2018/06/29 のログ
ルーシェ > 「それは嫌だけど……」

死を恐れぬ筈など無いのも、不死と言われた自身でも何かが狂えばその加護を失うのだから。
表情を曇らせながら頷くも、続く言葉にはハッキリと頷けずにいた。
死ぬことも負けることも、それ自体が怖いわけではなく、気遣う言葉と共に頬に触れられると、胸の奥がギュッと締め付けられるように痛む。
唇が何度か蠢くように開くと、何度も頭をふって否定し、掌に自分の掌を重ねていく。

「ヤダ……っ、だって……それで私一人残ったって、意味ないもん。死んじゃう理由に泣いたのだって、ロザちゃんに……迷惑かけちゃった事のほうが辛かったんだよっ!」

自分とは真逆で、唯我独尊なお姫様な彼女。
呆れたように溜息を零しても赦してくれるところも、安心して戯れられるし、もっともっと知りたいと思っている。
それなのに、自分だけ去れと言われるのは突き放されたように心が痛み、彼女の掌を涙で濡らしながら身体を震わす。
去りたくないと何度も頭を振って、掌に擦りつけながら子供のように否定する。

ロザリア >  
「…言ったであろう、吾は不滅の体現。潰えることはない…。
 貴様さえ死なずにいれば一人になどなることはないのだぞ」

子供をあやすように、声色はどこか優しく、語りかける

「吾に迷惑などはかからぬ。
 この城へ人間どもが攻めくるとて…何も出来ずに屍となるのみ。
 吾の言葉が信じられぬか…?」

少しだけ意地の悪い問いかけ
しかし、この少女の命がこの戦いで散ろうものなら……
なれば、この場は涙を飲ませることとなっても──

ルーシェ > 「不滅だっていっても、捕まっちゃったこと、あるんでしょ? ……ごめんね、聞かされちゃったから…嫌な呼び方とか」

奴隷666号と嘲笑った声は、未だに脳裏にこびりついている。
彼女は一度彼に負けており、そして性奴として閉じ込められていた事を指し示す。
だからこそ、死ななくても、酷い辱めを受けて壊されるかも知れないと思えば、思わず口からその言葉が飛び出した。
自分で告げてから気づいたように瞳を震わすと、ごめんなさいと呟きながら俯いて。

「……信じてるよ、だけど…傍にいたいの。何もしないのは嫌……パパとママが置いていったみたいに…置き去りにされるのは…もう嫌……っ」

薄っすらと残る両親の記憶と、戻らなかった日の喪失感。
あれを再び受け止めてしまったら、壊れてしまいそうだと涙を溢しながらいやいやする。

「それに…多分、教えちゃった力、一回こっきりか、見られちゃうと二回目が辛いんだと思う。だから、私には使わなかったの。ロザちゃんに使うつもりなんだよ……?」

力を封じられてしまったら、身体はただの少女のように力がないのを知っている。
勝ち目を失うと思えば、どちらかが盾になっても、倒せる二人のほうがいいと思えば、そんな提案も重ねて見つめた。

ロザリア >  
「………はぁ」

再び、大きな溜息をつき、その眼を伏せた

「どうやら何を言ったところで聞かぬようだ…困ったものだな」

此方を心配いしているのも理解る
しかし合理的とは到底言えない、感情の迸りに紡がれた感情の論
突き放し、捨て去ってしまうのは、簡単だったが……

「貴様の、ルーシェの思うがままに為すがよい。
 ……その代わり、吾の目の前で死ぬような真似をすれば、それは赦さぬ。
 死後も恨み続けるぞ、良いな?」

再び見開いた碧の瞳は真剣な視線として、ルーシェを射抜くように見据えていた

ルーシェ > 「……」

溜息と、呆れたようなつぶやき。
流石にそろそろ怒られるかも知れないと思えば、びくっと体が震えた。
恐る恐るその顔を見つめながらも、答えを待てば、紡がれるのは一瞬突き放されたように聞こえた声。
喉が引きつり、声が出なくなりポタポタと涙が幾重にも零れ落ちていく。

