2017/01/28 のログ
■エアルナ > 「食性とはいえ…悪趣味な植物ですっ」
たぶん、もとは劣悪な環境で育つための進化だったんだろう。
けれどずいぶんゆがんだ形になったのは…よそう、いまはまず倒さないとこちらが危ない。いろいろな意味で。
「わかりました。…ご武運を、マティアスさんーー」
蔦でいいのか、とちらりと目をやり。それから見事に切り落とされ確保された経過を見届ける。
なるほど、見事な腕前だ。 が。
見惚れたのが、まずかった。
「…きゃっ、なに?!」
沼の中から、急襲だ。二本の蔦が低い位置からこちらを狙ってーーそのうち一本は、狼がくらいつき押しとどめるが、まき疲れて。
「ペロっ?!」
そして。一瞬注意がそれたすきに、もう一本の蔦がぎゅうっと…両方の足首あたりに巻き付き。グイッと引っ張られて、思わず転倒する…もちろん氷結の魔法を放つタイミングを狂わされて。
■マティアス > 「いや、逆にそのように創られたのかもしれないね。……実にどうでもいいこと極まれりだが」
自然の進化として考えるにしては、実に歪んでいるようにも思える。
魔術や或いは魔族が作ったものか? 成り立ちの理由云々は幾らでも考えられる。
だが、結局のところ今はそこまでだ。益にもならない考察は脅威がなくなった後にいくらでもできる。
「ッ! いかん!!」
そんな中、断ってもまだまだ残る蔦が彼女の方に喰らい付く。
首尾よく足首に巻き付き、皮膚上からじんわりと体液を浸透させにかかりながら宙釣りにしていこうとする。
一本伸びる触手は恐らく、直に体内に局所から侵入して芯を強制的に疼かせて絞り取ろうとする腹か。
「プロスペロ氏。僕も動くが、うまく受け止めてあげておくれよ。
奔れ――咆えろ、ジルヴァーラ!」
ぐっと剣の柄を握り、周囲に浮かせた魔力塊を刃に纏わりつかせてさらに高める。
黄昏色の空で、眩く煌めくのは白銀の輝き。
下から上へと切り上げる動きをなぞり、放出される魔力が鎌状の刃と化して中空を滑る。
高められた魔力刃が蔦を中途から断ち切り、役目を果たして消失する。
その光景を放つ光刃のあとを追って走り、見届ける。助けが間に合うか、否か。
■エアルナ > 「クッ、放してっ」
引きよせられるだけでなく、宙に持ち上げられるとはさすがにあまり予想していなかった。
しかも逆さづりである、体勢的に仕方ないと言えば仕方ないのだが…問題は。
「きゃあっ、だめっ!」
ロングスカートである。
それが逆さにされれば、当然…下のほうへ向く。ウエストのあたりから、見事な逆さキノコというか、つまりは…普段隠している足の曲線が、もろにさらされる羽目になって。
品のいい上質な下着まで、見えたかもしれない。
「み、見ないでっ――あぁっ!」
あたふた、予想しなかった事態に動転していると。
そこで、いきなり、おちた。スカートがかぶさって本人には見えなかったが…どさっと地上に墜落する前に。
滑り込んだ白い毛皮が、その衝撃を受け止めてくれた…
■マティアス > 「――……!」
音を文字に直すなら、シャアアとかギャオオとかいう擬音が並ぶに違いない。
植物型のこの魔物に発声器官はないが、消化器官から吐き出される排気がそんな音を立てる。
逆さ吊りにするのは、催淫作用を伴う体液を速やかに生物の脳に到達させるためでもあるのか。
だが。それも逆さ吊りにしようとする蔦自体を断ってしまえばいい。
緊急事態だ。光刃で灼却しきれなかった体液がいくらかかかってしまうのは、やむを得ないか。
嗚呼。ついでに……。
「うん、見なかった。僕は何も見なかった。……多分ね!」
ばっちしみてしまったのは、どうしようもないことである。
戦闘中となれば、明後日の方向を見るわけにもいかない。
ともあれ、ちゃんと狼氏がキャッチしてくれたのにはほっとする。
「仕切り直すとしよう。我が撃意を象りて――番え、放て。」
剣を持つ右手を横に振るい、剣より拳大の魔力球を生む。
短い詠唱に伴い、その魔力が細く絞られた光線と化して、放出される。
属性を伴わない貫徹力の具現。狙うは水面に顔を出した球根の如き胴というべき部位。
穿たれれば、淡く色づいた体液がその向こう側に吐き出される。
その情景に、しまったなと思わず顔を顰めて。
■エアルナ > 「ありがと、ペロ…」
とりあえず、助かったらしい。いや、つかまれた足はなんだか熱いし、なにかかかったみたいな変な感じがするけど。
スカートを急いで直しながら見れば、…少々聞き流せないセリフが聞こえたが。
「…―-見えてる、じゃないですかっ」
赤面。いや、あの姿勢で見えなかったという方が不自然ではあるが。怪物との戦闘、不意を突かれた自分のほうが悪いと言えばわるいのだがーー
「…―-か、覚悟しなさいっっ!」
矛先が、怪物に向いた。
「真冬と北の氷結よ、今ここに来たれ――邪なる存在を凍てつかせよっ!!」
一瞬、魔力がググッと盛り上がり、その掌に極寒の冷気を生み出すーーそして。
思い切りそれは、怪奇植物の胴体にぶち当たった…ぴしぴしぴしっと、表面が冷気に凍り付いていく。
■マティアス > 「ははは、うん、ばっちし見てしまったね!
