2021/02/22 のログ
ご案内:「キルフリート城・謁見の間」にロザリアさんが現れました。
■ロザリア >
「……──、ぁふ……」
魔法で灯された燭台が明るく照らす、広く大きな赤絨毯の部屋
その奥に鎮座する玉座に掛ける少女は、翠玉の瞳を薄め、小さな欠伸を噛み殺した
「……もうよいのではないか?これ以上はもう誰も来ぬであろう」
玉座の脇には積み上げられた、城下からの寄贈品の山がある
普段閉じこもって本の虫になっている城主が、さすがにそろそろ城主らしいことをしてくださいと使い魔である羊頭の執事にせっつかれ、謁見を開くことになったのだが…
王国軍第七師団を返り討ちにしてからというもの、水晶の谷は平和そのもの
そもそも僻地である上に辺鄙なこんな場所を欲しがる同族の魔王などもいるわけがなく…
「謁見に来るものといえば貢物を持ち込む城下の魔族くらいではないか。
そんなものわざわざ吾が応対せずとも…」
執事は首を振る
城主がその姿を見せるからこそ意味があるのです、と
ご案内:「キルフリート城・謁見の間」にシュティレさんが現れました。
■シュティレ > 私は、久しぶりにこの地にやってきました。久しくお会いできていなかったいと高きお方が、久しぶりに目を覚ましたとお聞きしましたのです。
以前は、軽いご挨拶だけでしたし、許可を得てからはしばらくお会いも出来て居ませんでした、その間に色々と私の方の用事は終わっていきました。
だから、という訳ではありませんが――――お礼でも、と思いまして、私は、謁見を求める異にしました。
領民の方が流石に早く謁見を願い出ているからか、しばらく待たされることになりましたが。
私達血族からすれば、その程度の時間などは、待つ、という事にはならないのでしょう。
一人、一人、と謁見を済ませ、贈り物を送り、満足そうに帰っているのを眺めます。
―――そして、私の番が来たようです。
「お久しぶりです、いと高きお方。」
ドレスのすそを摘まみ上げ、そっとカーテシーを行いましょう。
先ずは礼儀として、挨拶を一つ、その後は、主の許可を得てから、首を上げての、会話となるのです。
血族毎にそう言った決まりごとは違うのですが、私は、私の血族での敬意を彼女に捧げる事にします。
必要であれば、今後は、この地におけるマナーや礼儀を、もう一度学びなおしも必要でしょうか。
そんな風に考えながら、私は、彫像のよう、静かに頭を下げ、城主の言葉を待つ事に致します。
■ロザリア >
城主であるロザリアは別に領地や城下の民を守っているつもりはない
自身の領域に侵入するものに容赦をしなかった、それだけだった
しかし結果として、この宵闇の城の鎮座する水晶の谷は、戦いを忌避する…力のない魔族の安住の地となった
ロザリアは侵略という人間のエゴを何よりも嫌う
過去に王国軍が集落を蹂躙したときには、当然のように報復も行った
そんなわけで、本人の思いとは裏腹に領主として信頼を置かれているらしい
──さて、そんな中…一風変わった客が現れた
「む──」
退屈げに頬杖をついていた手を正し、そのエメラルド色の視線を向ける
優雅なるカーテシー、頭を下げる様子まで、それまで謁見を済ませた者達と違い気品を感じる
そしてその姿には見覚えもあり──
「久しいな。頭を上げよ」
言葉を告げ、数瞬の沈黙
「──シュティレ…で、合っていたか?」
記憶の中にある名を、呼ぶ
こと、魔法知識をひたすら詰め込むのが趣味でもある城主
人の名を覚える、というのはやや苦手であるようだった
■シュティレ > 色濃い闇の気配、そして、其処に有るのは退屈に倦んでいる城主の姿が、顔を上げなかったとしても、私には見えました。
退屈というのは、恐らく、このような城主の役割として、此処に座る事、己が興味に向けることに飽いている様子ではなさそうです。
と、思考がずれてしまっておりました、私は唯々、静かに頭を下げて、城主様の声を待つのみでございました。
少しの時、そして、許可の声を頂き、私は頭を上げます。
血族にはよくある白銀の髪の毛はするりと流れるように、紅玉の瞳は、瞼を伏せたままではありましたが、失礼にならぬように、翡翠の色をした目を、美しき顔を拝顔させていただくのです。
