2021/02/23 のログ
ロザリア >  
「吾は、魔族など、魔王など…信頼に足る存在だと思ってもいなかった」

「しかし、お主のような者もいる……その立ち振舞、物腰、言動…吾が身の振りを改めてしまうほどに、綺麗である」

手をとり、流れるように言葉を続けてゆく城主
人間には勿論、同種ではないにしろ同族と言える魔族に対してすら、
この吸血姫は信など置いたことがなかったのだ
友、と呼べる者はいたが、それはあまりにも純真無垢な魂であった
こうやって会話を交わさねば信など生まれよう筈もなかった
それをロザリアは、恥じたのだろう

「ふふ、恩を返すどころではない。
 吾はお主であるからこそ、この話が出来た。
 領土間の仲を取り持つ要である。──よろしく頼むのだぞ。シュティレ」

手をとり、ふわりと柔らかなハグ
気の遠くなるほどの歳月を遡れば人間であったロザリアの知る、親愛の表現…
死祖たる少女の身体からは熱も、心音も伝わらない
代わりに、そちらのドキドキは…伝わるのだろうか…──

シュティレ > 「―――それは、ロザリア様、自分を顧みて下さいませ。
 貴女こそ、信頼に足る魔王ではありませんか。
 魔の王というだけであり、邪悪では、ありません。」

そうなのです、彼女の行動は、高貴であり、そして、尊いものなのです、だからこそ、領民もこの王を信じている。
詰まるところ、彼女の行動が、信頼を引き寄せた、それだけの事だと、思うのです。
ただ。―――ただ。

「そんな、綺麗という程では……!」

何方かというと、私は騎士です、武骨なもの、なのです。
貴族としての心根、立ち居振る舞いなどは王より学んではいますが、その根底にあるのは、武であるはずなのです。
綺麗な秘目に綺麗と言われてしまえば、顔が熱く赤く成ってしまうのです。
恥じるべきことは、無いのですと、思うのです、と、私は、言いたくて。

「身命を賭して。
 ええ、ロザリア様の領の民の為にも、弱気彼らの為に―――


 ――――ひゃわぁぁぁっ!?」


頭が、白くなりました。
柔らかいのです、良い匂いがするのです。
何を言っているのか、わからなくなりました。
ハグ、されてます。きゅと抱きしめられてしまってます。
親愛のそれだと頭の隅で判って居ても、私は、思わず、はしたなくも素っ頓狂な声を出して。

きっと、少ししたら、楽し気な笑いが、零れてくるのでしょう。
ただただ、親愛に、応えたい、そう、私は決意をしたのでした。

ロザリア >  
「そうか…魔の者にとっては、であろうが…」

魔の眷属にとっての信頼足る魔王であれば、あるいはそれで良いのか
成程と、内心思う
遠き時の流れに埋もれているとはいえ、元人間である意識はそうそう消えないのだろう

「…ふふっ、随分と愛らしい反応を見せるではないか」

くすりと笑って身を離せば、楽しげに頬を緩ませるロザリアの顔
そんな大きな声をあげられるとは、思っていなかった
目を細めて笑う表情は、普段の淡々とした言動に反して、見た目通りの幼さすら感じるようなもので…

「吾からの親愛の証である。
 …そちらの流儀での親愛を示し方があるのならば、吾もそれに倣うが…?」

吐息を感じられそうなほどの距離感
じっ…と、エメラルド色の大きな瞳が見つめて…

シュティレ > 「そもそも、魔王もそうですが、魔族という物でさえ、ヒトが、勝手に呼称をしたものではありませんか。」

自分たちと区別を付けたいから、魔族だから、魔王と、安直に決めただけ、と私は思うのです。
彼ら、ヒトよりも、魔法や魔術に長けているから、魔族と呼称し、襲い掛かってくるようなものではないか、とも思ってます。
ヒトの方が、蛮族らしいと。ただ、彼らの観察眼や、技術の作り方には私は一目置いてますし、其処に師事を求めました。
だから、吸血鬼殺しの技を、身に着けたのです―――と、また、思考が滑りました。

「あ、いえ、あの、あくしゅ、だけ、かと思ったもので。」

美しい人から、不意に抱き着かれたら誰でもそうなります。ええ、なりますとも。
楽しそうに微笑むロザリア様の顔は、まるで花開くかのように、匂い立つくらいの美貌です。
ほら、執事さんも、見惚れてます。
何と言うか、反則、とそんな言葉が思わず頭の中にぐるぐる駆け巡ってしまうのです。