だが、後からが少々心配だが、それは兎も角として……あー、仕方がないか」
あの魔物の性質を思い出してほしい。
体液を沁み込ませて、より絞り取れるようにしてから獲物を貪るのだ。
如何わしい方向に利用価値のある液体を無加工のままに身体に入ってしまったら、どうなるか。
当然といえば当然の怒りをぶつけようとする姿を見つつ、心配になる。
「できたら、あの胴体の中身まで押さえられれば良かったんだが……あの調子だと無理だろうね。
是非もなし、だ。この際しっかりと根絶やしにしておく方がいいな。
では、仕上げにかかるとしよう」
剣を地に突き立て、空く両手で幾つもの印を切る。
指運を彩る魔力光が描くのは、他でもない。数画の直線で構成される文字の群れだ。
己を中心にした円環状に文字列を並べ、引き抜く剣に集わせる。
「増幅」の術式を連ね、剣の機能をより強く励起して引き出すのだ。
さらに自身の肉体に身体能力向上の術まで掛けたうえで、走る。
「汝にこの地を統べる由縁なし。――白銀の威を享けて、消えて失せるといい!」
飛び上がる。目指すは岸辺に乗り上げるような形で凍てつき、動きを止めた魔物。
その肥え太った本体に白銀色の眩い光を纏う剣を叩き付ける。
すらり、と放つ剣筋に沿って芯まで凍り付いた胴体が割れ、その内側から光を溢れさせて燃え上がる。
斬り、祓い、その上で焼き尽くす。体液も時間が立てば揮発し、秘めたる作用を失おう。
■エアルナ > 「マティアスさんっ!」
やっぱり見てた。と思えば恥ずかしさに顔が熱くなる…なんとなく火照るのが顔だけじゃないような気がするのは、気のせいか?
魔物の体液に触れてしまったのは確かなのだけど、…そういえば。
魔物の体液に。その、如何わしい方面の効果があるとかいってなかったか、さっきーー
「……ぅ、」
冷気で動きを止めた植物怪物に、白銀の剣が振り下ろされ。
燃え上がるのを見届けて、ぞくっと背筋が震える。
さっき切り落とした蔦があるから、依頼自体は、これで果たしたことになる…の、だけど。
見上げればほぼ日が暮れた夜空。
はぁ、と熱のこもった息をついて、自分の身を自分で抱きしめる――目も潤んで、落ち着かない気分だ。
■マティアス > 「……これにて一件落着、か」
最低限の要件は果たした。
魔物の体液の生成源自体を摘出できれば最良だったが、蔦の一、二本があれば採取は不可能ではない。
何せ、素の状態では持ち帰るのは難がある。その場で適切な手段で必要分を抽出するのが面倒がない。
凍てついた大気の中で白い息を吐き出し、剣を一振りして腰の鞘に戻す。
鼻先にずり落ちた眼鏡を押し上げ、肩の力を抜いたところで懸念している事態に向き合おう。
「ああ、うん。大丈夫かね?エアルナ嬢。
……異様に火照ったり、躰の芯が疼いているような感じと思うが、如何に?」
処置は早めに済ませたいが、こちらが先だ。
自身の体躯を抱き締める様子の相手に歩み寄りつつ、声を投げる。
彼女の前に立ち止まれば、失礼、と言いながら右手で左頬に触れ、その顔を覗き込もう。
■エアルナ > 「あまりーー大丈夫じゃない、です…っ」
脚に体液がかかった影響は、火照りや熱の形で表れていた。
ひどく酔ったような感覚に少し似ている、のだろうか?
