2020/03/19 のログ
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──夜。
九頭竜山脈のとある山の麓付近にある、やや寂れた感のある小規模な温泉宿を、男は訪れていた。
ロケーション的に立ち寄りやすい場所ではあるものの、あまり目立たない隠れ家的な
建物ゆえか客は殆どおらず、人気もあまり感じられない。
夕食を済ませ、ひとっ風呂浴びようと露天風呂まで足を向け、脱衣所で服を脱ぎ
タオル一枚を携え、浴場へと足を踏み入れて。

「いつもの首都の旅籠の温泉もいいのだが、たまには違う風呂も楽しんでみるのが大人の醍醐味」

などと得意げに独り言ちながら、目前に現れた露天の岩風呂を眺め回す。
見慣れた旅籠のそれとは違う趣に、表情を緩めて。

「あっちよりは出会いの期待値が低いが、まああそこら辺はしょうがな──て、おや?」

その視界に、先に湯船に入っている人影を捉え、男は意外そうに目を丸めた。
てっきり自分以外は居ないものだと思っていたので驚きだ。
そう思いつつ、タオルを腰に巻くと湯船にゆるりと歩み寄って行き。

「……やあやあコンバンハッ。湯加減いかがですかな?」

と、緩い笑みを浮かべながら、片手を上げつつ気安く声をかけてみた。

エレイ > その後の事は、当人たちだけが知る所で──
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」からエレイさんが去りました。
ご案内:「魔獣牧場」に獣魔目録さんが現れました。
獣魔目録 > 「あーやだやだ、おじさんもう帰りたい。帰りに酒場によって酒飲んで帰りたい、あーーあーー」

中級クラスの冒険者である髭面の男の少しだけ……いいや大分酒臭い愚痴が今日も虚しく室内に木霊する。

――…此処は王都の郊外にある魔獣牧場。
大きな木製の門をくぐると、其処には広大な草原が広がっており、幾つか並ぶ小屋には1頭1頭魔獣が飼育され、或いは魔獣が預けられている。

空を飛ぶ魔獣には小屋と共に特別強固な結界が張られ、大地を駆ける魔獣には厳重に首輪と鎖が、水辺に住む魔獣には小さな泉か水槽が小屋の中に用意されている。

24時間出入り自由で、その為に木製の門の傍にも小屋があり、其処には冒険者ギルドから依頼を受けた信頼された冒険者が案内係とじて常駐している……万が一に備えてでもある。

牧場の敷地は魔法で結界が張られており、外からの侵入や中からの脱出を防ぐため出入り口の門以外はたとえ上空でも地面でも水中でも脱出することは不可能で、今夜はそんな魔獣牧場に異様な空気が広がっているのであった。

その原因は1冊の魔導書。
魔獣の皮で装丁された本に獣魔目録と赤い染料で書かれた魔導書なのであるが、是がまた魔獣と相性が有る意味よろしくなく、偶然この魔獣牧場に姿を見せたその魔導書から溢れる魔力で牧場の魔獣たちは妙に興奮をしているのだ。

もし、魔獣を預けているなら牧場の敷地に並ぶ小屋の一つに入り魔獣の様子を見てもいいし引き取ってもいい。

新しく魔獣を飼いたいなどあれば見学も自由、小屋を覗きお気に入りになった魔獣の小屋へと入り込んで愛でてみるのもいいだろう。
もし迷ったら入り口の小屋に常駐する冒険者に尋ねれば好みにあった魔獣が飼育されている小屋を教えてくれる。

勿論見学も歓迎で魔獣を見て回るのも良いかもしれない。
普段冒険でしか見られない魔獣たちの姿をゆっくりと見る事が出来るだろう。

牧場に張られた結界が獣魔目録の魔力に反応して壊れていなければ……だが。

ラウンドウルフ、グリフォンにマジックオクトパス、コボルトなどの獣人その他諸々。

何れも人と比べ物にならぬ力を持った魔獣たち
彼らが獣魔目録に影響された魔獣たちが小屋の中で来訪者を待っている。

――…その眼は爛々と輝いているが、だ。

ご案内:「魔獣牧場」にアウロラさんが現れました。
アウロラ > こんばんは。見学、いいですか?

