2017/04/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にノエル・ベネトーさんが現れました。
■ノエル・ベネトー > 先日初めての海を堪能したエルフ。
何だかんだと漂流したりちょっとした冒険になってしまい、数日間帰宅できなかった。
冒険は楽しかったが数日ぶりにベッドで眠れるのも楽しみだ。
たっだいまーと、家のドアを開けようとした―――が。
「あ…………、鍵…。」
やはり先日の話。泳ぐ際に着ていた服を脱ぎ捨てたので、
どさくさに紛れて一緒になくしたことに今頃気づく。
数十分間そこで悩んだが、どうしたらいいかわからず、ふらりふらりと近くの緑地広場へと足が向く。
居候させてくれている方が帰宅すればよいのだが、仕事の関係もあるし他の場所で
夜を過ごすこともあるだろうし、運が悪ければ一晩…もしくはそれ以上
家に入れないなんてこともあるのだろうか。
「ん~~~困りました…。
お金もありませんし、……。
でもあったかくなってきたからお外で寝れますかねえ。」
冒険の影響か、野生児思考になった気がする。
ベンチに座り、足をぷらぷらさせる姿は家出中の少女といった雰囲気。
―――あくまで雰囲気。見た目は全然少女じゃない。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にジアさんが現れました。
■ジア > 少年は今日も今日とて布で包んだ武器を背負い袋に入れて、配達のために町を歩いていた。
届け先に一つまた一つと納品を終えるうちに、袋に入っているのは届け先の書かれていない武器が一つ残るだけとなった。
すっかり下働きの配達にも慣れたものだが、背中が軽くなってくると自然と気分も良くなって、足取りも軽くなる。
配達自体は終わり、どこかで休もうかと考えたところで、近くにベンチがある緑地広場を思い出し、少年の足はそこへと向いていく。
「ふぅ、ちょっと休もうかな。わぁ…」
少年が広場に入ると、その視線の先には尖り耳の相手がいた。
エルフ、という名前は知っていたものの、取引でも実際に見たのはまれな相手で、じっくり見ることは初めてかもしれない。
緑地広場の植生と合わさって森の住人そのものに見えるのは少年の主観で、まさか家を閉め出されているとは思わず、立ち止まって興味が引かれたようにその脚はベンチへと向かい。
「こんにちは、おねーさん」
好奇心が抑えられなかった少年は、荷物を背負ったまますたすたと相手の前まで歩いて行けば、工房の下働きで覚えた挨拶で話しかけていこうとする。
■ノエル・ベネトー > どこで寝ようか、あまり硬い場所では寝たくないのだけれど。
などと本格的に野宿を検討していたため、声を掛けられて我に返り顔を上げる。
自分を「おねーさん」と呼ぶに相応しい年頃の少年がそこにいた。
一時、彼自身よりもその背後や周囲に視線を巡らせたのは、保護者の姿を探したせい。
もっとも、そこまで幼くはないのかもしれないけれど。
「こんにちはー。
……ここに座ります?」
ベンチは他にもあれど、近寄って来るそぶりに真ん中に座っていたお尻を端っこに寄せて移動しつつ、にっこり問う。
はたから見れば大人の女性と少年だろうが、今の女性は一文無し。
勤労に勤しむ彼を労うお菓子の1つも持っていないし、できることはそんな他愛のない一言を掛けるだけ。
■ジア > 相手の傍まで歩いていくと、脚を揺らしていた相手が何かを考えているようだった。
そうやって何事か考えている様子も、見たことのないエルフの神秘的なイメージと合わさっていて、少年が控えめな性格なら物怖じしていたことだろう。
好奇心の強い少年はむしろ、そういう存在が町にいることで、身の上と比べて興味を掻き立てられるほうだった。
相手が周囲に視線を向けたことには、多分迷子の子どもに思われたのだろうかと内心苦笑しながら気にせずにいた。
「あ、ありがとうございます。
ボク、ジアって言います。あの、おねーさんって、エルフなんですか?」
ベンチの横を譲ってくれる相手の問いかけに、少年は笑顔で答えながら背負っていた袋をベンチの傍に置いて座る。
そして相手の方に向き直って、興味津々にその尖る耳を見つめながら目を輝かせて問いかけた。
■ノエル・ベネトー > 王都に来てから物珍しく見られる機会がたびたび。
少年の視線もそんな既視感を覚えさせるもので、やや顔を背けることで
耳を彼のほうへと向け、人差し指でちょんちょん、と耳先に触れて見せる。
尖った先がほんのりと桜色に染まった耳が、ほんの少し揺れた。
「ここでわかりました?