「ひぅ……っ、うぅ……っ。――ぅん、しない、絶対しないっ。ロザちゃんもしないって約束だよっ! 置き去りにしたら、ずっとずっと恨むんだから!」

真っ直ぐに向けられた碧玉の視線に、嬉しそうに目を細めながら何度も頷く。
その度に涙が散って彼女の手を濡らしていくも、約束を改めてこちらかも告げる。
自分も失いたくない、彼女も失いたくないと言ってくれた。
それだけで嬉しくて、嬉しそうに微笑みながらも涙は止まらなかった。

「……何か妬けてきた」

涙が落ち着いてきたかと思えば、拗ねたように頬を膨らませながら彼女の胸元に顔をぽすっと埋めてしまう。
何に妬けたのは口にしなかったが、改めて見つめ返せば子供っぽい不機嫌顔が見えるはず。

ロザリア >  
素直な反応にやれやれと細い肩を竦める
聞き分けのない子供は苦手である、論理も合理もあったものではない
結果、どんな未来が待つのだろう──
少女を完全に突き放さなかった結果を悔いる日が来るのだろうか

「……何にだ?」

少女がぽつりと呟いたそんな言葉に問いかける
自らの胸元に顔を埋める、そんな顔を覗き込んで見れば不機嫌そうな瞳を目があった

ルーシェ > 戦うときや領地の仕事をする時は、見た目よりは大人びた判断と思考を巡らせていくも、気の緩む相手の前では子供っぽく崩れてしまう。
約束と言葉を交わし、それを守るためにも死なずの誓いを続けるつもりだ。
夢は避けれたのか、それともまだ終わっていないのか。
今はまだわからぬままだが、落ち着くと妙な嫉妬を呼び起こす。

「ロザちゃんを奴隷だーって組み伏せられたこと……私、したことないのに」

恋愛としての甘い恋心の裏返し、というよりは大事な友達を横取りされそうな心地に誓い。
ぷすっと頬を膨らませながら呟くと、不思議そうな視線へこちらもアメジストカラーに戻った瞳を合わせていく。

「ロザちゃんも、人間に上げるのは惜しいっていってくれたでしょ? そんな感じ…かなぁ、一度取られちゃったから、余計にもやってする」

クスクスと普段のような明るい微笑みに戻りながら、充血した瞳を細めていく。

ロザリア >  
「…厭なことを思い出させる」

瞳を細めて、小さく嘆息

「気にすることなどない。
 数百年生きるうちのほんの数日の過ちである。
 時が過ぎれば砂に埋れ消えようものぞ」

その頬を撫でながら、呟く
本来、そういった扱いを"する側"の少女である
しかし、それは主に人を相手としたもの…
同族の少女を組み伏せ奴隷としたことなどはない…
無論自分も、それを好しとはしないのだが

「過去のことぞ、吾ももはや忘れた」

ルーシェ > 嫌なことを思い出したと、短く呟く声に、ぁ と間の抜けた声を上げて唇に手のひらを当てる。
嫉妬したとはいえ、彼女にとっては傷跡となった出来事なのだから、そう安々と口にすることではないと思い直せば、ごめんねと呟きながら俯く。

「……えーっと」

気にすることはないと言われて顔を上げれば、ほんの数日の傷だといい切る言葉に瞳を何度か瞬かせる。
たしかにそのとおりなのだけれど、自分が言いたいのはそういうことではなかった。
考え込むように瞳を閉ざしながら首を傾ければ、どう伝えればよいかと思い悩む。

「……えっと、ほら、私があの人の玩具にされたすっごく嫌だって思う…よね? 多分、勝手に取るな―って……なら、ない、かなぁ……」

数少ない友人であり、思ったままにストレートに感情をぶつけられる相手だからこそ、大切に思う執着心というのはついて回る。
束縛したい、独り占めしたいとまでは行くことはないが、もっともっと近くにと思う。
自分はそれぐらいに思うのだが、彼女は違うのだろうかと思えば、確かめるように呟いていく。

「ようは、ロザちゃんを死なせないのもそうだけど、攫われたりもしたくないってことかなぁ。ロザちゃんは……他の娘達みたいに、私の血を吸って、縛りたいとか思わないの?」

彼女の回りには、吸血の鎖に繋がれた少女達が侍女のごとく仕えている。
ほしいと思ったから鎖につなげたのだろうと思えば、自分にもその気持ちは向かうのを苦笑いで問いかけた。
無いと言われたら、それはそれで寂しいと思いながらも、怖いもの見たさのように問いかけてしまう。