久しぶりにお目にかかる光栄に、紅い唇を悦びに少しだけ、釣り上げて見せました。
「―――はい、覚えていただき、恐悦至極に御座います。シュティレで御座います。
遍歴の身である私を覚えていただいて、誠にありがとうございます。」
一度、ほんの少しだけのやり取りを行っただけ、一度だけ、お目通りが叶っただけの私の事を覚えていてくださって。
ぶるり、と身を震わせてしまいそうです、もしかしたら、失礼にも、震えてしまったかもしれません、我慢しないと、です。
今回は、久しぶりのお目通り、以前の許可のお礼を、と思い、寄らせてもらったのですから。
ちゃんと、しないといけません。
「以前は、領域の捜索の許可、誠にありがとうございました。おかげで、用事がすべて終わりました。
お礼として、口に合えばと思い、我が国で作られているワインを、献上させていただければ、と。」
私は、己の領域の中から、一つのワインの瓶を取り出します。
ワインなど、飲み物などは、趣味嗜好があるので、まずは、瓶で、もし、このんで頂けるのであれば、別で、送らせてもらおう、そんな風に思っておりますので。
■ロザリア >
淑女然とした立ち振舞、丁寧な言葉
その雰囲気に、以前の邂逅を少しずつ、思い出してゆく
「──いや、合っていなければ吾が礼を欠くところであった。
すまぬな。名を覚えるのはどうにも苦手なのだ」
聞けば、以前に自身の領地の探索許可を出したことへの返礼であるそうだった
享楽に生きる者も多い同族にしてはあまりにも律儀なその姿勢に感嘆する
しかも口礼だけなく、手に品をもってのものだった
「お主の抱える案件が滞りなく成ったようで何よりである。
その返礼品も、喜んで受け取らせてもらおう。
この城の城下でもいくらか果実酒は作られているが、国が違えばまた味も違おうというもの」
では、と玉座の側に備えた執事が献上されるワインを受け取り、ロザリアへと手渡す
瓶の色越しにもわかる美しい赤色に、しばしその視線を奪われて
■シュティレ > 「いいえ
―――いいえ。
決してそんな事は、御座いません。それこそ、印象に残らぬ程度の邂逅であったとも、言えますわ。
城主様が、気に病むことはございません。」
ええ、気に病んでほしくはありません、城主様の国に住まう者でも、城主様の部下でもありません。
只の通りすがり、と言ってさえ言いのです、覚えていただいていることに光栄を感じても、忘れられて居る事に憤りなどを感じる事は、ありません。
ですから、どうか、と私は一度だけ、頭を静かに下げるのです。
「そのワインは、貴腐ワインで。名を―――ruby・blood。
血の様に紅く芳醇な味わいであると、つけられた名前で御座います、在り来たりではありますが。
我が国の王―――龍公も好んでいるワインです。
フルボディワインですわ。」
私の国―――私が支配する領地での、最高級のワインです、此処の城主様であれば、もっと良い物を飲んでいるかもしれません。
それでも、私は敬意と、感謝を伝えたく、我が王に献上する為のワインを用意させてもらいました。
先にも言いましたが、ワインなどは、好みがあります故に、底を、詳しく調べられなかったのは悔やまれます。
ただ、興味を持っていただけている様子なので、ワインの銘柄などを、軽く解説いたします。
そして、ワインを眺める仕草。一つ一つの動きが洗練されている。
高貴という物を体現している城主様、我が血族だけではなく、吸血種全般が、このような方であれば良いのに、と思わずにいられません。
私は―――ええ。目を奪われているのです。静かに、高貴なる方を、見つめ続けるという不躾を、行ってしまって居たのでした。
■ロザリア >
「何。同族に訪ねられることなど稀でな。
それくらいは覚えておきたいものなのだが…如何せん、こういった務めが慣れぬ」
気に病まずとも、と控えるシュティレに小さく笑って
「王に捧ぐ品、とはまた随分なものを献上してくれたものだ。
吾などが口にすることが無礼に当たらねばよいが」
そういって燭台の光を透かすように眺めた美しい赤、から視線を戻せば…
「──どうした?」
赤から、赤へ…
自身を見つめる瞳と、視線が交差する
■シュティレ > 「―――そう、なのですか?
