2018/11/07 のログ
エフル > 「医療は興味ありますよっ。クレスさんが闘技場で怪我してきたら治してあげたいですし……
 魔物知識は、役に立てることは出来ないでしょうけれど、楽しそうです」

にこにこと笑顔で、将来の生活に想いを馳せる。
一緒に住んで、お料理をしながら――うまく行けば、食堂なんか開いて。
クレスさんの帰りを待って、一緒にご飯を食べて、それからお勉強。
お互いが居るのが当たり前の生活ができれば、それはとても幸せそう。

「…………クレスさん?」

突然静かになってしまったクレスさんを心配して、身を乗り出して胸に手を添えてじっと見上げる。
嫌なことを言ってしまったかな、と不安に襲われて、伺うようにじぃっと目を見つめれば、目と目が合った。

「あっ、えっと、はい。慎重に……いいと思います。
 お互いに尊重しあって…………えっ、でも?」

でも、と繋がって、顎にクレスさんの指が添えられる。
手で感じるのと、顎に触れるのはまた感じが違うんだなあ、戦う男の人の手だなあ、なんてぼんやり思ったり。

「わ、わたし、えっ、悪いことって……あのっ、えと……」

そういうこと、なんですか? と顔を真っ赤にして。
恋人ではなく、女性として見られるのが、少しだけ怖くて、そしてわたしでもクレスさんにそういう風に見てもらえるんだと誇らしい。

クレス・ローベルク > 慌てる少女の頬に、赤みが刺すのがまた可愛らしい。
その頬に口づけぐらいなら許されるのではとも思うが、しかし、一度口をつければ、そこからずるずると少女を食べてしまいそうで。
しかし、少女の問いには、うん、と頷く。

「勿論、"こういうこと"への嫌悪は、俺への好悪とは別の物だから、俺も出来るだけ我慢する。それで萎縮されても、お互い気まずいしね。でも……」

そう言うと、わざと露骨に、胸元や、スカートの方をじろじろと見たりして。絡めた手とは反対の指先で、今度はつう、と少女の首筋を撫でてみる。

「君は女の子なんだ。それも、俺みたいなのからすれば、今直ぐ齧り付いて、しゃぶり尽くしたくなるぐらい、美味しそうな、ね。それは自覚した方が良い。……俺も、俺以外には食べてほしくは、ないしね」

個人的には、今直ぐ食べてしまいたいが。
それとは別に、彼女の無防備さが心配になるのも事実で。
だから、少し、言い含める様に、そんな事を言う。

エフル > 「……嫌、じゃないですけど……怖いのは、あります」

胸元や腰回りを舐める視線に居心地の悪さを感じて、もぞ、と身動ぎをして。
首筋を指先でなぞられれば、ぞわぞわと背筋を粟立たせてしまう。
好きな人に触れられているのに、あからさまに欲望をぶつけられると狼狽えてしまう。

「…………はい、気をつけます」

安全な王都で、優しい人達に守られていたからこそ今まで純粋に好きな人を想って生きてこられた。
けれど、これからは独り立ちして、そしてクレスさんと二人で生きていくのなら、自分の身を守るのは自分。
クレスさんは強くて優しいけど、頼り切ってはいけない。

「……わたしもクレスさん以外は、嫌です。
 クレスさん、あの……ダイラスに行ったら、身を守る方法とかも、教えてください。お願いします」

クレス・ローベルク > 「だよねえ。うん、それが普通の反応だ」

にこりと笑い、ごめんね、嫌な思いさせて、と謝っておく。
……いや、実際の所本当にごめんと謝りたかったのは、首筋をなぞられた時の彼女の表情に、不覚にもぐっときてしまったというのもあるのだが、流石にそれは色々な意味で言えない。というか、多分後で自己嫌悪で死ぬ案件だ。

とはいえ、空気がやや真剣になってしまったので、

「ま、これがあの悪名高きバフートなら、いっそ迷わず此処で食べてしまったんだけどね。ダイラスだと流石にそこまでする程じゃないしなあ。いや、そう考えると惜しいな、何とか今から住居をバフートに変更できないものか……」

