2017/08/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 裏通り」にジードさんが現れました。
ジード > 普段から怪しげなガラクタやまがい物が売りに出されている貧民地区の中でも
本当に如何わしい物を取り扱っている店の大半は路地裏にひっそりと佇んでいる。

「やあやあ、何かご入用な物はないかい?一通り――」

その一つである路地裏の入り口付近に設えられた露店の主は、
客が訪れるのを商品を陳列しながら時折通り掛る人影に声をかけていた。
素気無く通り過ぎる者、興味を惹かれるもの、何かを手にして去っていく物。
様々な反応を示しながら静かな路地に一時の喧騒を添えてはまた静寂に引き戻されるのを繰り返していた。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 裏通り」にナイチンゲールさんが現れました。
ナイチンゲール > 貧民地区の露天商が並ぶ通りの端の端の端――甘い煙草の匂いが漂うそこに、彼女はひっそりと店を出していた。
ありふれた風呂敷の上。雑に並べた薬瓶達の前で、ぼんやりと本を読みながら胡座をかいて座っている。咥えた紙巻煙草の紫煙の匂いは、なんだか不思議なほど甘ったるい。
周りの露天商や行き交う人々より綺麗な身なりに、整った顔の女性。不用心にアクセサリーまでぶら下げて、いかにも襲ってくれと言わんばかりの無防備さである。
――しかし、皆誰も彼女に気付くことはない。まるで最初からいなかったかのように、彼女の前を素通りしていく。そんな状況でも、彼女は暇そうに紫煙を燻らせながら本を読んでいた。
甘ったるい煙草の匂いと、その異様な雰囲気に思わず目が留まる……かもしれない。

ジード > 「はい、毎度。まあ頑張って――おや?」

訪れた客へと買い求められた荷物を手渡した所でふと鼻孔を擽る匂いに気が付く。
どこかで嗅いだ覚えのあるそれの正体を探る様に周辺に気を回すと複数ある露天の中でも程近い一つから漂うそれに気が付いた。
興味を惹かれ店をしげしげと眺め見ると見える女性の店主の姿。
相手の店の前まで歩いてゆけば露店の中をのぞき見愛想よく笑いながら声をかけた。

「やあ、ご同輩。景気はどうだい?」

ナイチンゲール > その声に顔を上げ、にこりと柔らかく微笑む。その表情は、おおよそ如何わしい物が並ぶ露店には似つかわしくないものである。

「いやあ、なかなか客が来なくてなあ。暇を持て余していたところだ。出した場所が悪かったかな」

そんなことを言いつつ、パタリと本を閉じ目の前に立つ相手と目を合わせる。表情は柔らかく口角を上げたままだ。煙草は未だふっくらとした唇の間に挟まり、甘ったるい紫煙を立ち昇らせていた。

「それで、うちの薬を買いに来たのか? ……なんて、物珍しいものを見にきただけだろう? ジロジロ見られるのは慣れているから、気にせんがな」

と今度は悪戯っぽく笑いつつ、首をかくりと傾げる。その仕草は少しばかり幼い少女のようで、更に彼女を年齢不詳に見せるかもしれない。

ジード > 「見つける人間だけが見つけてくれれば良い――というには難易度が高すぎやしないかい?
 それ、乗り越えられる人間はそんなに居なさそうだけどね」

どこか楽しそうに笑う男の示唆するのは相手の服用しているものについてである。
正体に程なく行き当たればあまりにご無体な相手の物言いに声を上げ笑う。

「どちらも半分あたりといったところかな。こう見えても薬を商う身の上でね。
 それならほら、気になるのは仕方ないだろう?しかも店主が美人とくれば一つ口説こうという気にもなるのが男の性だね。
 何かおススメの品はあるかい?」

下心を隠しもせず――半面目的を隠しもせずにあっさりと告げて相手の自信作を問う。

ナイチンゲール > 「……ハハハ。まあ“面倒”な男避けとして使っているだけだがな。一切人が来ないと正直商売上がったりだ。たまにいるんだ、こちらに一切興味がなくただ薬を買いに来る男が。……それに、『男騙し』とはいえ私の『術』を掻い潜る君も、ただの『人間』じゃなさそうだがね」

柔らかな微笑みを浮かべた瞳の奥――キラリと光る翡翠の瞳が相手をジッと見つめている。
こちらも楽しげに口角を上げ、男の言い分と問いかけを聞き、一度煙草を唇から離しフーッ……と紫煙を吐く。

「そうかそうか。どうりで同じ匂いがすると思った。魔力の籠められた薬の匂いがね。
……まあ、口説く前にうちの商品を買ってくれると有難いな。オススメはそこの蜂蜜色をした薬と、緑色の薬だ。蜂蜜色のやつは利尿作用のある薬草を入れた、そういうプレイが好きな奴向けの商品だ。緑色のやつは神経を麻痺させる効果もある。拉致する際に使うのがオススメだ」

微笑みながら商品を指差し、用途の説明をする。女が作ったにしてはえげつない作用の薬達。それを平然と並べる彼女が普通の人間の感性を有していないのは、すぐにわかることだろう。

ジード > 「おやおや、余程モテる様だ。確かに口説きたくなる美人なのは認めるけどね。
 それなりの備えが無ければこの辺で商売するのは少し危ないからね」

実際の内容は秘密だと言わんばかりに自分の口元に人差し指を当てて片目を瞑る。
毒や魔法除けの仕込んだローブを着用していることもあるがやはり一番大きな理由は男が人間ではない、という事だろう。
基本的な外見は人間と大差は無い者の勘のいいものはどこか人間とは違うという事に気が付くかもしれない。

「お陰で馴染みのある匂いを嗅いで少し驚いたよ。怪しげな薬を売る奴は数多くとも、
 本当の意味でのご同輩と出くわすことは早々ないからね。
 ――見るからに使う相手のい無さそうな相手に特殊なプレイを勧めるのは酷って思わないかい?
 そうだね、それなら緑色の方を貰おうか。麻痺毒とは大手を振って売ってるのはまた珍しい。おいくらだい?」

少しだけ拗ねたような困ったような口調で文句を言いながらも進められた薬の一つを頼み金貨袋を手に取る。

ナイチンゲール > 「モテるモテないに関わらず、ここは女というだけで襲いかかってくる男ばかりだからな。娼婦を買う金もないんだろうなあ。
……ふむ。興味はあるが言わぬが花だな。下手に手を突っ込んで噛まれたら堪らん」

相手のジェスチャーを見て、細い顎を触り興味深そうにしつつも深くは突っ込むことはしない。蛇のいる藪に手を出す程、馬鹿でも好奇心旺盛でもない。これ以上相手を探るのはやめ、いつも通りに微笑みを浮かべる。

「私もだ。匂いから察するに、かなり薬草に触れていそうだな。君の売る商品もなかなかに気になるところだ。
――ああ、それはすまん。だが、別に全く使わんということもあるまい?買っておいて損はないと思うが。無理には勧めんがな。
緑色の方か。麻痺毒なんぞここでしか売れないからな。表で売る時は絶対に出さん代物だ。代金は20ゴルドだな。ここに置いてあるものは全て20ゴルドで販売している」

指を差した薬瓶の金額を告げ、金と引き換えに手渡す。薬瓶には何もラベルが貼っておらず、一見しても用途がわからないようになっているだろう。