事をして、言葉に従うように動く。
「ふぅ……」
パン、パン、と手を叩き払った後、剣身を冷水に漬けて、じっと見つめていた
■メイラ・ダンタリオ > ダンタリオ家 専用工房
ダンタリオ家の敷地にあるわけではない 別所に設けられた其処は
材料 使用人 そして職人
総てダンタリオ家に連ねた者と使用人である中
ダンタリオとは 狂気と忠義 の二つで構成されたまごうこと無き暴力の化身
どんな術であれ 全ては力の元で発揮されている者と思われる中
この工房を取り軋るのはその暴力から引き、その力を縁の下で使用することを選んだ
狂鬼のような姿のままで作成に総てを振り込み直したダンタリオの者がいる場所である
ダンタリオの中では変わり種であり そして ダンタリオが使用する 耐えうる武器を造るに
最も適したものをもつといってもいい一人になるだろうか
鬼やドワーフなど 力を作成に振り込んだそれならば、十二分に。
そんな工房へと足を進めるのは、白い吐息をギザ歯からこぼしながら
長い黒髪を揺らめかせ、冷風が吹いても肩を縮ませることもない
ムラ染コートを肩に羽織り、七分袖の黒鉄を嵌めた手指で柄を撫でるメイラ
カシャリカシャリと 踵の音だけではなく ブーツに鎧を持つメイルの軋みの音もするそれ
使用人の一人が食事を用意しろと言われ、だるい素振りも無くキビキビと動く姿
メイラと目が合えば、使用人らしく腰をまげて礼を取るだろうか
「構いませんわ お行きなさい。」
余計な時間をとらなくてもいいというように、脚早に行かせる
もしこれが、だらけた態度で往くような程度ならば、家には必要なかっただろうか
そんなメイラの ダンタリオの単純且つ 基礎思考をしみ込ませているのだろう
無駄も怠惰も なにもとれやしない中の背中を見送る
「ふふ、我が王がいなければ、わたくしもヤクザと変わり在りませんわね。」
肩をすくませ、手土産持参で扉を叩くと勝手したるか
中へと入り込むと 外とは違う 熱気と空気
友人のイーヴィアの場所と似て非なる ダンタリオ工房
周りの者が礼を取る中で、コツコツと歩みを進めてその背中へ声をかける。
「ご機嫌よう マリオ叔父様。」
メイラが目上の相手として礼を取る、身内側の人間
バイキングメットのように思えるシルエットは実の角。
大柄な体格と太い筋肉 エプロンのみを身に纏うそれは槌を握る為の腕であり
その腕と槌を何度も見ているメイラは、信頼を全振りしている一人
「皆さんにお土産を持ってきましたわ。」
労うように、オドンの火酒と純度の高い火酒の瓶を布地で包んで持ち込んだメイラ
オドンとは 火気を練り込んだ火酒 火と縁のある者には好ましく馴染まれるそれだった
もっとも、労うだけで訪れる場所ではない ここは工房なのだから。
「アレのご様子は如何?」
メイラは アレ の様子を見にも訪れていた。
■マリオ・ダンタリオ > こうして、高齢となって、鍛冶師としてダンタリオ家を支える者は少ない
大抵、そうなる前に死んでいるか、未だ現役として前線に立つものが大半故
むしろ、高齢だからこそ若い者には負けられぬと言って憚らない者もいる
そんな中、自身の能力と才能を、周囲へと配るために鍛冶師となる者は極僅かだった
それも、「それしかできない」という訳でもないのにもかかわらず、だ
振るう金槌に魂を込め、常に最高傑作であらんとする姿勢。
並の武器では、真にこの家の名を持つ者が持つには耐えられぬ。だからこそ、彼らのような鍛冶師が必要だった。