等と大げさに顎に手を当てて考える振りをする。
これももっぱら冗談でないのが、男として複雑な所なのだが。
とはいえ、少女が、自分の身を守る方法を求めるならば、それには応えるしかない。

「勿論。時間はかかるかもだけど、そういう護身術もマスターしてるからね。俺以外の悪い人は、一瞬でKOできる様に訓練してあげるさ」

エフル > 「いえ、クレスさんのことは信じてますから……」

嫌な思いなんてしてません、と首を横に振る。
クレスさんならそれ以上を無理やり強いたりしないし、もし望まれたらきっとわたしは応じてしまう。
だから、他の誰でもないあなたになら大丈夫、と。

「バフートは……怖いです。クレスさんが行くなら付いていきますけど……」

でも、出来ればダイラスか王都がいいです、と視線で訴える。
いくらクレスさんに護身術を教わっても、女の細腕では限界がある。
治安の悪い街は、怖くてとても住もうとは思えなかった。

「そ、そこまで強くなっちゃったら筋肉付きすぎちゃいそうです……」

そうなったら、きっと抱きしめられても硬いだろう。
それだと、クレスさんは抱き心地の良い女の子を探して娼館に遊びに行ってしまいそうで、それはやだな、と思ったり。

クレス・ローベルク > 「も、勿論。俺は信頼性100%の男だよ。ああそうだとも。って、冗談!冗談だから!俺も仕事で偶に行くぐらいだから!バフートは!いや、食べられなかったのが残念だったのは冗談ではなかったんだけど!」

ごめんよおおお!さっきちょっと興奮しちゃって本当にごめんよおおおお!と内心土下座しているせいか、言ってることがやや支離滅裂になってしまったが、やがてごほんと咳払いして。

「大丈夫。筋肉って言ったって、柔らかい筋肉ってのもあるから。俺もそっち重視で鍛えてるし。それに、護身術に筋肉はそこまで要らないよ。寧ろ、柔軟性や身体の動かし方の方が大事かな。……マッチョエフルって、確かに少し見てみたい気がしないでも……いやしないな」

クレスからすれば、エフルが居ない時や、体調が悪い時に娼館を漁るならまだしも、エフルが万全の時に娼館を漁るというのは考えづらい事なので、少女が考えている事には気づかず。ただ、女性らしさを失いそうという恐怖を払拭する為、その辺はちゃんと認識を正しておく。まあ、ついでにちょっと失礼な事を考えてしまったのはご愛嬌だ。

エフル > 「で、ですよねっ! クレスさんは信頼性100……
 100………………? 82%くらいの男の人ですもの!」

仕事で偶に行ったり、いかがわしい遊びをしていたり。
恋心の補正を掛けても100はちょっといいすぎかなあ、と少しだけ仕返しの意地悪。

「筋肉ってむきむきーって感じのだけじゃないんですね。
 確かにクレスさんは細いけどしっかり逞しくて……逞しくなっちゃダメなので筋肉じゃなくて柔軟性とかのほうを教えてくださいっ。
 ……………………もーっ!!」

とても失礼な冗談にむぅっと頬を膨らませて眉を寄せ、怒ってますとアピール。
今の時点で魅力があるかは置いておいても、できる限りクレスさんにとって魅力的な女の子で居たいのだから、
筋肉を付けずに護身ができるのならありがたい。
けど、それは置いてもマッチョなわたしを想像したひどいクレスさんには恨みがましい視線をぶつけて。

クレス・ローベルク > 「おっと、早速身につけた警戒心を発揮してきたね。良い子だと言いたい所だが、それはそれとして少し傷ついたのでくらえお返しのくすぐり攻撃!」

こちょこちょと脇腹をもみくすぐってみる。
先程ボディタッチを少したしなめる為に使ってしまったので、お互い気まずさと遠慮が生まれる前にイチャイチャ系のボディタッチで中和しておく。

「まあ、そもそも、護身術の訓練と少しの体力づくりに止めればそこまで固い筋肉はつかないはず……ってごめんごめん。でも、そんなにむくれると可愛い顔が台無しだよ。ほら、ぷしゅー」

