2021/02/24 のログ
ご案内:「ゼブルン診療所」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > もう3日ほど入院しておきなさい、という医者の勧めに同意することにした。

あてがわれた個室から出てきた褐色肌の冒険者は武器を帯びておらず、この診療所の入院患者が纏う清潔な白いワンピースを身に着けていた。
そのまま、ぶらぶら。晴れた昼下がりの陽が差し込む中庭を歩く。

事の次第は一週間前。
褐色肌の冒険者は魔物の討伐依頼中に全身を強く打ち付け、数日間目を覚まさなかった。
組んでいたパーティメンバーによって運び込まれたのがこのゼブルン診療所。最近設立された広い病院だ。
私財を持て余した貴族が租税回避のために建てたという噂ではあるが、設備も整い医者やスタッフも揃えられている。

「怪我も無かったし、僕はもう元気なのになー……。
身体も動かしちゃだめだから退屈!
……でも、たまにはいっか。こういう時間も……」

外来や入院患者も自由に出入りできる中庭には、自分以外にもそれぞれの事情で思い思いに時間を過ごす人の姿。
池のそばに座ったり、小さなベンチで本を読んだり。
医者らしき姿も患者らしき姿も。

思わぬ休暇に戸惑いつつも、自分ものんびり寛ごう。
頭の包帯を巻き直して、木立の脇に腰を降ろし。

タピオカ > ゆっくりと青空に雲がすすむ。
気づいたら春も目の前で、空気に花の匂いが入り混じりはじめた。
冬の間は枝ばかりだった木にも、蕾の膨らみ。
中庭の池に遊びに来る鳥が、ぴぴぴ、鳴きながら羽ばたき水を飲んでいる。

不意に心地よい眠気が頭をもたげてきた。
陽が陰るまでまだ時間があるはず。
木立のそばに身体を寄せると、その幹に身体を預け。

間もなく、寝息。
あたたかな風が吹いて――。

ご案内:「ゼブルン診療所」からタピオカさんが去りました。