マリオもそんな鍛冶師の一人であり、そして、戦働きをやめて自身の才能を武具に籠めることとした。
自身が大半の武器を今まで使っては壊してきたが故に、最初は自身が耐えうる武器を求めて
そして今では、『後任』が満足できる武具を作る為に。
そうこうしているうちに、別の人間が入ってきたことに、マリオは顔を上げなかった。
その足音から、誰かなど最初から分かっていた。
「息災のようだな。最近では新たな愛人を得たという噂も聞いたが?」
振り向かずに、冷水に漬けている剣身に視線を向けたまま応える。
土産、と言われてほかの鍛冶師たちが丁寧に受け取る。
衝撃を与えないように、揺らさないようにしつつ、作業場へと持っていく。
「ほう……このにおい。なかなか珍しい土産を持ってきたようだな。
ちょうどそろそろ調達を頼もうと思っていたところだ」
そういうと、冷水に漬けていた剣身を抜き、それを別の鍛冶師に渡して立ち上がる。
溶鉱炉と大きな火の光によって影が生み、巨大な怪物のようになる。
現にその立ち姿は、怪物のようにしか見えない。
顔も含めて生えわたる体毛。その毛の一本一本が赤みを帯びており
周囲に舞う火の粉に毛が燃え盛ることはなく。
丸太のように太く、屈強な手足、身につけるエプロンは古く、長年愛用していることがわかる。
そんな毛むくじゃらの姿でも、顔ははっきりとわかる。
なぜならばその目が鈍く、赤く、そして暗く光っているからだ。
「あぁ、あの『人見知り包茎』か」
そういうなり、顔を アレ に向ける。
そこにあるのは鉄の塊……いや、よく見れば違う。
全身真っ黒なそれは塊ではなく、黒錆が集まった特大の剣だった。
瘤が複数集まったような黒錆がまとわりついて、全体を覆い隠しているのだった。
それでもある程度はようやく、剣の姿が見えるようにはなってきた。
「ようやくあそこまで剥き身にすることができた。
少なくとも、振るえるようになるまではさほど時間はかからぬだろう。
……振るえるだけで、未だ完全な姿には戻せぬがな」
撫でるようにその剣の先を撫でる。
そして隣に、鞘と共に置いてある、それとは別の刀身長の短い剣を持つ。
「こっちはもうすぐだな。あとはエンチャントをかけるだけだ。
持ってみるか?」
そういうと、その剣を渡す。
細目に見えるが、決してそれだけではない。重みがほかとは違う。
量産型のような見た目だが全くそうは感じさせない輝きを持っている。
血を求めるかのように光に反射して、握ればまるで自分の片腕のままのようで違和感を感じさせなかった。
■メイラ・ダンタリオ > オドンとただの火酒 両方を傍に来た者が受け取るのに任せていく
オドンは当然、マリオのものであり、その他の火酒が、他の者への労い
その様子を鼻先だけで感じる辺り、鍛冶場の者としてもそうながら
その体躯 ドワーフの足りない肉骨を埋めればこの姿だっただろう
そう思わせる外見だった
黒髪に見える赤 髭や体毛
太い幅の体躯のマリオが立ち上がると、メイラは自然と見上げる形になる
久しぶりに会う叔父と姪のようなふれあいではない
実直な態度や、足を運ぶ回数が少なからずはあるのだろう間柄を見せる様子だった。
耳早なマリオの言葉に、メイラは黒鉄の鋭い指先を揃え、口元を覆いつつクスリと笑み
「あら、マリオ叔父様 耳がお早いこと。」
否定もせず 肯定もしているわけではない
そういう噂があるという事実をメイラは認めているだけである
暴力と性に 忠義に総てを振っているメイラならば不思議ではないと思っているのか
