2019/10/29 のログ
■ハーティリア > けふん……と最後に一つ咳き込んでから、はぁ…と息を吐き出す。うん、落ち着いた。
「あー…辛かった。っていうか、旨味とか辛みとかに魔王だのなんだのは関係ないでしょ。俺甘党だし。」
胃腸へのダメージとかは無いけども、単純に辛いだけのものはキツい、味覚自体はカットできるけども、この手の遊びでそれをやっちゃあ無粋だろう。
いや、それよりも…何か誤解を招いたような気がして、首をかしげる。
「や、俺は生まれた時からサキュバスだけど? ってか、クレス君の頭の中の魔族のイメージってどうなってんの。
いや居そうだけどね、そんなこと言いそうなの。」
どこぞの魔将とか言いそうな気がしなくもないが…まあ、そこはそれ。今は関係ないのでしれっと横に置いといて。
とりあえず口直しにソーセージをもぐり。
「ん、美味しい。…ん~?まあ、機会があればご馳走しようか?
魚が好きなんだっけ?じゃあ、ニシンのグラタンと、カルパッチョとか作ろうか?食べたあと2時間くらいは吹雪の中でもポッカポカの奴。
あー…まあ、野営の時は、保存食を暖かく食べれるように一手間加えるだけでも喜ばれるよな。」
そろそろ寒くなってくるし、ちょうど良いだろ?なんて首を傾げながらも、野営料理にはうんうんと頷き。
料理は出来ると、冒険した先でモテるぞー、なんて冗談めかして言いつつ。
「まあ、あれこれ世話焼いたおかげで、地元でオカンだのお母様だの呼ぶ奴が増えたんだよな、うん。」
おかげでえらい二つ名が……と、ボソリ、ボヤくように呟いた。
■クレス・ローベルク > 「って、すまない。自分で看破しておいて、すっかり忘れてた……」
これは普通に失礼だった。
種族をアイデンティティと看做す者であれば、殴られても文句は言えまい。
幸い、彼はさらっと流してくれたが、今度から気を付けなければ。
「んー。何というか、結構魔族については教育偏ってるからさ……。
魔王って何か、何にも動じないイメージなんだよね。魔族についても、家を出てからは"個人"としては見れるようになったけど、"社会の一員"としてはイメージしにくいってのはある」
と、苦笑いしながら、サラダをサーモンごとフォークで刺して、口の中に。
実際、魔族の社会というのは人間側からすれば謎に包まれてはいる。
特に、男の場合は、尤も魔族と触れ合う機会がある場所が闘技場なのも、拍車をかけているのだろう――基本的に、強さに自信があり、魔族バレを恐れない者達だ。無頼漢とまでは行かずとも、個人でやっていけるだけの才覚を持つ者ばかりというのはある。
「え、二時間も持続するの?食い物を身体に入れた時の体温変化が?……それ、多分料理人じゃなくて、錬金術師がレシピ欲しがる類のソレだと思うな。え、材料普通だよね?王都の材料で作れるんだよね?」
彼の故郷の料理バナシに突っ込みを入れているとキリがないという気もするが。
しかし、突っ込まざるを得ないのが男の悲しい性。
闘技場でも突っ込みキャラとして一部で愛されている彼である。
サラダは一旦置いて、次は刺身の盛り合わせを食べる。
サーモンを食べてみるが、ドレッシングのかかったサーモンとは、全く別の味わいだ。
「あー、確かに女の人も料理できる男の人が好きって聞くしな。
でも、オカンはともかくお母さまと言われるのは遠慮したいなあ。
え、何?ハーティリアってモテ……はするだろうけど、地元ではそういうモテ方なの?」
普通に高嶺の花的なモテ方だと思ってた、と心底意外そうに。
確かに面倒見は良いと思うのだが。
しかし、幾らなんでも母親はないだろと、ちょっと首を傾げてみたり。
■ハーティリア > 「いや、別に…うちの地元だと、サキュバスってまぁ…人間から『成る』奴のが多いからなぁ。むしろ純正のが珍しいんじゃね?むしろ俺はこっち来て魔族が国作ってるのに驚いたね。」
アイツら基本個人主義の権化で社会性とか欠片もないはずのになぁ。とケラケラ笑って。
彼なりの魔族への主観を聞くと、なるほどなぁ…なぞとうなずいてみせて。
「英雄叙事詩とかに出てきそうな魔王のイメージだなそれ。まあ、俺はほら、魔術の研究の過程で偶発的に魔王に『成った』からなぁ。どっちかというとマジシャンロードとか、アンデッドロードって意味での魔王だし。
一応、サキュバスとしては始祖の血統ではあるけど…月に住んでるお姫様と違って、地上に降りた分家もいいとこだしなぁ。」
