2018/06/28 のログ
ご案内:「宵闇の城・キルフリート」にシュティレさんが現れました。
■シュティレ > 宵闇の城には、偉大なるお方がいるとお聞きしております、私の主も一目を置くお方だと聞いておりますので、一度ご挨拶にと常々思っておりましたが、残念なことに今まで縁がなかったのでしょう、到着することさえできませんでした。
最近の騒乱により、門戸を開いていると聞いた私はすぐに向かうことにしまして、謁見の為のアポイントメントをとることにしました。
開いている入口、その入口にあるこの城の主の部下でありましょうお方に、お取次ぎの予約を申し出ます。
今宵お忙しいのであればまた別の機会でも大丈夫ではあります旨と、我が主からの親書―――中身に関しては私も知りません、みだりに開けることは許されておりませんので―――それをお渡しいたします。
そして、門の脇、通行する魔族の方々に邪魔にならぬように脇に移動して、取次をお願いした方の返答を待つのです。
■ロザリア >
恭しく、羊頭の執事が現れロザリアに一言二言、声をかけ、なにかを手渡す
僅かに瞼を落としたのはティータイムを中断することになったせいか…それともただただ面倒だったのかもしれない
しばし眺めていたそれを手に
「謁見の間へと通すが良い」
一言そう告げ、立ち上がる
純白のテーブルセットは白い薔薇の花弁となって消え、
ロザリアもまた捻れるようにして穴の空いた空間へと消えてゆく
──さて、門の脇にて取次を待つ者の元へと羊頭の魔族が現れる
魔族は城へと入り、正面の大階段の先、二階の正面の大扉より謁見の間へと通るよう伝えることだろう
言う通りにしたならば、大扉の先
玉座へと鎮座する城主ロザリアへと拝謁することになるだろう
■シュティレ > しばらくお待ちさせていただきました所、なんと、直ぐにお会い頂けるとのことでした。
寛大な配慮に唯々感謝の念を持ちながら新しく現れました羊頭の魔族の方にお辞儀をいたしました。
そして、羊頭の魔族の方に案内されるがままについて行きまして謁見の間へと移動しました。
豪華な宮殿は魔力に満ち溢れておりましてこの城の主の格の高さが伺えます。
絶対者という形で、私の主の様なものなのでしょう、それを認めるだけで背筋がゾクゾクとします。
大きな扉をくぐり抜けて私は、謁見の間へとたどり着きました。
そして、頭を垂れ膝をつきまして、畏敬の意思をこの城の主であるロザリア様へと向けましょう。
「この様な時期、異国からの来訪の私にご拝謁の対応頂き誠に有難うございます。
私は、シュティレ・ズィゲルトーア、爵位は伯爵をいただいております。
この度は、ロザリア様へとご挨拶にお伺いさせていただきました。」
まずは、忙しい中、時間を作ってくださったロザリア様へ感謝のお言葉を。
そして、手短に用向きをお伝え致しましょう。詳しい任務はそのあとに、と思います。
■ロザリア >
傅き、畏敬の意を以って名乗る訪問者へと碧色の瞳が向けられる
玉座にゆったりと座った様子の城主はその表情に何か感情を見せることもなく、口を開く
「…構わぬ。面を上げよ。
この様な時期であるからこそ、貴様のような来訪者とは顔を合わせておくべきかと思ってな…」
鈴の音のような声は、傅いている関係上まるで上から降るように
この様な時期、とはいってもロザリア自信は特にやることが多いわけでもなく、暇を持て余していた
何もない普段よりは、流石に雑務も多くなってはいたが‥…
「ただ挨拶に訪れた、というだけではあるまい?
シュティレと申したな。せっかく場を設けたのだ、遠慮せず本題を申せ」
……同族、とはほんの少しだけ匂いが違う
そんな来訪者へと細まる瞳を向け、そう言葉を投げかける
■シュティレ > 頭を垂れていた私にかかる温情の声に、私ははい、と答え顔を上げました、長く垂れる髪の毛、真紅の瞳は、ロザリア様のご尊顔を初めて見ることになりました。
「はい、有難うございます
ロザリア様へのご挨拶、先程の受け付けて頂いた方にお渡しした親書の他に。
この国での私の任務の許可を願いに参りました。
私は、堕落した血族を誅伐するよう、私の主様から任を受けております。
この魔族の国にも、私の国の血族が逃げ込んでいるとお聞きしてます。
ただ、この国には、ロザリア様の血族もいらっしゃいましょう、私が行動することで誤解を受け、要らぬ争いにならないように、と。
何も言わず活動してしまったら、ロザリア様への反逆に思われてしまいかねません故。
それと、親書を渡したあとに、ロザリア様の命令があるなら聞くように、とも主に命令されております。」
このような時期でもあります、勝手に私の国の血族を誅伐したとして、それで私がこの国に仇為す者と思われてしまう可能性があります。
なので、この国の血族の……吸血鬼の王の有名な一角のロザリア様に許可を先にいただこう、そう思った次第でもあります。
言葉を終えたあとは、どうかと、もう一度頭を下げましょう。
■ロザリア >
「……ふむ」
矢張りその表情は変わることがなく、シュティレの言葉を全て聞き終えた後、小さく言葉を漏らす
「──吾の血を受けた者は皆この城に住まう。その見分けは容易であろう。
無論、誤解から貴様が害する者となる可能性がまったく無いというわけでもないが…、
吾は軽率に、短絡的にそれを反逆などと見なすことはない。存分に自らの主の任に身を捧げよ」
淡々と紡がれる言葉
しかしその最後の、シュティレの言葉には僅かに思案する様子を見せる
「吾の命令、か……。
では、人間の手にかかって滅ばぬことを心掛けよ。
──このような時期であるからこそ、な」
争うなとは言わない
ただただ、同族が人の手にかかることを忌避した言葉が向けられる
■シュティレ > 暫しの沈黙と、思考の時間、ロザリア様の思考の時間の間の静寂を邪魔せぬように私は静かにしております。
「有難うございます、そのお言葉、ご容赦に感謝致します。
ロザリア様に誤解のなきよう心がけようと思います。」
静かに、絶対的な強さで頭に降りかかる玉音。
ロザリア様の血族は皆この城に居ると言うのであれば、間違いは少なかろう。
それならば、魔族の国で堕落した血族を誅伐するのは問題がないということが判った。
「はっ!