ロザリア >  
「……何だ、ルーシェ」

身体を僅かに離させ、その顎をくいっと持ち上げるように、その瞳を覗き込む

「お主、吾のものになりたいのか…?」

友であるとするならば、一つの壁がある
しかし我が物となる気持ちがあるのであれば話は別である

「吾のものであらば、お主が先程言ったような気持ちにもなるであろうかな…。
 人としての心を凍てつかせて久しいが、執着心は吾にも一応あるのだぞ」

一応ある、どころか…本来は並外れて、強いのだが

ルーシェ > 名前を呼びかけられれば、何かなと思いながらキョトンとその顔を見つめていた。
身体が少し離れると、不意に顎にかかる指先が上へと顔を傾かせていき、碧玉と紫玉が重なり合う。
そして、想像もしていなかった言葉にパチパチと瞳を瞬かせると、アワアワとしながら視線を右に左に反らしながら落ち着き無くなる。

「なっ、何でそう……うぅ、そうやって女の子口説いちゃうんだ~。ロザちゃん悪女だよ」

友達として大切にはしてもらえてるだろうと思うも、何処か隔たりを感じるものがあった。
もっともっとと踏み込もうとすると、見えない壁がガラスのように手を遮っていく。
それが友達ではなく、自身を縛る隷従の様な関係ならと紡がれると、顔が真っ赤になっていく。
ある意味、魔王というだけでそういう力が及ばないのもあったり、自身の立場もあってそう安々と受け入れられないのもあった。
何より、不意打ち気味な一言と、ドライな感じからは一転するという宣言に落ち着きなく指先がスカートの裾をいじっていく。

「……でも、それって私だけロザちゃんに縛られて、ロザちゃんは私には縛られてくれないんだよね?」

対等な友人ではなくて、上下はっきりした主従になると思えば寂しさもあった。
多分、魔王の仕事やら散歩やら、そこまで縛りはしないだろうし、寧ろ仕事の助言すらしてくれそうだなぁと想像しながら見つめる。
けれど、今とは違う関係には怖さもあり、ためらいがちに視線を反らしながら、俯き気味に呟く。
不安、その一言が顔に浮かんで瞳を伏せていった。

ロザリア >  
「悪女…?ううむ、世間ではこれが悪女ということになるのか…?」

片眉を顰める、よくわからないといった表情だ
良くも悪くも…世間知らずというのは自覚していたが

「…そうだな。少なくとも友人ではなくなるであろう。
 そして、吾は何かに縛られるというのが嫌いなのだ。
 …命と時間に縛られるのも億劫で、不死者となったくらいであるぞ」

不安そうな表情を浮かべるルーシェ
言いたいことは伝わっていた
要するに縛り、縛られる…今よりも深い関係を求めているのかもしれないと
しかし……

「故に…吾には、ルーシェの期待に応えることはできぬであろうな」

言葉をはっきりと、その唇が紡ぐ

ルーシェ > 「だって、そんな不意打ちみたいに私のものになれって言われたら、グラっと来ちゃうよ? 可愛いのにお姫様だし」

きっと回りの女の子も、この不意打ちに心を揺らされ、思わずうなずいて心を奪われたのかも知れないと思うと、何度か頷きながら説明を重ねる。
そして、問いかける言葉には正しく唯我独尊と印象を受ける彼女らしい答えが待っていた。
苦笑いのまま、そっかと呟きながら頷くも、改めてこちらからも掌を伸ばせば、白い頬に熱のある肌を重ねていく。

「ずっとそばにいてとか、ずっと私だけ見てとか、そういうことじゃなくてね? 対等でいたいのかな、エッチのときとか、血を吸いたいときとか…それは好きにしてくれていいよ」

相思相愛の仲みたいな話までは、魔族同士だから求めづらい。
彼女も魔族らしい束縛を疎む答えを紡げば、深い束縛は求めなかった。
血を差し出すのも、ベッドの上での主導権をずっと失っても構わないと頭を振ると、頬をなでた指先は傍で揺れるプラチナの様な金糸を撫でていった。

「さっきみたいに、私の言葉を聞いてくれて、話し合って、一緒に決めてくれて……とかならいいの。お強請りしたら、たまに私がロザちゃん弄り倒してもいいよって、いってくれたりしたら……」