(酒の匂いを漂わせながら愚痴を零していた髭面の冒険者にそんな女の声が届けられる。
集中力を切らしていたならば、いつの間にか受付の机の上に腕と胸を乗せながら彼の返事を待っていただろうし、そうでないならば普通に小屋の扉を開けて入ってくる姿が見えただろう。

彼が目敏ければその肩から提げた鞄の存在に気づくだろう。そこからは一つの大きなノート・・・スケッチブック、と呼ばれるそれが覗いていて女が何を目的にここに訪れたのか察することができるだろう。
別に魔獣を預けていたとかそういうものではない。新しく魔獣を飼いたい、とかそういうものでもない。
女の目的はここで飼われている魔獣を観察してスケッチをすること。戦闘能力も大したことなければ冒険のスキルも然程ある訳でもない。そのため、遺跡やダンジョンの奥地に住む魔物や魔獣なんて本などでしか見る機会がなく、ここでそういうあまり見る機会のない魔物の姿や生体を観察してスケッチしていこう、と考えていて。

やはり、本や資料で見るよりもこうして生きている実物を見る方が面白いし、参考になるし。

とん、とん、とブーツの先で床を軽く叩きつつ冒険者の男の返事を女は待っていて。)

獣魔目録 > 「あーん……?」

反応は極めて緩慢で揺るい動作で、声色もまた明らかに面倒そうなものが多分に含まれている、決して無能ではない髭面の冒険者の男であるが、あまり冒険以外の仕事は熱心ではない。

その上、危険の無い場所ではないし、張り詰める空気も無ければ気がつくのだって遅い、緩慢で投げやりな返事の後にカウンターに眼を向けるとたわわに実った美味しそうな果実が二つ布に包まれて……いや客である、客であった、だから慌てて自分の両手で自分の頬を叩く――…仕事に気持ちを切り替える。

「おっと、可愛いおっぱいちゃん。じゃねぇ、見学?ああそれも魔獣牧場だと歓迎してるって奴よ!どんな魔獣がお好みかい?狼にコボルトの珍しい幼体に後はタコ見たいな化け物の居る水槽にレアなミミックに……まぁお好みは色々だわな。流石にドラゴンはいねぇけど。」

仕事モードになれば言葉は流暢に、なれたもんだ。
後は女への返答と共に近くの棚に手を伸ばすとパンフレットを取り出して、それを広げて地図の頁を開く。

其処には小屋の場所と魔獣の名前、簡単な容姿とこれもまた簡単な生態が書かれている。

勿論預っている希少な魔獣のいる区画と見学が許されている区画、と区画も区切られていて、もし好みを女が口にすれば希望に近しい魔獣のいる小屋を区画を教えるつもりである。

アウロラ > (かわいいおっぱいちゃん、なんて言われればあはは、なんて小さく苦笑い。・・・どこを見ているのか、なんてわかりやすいものである。
別にそれについてとやかくいうつもりはないし、見られるのは・・・悪い気分はそれ程しない。良いもの、綺麗なものについては私だって目が惹かれる。見られる、ということはそういうことでしょう。)

折角ですから、貴重な魔物を見学したいんですよね・・・迷宮の中層から下層に生息するような貴重だったり凶暴だったりする魔物の・・・そういうの、います?
もしくは巣とか再現していて、実際の生活風景に近いものを見られるものとか・・・。 魔物の生態とか、見てみたくて。

(ゴブリンやウルフ、コボルトであれば稀に見かけることはある。けれど、その生活風景、となるとなかなか厳しい。
巣の討伐、なんてできるほどの実力はない為に冒険者の話を聞いて想像するコトくらいしか出来ない。
もし、その実際の生活風景が見られるのであればいい参考になるだろう。家族で生活している風景とか、あとは・・・子作りや子育てしてるものが見られるのであればなかなか良い経験になるだろう。

あとは・・・もしいるのであれば貴重な魔物も見てみたい。彼が言うようなミミックや凶暴なオークやオーガ。あとは・・・ミノタウロスとかバイコーンとか。そういう貴重な魔物。これからもそんな魔物を見る機会はないだろうし、あったとしてもそれを見た日は私の命の灯火が消える時であろう。もし、そういうのがいるのであれば・・・叶うならば見てみたいし、スケッチもしてみたい。

そんな願望を口にしつつ、女は冒険者の男が取り出したパンフレットの地図を眺め、自分の要望が叶う場所、そういうのがあるのかどうか・・・もしくはなにか他に興味が惹かれる場所があるかどうか、探してみて。
もし、冒険者の男から何か提案があるのであれば、それに従ってみようと思いつつ。

獣魔目録 > 冒険者って職業は因果で難儀で儚いもので、死ぬ時はどんな装備でどんなパーティーで挑んだって死ぬ、割とあっさりと。
その事実を知ってから髭面の冒険者は必要以上に欲望を隠さないようにしている、それが無駄なことだと虚しいことだと知っているからだ。