と、膨らんだ頬を手で掴んで空気抜きしてみたり。
警戒心は必要だが、このからかい甲斐は何時までもなくならないといいなあ、等と、そんな勝手な事を思いつつ、ついでにむにむにと少女の頬の感触で遊ぶ
……あ、結構くせになる。

エフル > 「ふふっ、クレスさんの薫陶のおかげです。
 あっ、傷つけるつもりはなかったんです……ごめんなさ、ひゃあっ!? あひゅ、ちょっと、ちょ、まっへ……!!」

傷ついたというクレスさんに少し申し訳無さを覚えて、ごめんなさいと頭を下げようとしたらそれが間違いでした。
お腹を小刻みな指の動きで揉み込まれ、くすぐったさに身体をくの字に折って笑わされ涙を流す。
親密なスキンシップで心が満たされるような……ような。
いい加減やめてくださいよっ、とくすぐる手をぺしぺし。

「かわいいって言えばごまかされると思わないでくださいねっ」

可愛いと褒めながら頬を揉まれて、溜め込んだ空気がぷすぅと抜ける。
それがなんだかおかしくて、褒められたのも嬉しくて頬が緩んでしまうけれど、意識して目元だけは怒ってまーすときりり。
だというのに、クレスさんはといえば頬をいつまでももにもに揉み込んで。
なら仕返しですっ、と繋いでいない方の手でクレスさんの頬もつんつん、ふにふにと弄ぶ。

クレス・ローベルク > 「くっくっく、この極悪人クレス・ローベルクに隙を見せたがうぬの不覚よー!」

くすぐったさに笑い悶える姿は、何だか小動物らしくてつい多めにくすぐり続けてしまったが、ぺしぺしと叩かれれば流石にそれもやめる。暫くはこういう感じのスキンシップを続けて、お互いがお互いに慣れようと、そう思う。

「いやあごまかしてる訳じゃないよ。でもほら。この頬のしっとりもちもち感は中々……って俺の頬もむにむにするの?別にいいけど、ちょっと照れるかも」

流石に少女と言える年齢の娘から、こんな風にスキンシップされるのは初めてだ。居心地が悪いような、それでいて胸がくすぐったくて心地よいような。そんな不思議な心持ちだった。

エフル > 「ぜーぜー、本当に極悪ですっ……」

肩を揺らして息を荒げ、朱に染まった顔でじっとクレスさんを睨む。
けれど目には涙が浮かんで、今ひとつ迫力のない睨み顔。
ただ、触れ合うのはとてもうれしくて、楽しかったのは認めないといけない。

「クレスさんの頬は男の人って感じですね。あ、ここのところ少しざらっとしてて……うふふ、面白いです」

頬から顎まで指を這わせて、まるで犬か何かを撫でるように感触を確かめる。
親しみを持って触れ合うと、胸が満たされるようで癖になってしまいそう。
ぐいぐいと身を乗り出して、クレスさんの前に回り込んで抱きつくように身体を寄せて。

クレス・ローベルク > 「ふっ。勝った……!」

別に具体的に何かに勝ったわけではなく、寧ろ大人気という点からは負けてすらいるのだが、しかし少女の顔を見るに、彼女も楽しんでいたのでおあいこだろう。それに、勝ったかはともかく、収穫はあった。

「(大分緊張が解れてきたなー。良きかな良きかな)」

これで、前に怖がらせた分は完全に払拭できたと、そう思う。
過度な異性への恐怖心は、それはそれでストレスの元だ。
明るく楽しいスキンシップこそ、彼女に求める物だ。
とはいえ、流石に頬を触られるのは予想外だったが。

「一応髭の手入れは念入りにやってるんだけど、やっぱ触るとざらっとするか。ってちょ、そこくすぐったいって……!」

エフルが感じたであろう激しいくすぐったさではないが、寧ろなまじ優しい分、力が抜けるような、優しい刺激。

「全くもー、さっき俺の薫陶がどうとか言ってたのは何だったんだ。まあ、良いけど」

そうは言いつつも、エフルの動きを邪魔しないように、両手を敢えて左右に広げる。仕方無さそうな、それでいて頬の端が緩んだ表情は、確かに可愛がられる犬に似ているかもしれない。