主従だけに収まりたくない。
友から隷属だけに堕ちるのは寂しいと付け加えていけば、どうかなと彼女の心中を問うように首を傾ける。

ロザリア >  
「そんなものだろうか…吾にはよくわからぬ」

束縛する、我が物とする…殺し文句になるのだろうか
ほんの少しだけ、戸惑うように碧が揺れているのだった

「ルーシェは魔王、吾とは対等であるぞ。吾は魔王であることを認めておらぬ故、
 吾よりも上かもしれぬが…。うむ、そういう話ではないのだろうな──」

問いかけにはしばしの沈黙を挟む

「…ならば今まで通り、友で良いのではないか…?」

結局、問いかけた少女と同じように首を傾げてしまった

ルーシェ > 「何時も傍にいる女の子に聞いてみるといいよ、多分、迫られた時にグラって来たって言うはずだもん」

幼さと妖艶さが混じり合う、綺麗な吸血姫からの揺るぎない欲望の声。
少し百合の気がある娘なら、一発で心を射抜かれそうだと思えば、苦笑いでそんな提案を。

「……」

自分は子供っぽく感情的で、気持ちの言葉を自由に吐き出してぶつけていける。
それに対して彼女の場合は、冷静で大人っぽく、それでいてお姫様な威厳といった雰囲気もある。
しかし、どこか感情の向け方受け止め方は、苦手なのだと改めて感じさせられる言葉に答え。
そこが可愛くも思えて、クスクスと笑いながら唇を開く。

「友でいいけど、ロザちゃんが嫉妬してくれるなら束縛されたいの。でも友達、私はロザちゃん縛んないけど、友達でいてくれればいいの。私だけじゃなくて、ロザちゃんにも嫉妬されたいから」

もっと率直に言葉を紡ぎ直せば、嫉妬されたいと口走っていく。
束縛でしかそれが生まれないならそれでも構わないと頷きながらも、ここまでストレートにすれば伝わるかどうかと、恐る恐るその様子を確かめる。

ロザリア >  
「なれば、やはり今とは何も変わらぬ。
 吾も貴様を束縛こそはせぬが、吾が嫌いなものの手は触れさせたくはない。
 ルーシェが望まず誰かに縛られる、奪われるのであれば良い気などはしない…」

いつもどおり、淡々とした言葉が連なってゆく
瞳を伏せたまま、最後まで言葉を紡げばゆっくりとその瞳を開いて

「……それではダメか?」

僅かに不安げに、その瞳は揺らいでいるようにも見えた…かもしれない

ルーシェ > 「変わらない……?」

その言葉に続くのは、相変わらずなお姫様な口調ではあるも、こちらを想ってくれる言葉達。
嫌いなものに触らせたくもない、縛られ、奪われるなどいい気がするはずがないと。
淡々とした言葉ながらも、気持ちを吐き出してくれた事に徐々に口角が上がっていけば、不安そうな表情とは裏腹に満面の微笑みで改めて抱きしめていく。

「うぅん、そんなことないよ。すっごく嬉しい……だから、もう一つだけ我儘に答えて…?」

確かめるように抱きしめながら、しみじみと尖った耳元へ囁きかけていくと、もう一つと子供っぽくオネダリを。
視線を重ね合わすように顔を少し離すと、変わらぬ微笑みが見えるだろう。

「私が嫌々縛られて、奪われて……汚されちゃったら、ロザちゃん綺麗に染め直してくれる?」

嫌いな誰かの爪痕を消したいと想ってくれるなら、それも嫉妬だろうと、オネダリの問いを重ねて行った。

ロザリア >  
「……ふむ、お主が望まれぬ束縛を受けるのも、奪われるのも汚されるのも、
 それ自体を許せぬことではある、が…」

一度言い淀み、自身を抱きしめる少女の背へと此方も手をまわし、撫で擦る

「万に一つ、そのようなことがあれば…吾が忘れさせてやろう。
 お主が辛いと思った記憶も、嫌だと嘆いた記憶も塗り潰すと約束してやろう。
 ……最近のルーシェは約束事ばかりであるな」

そういって、僅かに笑みを浮かべた…ように見えた

ルーシェ > 言い淀みながらも、許せないことだと確りと紡いでくれるなら、それだけで十分なほど嬉しい。
背中の掌の心地よさに目を閉ざしながら、言葉に耳を傾けていけば、穢された時の約束が奏でられる。
辛い記憶も、嫌な記憶も全てこの掌が消し去ってくれると答えてくれるなら、それを嫉妬だと思いながら、ありがとうと小さく呟いて頷く。