声や目に、艶めいた感じが無意識に加わり、それから…胸元が妙にきつい感じがする。
ふと触れて来た青年の右手に、ドクン、と胸が高鳴って。
「これ、…どうすれば、治ります、か…?」
瞳と瞳があえば、熱を宿したまなざしで、じっとすがるように見上げて――
■マティアス > 「だろうねぇ。……言うまでもない、って奴かな」
本来ならばもう少し、成分を調整してから使うものだ。
薄め、余分な効果を出さないように角を削ったうえで納品する類のもの。
その上で一つ、心配なところがあるのはこの手の感覚が何を意味するのか、という知識の有無だ。
率直に言えば、彼女が処女である可能性が非常に高いという予感である。
「単刀直入に云うと、二つ。
毒気が抜けるまでずっとそのままでいるか、或いはまぐわってみる位だろうね。
――僕とで差し支えなければ、だけど。」
じっと顔を近づけ、間近でその目をのぞき込みながら問おう。
自分とて男だ。煩悩その他もあれば、催した肉欲を娼婦相手に鎮めるということもある。
選択肢は示した。あとは彼女次第だ。
■エアルナ > 「…原液、そのまま…でした、ものね」
薬はちゃんと成分を調整して使うのだけど、今回は原液をそのままーー適正な量かもわからずに触れてしまった。
事故、もいいところだということくらいは分かる。
頭がくらくらして、足がふらつきそうな熱が、普通でないくらいは分かる。
けれど。
「…え?」
聞こえた治療法の。意味を理解するのが少し遅くなって、思わずそんな声が出てしまった。
いや、如何わしい薬の原液がらみなら、…その回答は間違っていないはず、だけど。
だけどそれはーー顔が、いろいろな意味で熱くなる。
顔を、目を覗き込まれているのが、なぜか狼狽してしまう。
ただ。毒が抜けるまでずっと、というのは――
「…助けて、くれますか?マティアス、さん――」
■マティアス > 「――正直、適量以上はキているんじゃないかね? 目分量で申し訳ないが」
薬も毒も適量を守って使いましょう、ということだ。
適度な水分補給が前提とはいえ不能者でもガチガチに勃たせて、吐き出させるための用途にも使える。
どうしたものか。生殺しが過ぎると、いっそ気が狂いそうな気さえしてしまう領域である。
「なら、決まりだね。……もう少し我慢してくれるかな。今は、こちらで」
相手の左頬に添えた右手はそのままに、己の方から顔を寄せる。
顎下に指をひっかけて上向かせることが叶えば、その唇を啄んで奪ってみよう。
それだけで果てるようなことは流石にないにしても、性の手ほどきがなければここもまた必要になるだろう。
今は、後始末もある。手早く片付けるにしても、夜に遷ろう寒空の下でまぐわう程の酔狂は己にはない。
■エアルナ > 「…そうかも。きついお酒を、うっかり飲んだみたいなーーそんな感じ、ですから。」
お酒はそこそこ飲めるのだが、いわゆるザル、ではない。
媚薬もいちおう薬なのだし、適量はあるんだろうが…
考えが落ち着かないで、あちこちにとびそうだ。
不意に上を向かされ、唇をふさがれたのがなんだかわかったのはーーそのキス、がいったんすんでからで。
「?!」
真っ赤に顔を染め、見上げるのは…ごくいつものような落ち着きの青年の顔で。
「マティアス、さんーー…」
■マティアス > 「……正直、こういう問いは好きじゃないが、嗚呼、いや、さすがに無粋かな」
物のたとえから、ふと想定している可能性のうちの一つの確度が上がる。
場合によっては、か。幾つか覚悟を決めなければならないだろう。
穢れなき乙女を黒く染めて堕すのは、それはそれで甘美な愉悦があるだろう。
だが、粋であることを善しとするのならば、乙女にその純潔の有無を問いただすのは無粋の極みである。
「今は、これ位でお願いするよ。後始末がまだなのでね。
……せめて何処ぞの宿に入るまで、我慢できるかな?厳しいなら、別の手を考えるよ」
一刻も早く、何処か屋根と壁のある場所に入るほうがいい。
しかし、仕事も完遂しているという状況ではない。
後始末を終えるまで我慢できるか。自慰も知らない有様だったら、余計に酷ではあろうが。
唇を離し、仕方がないと両肩を揺らしながら問おう。
■エアルナ > 「…?」
さすがに。口に出して問われなければ、応えもだせない。
だから最初の問い?には何も言えなかったけれど。
「後始末…あぁ、そうですね。あれをこのままにしておくと、また妙な現象が起きかねません、しーー」
たぶん。ここを毒沼にしたのも、この怪奇植物だ。
そう推測すれば、よけい…無茶はできない。
「宿に戻るまで、くらいならーー何とか歩ける、と。知らない夜の森がどれだけ危険かは…わかって、いますから」
こんな怪物がいた沼のそばだ。
他にも妙なものが潜んでいる可能性は否定できない。
だから、と…案じるように傍によってきた白狼によりかかりながら、なんとか、笑みで応えようとして。
■マティアス > 「……まあ、あとは、褥で尋ねさせていただくよ。其処ならすべて詳らかになる」
とりあえず、方針としてはこの位だろう。
問うにしても何にしても、片付けをきちんと終えていなければお話にならない。
絞り出して採取するのは我にあり。
残った部位から継ぎ木でもするが如く、生えださないという保証がないならばきっちり焼却しなければ。
「心得たよ。もたないと思ったら、遠慮なく言ってくれると有難いかな」
付き添いの獣によりかかり、気丈にも笑みを見せる様に頷いて背を向ける。
出来る限り急いで片付けにかかろう。採るものを採り、灰にするものを灰にする。
焦らすのも愉しみと云えど、過ぎるのもよくないもの。
月が夜空にかかるまでには、街につけたか。其れを綴るはまた別の話にて――。
ご案内:「設定自由部屋3」からエアルナさんが去りました。
ご案内:「設定自由部屋3」からマティアスさんが去りました。