2022/08/23 のログ
ご案内:「平民地区/雑貨商店」からセリアスさんが去りました。
ご案内:「王国軍第七師団駐屯地」にサロメさんが現れました。
■サロメ >
タナール砦から僅か離れた王国軍領
王都との間にいくつか点在する騎士団用の駐屯地の一つ
「……さて」
その、隊長クラスの使用する執務室の一室でサロメは書類と向き合いペンを走らせていた
時折首を捻っては、溜息を吐く
この作業の間に幾度かそれらを繰り返していた
「…また一悶着ありそうだな」
ペンを起き、背もたれに背を預ける
何が悶着ありそうかといえば、端的に言えば金の問題である
■サロメ >
アスピダの問題の解決が見えない中、
そちらには関わらずタナールや王都内での魔族を牽制し続ける第七師団
国の予算は当然、発生している問題の解決当たる騎士団に割かれることになる
そして第七師団のしていることといえば特に変わらない
前師団長のように無理矢理上を納得させ魔族の国へと侵攻を行ったりこそしないものの
それでも騎竜の育成や維持、砦を落とせば修繕もその度必要になる
人員も当然タダではない
攻防のたびに怪我をする者もいれば命を落とす者もいる
そして何より、前団長からの遺恨でもあるが──王国貴族達へのウケが悪いのだった
理由は単純明快、過去の過ちに加え、王城内部…貴族たちの中にも魔族の手が忍んでいるからに他ならない
「──尻尾を振る、でないにしても。もう少し話が通ればな」
幾度か陳情はしてみたものの、意欲的に耳を貸す者は大体が俗な者ばかり
二言目には身を任せろだのという言葉が飛び交う始末
前師団長の頃はそんな返しの言葉はまずありえなかった
当然だろう、前師団長、オーギュスト・ゴダンは男だったのだから
■サロメ >
無論敵ばかりというわけでもなく、協力的な他の師団との連携で今はどうにか状況を維持している
特に第七師団の面々では器用にこなせない諜報や物資の適切な運搬や流通管理など
名乗り出てくれた各師団長には頭も上がらない
──席を立ち、窓際から外を見下ろせば荒々しくも技練に勤しむ団員達の姿が見える
第七師団は対魔族戦闘特化の師団
当然人間相手とは違う戦略・戦術・戦技も必要になる
人相手との鍛錬だけでは得られない経験値があり、それは主に魔族の侵攻…現在ではタナール砦での攻防が主軸となる
いくらかの指南書程度では、一流の対魔族戦力は育たない
そう考えれば、一度の壊滅からここまで、十分過ぎるほど成長したといっても良い筈
「…もう少し彼らにも豪勢な飯を食わせてやりたいところだが」
──危険な仕事の割には給料は高くはないだろう。金、金と考えすぎるのも気が滅入るが──
「シュトラウス家も金が溢れているわけではないしな…」
外の光景に背を向け、執務机にかけ直す
机の一番下の引き出しを開けると、ラベルの古ぼけた酒瓶を取り出し、机に置く
■サロメ >
王国貴族に尻尾を振るような真似はしない
それは今は亡き前師団長も良しとしないだろう。当然自分もそうだ
名のある商団と連携を取ろうか、それも難しい
なぜなら王国領の商団にとって魔族もまた客である、というところが珍しくないことを知っている
それくらいはマシなほうで、魔族や魔王が取り仕切っている商団すらもあるくらいだ
魔族にとっては邪魔な存在、王国にとっては金食い虫、という立場は今も昔も変わっていない
せめて自分の家柄がもっと……と思わなくもないが
家督は当然兄が継ぎ、自分は自分の意思で王国騎士の道を選んだ。それを求めるのは我儘だろう
「──さて」
「一度壊滅した師団をちゃんと動くようにまで立て直したんだ。
女の身では十分やったほうじゃないか、師団長殿」
話しかける先は、机の上に置かれた酒瓶
第七師団の執務室の机には必ず、引き出しに酒瓶が入っている
前師団長の残した酒が、今もあちこちの駐屯地の机に残っているのだった
「私も若い時代は過ぎた。
至らない頭目ではあっただろうが、そろそろ後進に道を譲ってもいいのかもな」
中身の残る酒瓶を揺らし、中の茶褐色の液体の揺れる様を眺める
先を譲る、というのならそれが自分の最後の仕事、前師団長のように戦死して押し付けるような真似はしたくない