2018/01/20 のログ
■ブレイド > 「運だけでやってくつもりもねぇよ。
でなけりゃアンタに教えを請おうなんて思わねぇ。
って、そりゃこえぇな…
金持ちってわけでもねぇんだから搾り取るのは止めてくれよ?」
人が悪そうな笑み。
怪しい商人ではあるが…なんとなく悪人らしさを感じない。
いや、商人なのだからこういう話術は当たり前なのかもしれないが。
「まぁ、薬だしな…」
飲んでしまえば返品も何もないだろう。
文句は言わせてもらうが、空き瓶出して金返せとかいう厚顔無恥な真似は流石にできない。
「ん、本?読める文字だといいんだけどな…ってか…うわ…なんだこれ」
差し出された本を受け取ればパラパラとめくってみる。
図解付きに解説付き。だいぶ詳しく書かれている。
かなり綿密な。これを覚えるとなると相当読み込む必要はあるだろうが…
「まぁ、頑張ってみるわ…ありがとな」
受け取った本をしまう。
一応借り物だし、汚したり落とさぬようにしなければなるまい。
そして、頭の上の鳥に関しての情報を聞けば思いっきりジト目で
「……いや、いやいや、めちゃくちゃ痛いんだけどさ…
てか、厄介払いとかじゃねぇのか?むしろアンタじゃダメなのかよ…」
フードが取れないように押さえながら、鳥の嘴を払うように手をブンブン。
むしろ手にあたっても十分痛い。
■ジード > 「ま、少しは勉強するさ。
とはいえそれなりにいい代物だからね」
タダにはしないと宣言しながら適当な金額を頂戴して
それを数えて満足したのか頷いて返して見せる。
「薬だからな。八卦に比べれば確実に何か起きるだけマシと思わないか?」
運命や運を操作する占いごとなどというのもあるにはあるが
そんな物よりも形が解りやすいだけマシだろうと笑い飛ばして見せる。
「200年分くらい色々書き溜めたからな。
読むだけ呼んでみる所から始めてみりゃいいと思うよ」
どういたしまして、と言い返しながらもろくでも無いと言えばロクデモナイ発言を端々に忍ばせる。
色々な意味でタイムスパンがおかしい類の生き物には違いなさそうだ。
「俺は別に冒険したりはあまりしないし?
何よりそいつを引き継いでいってくれるのがいいと言われたんでね、
俺がずっと持ってたら死なないから引き継げない」
そいつは困るのだと説明しながら指で合図するとあっさりと少年の頭の上から飛びのく鷹。
男が腕を差し出すとその上に留まり文字通り石像のようにピタリと動きを止め。
「そういう訳でその気があるのなら譲るよ?
何、断られても別を探すだけだけだから気にするな」
■ブレイド > 「そりゃ助かる。
ま、ものの良さは買ってから見させてもらうけどよ
この薬も含めてな。
占いよりはマシな効果くらいは期待させてもらうぜ?」
受け取った薬瓶を軽く揺らしてから荷物袋へ。
何か起きるということは、悪いことが起きるかもしれないということかもしれないが…
まぁ、その時はそれこそ怒鳴り込めばいいだけの話。
「200…200!?あー、魔族かなんかか?