ご尊顔を一目見ようと、引っ切り無しに謁見を求められるようにも、思えますが。」
思わず、口をついてしまいました。同族に尋ねられることが稀だと言うのは、意外にも思えたのです。彼女の様な方は。
カリスマなり、美貌なりを持っているからこそ、様々な人が、彼女を求めて近づくものでは、と思って居ました。
かくいう私も、そのうち一人だ、というのは恥ずかしながら、有るのですけれど。
目を瞬いてしまうのは、矢張り、意外だから、という事なのです。
「大丈夫ですわ、我が国、とりわけ、我が領地で作っているもの、ですので。
正式な贈り物であれば、我が王も笑ってくださいますわ。
それに、我が王はこのワインを独占する、というようなこともしておりませんので。」
売りに出しても、良いと、許可を頂いてはいるのです。私は、ふわりと笑いながら首を横に振りましょう。
彼女に呑んでもらえるのであれば、私はとても嬉しいですし、作っている領民も励みになりますので、どうぞと、もう一言。
視線を向けられて、は、と頬を染めて、私は―――それでも、視線を外すことは出来ませんでした。
「ご尊顔に、見惚れてしまいました。」
此処は、下手に誤魔化したりするのは―――血族として、あるまじき、私はそう思います。
美しいものは美しいと称賛する。
そして、見惚れてしまうのは、貴女が美しいからです、と。
ですから、私の眼を見る、翡翠の瞳に、視線を絡め、はっきりと伝えるのです。
思わず、貴女に見惚れておりました、と。
でも、恥ずかしく思います。白い肌が、ほんのりと、朱に染まってしまうのは、私がまだまだだという証左なのでしょう。
■ロザリア >
「吾は城主ではある、が。この城は元々放逐されていたもの。
そして城下は戦えぬ魔族達が吾に庇護を求め作り出した町々である。
古から在りはするが、由緒ある高貴な血統などは持ち合わせぬ。
……吾が一代目である、というだけの話でもあるがな」
故に、同族…他の吸血種からの謁見はそう多くなかった
古来からの繋がりであるだとか、そういった関わりが極端に少ない為である
謁見もおおよそ、城下に住む魔族からの献上ばかりといったところ、なのだろう
「…そうか。一度そちらの王とやらに顔を見せるのも良いかもしれぬな」
ワインを丁重に保管するよう命じて執事へと手渡し──
今度はこちらが意外な顔をする番、のようだ
見惚れた、などと口にする様子に少しだけ、その翠玉色の瞳を丸くさせて
「…ふっ、はは。何を言うかと思えば」
その目を細めて、笑った
その答えは意外で、なおかつそれほどストレートな物言いを受けたのも久しぶりだったのだ
「かつて吾を手中にしようと此処を攻めた魔王達もそのような言葉は向けなかったぞ。
面白い。気に入ったぞ──ズィゲルトーア伯」
笑い、視線を改めて…その名前を口にして
「そちらの国では他に何を作っているのだ?
此処、水晶の谷は如何せん枯れた土地である。
魔法具の燃料となる魔水晶を削り出すことこそ困らぬものの、領民は農耕に不足を感じているようでな」
先程謁見に来た者達の中に、そういった話をした者がいたのだろう
気をよくした城主は饒舌に言葉を続けて…
「あのような芳醇な酒が作れる土地であるならば、
領地同士の繋がりを持つもまた益である…と考えた次第なのだが」
■シュティレ > 「私には、其れこそが、高貴なるお姿、と思いますが。
力の無い領民の為に、力のあるロザリア様が、守護をし続ける。
少なくとも、そのお姿には、感銘を致しますわ。」
吸血種というのは、遊惰となるものが多いと聞きます、その中でも、彼女の様に勤勉を持って、己を中心に出来上がった国を、守り通している。
自分が作り上げたわけではない、弱きものを守り続けるその姿勢には、頭が下がる思いであり。
彼女のような存在こそが、正しく高貴、そう、言って良いのだと、思う次第なのです。
血とか、そう言ったものなどは、受け継いで行くものですが―――。初代というのであれば我らが王龍公と、同じく、といって良いのでしょう。
「その際は、是非お声かけを。私が全霊を持って、ご案内いたしますわ。」
だからこそ、我が王に興味を持ち、彼女が遊びに来られると言うのであれば、私は全力をもって彼女をエスコートする必要が出てくるのです。
彼女のみたいものを見てもらうために、そして、楽しんでもらうために―――。
そう、心に決めるのです。
「―――失礼、致しました。」
ええ、ええ。本当に、失礼をしてしまいました。それこそ、激昂を受けても、仕方のないぐらいの失態です。
其れこそ、首を落とされても仕方がないやもしれません。膝を突き、首を下げて、謝意を見せるのです。
「―――は?