クルクルとフォークの先を回してそんなことをボヤくように言いながら、プスリとカルパッチョを上の野菜ごと差してもぐり、シャキシャキの野菜と魚、そしてソースの酸味がなんともいえない。
「ん~、ここの良い味してんなぁ…ん?そりゃそうだろ、まあ地域によっては手に入りにくい食材もあるけど。
別に魔力なくても作れるんだから錬金術とはまた違うと思うけどなぁ…。」
もぐもぐと彼のツッコミにはクスクスと笑いながらも納得いかないといったふうに首をかしげる。
まあ、世界が変われば常識も変わるものだから、そういうものなのだろう、と一応は納得しているつもりだが。
刺し身もプスリとフォークで行く辺り、実に食べ方が雑である。
「いやまあ…一応娼婦としてもモテてはいたけどなぁ。魔王として懸賞金かかってもいたんだけど…若手の面倒あれこれみてたら、そいつらがポンポン出世したのもあって…いつの間にか『英雄の母』って二つ名ついてた。」
あれは本当に解せなかった…と、はるか昔を思い出すように遠い目をして…。
■クレス・ローベルク > 男の方は、割と丁寧に使うカトラリーを変えて食べている。
この辺は、普通に貴族暮らしの名残だ。
尤も、食べるスピードは割とハイペースなので、『所作だけやたら丁寧な食いしん坊』みたいな事になっている。
食べる料理を順繰りにしているから気付きにくいが、実は相当食べる方だったりする。
「あー、ハーティリアは地元じゃレアケースなんだ。
こっちじゃ寧ろ、『成る』方が人間社会的には珍しいんだけどね。
あ、そっちでも魔族ってそうなんだ。ホント、何で国なんて作れたんだろうね、あの我の強さで」
と、ちょっと皮肉気な苦笑い。
実際、魔族の"マナー違反"に困らされている側とすれば、文句の一つも言いたくなるってものである。
勿論、ハーティリアにそれを言う程筋知らずなつもりもないが、愚痴ぐらいは許されるだろう。
「あー、魔王って種族や天分じゃなくて、状態とか地位とか、そっちの意味合いなんだ。
っていうか、何気に衝撃の情報がポンポン開示され過ぎじゃない!?」
受け止めきれない、その情報量。
月に魔族は住めるし、目の前の彼は魔王且つサキュバスの始祖の血統。
異世界の事だと知らぬ男は『え、これ人間側勝ち目ある?魔族側に転向した方が良くね……?』とさえ思う。
が、努めて考えない方向に脳内の舵を取る男。
世の中、考えない方が良い事もあるのだ。
「もうここまでくると普通に物理法則が違うんじゃねとさえ思い始めてきたよ……。まあ、でも割とマジで興味はあるから、今度是非食べさせてくれ。剣闘士は割と、休日多い仕事だしさ」
と、そこで一旦手を止める男。
ハーティリアが食べる分を考えると、そろそろ食べ方をセーブした方が良さそうだ、と思ったのだろう。
或いは、追加注文するかとも考えるが、あまり調子に乗って注文すると、今度は食べきれなくなる恐れもある。
「『英雄の母』ねえ。でも、君の性格だと、こっちでも似た様な名前で呼ばれそうではあるけどね。
多分君、剣闘士になっても冒険者になっても、何だかんだ気に入った人には、肩入れしそうだし」
と愉快そうに笑う。
実際、男も肩入れされた一人ではあるのだろうし。
剣闘士になったら、稼ぎが少ない子の面倒とか見そうだよなあ、などと勝手な妄想を呟いてみる。
■ハーティリア > 一応、貴族らしい所作をしろ、と言われればできなくもないが、根が田舎者故意識しなければ雑になる仕草。
こういうのが生まれの差とでも言うべきなんだろうか。
まあ、食べる量は所作からくるイメージとは真逆だろうが。
「おう、レアもレア。激レアだぜ崇め奉ってくれたまえ?」
クックック、と喉を鳴らすように笑いながら軽口を叩き、彼の愚痴に溜まってんなぁ…なんて苦笑いを浮かべながら。
「ん~、というか。こっちはゴブリンとかも妖魔も含めてぜーんぶ『魔族』って呼んでるみたいだから、その辺の認識が俺とは違うかもしれねぇけどなぁ。
まあ、それこそ…我の強さを更に塗りつぶせるようなカリスマでも居るんじゃねぇか? それか、深く根付いた宗教とか。…この辺りの神様の名前も、なんか知らないうちに変わってたしなぁ、案外宗教戦争だったりしたら面白いかもな。」
あくまで蚊帳の外、といった風に考察を垂れ流したうち、ひっそりと人間の中では葬られた情報が混じっていなくもないが、そもそもそこまで深く知らないので曖昧な情報でしかなく。