まぁ、そりゃいいけどさ…200年分とかよく飽きねぇもんだ」
別の種族であることには驚きはしないが、200年というタイムスケールに驚く。
そりゃ、これくらいの情報量になるだろうと、納得もした。
むしろ、200年の情報をこう軽々と提供するあたりむこうの本気度も伺えるというものだ。
「死なない…なんかこう、いろいろ混乱しそうだけど、まぁ、いいか…」
あまり深く考えないように頭を振る。
鷹が戻れば軽くなった首を傾げたりして。
飛び立つときにまた痛めそうになったけれども。
「いや、もらうのはいいんだけどよ…鷹匠の技術はねぇぞ?」
■ジード > 「ご期待には添えるとも、期待してくれてもいいよ?」
悪びれは一切なく言い切って見せる男。余程自信があるらしい。
それまでに相手が死ななければ感想を聞くこともあるだろう、
と存外ドライな事を考えながらに肩を竦める。
「人間でもミレー族でも無いとだけは言っておこうか。
同じような事ばかりしてたら飽きるのかもね。
生憎商売ってのは同じような事があまりないから飽きないでいられる」
他の連中は知らないけどね、とも付け加えて大仰に両手を広げながら告げて返す。
――最も相手には言ってないがそれ自体は本当にただの写本
ついさっき手元で作り出した複製品である。年季の入用まで複製したのは、
相手がそんなふうに勘違いして多少真剣になるかもしれないという少々人の悪い算段込みなのだが。
「苦労や混乱ってのは若いうちにしておけば後後しなくなるらしい、
いい機会だと思って混乱しておくといいんじゃないかい。
それはこいつに教えてもらいな、きにいらないことがあったら殴ってくるだろうからさぞいい先生になるだろう?」
そういいながら小突くのは鷹の腹である。
微動だにしない辺り本当にただの石像に戻っている様だ。
つまり、心の通わせ方は習うよりも慣れろという事らしい。
■ブレイド > 「代金分くらいは頼むぜ?」
今回買った薬の効果は体力回復なので
目に見えて効果が出るというものではない。
なんとなく気分で変化しがちなところではあるので。
それはそれとしても、ここまで自信たっぷりなら問題はないだろう。
「まー、受け取ったからにはあんた200年の知識ってやつを参考にさせてもらうぜ?
オレもこういう…本格的な勉強っつーのは初めてだけどよ。
商売じゃねぇけど、今までにないことを経験するってのもなかなか悪くねえ」
ジードの意見には同調するように応える。
無論、その思惑やら何やらに気づいた様子はまるでなく
純粋に薬学を習うつもりでいるようだ。
「死なない相手にはそうお目にかかれねぇとは思うけどな。
鷹型ガーゴイルとかいうのも初めてお目にかかるし。
混乱はともかく…そいつに気に入られたってんならわりぃ気はしねぇし…
来るか?」
石像に戻ってしまった鷹が応えるとは思わないが
覗き込んで聞いてしまう。
■ジード > 「当然、代金以上の値段は保証するとも」
あっさりと太鼓判を押して見せるのは自信があっての事だろう。
実際大した値段を取った訳でもないので元は取れるだろうと言う
程度の確信を持ってるのはプロとしての矜持であろう。
「ああ。量が多いのはそれなりに覚悟して貰うけどね。
それに限らないが学問なんてのは積み重ねだ、
200年所か俺の前に数百年分の積み重ねがあるのだからそりゃ重たいとも」
そこは諦めてもらうしかないと笑い飛ばす。
案外ポジティブな相手にそれならば大丈夫だろうとある程度の楽観を持ちつつ。
「別に不死身な訳じゃない。切られて焼かれれば死ぬよ。
ただ寿命が長い分君らの尺度で言えば早々死なないさ」
こればかりは完全に種族差の話である。
飄々と返す調子も事もなげなのはどうにもんならない事、程度の認識だからだろう。
そのまま少年が鳥に語り掛けるのを聞けばゆっくりと頷き。
「ならば血を貰おう。親指を出しな、そこから一滴頂戴する事にする。
――そして名前を付けるんだ。俺の付けた名前でもその前の奴がつけた名前でもない、
お前さんがこいつを呼ぶ時の名前をな」
告げながら男が鳥に触れれば淡い光が零れる。
鳥の額に文字が現れるのを確認してから少年に向かって右手を差し出し。
■ブレイド > ジードの言葉に安心したように頷く。
効果が得られれば、また店を利用しようとは思わせてくるあたり
この男は商売上手なのだろうなと思いながら。
「学問って言われると急に敷居が高くおもえるな…
てか、そんなにかよ…何年分とかよくわかんなくなってくるな。
もう存在しない草とかも書いてあるんじゃねぇのか…?」
そこまでとなるとこんな軽々しく扱っていいものか心配になる。
いや、借り物だし雑に扱うつもりはないのだが
それでも、この商人の気軽さに驚きは隠せない。
「現状じゃ殺すような予定もねぇから安心してくれよな」
軽口を返しながら右手を商人の前に差しだす。
しかし、名前…名前か…。
「急に名前っていわれてもなぁ…」
指を預けたまま頭を捻って名前を考えることに集中し始めた。
■ジード > 「何、田舎のばあさまの知恵だって立派な学問の元さ。
そういう何でもない様な、或いは誰でも知ってるような事を纏めていったのが
今の今で伝わってる代物だよ。
今俺達が知ってる範囲では存在しなくなったというのは確かにあるな。
けど世界中探したらどこかにあるかもしれないだろう?