はい、私の領地であれば―――小麦を筆頭とした穀物、ワインの為の葡萄、猪などの動物など、で御座います。
ただ、常夜の国ゆえに、此方の種とは聊か違い、味なども、独特なものと思われますわ。」
私の収める領地は、ええ、ええ。普通の村、でもあります。
ただ、常世の国、太陽の光の無い、吸血種の国ゆえに、此方の種とは色々と違う所の多い穀物等です。
芋や、岩塩など、一通りは在ります。
唐突過ぎるお言葉に、目を瞬き、首を傾いでしまいそうになりますが―――流石に我慢です。
「私の様な土地であれば、是非。」
足りないものがあれば、取引をする。
領民たちの為のそれというのであれば、否やは在りません。
良くして貰った音があれば、それを返すのが―――貴族という物です。
ですから、私は、直ぐにうなづいて見せるのです。
■ロザリア >
王への訪問を快く、そして交易への打診も前向きな答えを返してくれたシュティレへ、ウムと小さく頷いた
「そう畏まらずとも良い。
……─やはりこの玉座が偉そうに見えるのではないか?」
隣の執事に怪訝な視線を送る
いえそんなことはございません、と否定する山羊頭
「と…そうであるな。交易は、無論可能な範囲で構わぬ。
先の王国軍の襲撃以降はこの辺りも落ち着いている故、そういったこと手を出す頃合いかと思っていたのだ。
争いを嫌い、平和を享受しに訪れたとはいえ、貧困に喘ぐようでは何かと、な…」
「──うむ。そう言った意味でも、お主の訪問はありがたい。感謝する」
そう言うと、玉座から腰をあげ、立ち上がり…
それでも、シュティレから比べるとあまりにも小さな、立ち姿
一歩、二歩と歩みを勧めて、その手をとろうと、白魚のような手を差し伸べる
「龍公には宜しく伝えて欲しい。
お主らの国にもし何か困り事が起こったならば、吾も力を貸そう──」
魔族の国に点在する魔王達から変わり者と評され、まるではぐれのように僻地に城を鎮座させる吸血姫
言ってしまえば、ただただ強欲な魔王ばかりが言葉をかけてきた、それだけである
話ができればこうやって繋がれる者もいるのだと、改めてその姿勢を示すのだった
■シュティレ > 「ええ。いと高きお方。
始めての尊きお方という事であれば、それは王―――。
偉そう、ではなく実際に偉い方ですわ。
そのお考えも、行動も、高貴で素晴らしいお方、です。」
私も、執事さんの言葉に同意をして見せます、彼女の行動は矢張り、王であり、貴族であります。
ですから、それを伝えて、認識してもらいましょう、貴女は、立派な女王で御座います、と。
「はい、其れであれば、必要なものがあれば、それをお伝えいただければ。
私の領地だけではなく、周りの物にも声を掛けておきましょう、我が王にも、お話をしておきますわ。
平和には、食料は、大事ですから。
それに、困った時は助け合う。それが、貴族としての正しき事、私はそう思いますから。」
そう、民が居て、その上で、貴族があるのだ。助けを求める人が居るなら、それを助ける。
其れこそ、持つものの役割である。そして、お互い困った時に手を差し伸べ合う事こそが、貴族の役目。
ヒトの国の貴族は、何かを勘違いしていると、常々思います、が、彼らは彼らのやり方があるのでしょうから、と私は貴にしません。
「お役に立てれば幸い、です。以前の恩をお返しできると言うのであれば、私もとても喜ばしく。」
お酒を送る程度のことでは無く、確りと恩義に報いることが出来た、それは私としてもとても、とても―――嬉しい事。
美しく、高貴な方からの感謝の言葉は、耳に福音の様に響き渡る思いでした。
そして―――立ち上がり、近づいてくる彼女。
ですから私はあえて、膝を突き視線を合わせます。
白魚のような、美しい手を、差し伸べられる其れを、私も又手を差し伸べて、優しく触れていくのです。
「お言葉―――しかと。近いうちに、国へ戻り、龍公に、我が主に伝えてきますわ。」
奇妙な縁という物なのでしょう。
私自身は、伯爵―――と、言っても龍公である、主さえ、止めることの出来る存在。
この国に来たのは、我が国から逃げた吸血鬼を捕まえ、誅罰し、国へと戻す役割でした。
それが、我が国と、この国をつなぐ架け橋になると言うのです。
初めての事過ぎて、どきどき、してしまいます。
目の前に、美しき吸血の姫が居るのも、そのドキドキを、加速させてしまうのでしょう。
目が回ってしまいそうです。