「えぇ、と。いえ、私共も、親愛であれば、握手やハグで、す。」

吸血鬼としての親愛となると―――否、あれは、もう一段深い物ですし。
私は何を考えているのでしょう。
余りにも美しい方にハグを頂き、舞い上がりすぎているのです。
目の前、吐息が掛かるぐらいの距離、甘い、素敵な香りがします、華の様な、香りがします。
大きな目が見つめてきて、私の顔が赤く成ります。

「―――ぁ。お手を、お貸しいただいて……も?」

騎士としてそれならば、姫に行う親愛の。
手の甲に、口づける事、お許しいただけるのであれば、と。
顔が熱く、ええ。
白いはずの肌が、桜色に―――もしかしたら、もっと赤く色づいてしまって居るやもしれません。

ロザリア >  
「…で、あるな。お主の言うことは、理に適う」

区分など誰かが作るもの
そして数に勝るであろう人間の作った区分がまかり通っているのだ
それは、魔の眷属としてはやや複雑でもある事実なのだが──

不意打ちに、素っ頓狂、な声をあげてしまったシュティレを見る眼は、悪戯が成功した子供のように楽しげなもの
本人にそのつもりはなかったのだろうが、それくらいに意外な反応だったのだ

やはり親愛の印たれば、似た行動となることをシュティレの言葉に聞き、頷く
その朱の差した顔が、存外に可愛らしく見える

「手を?──うむ」

成程、と察して、手の甲を差し出す
白く、細やかな指の…傷一つない手だった

シュティレ > 「ですから、ロザリア様は―――正しく、王なのです。
 そして、領民、国民といった方が良いのでしょう、彼らの信頼を得ることの出来ている。
 信頼が出来る王……と、成るのです。」

ですから、信頼に足る存在というかどうかは、本人を見る必要もありますが、民を見れば、屹度わかるのだと思います。
私は、そう、締めくくる事にします。私も、ロザリア様には、信頼してもらえる人物であり続けるよう。
努力を致しますわ、と、目を細めて笑って見せます。
貴女様の信頼を裏切らぬように、誓います、と。

「ロザリア様に、親愛を。」

差し出されたのは、美しい手の甲、私は、その手を取り、甲に、口づけを。
騎士としてならば、これが一番の親愛の証、美しき姫にさせてもらうと言うのは、光栄の極みでもありますし。
本日だけで、いったい何度の光栄を頂いたのか。
頭がくらくらしてしまいそうです。

「そういう意味であるならば、領地を持ち、伯爵位と云えども、爵位を持つ私も。
 ヒトの分類から言えば―――魔王なのでしょうね。」

ヒトが、魔王を決めるそのものさしは判りませんが。
ある程度以上の実力と。ある一定以上の領地、と考えれば、私もその分類なのかもしれませんね、と。
今は遍歴として、此方の国に来てはおりますけども、と笑って見せましょう。

ロザリア >  
"親愛を"
その前置きの後に静かに手の甲に口づけを受ける

「──…まるで姫でもなった気分であるな」

吸血姫、などと呼ばれてもそれは単なる呼称
自身が死祖たれば高貴な血を引いているわけでもなく…
どこか、むず痒さを感じてしまう
──決して、悪い気はしないのだが

「ヒトから見れば、そう変わらぬのかも知れぬな。
 もっとも、かつて在った吾などを欲する下卑た魔王達と比べれば、余程お主のほうが魔王として相応しい」

眼を細め、口の端を小さく微笑ませる
執事にせっつかれてはあるが、今宵謁見の場を開いて良かったと、心から思うのだ

シュティレ > 「姫様でも、良いかと思われます、王が、お嫌であれば。」

ええ、ええ。斯様に可憐な乙女なのですし、寧ろ、姫でも良いかもしれません。
王の話題、王としての威厳などがあったので、先にそれを呼称してしまいました。
しくじりました、とはふ、と私はため息を吐き出してしまうのです。
何時までも、姫の手を握っていては不躾なので、名残惜しいのですが、離すことにしましょう。

「いいえ?いいえ。
 残念ながら、私はヒトの国にも潜伏しておりまして、其処では、一応―――淑女としております故に。
 それに、遍歴の騎士ですわ。
 本来、統治して置くべき領土を、代理に任せてますし。」

相応しいと言われて嬉しくはありますが、辞退をしておきましょう。
私はこの国の物ではありませんし―――何よりお役目があり、此処に居たのですから。
今は、もう、そのお役目もなくなりましたが、新たなお役目も出来ました。