エフル > 「いつかわたしの方が勝ちますからっ」

勝ち負けと言われるとなんだか悔しい。
いつか参ったと言わせてあげますから、と負け惜しみを言って見せる。
すっかり打ち解けて、愛情と好意に親しみも含んだ触れ合いを楽しめるようになった。
大好きなクレスさんと一緒にいられるだけで嬉しいのに、一緒にいるともっと先を求めてしまうのは、欲張りだろうか。

「少しだけですよ、少しだけ。わたしはこの手触り好きですしっ」

そりそりと顎を撫でて立ち上がると、すこしばかり逡巡してクレスさんの膝の上に跨ると、すっかり気を許して胸に飛び込む。
ぎゅーっと身体をくっつけて、頬同士をすりすりと甘えて。

クレス・ローベルク > 「今こうしている限りにおいて、君が勝ってるようなもんだけどねー……」

そう言いつつも、されるがままになってしまうのは惚れた弱みだろうか。ともあれ、流石にその内飽きるだろうと思っていたのだが。
しかし、そんな事を言っている間に、今度はエフルの方が大胆になってきたらしく、

「もう警戒心の欠片もないね!?ちょ、近いって。いや、近いんじゃない、ゼロ距離だよこれ!」

柔らかい身体をふにふにと押し付けられ、更に子猫のようにすりすりと甘えられる。性的な情欲と愛しさと、そしてそれを我慢しなければならないという思いがぐるぐると螺旋となって、クレスの頭を混乱させる。

「ええい、こちとら25歳だ。ドキドキされっぱなしで溜まるか。それならそれならでこちらにも考えがある……!」

甘えてくる頬に口づけをして、更に彼女の背中に手を回してぎゅっと抱きしめる。何だか自爆の様な気もするが、どちらかといえば一蓮托生。正直、エロい気持ちになってはいるが、それさえも意思の力でねじ伏せ、少女とのイチャイチャに集中する。

「(頑張れ俺の理性……!)」

何時もの笑顔でスキンシップを取りつつ、必死に自分を保つ。
まあ、抑えきれずに股間が立ち上がりつつあるが、それはこの際気づかれない事を祈るしか無い。

エフル > 「勝ってますか? 参ったって言っても、いいんですよっ」

膝の上でしがみついて、頬同士を擦りながら目を細める。
すっかりこの甘え方を気に入った様子で、嬉しそうに喉を鳴らして。
大好きなひとのぬくもりを感じながら肌で触れ合うのが心地よくって、もっともっとと密着する。

「クレスさんには警戒なんていりませんもん。
 うふふっ、好きな人となら……ですっ。それに、添い寝した仲じゃないですか」

遠慮なんてすっかり忘れて、好き好きと囁きながらふれあいを楽しむ。
純粋な好意と対抗心から始めたことだけれど、すっかり夢中になって、愛情表現として抱きしめ合いながら頬にキスを落とし落とされて。
楽しそうに声を上げてクスクスと笑って。
そうしているうちに大好きな気持ちが抑えきれなくなって、不意打ちに唇にキスを――

クレス・ローベルク > 「くそう、何かそう言われると参ったって言いたくなくなる……!実は君、わざとやってるんじゃないかい!?」

こちらは性欲と愛欲の二つと戦わなければいけないのに、あちらはただ純粋にこちらの触れ合いを楽しんでいる。勝負というよりは剣VS魔導機関銃の一方的な虐殺なのだが、しかし離れがたい中毒性があるのが質が悪い。

「うっ、確かに添い寝の事を持ち出されるとこちらに分が悪い。まさか、あの時の攻撃がこんな形で帰ってくるとは……!」

言いつつも、こちらも自分から頬をすり合わせたり、頭を撫でたりして、スキンシップに応える。
もし傍目から見るものが居れば、あの恐るべき剣闘士が、一人の少女に此処まで骨抜きになるとはと驚くだろう。
が、此処で起きたことは万が一にも外にはもれない。だからだろうか、男も多少大胆に、というか恥ずかしげもなく、少女との触れ合いを楽しんで――