その時にそれを知らない、と昔どこかにあった事を知ってる、じゃあ全然違う」
例え亡くなったものでも残していくことに意味があるのだと笑って返す。
難しく考えるなと軽い調子で言い返して見せるのは、
逆に言えば何らかの方法で知識というのは引き継げればいいという考えの元であろう。
そもそも渡したモノが幾らでも複製の作れるものだと知ってるからこその気楽さではあるのだが。
「おや、その気になればできるって訳だ?
じゃあそういう恨みは買わないようにしておかないとね」
おどけた様子を見せながら大げさに怖がって見せる。
冗談交えの態度の裏で、少年が考え込む様子をじっと眺め。
「何事も出会いってのは急なもんさ。
自分の子供…はまだ早いか、親類の子供の名づけ親にでも
なるつもりで考えてみればいいんじゃないかね。
――さて、少し痛くするよ」
全く当てにならないアドバイスを投げかけながらどこからともなく黒い剃刀を取り出して
少年の親指を薄く切り裂く。じんわりと滲んだ血が垂れて一滴鷹の額の文字に触れれば真っ赤に染まり、脈動する。
「後は名付ければ終わり、だ」
それを見届けてからやはりどこからともなく取り出した白い湿った布を少年の親指に押し当てる。
と、それだけで薄らとした傷を残して止血を終わらせ手をパンパンと払い。
■ブレイド > 「ま、それもそっか。
アンタわりといいこと言うんだな。
初見で怪しいと思ったけどよ。
と、それはいいけど、本を覚えんのは最低ラインだったか。そういやぁ」
はたと思い出せば、本当にまともにおぼえきれるのか不安になる。
必要なことではあるし、今更退く気もない。
少年は引き継がれる側に果たしてなれるのか。
不安は残るものの、ジードの気楽さに引っ張られるように苦笑する。
「できるか出来ないかって話でもねーよ
冗談だっての…っっ!」
するしないではなく、おそらくは『できない』が正しいのが。
流石に喧嘩売るには底が知れなさすぎる。
そこは置いといて、すこしだけ走る痛みに耐えて、血を提供すると鷹に変化が見える。
「まぁ、名前つけるのは二度目だけどな。
えーっと、そんで…
こいつ、雄?
雄ならキーンで、雌ならアキュート…かな…。」
ガーゴイルに性別はないと思うが、そういうところは少し気になってしまうもので。
■ジード > 「そりゃ長い事生きてる分、若造よりは含蓄のある事言えなきゃ笑い種だろう。
怪しいのは怪しかろ?第一怪しく無ければこの辺で商売何ぞやってられんさ。
ま、気張って覚えてくれ」
本の内容をそもそも覚えてる人間からの声援は実に気軽な物だ。
それでも引く様子が無いとみてとれば頑張れと無責任な声援一つ。
「そうかね?やろうと思って人間やれないことはあんまりないよ。
俺を仕留める位は…まあ、5年もあればいけるんじゃないか?
複数人でタコ殴りにするならもっと早いだろう」
淡々と不思議そうに問いかける辺りが実にドライではある。
最も薬学も命に近い場所を取り扱う分野だけに、
自然とそういう心持が身につくのは無理もないかもしれないが。
「雄だな。ガーゴイルの体そのものに性別を思わせるものは無いが、
こいつの中に入ってる魂は雄のモノだ。
それでいいなら頭の文字の所に触れて、名前を呼んでやりな。
新しい名前がこいつを起動するコマンドワードになる」
■ブレイド > 「若造だって割といいこと言うもんなんだぜ?