「それに、国と国をつなぐ架け橋が、魔王というのは、少し、締まりがありませんわ?」

ええ、私の国と、ロザリア様の国。
龍公と、彼女への橋渡しは、ある意味でいえば、連絡係であります。
連絡係の魔王というのは―――少しばかり、面白い存在ではないでしょうか。
威厳とか何もなさそうですよ?と私は目を細め、首を傾いで問いかけて見せましょう。

ロザリア >  
「臣下がいる、というわけでもないのだが…ふむ…」

姫様、なんて呼ばれれば僅かに眉を顰めて
不快といった雰囲気ではなく、気恥ずかしい気分なのだろう

「言われてみれば、というところだが」

橋渡しの魔王…ならば何か良い名は、と顎先に手をあて考える様子
別に考えなくともよさそうなことを考えてしまうあたり、生真面目なのだろうか

「…では、やはりお主を騎士として吾は扱おう。姫には騎士があっても良いものだ」

いずれか読んだ絵巻物にはそういった話もあった、気がして
なかなかに恥ずかしい言葉を言っているとは、本人は露知らず

「……どうだ?」

こちらも問いかけるように、小さく首を傾げて見せた

シュティレ > 「………え?」

臣下がいないという言葉に、目を瞬いて見せました、本日二度目かも知れません。
そこにいる執事さんとか、彼らは臣下ではないのでしょうか、メイドさんたちも悲しそうに見てる気がします。
臣下とするという認識が無ければ、それまでなのかもしれませんが―――いないのでしょうか。
どういう意味での臣下というのかは―――


「姫という意味にはプリンセス、のほかに、小さく可愛らしい物、という意味も、ありますわ。」


―――判りませんが、ええ。一応、フォローを、しておくことにします。
高貴なる人の方が良いとは思いますが、ロザリア様は、外見的には、幼く、可愛らしい事に間違いもございませんし。
私は、紅い瞳で、ロザリア様をみます。
魔王ではなく、騎士のまま、扱ってくださるという、慈悲深いお言葉を聞いたから、です。


「ふふ、国交をシッカリと結んだ暁には、姫の正式な臣下―――騎士として、我が王に願い出てしまいましょうか。」


我が王に与えられた仕事は終わりましたし。
美しい姫に仕えるのは、騎士の役割でもありましょう、臣下が居ないと言うのであれば、それを守る剣になると言うのも。
また、騎士として喜ばしい事でもありましょう。
美しい姫を守る騎士、というのは恥ずかしながら、私も、高揚してしまうものでした。

ですから。
主を貴女へと、変える、そんな返答で、応えて差し上げました。

ロザリア >  
「彼奴らは使い魔であり、血を吸った眷属である。
 臣下、と呼ぶには…些か近い」

戸惑うような反応を見れば、そう言葉を続ける
いわゆる家来であるとか、そういったイメージで彼らを召し抱えているつもりはないようだった

そして、小さく可愛らしいという意味も…なんて聞けば、少しむずかしい表情をした
ほんのりと長い耳の先が赤くなっているような…気の所為のような?

「う、うむ…。──うむ?
 いや、そんなつもりで言ったわけでは…要らぬというわけではないのだが、
 お主の王である龍公に申し訳がないではないか?」

いわゆる…姫と騎士ごっこ、ぐらいのつもりで言った言葉だっただけにやや慌てる様子を見せた
けれど、冗談でそんな言葉を言ったことがないことは、すぐに伝わって…

「…わかった。その暁には、お主を吾の臣下…騎士として迎えるつもりでいよう。
 ──ただしお主の王が首を縦に振れば、の話であるぞ?」

美しく、有能であるこの者を奪い去るなぞは出来る筈もない
念の為そう言葉を付け加えるのであった

シュティレ > 「あぁ……『子』なのですね。」

言い方は違えども、感覚は同じだと思います、私達の血族は、血を吸い、眷属にしたものを『子』として、扱います。
判りやすく親子という事になるのでしょう、彼女たちは、眷属は、其のままの意味での、眷属という事なのでしょう。
この辺りは、文化の違いという物なのですね、と、メイドさんたちを眺めてしまいます。

「ええ、確かに、主を変えるという事は申し訳なくも思いますが―――。
 でも、国として対等に付き合うに当たり、臣下の一人もいない、孤独の主というのも、かと。
 親交の証ともなりますし。」