「ぅ……ご、ごめんね? だって、私だけ一方的なんじゃないかなって、不安になるから……つい」

と、その気持ちを確かめたいからだと眉を顰めながら謝罪するも、僅かに見える笑みに不安の締め付けが解けていった。
彼らはそのうちここへ届くのだろう。
その時に、彼女と一緒に戦って、追い払って…今日みたいにくっついて下らない事を喋って。
そんな事を考えていると、緊張の糸が完全に溶けたらしく、瞼が重たくなっていく。

「……ロザちゃん、一緒に寝よぉ?」

ふぁっと小さくアクビしながらのお強請りを、そしていつものような無邪気さが戻っていけば、柔らかいと呟きながら無遠慮に豊満な乳房に顔を埋めてみせる。

ロザリア >  
結局、お互いがお互いに不安になっていたというわけである
ちゃんと互いに伝わってみれば簡単な話であった──

「…まったく、こんなところでは寝れぬぞ」

緊張が解ければ眠くなる…
まるで子供だ、という言葉は飲み込みつつ、その華奢な身体を撫でながら

「(吾にこれだけすきんしっぷしてくる者も貴重なのだがな)」

やれやれと小さく息づき、魔力練り上げれば二人の重なる空間が捻じ曲がってゆく──
行き着く先は、もう二人には馴染みとなった客室……ではなく
それよりも豪華な作りの、吸血姫の寝室へと、その空間は姿を変えてゆく

「人間どもとも戦い、疲れたであろう。吾の腕の中でよければ、ゆっくりと休むがよい…」

ルーシェ > 極端同士の組み合わせ故な、不安のすれ違い。
それも解けていけば、最後の最後まで張り詰めた糸が解けていく。
窘める言葉にも、だってと子供じみた言い訳を、眠気に半分瞼が沈みかけた寝ぼけ眼でのたまう。
子供だと思われているとは知らず、というよりはもう、受け入れながらも身体を撫でられると、心地よさそうに身体をこすりつけていった。

「わっ、凄い~……ん、ロザちゃんの腕の中……」

彼女の寝室と喜べる余力はなかったが、意識がはっきりしていたなら、子供のように部屋の中を色々探りまわってはしゃいでいた筈。
寝ぼけながらに導かれれば、器用にサンダルを脱ぎ捨てながらベッドにぽふっと倒れていった。
後は彼女に促されるがままにベッドを転がり、肌の感触を求めて身を寄せて眠りへと沈んでいくだろう。
白肌の心地よい冷たさに猫のようにすりついて、時折すんと鼻を鳴らして無意識に彼女の香りを求める。
目がさめる頃は、寝ぼけ眼の顔をのぞかせながら、おはようの挨拶よりも早く、エネルギー切れとなった身体から小さな空腹の音色が響いたことだろう。

ご案内:「宵闇の城・キルフリート」からルーシェさんが去りました。
ご案内:「宵闇の城・キルフリート」からロザリアさんが去りました。
ご案内:「宵闇の城・キルフリート」にロザリアさんが現れました。
ご案内:「宵闇の城・キルフリート」に舜胤さんが現れました。
ロザリア >  
「………」

聞こえてくる声はどれもこれも、耳に障るものばかり
魔族の国との境界になっている砦は未だに人間が占拠を続けているという話
そこから侵攻を開始した王国軍の第七師団とやらがこの水晶の谷へと進軍しているという話

「──思い違いをしていたのかもしれんな」

白薔薇の咲き誇る庭園、ゆったりとティーカップを傾けながら小さな溜息をつく

人間の一団など、何処ぞの魔王と接触した時点で瓦解、
運良くそれがなくとも魔族との戦闘で消耗しこんな辺境までは絶対に辿り着けぬと思っていた──

ロザリアは稀有なる魔族
魔王の血すらも飲み、吸血鬼とは思えぬ程の無限の魔力をその身に宿している
故に魔王の一角に数えられるも、覇権にさしたる興味もなく、ただただ辺境に在る自身の城へと引き篭もっている
人間を憎んではいるが、自ら人間のテリトリーに出奔し殺害を繰り広げるなどということはしない
──過去一度だけ、領内の村が人間に蹂躙された報復に赴いたことがあったくらいだろう
そのたった一度の禍根が、今この時まで続いているのだが……