「えー、こっちの魔王の基準はしらねぇなぁ。俺は、地元の魔術師の基準で「魔王」のカテゴリに入っただけだからなぁ…ウィザードの階梯を修了して、自分の城立てて、リッチ化したのはまあ偶然だけど、そこから「魔王」に成った。」
なんか世間話に知ってる事をベラベラ喋ったら、それこそ目を回す勢いで突っ込んでくれる彼との会話は非常に楽しい、が…あれだ、そろそろ言っておくべきだろう。
「あぁ…まあ、そりゃ違うんじゃねぇか?俺の地元ってほら、この世界の外だし。
まあ、こっちの世界に落ちて来てから過ごした年数のが多いから、アレな気分だけど。
じゃあ、メニューのリクエストは何が良いよ、さっき言ったみたいに魚でいいの?」
それとも付与される効果で決める?なんて聞きつつも、料理の効果なんてそれこそ食べたその日くらいにしか効果がないので、冗談めかして聞いた風だが。
「えーやだー。肩入れするっつってもなぁ。地元じゃないから信仰もないし…部下も地元の『俺』のとこだし…錬金術で作った薬品とか素材くらいならくれてやれるけど。
あぁでも…それでも人間なら十分なの、か…?」
■クレス・ローベルク > 「へへーハーティリアさまー……」
と頭を下げる男。
軽薄な分、ノリは良いのだ。
尤も、そのせいで『狩人の家の人間が魔王に頭を下げる』という、見る者が見れば卒倒物の構図が出来上がってしまった訳だが。
「宗教戦争ねー……神様の名前が変わるってのは、歴史学的には相当な事が起きた痕跡ではあるし、一定のカリスマが社会を形成するのは、人間でもままある事だけど……あんまり考えると闇が深そうだな。今のヤルダバオート教も相当なのに」
流石に、聖堂の中の情報まで網羅しているわけではないものの、断片的な噂だけでも相当なものだ。
この上歴史的な闇まで知ってしまったら、宗教という物に有難みを感じなくなりそうだった。
尤も、宗教については知識としては知っているが、そこまで熱を入れている訳ではない。それゆえに、何気にハーティリアが口にした、歴史から葬られた級の情報もあっさり流してしまった。
「あー、称号みたいな感じなのか。そっちだと。っていうか、偶然リッチになったってさらって言うけど、普通に人生……っていうか、魔生の転機じゃない……?って、この世界の外の話……ってつまり異世界なのかよ!?」
と、遂に明かされる事実に突っ込む男。
そりゃ、価値観が食い違う訳だよ!と言いたくもなる。
いや、ある意味『ありえなさ度』は増加したのだが。
魔界や天界の話は魔術的な知識としてはあるし、その一部だと思えば納得できなくはない。
出来るかと言えば、出来ないが。
「……あー、何か衝撃的過ぎたけど、いいや。料理の話だ。
そうだな、魚が良いかな。こうなったら異世界の料理って奴を堪能したいしな……細かいメニューを指定するのもつまらない。
……魚で且つ"面白い料理"ってのはどう?どう面白いかは、君のセンスに任せる」
お互いの世界が似ているのか、それともハーティリアが生きてきた経験によるものか、話をする限り、ハーティリアとこちらの価値観はそこまで食い違ってはいないが。
しかし、あまりメニューを指定すると、異世界らしさ、或いはハーティリアらしさが失われる気もして、それはそれで勿体ない。
故に、敢えてそんな風に、ハーティリアのセンスに任せる様な注文を出してみた。
「まあ、正にこういうのが『肩入れ』してるって事なんだけど……。
君みたいな美人に、薬を手渡されたら、多分大体の男……いや、女もか?は落ちると思うよ。コロッと。特に、実力はあるけど燻ってる人とか。凄く簡単に」
精神的なハニトラみたいなもんだよそれは、と苦笑いする。
手渡されるのが薬というのが、この場合質が悪い気がする。
何せ、これ以上なく直截的な『死んでほしくない』という意図の表れである。
十年前なら自分でも落ちてたよな……と割と本気で戦慄する様に呟く男。
■ハーティリア > 「よきにはからえー…あ、デザート食べたいけどここあんのかね。」
甘いのが欲しい、甘いの…なぞと言いながらソーセージをフォークで突き刺してモグモグと頬張る。
誰かが見れば卒倒ものの光景も、二人にとってはただのじゃれ合いであった。
「まあ、神様や宗教なんてそんなもんだよなぁ。大勢の人間が信じて祀る…それだけで神様なんてわりとポンポン生まれるんだし。
それこそ、宗派の差で得られる奇跡が違ったりもするからな。」