ええ、懸念の通りに、忠誠を向ける相手を変えると言うのは、あまりよくない事です。
それでも、国として、正式に付き合うとして、相手の国が臣下の一人もおらず、となれば、国交を結ぶお互いは兎も角。
周りの国が、軽んじてくることもありましょう、魔王に襲われ続けていた、というその再来があるやもしれません。
だからこその、私の提案なのです。

「―――後任の『子』を並行して育てねばなりませんね。」

龍公の国は、私のような騎士はそれなりに多いです。
その中で、最強を自負させていただく程度には実力は有る積りですが。
龍公のお役目を果たせるような騎士を育てれば、何とかなりましょう、と。

ロザリア >  
城に近くに人が集まり、領土となり
自分の領域を守るためだけに力を振るい、それが結果的に民を守ることになった
ただそれだけのこと
住処とした城にこういった部屋が、玉座があり、城主がそれに座る
確かにそれは、成り立ちこそ違えど、国と呼べるものなのだろう

「お主の言う通り、吾は孤独である。
 友がおらぬわけでもない、慕う者もいるであろう。
 家臣は…ウム、不便をしなかったからな…」

この吸血姫の生活といえば、眠り、起き、引きこもって蔵書を読み漁り、特に食事、気まぐれに散歩…程度のもの
湯浴みやティータイム、城の部屋の掃除や保全などは全て使い魔と眷属が済ませてしまう

「親交の証か。
 …うむ、ならばそうしよう。
 龍公の良き返事を期待しよう」

騎士を召し抱える、というのも良いだろう
おそらく、領土に住む魔族達はそれを歓迎し、祝ってくれるだろう、とも思い…

「後任…道に外れた同胞を狩る役目を担う者、か」

以前聞いた、彼女に与えられていた任はそのようなものだった
育成もそうなれば一昼夜というわけにもいかないだろう

「何、吾はのんびりと待たせてもらう。
 整った折に、直接赴くでも使いを飛ばすでも構わぬ故、宜しく頼むぞ」

そう言ってゆっくりと踵を返し、玉座にふわりと腰掛ける

シュティレ > 彼女は、貴きものです、自分から名乗り始めたわけではなくとも、彼女は王であります。
屹度、此処の民は皆口をそろえて言うのでしょう、城主様こそが、主だ、と。
その証左に、何時も献上品を持ってきてくれているのでしょうし、その、玉座であると言えるのです。
慕われている、良い王なのでしょうね。

「それならば、その家臣に一番乗り、という名誉を頂こうと思います。
 今すぐ、ではありませんけれど。」

ふふ、と笑ってしまいます、この美しい姫の一の家臣という事が出来ると言うのは、甘美だと、思うからです。
そうでなくても、無聊を慰める話し相手になる、という事も出来ましょう。
恐らく、龍公は、私を手放すことにそこまでの忌避は無いのでしょう。
龍公は、懐の広いお方でもありますし―――。

「はい、悲しいかな、龍公の部下にも慮外物などは生まれてしまう物です。
 長い時を生きる為に、仕方のない事なのかもしれません。
 ですから、私の後任は、必要となるのです。」

そもそも、狩人は一人ではありませんし、一人を指名し、自分の役職を継いでもらう、それだけの話でもあります。
ある程度の実力を持つように、訓練自体はしないといけませんが。
そこまで時間が掛かることはないでしょう、そうおもいまして―――。

「それでは、私は御前を辞させていただきます。
 お目通り、ありがとうございました。」

献上品を持ってきただけですが、思わぬことばかり。
しかし、全力で事に当たる必要があります。

私は、玉座に座る姫を見て。
カーテシーを一つ、そして、彼女の前から、去るのです。
龍公と話を行うために、国の繋がりを、確りと作るために――――

ロザリア >  
「良き話が出来た。お主と、このような機会の礎となった龍公に感謝を」

優雅なるカーテシー、そして去る姿を執事やメイド達と共に見送る

「……うむ」

誰ともなしに頷き、横目に控える執事を見て

「気分が良い。さっそくその献上品を味あわせてもらうとしよう」

その手に託されたワインを手に、畏まるように一礼した執事はすぐにグラスを用意し、
そのワインを振る舞う準備をはじめる

最初に口にした吸血姫は感嘆の溜息を、
そして振る舞われた執事やメイドも、これはこれはと喜びの声をあげる

血を飲むのも良いが、時には血のように赤い酒も良い
鼻に抜けるような芳醇な香りと共に、宵闇城の夜は更け行くのだった──

ご案内:「キルフリート城・謁見の間」からロザリアさんが去りました。
ご案内:「キルフリート城・謁見の間」からシュティレさんが去りました。