「…短き生の中でよくぞそこまで怨恨に身を窶せるものよ」

侮蔑と諦めとが混じった、深い溜息が漏れた
物憂げなティータイム、その紅茶の味もどこか渋みを感じてしまう──

舜胤 > 魔族の国に帰還してから 数週間何処で何をして潜んでいたものか。
魔族の国に引きこもってから全くを持って活動が停止若しくは潜んでいたというか準備をしていたのか、
何処の勢力 何処の軍団にも属さず 一定の魔王にすら首を垂らさず 不動の音楽狂集団を連れ立って、

とある谷へとその集団の一派を進軍させたのは数刻前。
流れる様に無駄なくその集団は水晶の谷へと進みゆく。
其の内の集団から 一人出て来たかと思うと 水晶谷の入り口ギリギリにまで歩むぼっちな吸血鬼。

「……」

何も喋らない、何処からか取り出した楽器を構えると 挨拶代わりとばかりに一曲弾き始める。
弾き乍ら 城の領域に入り始める。弾いている曲のイメージは 荘厳で凛然とした絢爛と混ざり合った黄昏の紡ぎ。
城に色々といるモンスターや戦う力のない魔族たちをちらりと感じながら、その吸血鬼は城の入り口にまで動く。

ロザリア >  
「………?」

ぴこ、と長い耳が音に反応
何やら聞こえてくる音色は、普段この城では耳にしないものである

聡明な城主のことすぐにその音の正体はわかる
近くに控えていた羊頭の執事をちょいちょい、と指を動かして呼び、二言三言申し付ければ……

数分後、城門から恭しく現れた執事が一礼してその集団を招き入れ、
城主が中庭にいることを伝えると、白薔薇の底辺へと案内してくれることだろう

吸血薔薇が一面に咲くその庭園の真ん中で、城主はいつもどおり厳かなティータイムといった風情で彼女らを出迎えるのだった

舜胤 > 軍楽隊にも似ているが、弦楽器を弾いている者たちが多い。
数百人ではない精々数十人単位なのだ、オケの人数と言った方が分かりやすいかも知れない。
吸血鬼が筆頭として魔族の国の出身者で大方集められて、楽器を嗜んでいるかどうかで選抜された、
表立っては軍楽隊、裏では超長遠距離による指向性の高周波魔法攻撃の使い手集団。

1人でまずは城門まで近づいたのは 単体で解りやすいからだという事と。
あと一度 拝謁しているから 気づいて貰えるだろうと。
ややあり、現れた執事によって集団と連れ立ち、案内の赴くままに中庭まで案内され。

「数週間ぶりに御座いますが、お招き感謝致します。」

恭しく楽器は配下に持たせて 片膝をついて恭しく頭を垂れた。
同格の吸血鬼なのに 其の一連の挨拶及び仕草は慣れた物。後ろにいる集団も同じように頭を垂れている。

ロザリア >  
「壮健のようで何よりであるぞ」

ティーカップを置き、膝の上でゆったりと手を組み、その言葉を迎え入れる
不死者を相手に健康を気遣うのも面白い言葉まわしではあるが、それはそれだ

「ずいぶんと大所帯になったな」

後ろの集団に気づくように少しだけ目を丸くして、そう言葉を投げかけた

舜胤 > 「は、暫し姿を暗ました後に再編致しましたが、
 私如き労いのお言葉賜り恐悦至極に至り奉ります。」

首を垂れたまま 配下の様な立ち振る舞いは 前回同様変わった節がない。
前回何と申したか 最早癖であるのでこのままの態度で許してほしいと。
そしてそれは許されたので 言葉遣いと及び振舞も格下の様にしたまで。
本来であれば同格?なので 自然体でいるべきだが、その自然体が何とも。