「んっ!」

いた所で、不意に唇を奪われた。
成程、ならばこちらも、と。今度はこちらがお返しに唇にキスをする。ただし、今度は重ねるだけのキスではなく、啄む様な、少し大人のキス。それを、二度、三度、追撃するかの様にエフルの唇に浴びせる。

エフル > 「わざとなんて」

とんでもないです、と首を横に振る。
好きな人と触れ合うことがこんなにも幸せだなんて。
こんなにも癖になるなんて、知らなかった。だから、やめられないだけ。
勝ち負けはその言い訳だから、クレスさんが実際参ったと言ってもなにか理由を付けて続けていただろう。

「んっ、ん……んぅ」

反撃のキスに目を丸くして、未経験の大人なキスにうっとりと蕩けていく。
啄むキスはまるで未経験の新鮮な驚きと、それ以上のたっぷりの幸せをくれる。
二人きり、そして家ではなく宿の部屋という特別な空間が、普段より大胆にさせて。
クレスさんの真似をして、ちゅっ、ちゅっとキスの応酬を始める。

クレス・ローベルク > 実際の所、クレスもそこまで勝負にこだわっているわけではない。
のだが、それはそれとして勝負と名がついてしまうとムキになってしまうのも確かで。
負けたくない、という気持ちが、もっと触りたいという思いに言い訳をくれている、という面も、多分にあるのだろう。

「ん、ちゅ」

尤も、今となっては、その言い訳も機能しているかは怪しいものだが。
こちらの真似をして、唇に吸い付いてくる彼女が愛しくて、こちらもぎゅ、と絡めた手に力を入れて。
そして、何度か優しくキスをした所で、ぷは、と唇を離す。

「エフル……ごめん。ちょっとだけ、悪いこと、するね」

情欲というよりは、愛しさが溢れた結果として。
エフルの身体を抱いて、やや強引に、唇を強く重ねる。そのまま、舌をエフルの口内に入れて、歯茎や唇を、つぅ、と撫でる。
舌を絡めるほどの激しいキスではない。しかし、歯茎や唇を舐めるのは、啄むだけのキスよりも深く、エフルを味わっている感覚があって、男を陶酔させていく。

エフル > 「……はい、いいですよ」

悪いこと――より深く愛を交わす好意に、拒む理由はもう無かった。
こくんと頷き、肩の力を抜いてクレスさんに身を委ねる。
抱きしめられて、唇を奪われて。クレスさんの柔らかくて熱い舌が入ってくれば、少しだけ驚いたようにんっと声を漏らして。
口内を動き回る舌にゆったりと舌を触れ合わせ、唇と舌で好きが溶け合うようなキス。
それがなんだかクレスさんの言うとおりに悪いことをしているようで。
背徳感と幸福感で、とろりと表情が蕩けて両手を絡めながらもっと、とせがむ。

クレス・ローベルク > 「ん……!」

少女が自ら舌で触れてくると、最初は驚いたが、直ぐにこちらの舌で、エフルの舌をなぶる。最初はゆっくりと。しかし、エフルの舌がもっととせがむ様に絡んできたので、クレスもそれに応えて、舌を激しく動かす。

「ん、んん……!」

少女の蕩けた表情が、とても愛しいから。
だから、もっと蕩けてというように、より激しく舌と舌を絡めていく。
ぴちゃぴちゃという水音は、エフルと自分が求めあう音。
時々、手を弱く、強く、緩急をつけて握れば、何だかそれが言葉ではない思いを、相手に送っている様な錯覚すら得る。

エフル > 好きな人とのキスがこんなにも幸せになれるだなんて知らなかった。
舌を絡め合い、指を絡め合い。身体は距離なんてなく密着していて。
ちゅっ、くちゅ、と舌が触れ合う音とお互いの吐息だけを感じながら、愛を交わし合うのが心地よくて。
すっかり夢中になって舌を差し出し、迎え入れて。

「ん…………っ」

きゅんと胸が高鳴る。
この人がたまらなく愛しくて、この人とのキスですべてを捧げてしまいそうな気持ちになる。
クレスさんのくれる愛情を感じながら、それに見合うかはわからないけれどわたしの中のクレスさんへの愛情をキスで贈り返して。