そう、エルフなんです。名前は、ノエルと申します。
えーと………ジアくんは人間…ですか?」
次いで、まじまじと見るのはこちら側になる。
何せ王都に来て日が浅く、接する種族も数えるばかり。
牙や角が生えている気配もないし、人間だろうと思うのだが。
■ジア > 相手が見せてくる尖った耳が、少し赤くなっている様子に少年はきょとんとしながら、じぃっとそこへ凝視するような視線を向けてしまう。
「やっぱり!ノエルおねーさんって言うんですね。
へっ?えっと、人間みたいなものです、今は…」
相手がエルフだと自ら答えると、少年は一層嬉しそうに目を輝かせる。
自分もおとぎ話のような存在だったくせに、異種族の相手に対して好奇心をくすぐられていた。
そして、相手にまじまじと見つめることは特に困らなかったものの、聞かれると思っていなかった問いに少年は、素っ頓狂な声が出た。
その正体とこうなった経緯のせいで、首から下げた指輪を弄りながらもじもじと歯切れ悪く答えることに。
「そ、そういえば、エルフの皆さんって、森や海に住んでるって本で読みましたけど、町だと普通の家に暮らしてるんですか?」
それを誤魔化すように、少年は相手に問いかけようとした。
頭の中に浮かぶのは、絵本の挿絵に描かれる木の幹に窓や扉が生えたイメージ、本当にそんな家があるのか見たこともないけれど。
■ノエル・ベネトー > 「…照れ屋さんですか?」
みたいなもの、という言い回しを気にすることはなかったが、首元の指輪を弄る仕草はそう見えた様子。
実年齢はともかく、精神年齢が自分を上回る人々とばかり接しているので
相手の反応は微笑ましく、ふっと笑い声がこぼれた。
重ねられる問いに、ちらり、ここからも見える建物を見遣る。
“普通の家”に暮らしてはいるのだが、今は鍵を失い、状況あんまりよろしくない。
「う~ん……町の中にどなたかが住んでもいいよって仰ってくれる
大きな森ができたら考えますけど…今のところそこまで深い森は
ここでは見たことないですねえ…。
ええと…普通の家、ではあるのですが、今ちょっとわけがあって帰れない、ので…
やっぱり野宿するとしたら木の下でしょうかね。」
大真面目に話題がすり替わる。
夜も更けてきたことだし、本格的に野宿の算段をせねばなるまい。
家も近いし、ここでもいい気がする。
見目幾分も年下の相手に、神妙な面差しを向けるのであった。
■ジア > 「え?ち、違います、ただ答えにくい事情があって…純粋なヒトとは違うんです」
照れ屋という相手の言葉も予想外で、いきなり会った相手に正体を告げることに抵抗がある。
とはいえ、相手がそれを理由に何か危険なことをしてくるようにも見えず、少年は正直にその一端までは答えることにした。
そして、相手が視線を向けると、それに同調していけば見えるのは町でよく見る普通の家。
「そう…なんですか、い、いえ、そうですよねっ。
えっ、の、野宿するんですか?おねーさんが?それって危ないんじゃないでしょうか」
目の前にある家は、少年の思い描く絵本の世界とは違い、少しだけ落胆したような表情になるが、それは失礼なことだろうと慌てて表情を引き締めて言葉を次ぐ。
きっとエルフならばあの家に、と考えた少年はそもそもそんな家を街中で一度も見たことはなかった。
そして、野宿という相手に、少年は腰を浮かしかけながら驚く。
少なくとも冗談を言っているようには見えず、傍目にも荒事に向いてなさそうで、少年は座り直しながら素直に忠告するように言った。
■ノエル・ベネトー > 「あ、…ハーフさんとかですね。
秘密なら仕方ないですよ。
よく…知らないんですけど、ミレー族の方とかは正体知られると
あんまりよくないって本で読みましたし。」
まったく鋭くないエルフにその言の葉で察することは難しかった。
自分の出身集落でも他所の血が入ると長老がすぐ赤子を取り上げるなど、
後ろ暗いことはあったのであまり追及できない。
曖昧に微笑み浮かべたのち。
「危ないですかねえ。
じゃあ…うーん…でも一晩中起きてる自信がないんです。
あっ、そもそもジアくんだってもう寝なくていいんですか?
わたしがジアくんの年頃の時は暗くなると眠くなっちゃいましたよ。」
忠告受けてものんびりとした口調であった。
もともとの性格に加え、何かと優しい人々に助けてもらえる運のよさがあるようで。
思案に視線が巡るが、はっ、と、気づく。
まだ少年真っ盛りな相手を夜更かしに付き合わせている事実に。
幼子のような扱いして、少々慌て気味。