酒の様子には不満も無く、後の晩酌にでも利用されるだろう様子の中で互いに向き合うままに
アレの話に映れば、マリオはその鈍く光る瞳 メイラと同じ色合いのそれで見る
鉄の様子で声を出す 人見知り包茎
セクハラ同然な言葉にもメイラは何も思わない
何故そう呼ばれているのかは知っているせいだ。
近くにおいていた特大剣
古代剣の修繕などと同じように、錆びをできるだけ取り払う為に
ノミでじっくりと時間をかけて剥がしている しかし強度へのそれではなく
なるべく作成で剣身を傷つけたくはない様子が見て取れる
身幅のある特大剣 先端は銀杏 そこだけは切っ先が生き残っているものの
両側も 平たい身も 全て黒錆が病のように広がったままボコボコの凹凸を造っている
切れ味など、もはや無いに等しい。
「元は剣に肉の瘤といった具合でしたものね。」
もうそろそろ使用可能になるのだろう
しかし、この特大剣だけに時間をかけるわけにはいかない
ダンタリオは、一人だけではないのだから。
そんな特大剣の様子を見せると、マリオはメイラが急かすこともなく
今の状態を眺め納得している様子に、ショートソードのほうを示す
「ちゃんとわたくしの丈に合わせてくれてますのね。」
ショートソード
本来ならメイラが持つ類ではないそれは、あの人見知り包茎と呼んでいる
特大剣にまとわりついていた黒錆の瘤から練り上げた剣である
言わば同じ身だ。
エンチャント
本来ならば不要な要素も、ダンタリオが振るうならばと
技術だけではなく最後の後押しを欲するのはマリオの気性か
エンチャントを残すのみとなったそれは
鍔 グリップ 柄頭 全て平坦な特別な雅もない
実直な両刃直剣のショートソードだ
「ん。」
両手で振るう丈ではない 片手で振るう剣
その黒い手で携えれば、重い
見た目に反するそれはまるで振るう者を阻害するかのよう
バランスはよく、切っ先の威力は貫きが勝るはずなのに
切っ先を天井へ向け、真っ直ぐに水平で止まる様に ピッ と片手が振るう。
ブれることなく止めることはできたものの
もちろん鍔元へ重量はいくそれは、しかし切っ先にも普通とは違う重さがある。
「このサイズですと、わたくしの饕徹や窮奇以来ですわね。
あの剣も随分と祟りがましいこと。」
二人は黒錆の理由も、この重さも、なぜこうなのかという点は
ある程度知っているし、理解もできているせいか不満を持たなかった。
「かえってこの重さは良いものですわね。
振るう術が増えますわ。」
修繕中の本命の特大剣 そしてそこから生まれた新造剣
心ときめくダンタリオの剣に、メイラは少し離れてから、片手振りで
袈裟 喉水平 唐竹 など剣の線を結んでみる。
「……アレと共に振るうのが楽しみですわ。」
見やるアレ アレがあってこそのショートソード 片手剣である。
メイラ自身も、出来に満足している様子だった
「歴も歴 この剣の銘も既に知らぬものとはいえど
新たな名付け親になるのは、大層苦労しそうだと、御見受けしますわ。」
フフフ、と この武器二振りの業も 存在も
それに見合う銘をどうするか と マリオが今だ決定つけれないのをメイラは知っている。
■マリオ・ダンタリオ > 確かに、メイラがそう感じたように。
もしドワーフの男の身長が、人間と同じであったとすればまさに、マリオのような姿を表すのだろう。
片足を引きずりながら、メイラへとそのショートソードを渡して、振るう様子を見て首を振る。
「ふむ、もう少し軽くするか……いや、柄の方に重みをもたせるか……?