まあ、俺は神の恩恵受けたことねぇからしらねぇけど!とケラケラ笑って。いやまあ、神聖魔法の世話になったことはなくもないが、自分自身が神とどうこうというのはない。
「あれ、言ってなかったっけ?そうそう違う世界違う世界。まあ千年は昔の話だから、向こうがどうなってるか今はさっぱりだけどなぁ。
んむ、研究途中で偶然、サキュバスの肉体のままリッチ化した、俺びっくり。」
ケラケラと笑いながら突っ込まれれば頷き肯定して。
本当はこっちの世界で過ごした年数のが長くなっているが、なかなかどうして…三つ子の魂は百までどころか千まで有効らしい。
「あ~…といってもなぁ、物珍しい料理…麻婆豆腐、は魚入ってねぇし…具材にかまぼこ入れるとか?…あ、カレーならいけるか?魚介のカレー…こっちカレーあったっけなぁ…んん~。」
センスに任せる、と言われて…そもそもこっちの世界にどんな料理があるかの問題に突き当たりつつ…珍しい料理、すくなくともこの国の外の料理のほうが良いだろうか、とは思うものの考え込みだして。
「おや……ふふ、ありがとう?…なんて、な?」
美人、と称されるとクスクスと笑みをこぼして…苦笑いする彼に…絶世の、と評しても一応は名前負けしない美貌が笑みを浮かべて礼一つ。
冷たい美貌の微笑みはそれは人形のような美しさだが…一転してニィッ、と悪戯な笑みに変えて。
「なんなら、食事のお礼にアミュレットの一つでもあげようか?」
■クレス・ローベルク > じゃれあった後、メニューを開く男。
スイーツ系は例にもれず一番最後なので、さくっと探して、
「ああ、勿論。流石に甘味屋って程じゃないけど。
定番のショートケーキやらシュークリーム、素朴なのが良ければ焼き菓子とか焼きリンゴとか。
……何故かスイーツには和系が無いのが、俺としちゃ不満だけど」
刺身があるんだから、あんこぐらい取り扱ってくれてもいいじゃんねえ、とぼやく男。
「逆にそんだけポンポン生まれるのに、奇跡はちゃんとくれるんだから、面倒見が良いっちゃ良いよなぁ……。
逆にこっちは、頻繁に神聖魔法ってか回復魔法にお世話になってるから、あんまり悪く言うのも唇が火傷するってもんだけど」
主に部位欠損を治して貰っている。
間接的にとはいえ、一番神様の恩恵を受けているのは、実は自分じゃなかろうかと思う事もある。
「あー、研究事故か。それならまあ、あり得るか。実家でそういう形でアンデッドになるのが居るって聞いたし。
いや、それはそれとして寿命が最早"生き物"ではなくて、"歴史"ってレベルで長いんだけど。君が樹や遺跡だったら結構な観光名所ってぐらい長いんだけど」
この魔王、いちいちスケールがでかい。
勿論、それで今更劣等感を感じる程、悪い意味での真っ当さは有していないが。
しかし、このレベルの魔生経験を持つ者と話せているというのは、中々貴重な機会だな、とは思う。
「意外と料理はこっちとあんま変わらないんだな。麻婆はシェンヤンで前食ったけど……カレーは食った事ないけど、あるにはあるよ。
そっちの世界と同じスパイスが手に入るかは解らないけど」
あの白くてでっかいパンつけて食べる奴でしょ?と割とあやふやな理解を示す男。
別に、避けてきた訳でもないのだが、何となくカレーには手が伸びなかったのだ。
王都での貴族生活だと、極端に辛い物を食べる機会があまり無かったので、そのせいかもしれないが。
絶世の美女と言える、魅力的な笑顔を見れば、こちらは苦笑いする。
確かに美人だし、蠱惑的ですらあるが、それでコロリと落ちるには、少しばかり相手を知りすぎた。
「そういう所なんだよなあ」
と苦笑いするにとどめる。
勿論、相手を選んでいるのだろうが、そういう悪戯っぽい所が、余計に男心を擽るのだろうなあと。
そして、悪戯っぽい笑みを浮かべて、更にこちらにアミュレットをあげようかと言われれば、心底から、
「そういう所なんだよなあ……!」
と、苦笑いというか、引き笑いのそれに変わる。
いや、本当にどれだけ肩入れするつもりなのか、と。
勿論、彼は無理のない範囲でこちらを手助けしてくれてるのだろうとは思う。
だが、
「んじゃ、折角だから貰っておこう。
今回は、別に自分で決めたルールに抵触する訳じゃないしね」
闘技場の外ならば、別にストイックに生きる必要もない。
普段の男は、割と即物的なのだった。
ご案内:「ダイラス 酒場」からハーティリアさんが去りました。
ご案内:「ダイラス 酒場」からクレス・ローベルクさんが去りました。