クレス・ローベルク > 吐息も、想いも、体温も。お互いの全部を交わし合い、そして。

「ふ、は……!」

と、やがてクレスの方から、唇を離した。
苦笑いの表情で語る理由は至極簡単。

「ごめん、呼吸、忘れてたや」

"普段"なら絶対にしないミス。今までで得た技巧なども、何時しか忘れ、ただ求めあったが故の、謂わば夢中であったが故のミスだ。

「……」

エフルの、蕩けた様な、それでいて、こちらを愛しむような眼を見る。
これ以上はない、という気持ちと、もっと、という気持ち。
このまま、何もかもを奪ってしまいたいと、そう思う気持ちが、自然と言葉になって、

「ごめん。やっぱ、我慢なんて、できそうにないや」

そう言うと、絡めた指を離して、その代わりに、ぎゅ、と身体を抱いた。こんなにも、愛しいのに、こんなにも、満足なのに。それでも尚、求めずには得られなくて。

「エフル……食べて、良い?」

エフル > ふー、ふーっと胸を弾ませて長い呼吸。
クレスさんに言われて、自分も息を止めていたことに気づいて慌てて空気を肺いっぱいに取り込む。

「わたしも忘れてました……」

苦笑に苦笑で応じて、初めてのキスの衝撃に呼吸を忘れていたことを明かす。
好きというだけで、息をすることさえ忘れてしまいそうなほど夢中になれる幸せに表情が綻んで、笑顔に。
この人になら、全部委ねても後悔なんてしないという信頼と愛情。
そして、クレスさんの瞳の奥に、わたしを求める気持ちが見えて。
だから、抱きしめられて求められたとき、返す言葉は決まっていた。

「…………はい、クレスさんに……たべて、ほしいです」

クレス・ローベルク > 「……そっか。ありがとう」

今までの経緯からして、断られる筈はないのに。
それでも、男は安堵の息をついた。
いや、それは安堵というより、単に幸せの再確認だったのかも知れない。
求めた事が受け入れられ、彼女もそれを求めているという相互関係。
今まで、どんな快楽を浴びても、得られなかった"幸福"のカタチ。

「それじゃあ、ベッド……いや、その前にお風呂に行くかい?君にとっては初めてになるし、場所も身だしなみも、整えたいだろう?」

とはいえ、それはそれとして、少女にとっては初めての体験。
それを出来るだけ満足行くようにするのは、先達の仕事だ。
取り敢えず、準備は出来るだけさせてあげよう、とそういう気遣いだ。

エフル > 「……はい。ちょっとだけ、待っててください」

先にお風呂を、と提案されてほっと安堵の吐息。
今すぐに、となると頷いていてもやっぱり心の準備が足りない気がして。
入念に身体を洗って、できるだけ綺麗な姿で抱かれたいと思うのは、仕方ないこと。

宿の部屋に準備されていた女性用のバスローブやタオルを手に、浴室へと。
ぱたん、と後ろ手にドアを閉めて、着ていた服を脱いで一糸まとわぬ姿に。
それから、お湯を浴びて石鹸の泡で身体を撫で、隅々まで身を清める。
――好きだった人に、好きだと告げて。両思いで恋仲になって、その日のうちにベッドに。
普通だったら騙されていると思うだろうし、わたし自身知り合いがそんな体験談をしたら絶対に騙されていると思う。
けれど、クレスさんだ。
ずっとずっと好きだった人。優しくて、少し悪い人で、ちょっと後ろ暗いお仕事の人。
けれど、そんなところも包み隠さず話してくれて、いっぱい愛してくれる人。
彼になら、初めてを今日捧げても大丈夫、構わない。
しっかりと身体の汚れを落として、水気を拭き取ったら素肌にバスローブを纏って、深呼吸。
覚悟を決めて、寝室のドアをくぐる。

「お待たせ、しました……クレスさん、ふつつかものですけど、よろしくおねがいします……ね?」

ご案内:「富裕地区の宿」からエフルさんが去りました。
ご案内:「富裕地区の宿」からクレス・ローベルクさんが去りました。