含蓄ってのは流石に譲るけどさ。
例えば…そうだな…いや、おもいつかねぇけど…。
それはそうとして…あんま怪しいと、変なのに目ェつけられねぇか?」
何もいいことは言えてはいないのだが
まぁ、少年は頭もあまり良くないので仕方がない。
「いや、やれたとしてもやんねーよ
アンタがオレから恨みを買わねー限りはさ。
商人だから売り買いは得意分野だろうけどさ」
敵対してるわけでもないのに相手を殺すイメージは湧くはずもない。
苦笑しながらガーゴイルの頭の文字に触れて
「雄か…そんじゃいくぞ?『キーン』」
促されるままに雄の方の名前を呼ぶ。
■ジード > 「いい事言えるかどうかは知らないが、経験ってのは宝だ。
何につけてもさ、今の出会いって奴を大事にしろよ?
長く生きてると忘れっぽくなって仕方がない。
ハッハッハ、逃げる隠れるは得意分野だとも」
何せこの国も長いのだ。それはもう、隠れることが日常である。
あまり笑い話でもないのだが軽い調子で応じ。
「怖い怖い、ならばの代わりに恩を売りつけていくとするか。
商人だからこそ高くつくぜ?」
まるで歌劇のセリフの如く流れるように言い返す。
その辺りの下限をする気は更々ないようである。
少年がガーゴイルに手を触れ、唱えたと思えば再び動き出すそれ。
舞い上がったのを見てふっと鳥に向けて手を上げてから立ち上がり。
「さて、それじゃあそろそろ店じまいだ。
買い忘れは無いかね?」
どこからともなく杖を取り出せばくるりとそれを一度回して少年を見やり。
■ブレイド > 「今の出会いね。
それに関しては言われなくても、だな。
アンタも含めて。
商人ってのは喧嘩うるとこえぇらしいし」
異種族だというなら、彼の言うとおりなのだろう。
それでも図太く商売しているあたり、トラブルを避ける能力は高そうだ。
「さっきも言ったけど、オレはビンボーだからな
ほどほどに買わせてもらうぜ」
ケラケラ笑いながらジードに手を振る。
飛び立つガーゴイルの鷹。そういえばこいつ結構重かったような。
どうやって持ち運んだものか。
「お、そうか。まだ見てねぇもんもたくさんあるけど
次の機会にしておくか。ありがとよ。またくるぜ」
■ジード > 「なあに、その内にきっともっと身に染みるよ。
良くも悪くもね」
どこか揶揄するような響きを乗せて笑って見せてから
少年に向けて大げさに一礼して見せる。
どうにも一々仕草が大仰なのはこの男のクセらしい。
「それはいけないな、若いのだからもっともっと腹炊いて稼いでもらわないと。
そしてそれをこの店で使ってくれるなら尚更良い。
ああ、そいつはもう一度コマンドワードを唱えれば元に戻る。
が、元に戻さなかったら割と多分君の事を狙って来ると思うから頑張れよ」
実体験からだろう。大分具体的に嫌な事をアドバイスしながら、
杖を地面にタン、と立てると音を立てて魔法陣が地面に展開したかと思えば、
あっという間に露店が消えうせ後にはカバンが一つだけ。
出てきたカバンを手にしてひらりと手を振り。
「またのお越しを、お待ちしてるよ」
そういうなり踵を返して路地の一つに身を躍らせる。
ただそれだけで、男の姿はどこにもなくなってしまうのだった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 裏通り」からジードさんが去りました。
■ブレイド > 「消えちまったよ…」
店も男も消えて失せて
残ったのは薬と本と鷹のガーゴイル。
「えっと…こっちこい!こいって!」
キーンを呼んで見るが腕にはなかなかとまってくれない。
最終的には頭に止まったところでコマンドワードを唱えて荷物袋にしまうというしまらなさ。
「さて…帰ったら勉強だ…」
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 裏通り」からブレイドさんが去りました。