2018/07/22 のログ
ルシアン > 何だか、どこかで聞いた覚えのある、少女のお話。
だけどその話のイメージと、少女の印象とはずいぶん違う。一瞬、重ねて見てミスマッチ加減にくすくす笑って。

さて、何処からまとめて話そうか。
もう一度、水を飲んだりして頭を整理する。
勿論少女がびっくりするだろう事は分かっていたのだ。此処の孤児院は、そういう意味で、少し特別なのだから。

そして。不安げながら、女の子をかばうようにして少女を見つめていた男の子と。
男の子の背中に隠れて服の裾をぎゅっとつまんでいた女の子。
ハーフミレーと魔族の二人。その見守る中で、少女がフードを外して…。

『え…』『おねえさんも、おなじ…?』

半ば怯える様な表情が、びっくりするように目を見開いて…ぱぁっと満面の笑みになった。
そのまま2人とも少女へ駆け寄り、飛びついて。

『なーんだ!お姉ちゃんもおんなじだったのかー!』『おねえさん…おみみ、きれい…。かみのけも、おかおも。えへへ…』

喜びと、安堵の表情。少女の手を取って握手がてらブンブン振り回そうとかしている男の子。
女の子も、おずおず歩み寄って、背伸びしつつ少女の頬や髪に触れてみよう、と。

「そういうこと。勿論、普通の人間の子も居るけどね。
 所謂ところの戦災孤児って奴さ。…両親がなんであれ、一番割を食うのは子供だってのはどこでも変わらないんだ」

言葉を選びながら、少々苦い調子で口に出す。
…戦をするのはどんな種族でも大人であり、残されるのは子供たち。
そんな子供たちが集まってくるのが、この場所であったりするわけで。

「ふふ、すごいでしょ?耳とか隠すのは、また後で説明するよ。
 で…まあ、聞きたい事は分かるよ。
 …まず、僕自身は、この辺の生まれじゃない。ずーっと遠い所から流れてきたんだ。
 其処もこの国とちょっと似てる。「人」は居るし、「ミレー」って名前じゃないけど、獣の特徴を持つ種族だって居る。
 僕自身も両親も人だけど、獣の血も引いてるんだ…こんな風に」

2人から離れ、少女の前へ。自分の出自を人に語るのなんて、何時以来だろうか。
そして静かに目を閉ざし、小さく何かを呟く。その言葉が引き金だったのだろう。
――淡い銀の光。髪の色がそれを宿し、同時に大きな耳。猫より大きな、狐のもの。
青年も、それを露にして。にっこり微笑んだ。

ご案内:「ディアンサス孤児院」からツァナさんが去りました。
ご案内:「ディアンサス孤児院」からルシアンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」にジードさんが現れました。
ジード > 貧民地区の路地裏の一つ。大通りの裏側に位置するちょっとした裏道に、
ふらりと一人の男が無造作に姿を現す。路地の中でも少し広くなった場所を探し当て陣取り、
手にしたカバンを地面に置く。すると機械仕掛けの玩具の様に
パタンパタンとカバンが開いて大小二つの陳列棚を持つ小さな露店が姿を現した。
棚の上に薬瓶やアクセサリーなど商品を陳列し店としての体裁を整えれば胡坐をかいて店の奥に座り込む。

「よし、それじゃあ開店だ。場所の選択が間違って無きゃいいが」

露天の常として場所選びが悪ければ商品以前に目に留まらないのはよくある事である。
若干不安を感じながらも時折人の流れる道行を眺め。

ジード > 「よし、そろそろ切り上げ時だな。次はどこにだすか考えにいこうかね」

さて、次はどこに店を出そうか。
そう考えながら立ち上がると、そのまま軽く荷物を整えてから、
路地の裏へと消えていくのだった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 路地裏」からジードさんが去りました。