……いや、ひとまずこのままでいいか。結局本人の使い心地次第だからな」
脇の締め方、足の踏み込み方、その動きに合わせるために、どこに重量を持たせるか。
それは本人が振るってみないとわからない部分でもある。
持ち主のクセに合わせて、そして持ち主の筋力や体格にも理解を示さねば、『オーダーメイド』は完成しない。
依頼されたのならば、依頼主にも協力をしてもらわねばならない。
メイラはその点、時間を空けつつもしっかりと足を運んでこうして振るう姿を見せてくれる。
故に、完成度というのが高くなるというものだった。
「耳が早い、というよりお前が見せびらかしすぎだ。
こっちの使用人にもうわさになっているぞ。
……お前がこの家において、名を上げているというのもあるがな」
そこに他意はなく、むしろそれが当然とでもいうように。
そのあり方こそが、この家の正しさでもあったが……。
まぁ、自分はその在り方をやめた以上、関係はない。
ただ可愛い可愛い姪っ子の様子を気にするのは、当然だろう。
「あぁ。ブクブクと使い手もなく太って、結果すっかりふてくされてこんな姿になっちまった」
そういいながら、特大剣を見上げて。
ショートソードへの新しい肉付けの為に、またどこの黒錆を削るかを値踏みするように見つめて。
どこを削り、どこを残すか。
この黒錆の瘤もまた、一部であるが故に、捨てるのはもったいない。
例え癌細胞でも細胞は細胞。再利用できるモノは使わねばならぬ。
「ただし、こんなに太りきっても元が一級品なだけあるな。
『親子』そろって手間取らせてくれるぞ、まったく」
そう楽しそうに、特大剣とショートソードを何度も見比べて。
元々が単純なものでも、それをまた使うために手間がかかればそれだけ自分の職人魂に火を付けられる。
こういう作業を嫌う者は多いが、むしろこういう作業こそが大好きな変わり者なのだ、この男は。
「……チッ。まぁ、そうだな。
……こんな親子に名前を付けなきゃならねぇとは思わなかった」
そう、その通り。まだこの二振りには名前がない。
正確に言うと、元からあった名前が失われて久しいのだ。
文献を漁っても『これ』については触れられていない。
『これ』を振るっていたであろう存在については語られていたが……。
「……お前ならどう付ける?この親子に名前を」
腕を組み、参考に聞いてみる。
■メイラ・ダンタリオ > 振るう様子
その姿に不自然さはなく、バランスも 剣の身に反した重さもメイラは良さげに振舞う
それに対し、マリオはもう少しバランスを考えるかと思案している様子に首を奮う
「軽くしてはいけませんわ。」
メイラはそれを両断し、 コツ コツ コツ と アレ に向かう
特大剣 今だ形状は荒々しい煉瓦肌のようで 磨かれることすらもはやできない姿
黒瘤を減らし、剣の形状にするだけで精一杯 剣の銀杏切っ先だけが鈍い光と刃を持つそれを
片手で 左手で携えて見せる。
「……。」
ズシリと感じるそれを、肩に担いで見せながら 背丈も身幅も、メイラよりもやや増しているそれ。
コツ コツ コツ と抱えたまま歩く姿に、周りは一瞬視線を集中させ、喉を鳴らす
「これでいいんですのよ、叔父様。」
メイラを可愛い姪と扱う 親しき叔父
それを前にして、剣を振るって見せながら 特大剣をミシリと握る左手で横に振るい抜いて見せると
特大剣の平たい身を前に向けて持ち上げる上段
ショートソードをその背に乗せて、両上段の振り下ろしは、床に叩きつける動作
しかし、切っ先をなんとか床上で留めて見せる。
左手の剣を、右手の剣で背中から後押しさせた振り降ろしである。
「このショートソードの重みがあるからこそ こんな動きになる。」
そう言って、またもや片手で特大剣を浮き上がらせると、マリオのほうへと
水平中空に特大剣を振り、目の前で切っ先を向ける状態で制止させた。
「楽しみにしてますわ 叔父様。」
