2018/01/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 裏通り」にジードさんが現れました。
■ジード > 貧民地区の路地裏の一つ。大通りの裏側に位置するちょっとした裏道に、
ふらりと一人の男が無造作に姿を現す。路地の中でも少し広くなった場所を探し当て陣取り、
手にしたカバンを地面に置く。すると機械仕掛けの玩具の様に
パタンパタンとカバンが開いて大小二つの陳列棚を持つ小さな露店が姿を現した。
棚の上に薬瓶やアクセサリーなど商品を陳列し店としての体裁を整えれば胡坐をかいて店の奥に座り込む。
「よし、それじゃあ開店だ。場所の選択が間違って無きゃいいが」
露天の常として場所選びが悪ければ商品以前に目に留まらないのはよくある事である。
若干不安を感じながらも時折人の流れる道行を眺め。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 裏通り」にブレイドさんが現れました。
■ブレイド > 貧民地区。いきつけの酒場で軽食を済まして、大通りから少し外れた道へ。
廃屋立ち並ぶ区画に住まう少年にとっては歩き慣れた帰り道。
しかし今日は少し様子が違う。
「…露店?」
こんなところに店などあったか?
しかも茣蓙を敷いたような適当な店構えでもない。
少し訝しげに眺めつつ、店に歩み寄る。
■ジード > 「はい、毎度アリ――と。中々商売繁盛とはいかないね」
人影の近づく少し前に、怪しげな風体の店主とは別の意味で怪しげな、
いやに上質な外套を身に纏った人物と店主とが二三会話の後に品物の受け渡しが行われる。
どこからどう見ても怪しげな現場だが誰からも見咎められないのは流石の場所柄。
返事もしてくれない交渉のし甲斐のない客に匙を投げるように言い放つと、
目的の物を手に入れた人影は足早に去っていく。
しかしだからこそ動く物の数も根本的に少ない訳で――
「やあ、少年。こんな所で散歩かい?」
やり取りの合間の何時から気が付いていたのか、
歩み寄ってくる人影の方に体を向けるとやけに気さくな様子で声をかける。
陰気とすら言っていい風体とは裏腹に語り口は商人のそれだった。
■ブレイド > 怪しい場所、怪しい店、怪しい商品、怪しい客に、怪しい店主。
怪しいのロイヤルストレートフラッシュと言った感じだ。
まぁ、貧民地区の裏通りだし、さもありなんという感じではあるが。
立ち去る客を尻目に店へと近づけば、声をかけられる。
「んおっ…と、散歩じゃねーよ。こっちが帰り道なんでね」
いきなり声をかけてくるとは思わなかった。
かけてきたとしても『らっしゃーせー』くらいかと思っていたので、一瞬面食らった。
おどろきもそこそこにしつつ、露店の商品を一瞥。
「てか、こんなとこにさっきまで店とかなかったんだけどな…
何売ってんだ?」
酒場に行くまでに通った道だ。間違えてはいないだろう。おそらく。
少し興味が湧いた。
■ジード > 「何、帰り道というのならなおの事散歩のようなものじゃないか。
少しくらい寄り道してもバチは当たらないだろう?
おやま、それは不思議な事を言うね。露天商というのは神出鬼没な物と相場が決まってる、
なんせ町中全部がどこでも店にできるんだから気楽な物だよ」
ただし、警邏だけは勘弁願いたいと全く閉まらない一言を付け加え、
暗に商品を見ていくことを笑って勧めながら、
露店の商品を見やる所を見て肩を竦めて見せる。
並んでいる商品は大半が薬の類、次いで装飾品類が大多数を占める。
隅の方に何やらナイフやランプのようなものも置いてあるのだが明らかに少数だ。
「何を売ってると言われれば…ふむ。荒事をやるならそうだね、
ポーションの類ならお手のモノさ。気付けに治療、解毒に解呪まで何でもござれ。安くしておくよ?