片膝をついたまま 垂れていた首をあげて 伏し目がちに城主を見上げる。
後ろ、と仰られたが 後ろの配下は殆どが不死者、つまり吸血鬼に淫魔といった集団。

「魔族の国でありますれば 音楽に嗜んだ吸血鬼と淫魔からで構成されております。
 私と共に最低限の人数でおりますので 大所帯程ではありません」

此処に来るまでに 何かと騒がしいこの国において一応理解されていると思うが、具申すべく口を開く。

「城主様に置かれましては 王国から愚かな羽虫共が連れ立って愚策の極みの蹂躙をして居るのは存じておりましょうか?」

ロザリア >  
「それで最低限とは、賑やかなことであるな」

ゆったりとした姿勢のまま、淡々と言葉のやりとり
弦楽隊のようなものには余り縁もなく、思わず珍しいものを見るような目で見てしまう

続く質問には少々、表情を強張らせた

「…王国軍の第七師団とやらであろう。
 村や町を焼くような真似はしておらぬようだが、吾の領内には戦えぬ魔族のほうが多い。
 城の地下で不便をさせておる故、事態の早い収束を願ってはいるのだがな……」

周辺から聞こえてくる話では、相手方も相応の準備をして挑んでいるという様子
本当にこの水晶の谷まで攻め込むつもりなのかと、僅かに正気を疑っていたのだが

「故に事実は相違ない。それがどうかしたか?」

舜胤 > 「オケの最低人数は50人前後、弦楽器隊は其の内三分の一。
 此度 弦楽器隊のみ連れ立って罷り越しましたが。」

普通 軍楽隊は管楽器や太鼓が多く 弦楽器隊はない。
ないものを敢て創設してしまったこの変わり者吸血鬼、音をスキルにしてからこそ思いついたともいう。

高周波攻撃を有耶無耶にでもできる楽器は 弦楽器だと。
だが、指向性にしないと全方位飛び散る高周波魔法攻撃の制御は難しく、
数人程の護衛と制御補助魔法士を以て何とかやれる位。
威力は絶大かも知れないが、それを補うリスクは高かった。
他 この隊が出来るのは 索敵位だが…自身だけでやったと言えば。

「第七は此処を目指して只管 進軍しております。
 他、合計六師団参加しているようですが どれがどれだか判別が難しゅう御座います。
 一つの塊を一つの師団としましても 今回はかなり大群で御座います。
 村や町に食料がないとかで鈍っているようです。焦土作戦でも致しましたか?
 少なからず…他の魔族の集団や勢力が各々勝手に攻撃中の様です。
 私が数週間前に居りました第十三師団は確か ミレー族や魔族を攻撃しているようです。
 この師団は 此方には進軍していないようですが 情報自体古いのであまり参考になる事はないかと。」

索敵による大まかな情報の報告をして見せた、何度かの小競り合い程度のものではなく
念入りに周到に準備をした遠征だと。逐一の戦力投入は愚策だと暗に含ませたような喋り付き。
事態の収拾には 逐一ではなく 一気に傾ける様な策でないと背水の陣に成果てると告げて。

「何か策はあるのでしょうか?城主様」

ロザリア >  
「──…随分な規模であるな。
 あの国のこと、王国の貴族達は臆病風に吹かれるかと思っていたのだが」

眉を顰める
過去に例がない程に大掛かりな進軍模様だ

「…戦火に巻き込まれる前に財産、食料の移動も含め吾が城へと避難をさせていた。
 進軍が鈍っているのであれば正解だったのであろうが、この城が落ちれば同じことよな」

チェアの肘置きに頬杖をつき、重苦しく言葉を続けてゆく

「放っておいても魔族との戦いに消耗し瓦解するであろうと思っていのだがな。
 やはり、直接力の差を見せつけなければ理解が及ばぬのか……進歩のない者達だ」

策は、という問いには答えはなく、ただ、冷たい声でそう呟きを返していた

舜胤 > 「これ以上索敵をしますと見つかりますので、
 流石にこの情報以上は御座いません。貴族を黙らせたのでしょうか?」

前例はない方が色々とリスクはあるが成功してしまうと止まらない。
止めるストッパーが不在としか思えてならない、暴走した軍部、それは恐ろしいとしか。

「ああ、焦土作戦したのですか、であれば補給線がそろそろ伸び切る筈。
 補給線から分断すべきでしょう、城が落ちる前に補給線を切りましょう。」

この城 自体 強いのでは? 確か先祖曰く城も強いと言って居た様な。
そう、そこまで言って 本題に入るのを忘れていたともいう。

「前回 拝謁した際は進言致しておりませんでしたが、
 我が自身とアシュラ奏楽隊を配下に加えて頂きたく。
 何かと助力が出来れば幸いですが、如何でしょうか?」

策はなさそう いや、 それを言ってしまえば漏れるのもあるからして。

ロザリア >  
「恐らく帰りのことも見越しているであろう。それほど食料が保つとも思えぬのだが、何かしら得手を得たのかもしれぬな。
 ……何、城が落ちることはない」