この特大剣とショートソードの在り方を、メイラはもう見出している様子を示していた。
無論、黒錆の原因上 定期的にはがす必要はあるだろう。
そうして切っ先を床に向けて コン と降ろすと
マリオはこの剣の歴 新造剣含め 忘れられた以上 一応は使えるように復活させた手前
親として名を付ける必要があった 無銘もいいものの、銘を悩ましくする辺り
己が使えるようにさせた以上銘を重ねたいらしい。
そして悩んでいるのだろう 親子と称するこの二振り
ショートソードはともかく コレ の名前をなにか思い当たるかと謂われ
メイラは一瞬思案する。
再び特大剣を持ち上げ、切っ先を天井に向けたまま そのざらついた表面
真っすぐではない でこぼこの縁を眺め。
「……ペスティス。」
黒の病の古語を口にした。
病のような黒 瘤からの連想である
病気を銘にするなど、ダンタリオの剣くらいなものだろう。
■マリオ・ダンタリオ > 首を振られて、否定されれば。
「あいわかった」
それだけ言って納得する。本人がそう言うのならばそれでに従おう。
慣れれば……いや、そもそも彼女がすでにどう扱うかの想像ができているのならば。
これ以上は無作法というものだろう。
現にほら……あの特大剣をそのまま持っているのだから。
「ふむ……」
腕を組んで、彼女が特大剣を振るう姿を見つめる。
じっくりと、そこに情念の類はない。観察している目だった。
顎に手を当て、コツ、コツ、と片足のかかとを床に当てながら。
「なるほど……両方の重さを以ってバランスを取るか。
お前にしかできぬ芸当だな。大抵の者はそういう剣にまず力で制御しようとする。
その点、様々な武器に精通しているお前だからこそ、バランスの取り方がわかっている、か」
感心したように言いながら、振るう姿を見つめて。
そうして自身の目前に切っ先を見せつけられる。
その顔に、恐怖や驚きというものはなく、ただ剣だけを見つめて。
「少し作業の優先度を変えよう。次の遠征も早いのだろう?」
と、次の姪っ子の予定を考えてこの剣を少し優先することにした。
こうして足を運んでもらって剣を振るう姿を見せてもらえた以上、サービスというのは大事だろう。
歩き方、重心の動き方を考えて、瘤をはがす部分もどこにするかを考えねばならない。
「これの担い手は、何を思ってこの剣をここに置いて、家から去ったのだろうなぁ……」
切っ先に、全くの遠慮もなく手を当てて、剣の冷たさを感じながら思いを馳せる。
自身がこの『鈍器』を受けても、死ぬことはないという確信もあるからだろうが。
そして、彼女から口にした古語に。頷きを見せて。
「では、この大剣は『ペスティス』。
その子供であるこのショートソードは『ユーカリプタス』でどうだ?
ユーカリの花から考えた。花言葉に『新生』『再生』『思い出』などがある」
そして
ユーとは―――強く 良く 真に
カリプタスとは―――~で覆う
という意味でもある。
■メイラ・ダンタリオ > マリオとこの武器の発端は
ダンタリオ家に眠っている死蔵に近い武器である
メイラがそれを見つけてからは、マリオに任せて試行錯誤
造り直すわけではなく削り はがすだけ
重心を整えた黒の鉄塊 そこまでしかできない代物
価値で言えば 腰の大小 普段使いの巨剣のほうがはるかに価値がある
しかし、それを振るいたくなったのだから仕方ない
この巨剣と片手剣 二つを手に 遠征に赴く前に魅せたいか
遠征に使用を求めてか マリオの意思を後押しした様子に、メイラもニコリと
妖艶な笑みを浮かべて見せる。
名残惜し気に二振りを預ける手 離れた後の手には黒い錆の鉄粉が少し残っており
撫でるように取り除けば銘の方向性
黒い病 強いもので覆う者
二つの名前が意外としっくりと重なっては クスクスとマリオに微笑むメイラ
「花言葉とは予想外ですわね
でも、古語や語源でたどればしっくり来ているのがなんとも。」
銘が決まった以上 もはや振るうまであと少しだろう