さて、はて、可愛いおっぱいちゃんの要望には答えねばとは思うものの、どうしたものか。

珍しく眉間にハッキリと皺を刻みながら、パンフレットと其処に記載されている魔物の情報と女の胸元に視線を何重も往復させるのだが、ある事はあるのだあるから迷っている、生態を再現しているモノは危険である、何故なら奥で何が行われているか確認するのは月に数回ほどしかない。

――…うーん、と軽く首を捻った後に、指先でぐるりと円を書くのは2箇所である、其処は先程あげたレアなミミックの飼育されている小屋と、絶賛療育中のミノタウロスがいる小屋がある場所である。

「あーっと、こっちはレアなミミックでたぶんまた発見例は少ないんじゃねぇかなぁ、水棲のミミックで水に擬態したり、逆に岩や人工物に化けたりする奴で、それだけだとそれこそタコと変わりゃしないけど、知能が高めでな?人間に擬態したり、時には武器屋防具に……って研究者が言ってた奴。んでこっちはミノタウロスなんだけど片角でよ、怪我して療養中なんだよ……だから弱ってる今しか見れない!って言いたいが、ちょっと小柄でな?ミノタウロスって呼ぶにはミノ子っていうか、それでもアンタより倍はでかい。オレが進めるのはこっちのどっちかだな。」

とんとん、とミミックを飼育している小屋が書かれた場所を叩き、言葉が終われば今度はミノタウロスが療養中の小屋を叩く――…彼は知らない、少なくとも後者は魔導書の影響で色々と元気がありあまりはじめている事を。

で、二つの選択肢を女に進めた後にパンフレットを閉じるとすっと女の方にパンフレットを差し出し、客の前だと言うのに大欠伸をこぼして、「どうすんだ?」と最後に答えを促す、と言っても仕事は終りである。

お客様に魔獣を勧めて、後はお客様が好きにすればいい。
行くも行かないも自由、オレは寝る、まあ今夜は特に静かな一夜だし、何事も無いだろうと慢心して。

あああ!でも出来ればおっぱいちゃんの乳くらい揉んでおきたかったと最後にまたチラチラ胸元に視線を送ってしまうのであった。

其処で言葉を終えようと思ったが、一応、一応であるが。

「そうだ。再現、生活風景の再現している場所はあるんだよ。コボルトの小さいを飼育している小屋がそれ、小屋ってより洞窟だな…後は狼も同じように小さな群れ単位で広めの柵に囲まれた場所で飼ってるけど行くなよ?どっちもあまりニンゲンが手を入れてないからな?危ないぞ?」

念を押して行くな、とは付け加えるが――…まあそう言うのもあるぞ?と言う事で教えておく、まあ眼福のお礼である。

アウロラ > (冒険者の説明を聞き、パンフレットを受け取ればふむ、と考える様子を見せて彼の説明を反芻する。
ミミック・・・といえよく話に聞くのは宝箱なんかに擬態していて油断して近づいた冒険者を捉える・・・というもの。
そのまま物理的に食べてしまうタイプもいれば、異性の冒険者を捕まえて苗床にするタイプもいる、と聞く。・・・後者は触手型であるタイプの話をよく聞く。
今回、この牧場で飼われているのは水棲で・・・とにかく賢いのが特徴らしい。どちらかといえば話を聞く限りだとスライムに近そうな印象を受ける。

ミノタウロスの方は、といえば怪我をしているらしい。怪我をしている魔獣となると通常よりも凶暴そうな印象を受けるけれど・・・その辺りはうまく制御しているのだろう。
ミノタウロスなんて生で見る機会はまずないだろう。いくならとりあえずこっちかな・・・余裕があったら他も回って・・・なんて計画を立てていた頃、男が一つ言葉を零した。
生活風景を再現している場所が、あるらしい。そこに行けばきっとリアルな彼らの様子を観察することができるだろう。
くすり、と小さく口元を歪ませて。)

えぇ、わかりました。ありがとうございます。

(そうお礼を告げて女は小屋を後にする。とりあえず、行く場所は決まった。洞窟。洞窟だ。あまりに危険そうだったら引き返せばいいのだし・・・ちょっとちらっと様子を見に行ってみよう。
彼らの生活風景を見るチャンスなんて、そうそうあるものではないのだから。

ところで。やけにわかりやすいほどに胸に視線を送ってくる人だったな・・・という感想を彼には抱きました。 以上、現場からです。)