後は護符の類もない訳じゃないけど――」
少年の体躯をじっと見た後、その身のこなしから荒事と無関係ではあるまいと判断し、
つらつらと口上付きで説明するのは薬類やマジックアイテムの類、
つまりは荷台の大半を占める部分の説明だ。とはいえ、その半分くらいが
卑猥な物であるというのは一旦黙っておくことにする。
■ブレイド > 「まーそりゃそうだけどよ。どうせ、飯の帰りだし腹ごなしついでってとこか」
怪しい店主の言葉にうなずきながら
陳列された小物を眺めていく。
「露天商っつっても…こんだけ店構えが立派だとな。
移動とかめんどくさくねぇか?」
並ぶ商品は…まぁ、思っていた通りあやしい。
薬とか…ご禁制の何かとかではないだろうか?訝しげに小瓶を一つ手に取ってから
また、戻す
店主の話では、普通の薬品の類っぽいが…。
「荒事ねぇ…たしかに薬の類くらいは持っておいたほうがいいかもな。
でも、その…この薬瓶…ラベルとかねぇの?」
商品一つをとっても色々と解説を求めたいところだ。
それがセールストークかどうかは分からないが、一考する助けにはなるだろう。
■ジード > 「やあ、理解のあるお客さんで嬉しいよ。そのついでと言っては何だけど、
名前を聞いてもいいかな?お客さんの事を少年、としか言い表せないのもちと困るからね」
色々と名を知らずの呼び方を考えては見た物の、どうにもしっくりくるものが無い。
となればあっさりと白旗を上げて相手の名前を問いかけ。
「ポーションの類は常備をおススメはしておくけど――ああ、
ラベル。ラベルね、うん…いやほら、睦みごとに使う薬の瓶に、
『精力剤』だの『媚薬』だの書いてたら興ざめだろう?
そういうのを使いたい相手がいるっていうなら勿論用立てるけど」
そうして問いかけられた後、
少し視線をさ迷わせてコホンと咳払いしてあっさりと暴露した。
その後に続けた発言が発言だけにまるで、どころか完全にセクハラである。
「後でつける分には要望には応えるけどね、勿論さ。
君の方からこういうのが欲しいってのはあるかい?
限度はあるけど要望には応えられると思うよ」
半分くらいはぐらかすように付け加えて述べ、
此方からも少年の様子を改めて眺めながら問い。
■ブレイド > 「露天商が客に名前聞くなんてな珍しいな、いいけどよ。
ブレイド。ブレイド=エッジ。冒険者だ。」
別に隠す必要もないだろう。
名前くらい教えたところで何が変わるものかと思っている少年は
おそらく魔術に明るくないのだろうとわかるだろうか。
「あー……
あ、いや…えーあー……いらねぇ」
そういうものも売ってるのかと、納得した様子。
そのへんは荒事には関係なくないか?とおもったが
まぁ、荒事に使うのであればとのおすすめだったし、おそらく色々とあるのだろう。
思った以上に商品が。
媚薬に関しては少し興味があったものの、考え直す。
「ほしいもの…欲しいものかぁ
そうだなぁ。料理本…いや、鍵開けツール…
そもそも荒事しか出来ねぇから、それに役立つもんも欲しいけど
やっぱ、新しい技術が習得できそうだったり、補助に使えそうなもんかなぁ」
欲しいものと聞かれれば顎に手を当てて思案。
武器とかの手入れやさっき店主が言っていた護符のたぐいもいいかもしれないが…。
■ジード > 「露天商だからこそ、さ。お得意様になるかどうかはさておき、
お得意様になってもらうためのきっかけとして名前というのは大事だよ?
ようこそ、ブレイド殿。私は店主のジード、以後お見知りおきを」
あっさりと名前を明かしてくれた様子にゆっくり笑いながら、
一礼しわざわざかしこまった様子を見せる。
しかしその警戒心の無さには少々心配にもなり。
「…とりあえず一つ、魔術を使いそうなやつにフルネームはやめておくと言い。
名前で呪う、何てのはよくある事だからね。後は髪の毛」
言いながら自分の髪の毛をひょいと一房摘まんで見せる。
余計なお世話とは思いながらも、名を教えてくれた駄賃と考えれば悪くはあるまい。
「おや、彼女との関係がマンネリ気味の時に、