マリオの構えにメイラは上機嫌に傍にしずしずと寄り。
「叔父様大好き♡」
太い胴に両手ハグ
叔父と姪の睦ましいやり取りに、周りが
『マリオ親方のハグだ……』
『あの人も姪だとよええとこあるよな。』
ぼそぼそとダンタリオに見え隠れする身内愛
そして
『親方っ! 弁当買ってきましたぁっ!』
人数分 えいさほいさと戻ってきた様子でハグシーンを見られた
マリオ叔父様親方の周りに対する反応は 良い〆になっただろう。
■マリオ・ダンタリオ > 「意外か?ワシが花で銘を考えるのは。
姪っ子のモノなのだ。多少は可愛らしい名前の方がいいだろう」
などと、一種の親切心から考えた言葉だと伝えて。
語源と意味を考えれば確かに凹凸のように重なるようにも思える。
こういうところがある種、血のつながりを感じさせるのだろうか。
「む……ふふ、当然だろう。
可愛いワシの姪っ子の頼みだ、このぐらいやらねばな?」
にっこりと、上機嫌なのが毛むくじゃらの上でもわかるほどの笑顔を浮かべて。
メイラのマリオの周囲に温かいオーラが舞い散るのが見える。
自身の胴体にハグしてくれた姪に、こちらは後頭部と背中に腕を伸ばして抱く。
周囲の目など関係などない。この二人の関係に、何の恥じらいがあるのだろうか。
「ふん!いいところでまったく……。
さっさと食って次の作業に移れおどれら!
この金槌で頭をカチ割られたいか!」
と、怒号を響かせるのだった。
ご案内:「マグメール ダンタリオ家 工房」からマリオ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「マグメール ダンタリオ家 工房」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「九頭龍・旅館なき露天温泉」にシャルティアさんが現れました。
■シャルティア > 九頭龍山脈の露天温泉
持ち主や旅館などもない完全に放置された温泉だ
普段はケモノも使ってるであろう温泉は、鍾乳石のようなクリーム色の岩肌に漏れ出す透明な温泉が、この温泉の豊かさを物語っている。ケモノ臭さや硫黄臭もないとても綺麗な温泉だ。
とはいえ、秘湯とも言えるこんな場所に人はそうそう来るはずもない……のだが
今日は小さな少年が温泉の浅いところに、ちょこんと座っている。まだまだ幼い小さい子供だ。温泉どころか、町中を一人で歩いてるのもあぶなっかしそうなちっこい男の娘――ともいえる可愛らしい子である。
首をゆらゆら揺らし、足をゆらゆらゆらし、ご機嫌そうな顔で、手で温泉をすくって肩にかける
「あーんせん♪おーんせん♪ ぽかぽかのんびりおーんせん♪」
きれいなソプラノボイスが響く。森の中のこの部分だけ鍾乳石なので反響した声が森の木々に届いていく。
■シャルティア > 温泉に入ってるだけなのに何が楽しいのか、嬉しいのか
そんな風に思われるような笑顔。ご機嫌そうに肩を沈めながら腰を前に滑らせて全身を潜らせる。そのまま肩まで温まってまた、半身浴の格好。んー、ぅ♪と腕を伸ばす。
ぽっかりと森の中に空いた空間、見上げれば澄んだ空よく見える満天
じぃ、っと見つめる――星を、夜空を。
果ての―――もっともっと遠くを。
「いっぱい、いっぱい……悪い魔族さんをやっつけて……帰る。 ――でも、いっぱいはどのくらい? なんで……?ぼくは……られたの?」
少年が呟く。泣くわけでもなく、悲しい顔。
絶対に少年が他人に見せない顔―――少年はいつでも、人懐こっくて明るくて表情豊かで、怯えたり笑ったり、コロコロ表情は変わるけど、絶対に見せない顔がある
―――寂しいのと悲しい顔は、少年は見せない
すう、っと息を吸って……とぷん。と温泉に浸かる。
顔を温泉に沈めて、ごしごし。ごしごし、と何度も擦る
ざば!と顔を出すと、もう表情は「いつもの」明るい笑顔。
何事もなかったかのように、肩を揺らしてご機嫌そうに温泉を楽しむ