手を膝の上で組み直し、舜胤を見つめ返す──

「連中の手が水晶の谷へと及ぶようならば、吾が打って出る。それで終わる話だ」

本来ならば面倒を嫌う性質
しかし多くの同胞、領内の力なき魔族が憂き目に晒されるというのならば、話は別である
極大の戦力の坩堝たる城主そのものが敵と相対する
それが最上かつ最も確実な策であった

「…良いであろう。
 そなたとその一団、キルフリートに組することを許可する。
 但し戦火に飛び込むこととなっても無用にその身を滅ぼすことだけはするでないぞ」

舜胤 > 「現地調達しかないのでは。略奪行為など起きるかと存じますが。
 補給線を地味に高周波魔法攻撃しかないですかね…?
 曲の調べによっては 防御力向上など効果がありますので何かの補助には為るかと。」

手助け程度になるかも知れないが どこぞの世界の狙撃手みたいな魔法攻撃が出来る。
地味に一人一人、魔法攻撃で妨害する事を許可を賜ろうと。

許可が下りた、滞在許可が。
これで自身と一団、つまりアシュラ奏楽隊が宵闇城キルフリートに暫し滞在する。
元魔王としての技量と現 弦楽器師としての技量を以てお仕えしようではないか。

「有難う御座います、暫し…不死者には時間の感覚が鈍いですがお仕え致します。
 つきましては、早速ですが、昼夜眠らせない不規則攻撃も御許可下さい。
 谷に及ぶ手前までに妨害の任に当たりたく。
 本格的な戦禍には役にたちませぬので その際は撤収をお許し願いたく。」

あくまでも 狙撃めいた魔法攻撃と索敵と軍楽しか出来ないと言って居る様なもの。

ロザリア >  
「吾の領内以外に被害が及べば、他の魔王が黙ってはおるまい。
 そこまでは吾が関わることではない故、放っておけば良かろう」

基本的には事なかれ主義である
絶対的な力を持つだけに、変わり者扱いされる所以である
薄く眼を閉じ、その表情はどこか憂いを帯びて

「…許可する」

提案には簡潔に、その一言のみを発する
直接的に剣を交えたりしなければ、余計な被害が出たりはしないであろうと

ゆっくりとその碧の瞳を開き、その視線を向けてゆく

「そなたの与していた十三師団とやらは敵勢には居らぬと言っていたな…。
 その間、世話になった人間もおろう…それらを手にかけずに済むであろうことは、僥倖であろうか」

舜胤 > 「でありましたら 城主様の領域に足を踏み入れました際に 攻撃を開始致しますね、
 距離は関係ありませぬので 距離が短くても長くても威力に変わりはありません
 …いえ、距離が縮まれば威力は太くなろうかも。」

ごんぶと高周波狙撃魔法攻撃、光束の扱いで威力も厚くなるかとやった事はない。
暫し考えたが そんな実験的なことは出来そうにもない、地味に狙撃魔法攻撃をやろう。

許可も無事に降りたし 控て領域に入り次第攻撃しようと。
表情が此処に至るまでに変動もしなかった、無表情に近い吸血鬼。
質疑に対して 冷酷かつ全てを断ち切った顔を晒し

「その質問は愚問に御座います。例え居たとして 過去は過去 断ち切るまでです。
 では 御前失礼致します。配下と配置を協議致します故」

視線が合った、変わる事のない忠誠心を持って 答えを紡いだ後、
配下の一団と共に一旦 城主の前を去っていく事だろう。

ご案内:「宵闇の城・キルフリート」から舜胤さんが去りました。
ロザリア >  
「……愚問、か」

一団が去った後も、しばらくその方角を見つめていた

「断絶し、割り切れる者、そうでない者。それぞれであるな──」

僅かに冷えた紅茶を再び口に運び、天を仰ぐ
吹き抜けの先に鮮やかな赤色に見える月が佇む

それは、その時が近いことを、なんとなく感じさせた

ご案内:「宵闇の城・キルフリート」からロザリアさんが去りました。