特に効果てきめんと評判だよ?そりゃ残念」
いらないと言われれば笑って肩をすくめて返しながら、
ちょいちょいと指を街の方に向けるとそっちにあるのは色町の方向。
――つまりまあ、人目を忍んでそちらに向かう人間が多いのだ。
それを当て込んで店を出しているという事も、ひょっとしたら知れるかもしれない。
「なるほど、そいつはまた若いのに大した向上心だ。
鍵開けツールならあるよ?あとはそうだね、こんなのはどうだい」
そういいながら男がガサゴソと音を立てて漁るのは良く分らない道具が散見される場所。
そして引っ張り出してきたのは、タカを模した石像だった。
「鷹匠の心得はあるかい?」
そして言う事にかいて聞くことがそれである。
石像を本物の鳥のように腕に載せて見せながらにんまり笑い。
■ブレイド > 「ふーん、そういうもんか。
ま、よろしくな。アンタがいいもん売ってりゃ贔屓にしない理由もねぇし
って、怖いこと言うなよ。忠告はありがてぇけどさ…。
気をつけるとするか、たまたま店によっただけで呪われちゃたまんねぇしな」
冗談めかしながらも、店主…ジードの言葉を聞き入れる。
初対面でいきなり呪いとかは考えてもいなかったのだが
この街ではそれもありうることなのだ。
「マンネリじゃねーよ!まだ!!…多分…
まぁ、直接じゃねぇけど…体力回復できそうなもんなら
使える場面も多そうだしほしいけどな」
色町に少し視線を向けてから、ふるふると頭を振って。
まぁ、こういうものを売っているならこういう場所が都合がいいのだろう。
少年の言葉の端々が隙だらけなのは置いておくとして
体力回復剤ならそっち方面以外でも使えそうだと考える。
「まぁ、仲間もオレも戦闘以外からっきしじゃ冒険者としてな…」
仕事の枠を広げていきたいためやむなし感はあるものの
といったところか。
だが、技術はあってそんはないだろう。
「鷹?鷹匠…って、あるように見えんのか?そんな心得。
よく出きた石像だけど、別にオレはたかが好きってわけでもねぇぞ。
なんかあんのか?それ」
鷹の石像を腕に乗せる店主の姿に首を傾げつつ。
■ジード > 「この辺を縄張りにするなら気を付けるこったね。
俺が言うのもなんだがろくでも無いのは多いよ?」
自分がろくでもない自覚は大いにある。
笑い飛ばして言い返しながら手を打って見せ、
肩を竦めて言い返し。
「おやまあ、そういう相手がいるのかね。
そいつはまた良い事ではある、大事にしなよ?
ついでにウチの商品でそっちの世話をしてくれると助かるね」
ハッハッハと声を上げて笑い飛ばしながらセクハラをかまし、リクエストを聞けば
幾つかのポーション類を手早く引き抜いて荷台に並べ。
「――せめて応急手当や香草の取り扱い位は誰でもいいから覚えなよ。
ま、その内気がむいたら来ると言い。時間のある時だったら取り扱い位は教えてあげるよ」
暗に死ぬぞと言わんばかりの様子で言い返す。
流石に致命的過ぎるその発言に、少し考えた後に息を吐いて目を細めた。
幾らなんでもその一つ前の話を聞いた後でくたばられると目覚めが悪い。
その気があったら買い物ついでになら薬師のさわり程度は伝授してやると告げつつに、
首をかしげる様子を見れば更に気をよくし。
「ああ、勿論特別だとも。ただの石像に見えるだろう?それが、ほれ――」
小さく一言男が言葉を発したと思えば直後にバサリと翼のはためく音がする。
石造りのハズのその鳥は、大きく羽をうって舞い上がる。
そのまま二人の頭上を旋回したかと思えばブレイドの頭の上に乗っかってしまおうと降下する。
当たり前だがどれだけ軽やかに動こうが、素材は石、岩なので非常に重たい。
■ブレイド > 「まーそりゃたしかに…
今まで何事もねーから油断してたかもな」
少しバツが悪そうにしつつも
ジードに向かっては苦笑を見せて。
運がいいことにこの街で直接的な悪意には遭遇したことはない。
むしろそれが祟っているのか。
「う、ぐぇ…な、なんでっ!?
んなことどうでもいいだろ!?
