2019/06/15 のログ
■サウラ > 敷布の上を歩きながら髪留めを外し、結い上げている髪の中に手を差し入れ、
手櫛で結い髪を梳き解して小さく息を吐く。
幕家中央に設えられた火床近くまで歩み寄って、敷布の上に腰を下ろす。
火に掛けられた侭の小さな薬缶に乾いた布を掛けて持ち上げ、
トレイに伏せ置かれたいくつかの真鍮の杯からひとつを手に取る。
薬缶の中身を杯に注げば、香りの良い茶の匂いが湯気と共に立ち上る。
■サウラ > 薬缶を戻し、持ち手のないカップを両手で包むように持って、
注いだ茶を少しずつ飲むうちに、冷たかった指先にも熱が戻ってくる。
近々メグメール方面へ向かっての捕獲作戦を展開する予定ではあるが、
作戦開始となるのは天候と地の状況次第になりそうだ。
茶を飲み干したあとは着ているものを全て脱いで、
羊毛の掛け布の間に躰を滑り込ませて仮眠を取ろう――
ご案内:「ゾス村近郊/白い幕家」からサウラさんが去りました。
ご案内:「ゾス村近郊/森」に幻鏡の迷宮さんが現れました。
■幻鏡の迷宮 > ゾス村近郊に存在する森。
何の変哲も無い森でゾス村やそれ以外の近隣の村からも薬草などを摘み来る者がいたり、狩人が野生の生物を狩りになど魔物の噂すら遠い森なのだが、今宵は酷く危い状況にあった。
普段であれば聞こえる筈の鳥や獣の鳴声、風に揺れて木々の葉が擦れあう音、そんな音が全く聞えず、生きているものの気配すら感じることの出来ない状況になっていた。
それもだ。
場所的に絶対にありえないとは言えないが、発生するだけで村が大騒ぎになる程に稀な霧、それが地面より数センチほどの高さで広がり、足元を危くしている。
それは幻鏡の迷宮と呼ばれる迷宮が食指を伸ばした事の証左であり、今宵は村に程近いこの森は一種の迷宮となっていた。
踏み込めば二度と出られる恐ろしい迷宮、ではなくて踏み込めば腰が抜けるほどの怖気を感じるが、広がる世界は何時もと変わらぬ薄暗い闇、空から星の輝きが降り注ぎ、月が闇を照らす世界で、魔物は存在しない安全な場所となっているのだが、振り返りかえろうとすればゾス村の明かりは見えるが、近づこうにも透明な壁があり、森から出ることは叶わない。
振り返らねばわからぬ出口の無い森。
それ以外は静寂と足元を隠す霧以外は何ら何時もと変わらぬ森。
だが、森の彼方此方には何処かで見たような?でも名もわからぬ不思議なキノコが、この森に絶対に生息していない見る者に既視感を感じさせる危いキノコが幾つも生えている。
ご案内:「ゾス村近郊/森」にアズサさんが現れました。
■アズサ > 「さて、ここに間違い無さそうですね……」
旅の途中で訪れた村だったが、そこで思わぬ事態に巻き込まれた。というか、思わず首を突っ込んでしまった。村の近くの森の様子がおかしいというのだ。
もしかしたら力になれるかもしれないと訪れてみれば、確かにおかしい。足元だけが見えなくなるような奇妙な霧に、異常なまでの静けさ。
「これは確かに私の領分かもしれませんが、何がどうなっているのか調べないことにはどうしようもありませんし……」
ひとまず、そこかしこに生えているキノコを観察してみようと腰を降ろしてみる。キノコに詳しいわけではないが、いかにもこの森自然のものではなさそうだ、ということはわかった。霧がこのキノコを生やしているのか、はたまたこのキノコが霧を発生させているのか……。
■幻鏡の迷宮 > 霧とキノコの関係性を探るとするならば、魔力を見るならば薄く広がり足元を覆い隠す霧からは多少の魔力を感じる取ることが出来る筈、キノコを怪しむのならキノコからも多少の魔力を感じ取ることは出来る、だが両方の魔力に共通するモノは何一つ探ることは出来ない。
くまなく観察するならば、キノコはあちらこちらに群生しているのではなく、森に広く疎らに生息し、森の木々が途切れるところまで生えているが、森から外はハッキリと生息していないのを調べることが出来る。
だが、本質は其処にはない。
巫女装束の人影が森に入り込んだ時点で森の中を迷い彷徨う事になる。
それも出ようとすれば透明なる壁が行く手を阻むような結界やバリアに似た壁だろう。
ただ今は巫女装束の人影はそんな様子を見られない、迷宮には人影がただ森を抜ける為に駆け抜けるような素振りにも感じれない、故に迷宮は巫女装束の女を迷宮の挑戦者を確定し、冒険をしてもらおう事にしよう、報酬は……まだ未定である。
さて、キノコを観察する為に地に腰を下ろせば、キノコのほうは人影の接近に驚いたのか丸みを持った腕を地面よりボコと突き出して、よいしょっと地面を押して身体を持ち上げると、巫女装束の人物に背?を向けて走って逃げようとする。
キノコサイズで手足があっても小人と同じサイズ、それが逃げるのだから随分コミカルな光景に見えるかもしれない、がキノコはそれだけではない、他のキノコ、例えば今巫女装束の女の背後に新たに土を退けて生えたキノコは、ぐぃんと柄の部分を伸ばすと背後からその巫女装束の人影の艶やか黒髪にまきつくようにして、グィとその身体を引っ張って地面に仰向けに引き摺り倒そうとする。
■アズサ > 「…………は?」
目の前の光景に、一瞬呆然としてしまった。キノコが逃げた。手足を生やして?この世にはありえないことなどないとよくよく知ってはいたはずなのだが、流石にキノコが走り去るというのはあまりにも突飛に過ぎる。追いかけよう、という発想すら出ないまま霧の中を走る小さなキノコを見送っていると、
「きゃんっ!?」
突然後ろから髪の毛を引っ張られた。いくら呆けていたとはいえ、この静けさの中、背後から気づかれずに近づくのは困難なはず。そう思いながら短刀を懐から取り出すも、後ろに向かって振ることなど出来ない。髪を自ら切ってしまえばあるいは逃げ出せたかもしれないが、女の命を軽々しく捨てる判断など咄嗟に出来るはずもない。
結果として、背中から森の地面に引き倒されることになる。キノコに。