ったく…いくら位だよ…この辺」
なんで感づかれたのかわかってない様子で驚きつつも
まるでごまかすようにポーションを一つ手に取る。
買うにしても、まず試しに一本といったところではあるか。
「たしかにな…今のところ危険なのは避けてんだけど、ずっとそういうわけにもいかねぇし…
そうなる前に頼んでもいいか?」
そういえば一人で依頼を受けたときに死にかけたっけ。
と、ジードの言葉に頷いて納得する。
自分も死ぬ気はないし、仲間も大切だ。
そういう技術はあって困らないどころか、必須にも近いだろう。
それはともかくとして、ジードの鷹の像だ。
それが羽ばたき空をを飛べば、目を丸くして。
「おー、こりゃすげぇ…鷹匠じゃぁねぇけどこいつはやっぱそういう技がいんのかグエ」
目で追いつつ、感心した様子。
だが、質問の途中で頭に乗られてマヌケな悲鳴を上げる。
その重たさと飛行速度から来る衝撃に、首がグキリとなった。
■ジード > 「ま、このあたりは特に身内には甘いからね」
眼前の少年もその身内、のうちの一つにカウントされてるのだろう。
――最も、更に深い場所に行けばどうなるのかは流石にわからないが。
「『まだ』なんだろう?使うあてがあるというのは良い事だ、
そして使う時になったら俺の薬を使ってくれればいう事は無い。
はい、毎度アリ」
白々しく諳んじて見せながら、ポーションを手に取った様子をみて
満面の笑みを浮かべて値段を告げる。流石にその辺りは抜かりない。
「ああ、構わないよ。ただしそれなりに厳しいと思うけどそこは手加減しないので、
そのつもりでいてさえくれればね」
何せ自分の商売道具の一つである。手を抜くのは自尊心が許さない。
男がこの国を訪れる以前、遡れば魔族として過ごしていた頃からだけに人一倍思い入れは強いのである。
が、そんな真面目な表情も少年が頭の上に鳥にしてやられた様子を見れば笑みを浮かべ。
「誰が呼んだか『無警鳥』、或いはワンダリングバードガーゴイル。
どこの誰が作ったは知らないが、その筋では有名な迷品でね。
大昔の魔術師が作った警備、監視用のガーゴイルだそうな。
所が何を血迷ったのかその魔術師、本物の鳥の魂を入れちまって、当然青瓢箪の根暗の言う事なんて
野生の鳥が聴くわけがない。結果数十作ったそれらは起動した瞬間残らず逃げ出しちまいました、とさ」
朗々と語って見せるのはその商品の由来。
正に警備するべき場所を放り出した、無警の鳥である。しかし――
「ただし、その鳥の魂に気に入られれば無二の相棒となる。
そいつはそういう代物だ、幾つかの英雄譚にも名前があるそうだ。
とりあえず、気に入られるって所は合格みたいだが、使ってみる気はあるかい?」
少年の頭をそのまま突こうとし始める鳥の様子を楽しげに眺め見て、
挑戦的に問いかける。
■ブレイド > 「身内…ね。
まぁ、目立ってなんか騒ぎ起こしてるわけでもねぇし
運がいいだけかもしんねーけどな。
……まさか、まさに今騙してるとか呪ってるとか言わねぇよな?」
このあたりに来て日は浅いが…
それでも、三ヶ月ほどここにいるのだから、なんとなく定着している感はあるのだろうか。
だが、この商人のように初めて出会うものだっている。
「くそ……効果がなかったら文句言いに来るからな?」
小銭入れを取り出しザラザラと硬貨を支払う。
この辺の薬の相場はよく知らないが
とりあえず買ってみようの精神。
「厳しいのは構わねぇよ。むしろ、ビシビシ教えてくれたほうがいいさ。
怪我も病気も死ぬのもゴメンだしよ。そん時はよろしく頼むぜ?センセー」
変に騙されるよりはずっとマシだ。
ジードの言葉にうなずき返して、少し冗談っぽく。
そうはいうものの真面目な話、そういう技術が教われるのはとても助かる。
「首いてぇ……ってか、大丈夫なのかよ…これ。
しかもそんないわくつきって
売って大丈夫なもんなのかよ?
いてっ!?いてぇ!!」
頭を突かれるのはかなり痛い。
なんせ石の嘴なのだから。
「気に入られてんのかよ、これ…それにつかうって言ってもたけぇんじゃねぇのか?」
■ジード > 「運の良さも冒険者には必要じゃないかな。
そればっかりに頼ってたらそのうち死ぬけど。
んー?そうだねえ、買わないって言いだしたら呪うかも」
にんまりと口の端を上げて笑って見せれば完全に悪党のソレである。
この周辺はまだまだ人情味のある部類の地域だというのは違いない。
「ああ、文句は幾らでも受け付けるよ。
返品は受け付ける気は更々ないけど」
自信の表れか或いは文字通りの意味か。
あっさりとした様子で応じながら、代金を受け取る。
少年の様子にゆっくりと頷き。
「では、これを渡しておくから今度来る時までに1/3は覚えておくように」
すっとどこからともなく一冊の古ぼけた本を取り出し少年に向かって差し出す。
何かの写本らしいそれの中には図解付きで大量の香草や毒草についてびっしりと記されている代物だ。
自分で言ってた通りに容赦をする気は更々ないらしい。
「大丈夫なんじゃないか?そいつ戦闘になるとビーム打つし。
突っついてるなら遊んでるだけだよ」
少年にとっては知りたくなかっただろう新情報を開陳しながら
頬杖を付いて様子を眺めながら肩を竦め。
「ああ、代金は要らない。もうとっくの昔に貰ってるからな…えーと70年前くらいか。
そいつの前の持ち主から次の持ち主を探してくれ、って言われてね」
その時に代金は支払われ済みである。
あてどない商売であったが漸く肩の荷が下りたといけしゃあしゃあ、言い放って見せた。