我が身、主様に捧げていれば、主様の名誉を汚すことないように努めます。
人間達のなど一層注意を払い、不覚を取らぬよう努めます。」
この方は、お優しい方なのだなと、私は感動に打ち震えます。
見も知らぬ国からの来訪者である私に、そのような暖かなお言葉を頂けるとは思わずに。
顔を上げて、不敬とは思いますが、笑みを浮かべてしまいます。
優しさに思わず顔が綻んでしまいました。
「本当に、ありがとうございます。」
もう一度、感謝の言葉を、ロザリア様へお返しいたしました。
■ロザリア >
「それと…そうであるな」
一言を先に置き、その座り姿勢を崩す
肘置きに頬杖をつき、小さく嘆息した
「初対面ということで些か仕方なくはあるが、
吾は同族との、こういった堅苦しいやりとりは余り好まぬ。
吾の口調もあって、自然とそうなる者もいるのかもしれぬが…」
ようするに、肩の力を抜けと言いたいらしかった
「同族のその様な顔を見れるほうが、吾は余程に良いぞ」
向けられた笑みを、僅かにその瞳を細めながら見つめて、感謝に対してはそう言葉を向けた
■シュティレ > 「ロザリア様が、そう仰るのなれば。
この国の、ロザリア様の流儀に従います。」
私の国の血族は、基本的には上下関係は厳しくて彼女の言う硬いというのは普通のことですが、ここはその国ではない上に、上位者である彼女がそう望むのであればそう有りましょう。
今はこの国に滞在し、行動させてもらう身なのですから、と首肯を一つしまして返答しましょう。
「ただ、生来の気質という物もありますのである程度はご容赦を。」
友人のような口調とかは、多分難しいのかもしれないけれど、出来る限り彼女の望むように。
出来てるだろうか、ちょっと不安なところもありますが……頑張ろう。
「二つだけ……聞いてもよろしいでしょうか?」
ことんと、首をかしいで私は問いかけてみます、すごく気になっていたことが。
不敬になるかもしれませんが、すごく興味があることがありました。
なので、せっかくなので、気まぐれを期待し、問いかけてみることにします。
■ロザリア >
先に姿勢を崩したのは、相手に肩肘張らせぬようということだったのかもしれない
しかし、なるほど。生来の気質というものはなかなかと払拭できないものでもある
それがその者の納得した上での立ち振舞いであるのなら、多くは口を出さないようだった
「構わぬ、必要以上に畏敬を払う必要はないということだ。
──ふむ、申してみよ。吾に応えられることならば、応じよう」
2つ、聞きたい事があるという
何を問われるのかと少々好奇心の色がその瞳に浮かんでいた
■シュティレ > 「はい。まずひとつは……親書に何を書いていたのか、と。
私の主様は、ロザリア様のことを知っていたようですが、ロザリア様が私の主様を知っていたのかな、と。
もう一つは、皆、と申しておりましたので……こう、この国の血族の方は、口づけを頻繁にするのでしょうか、と。」
ひとつは純粋な好奇心である、主は厳格な人であるが、あまり外に出ないような気もする。
彼女が有名なので知っていたのか、それとも主とロザリア様がなにかつながりがあったのか、と。
もう一つは、この城、案内してもらう間に見た血族の方々はロザリア様の口づけを受けて吸血鬼になったのでしょう。
長く生きていれば増えるのは判るのですが、自分は一人もいなくて、同じ女の吸血鬼でもあるので、問いてみたくなった。
ちょっと恥ずかしいので思わず頬に朱が浮かんでしまう。
自分にとって、血族にする吸血は婚姻に等しいと考えているのだし。
■ロザリア >
「何、親書の中身なぞ、当たり障りのないことであるぞ。
…さて、吾も些か長く生きすぎている故、顔を合わせたこともあったかもしれぬが。
吾自信がそこまで対外的に興味を示さぬからな…こういった縁あらばまたそういう機会もあるであろう」
親書に書かれていたこと、については当たり障りのないこと…
つまりは従者が訪れる故に取り次いでやってほしい、といった内容くらいだろう
それ以上の何かがあったのかどうかは、ロザリアの口からは伺えぬようであった
「口づけ、ふふ、そういった表現は久しく聞いていなかったな。
如何にも、この城に住まう吾が眷属はすべからく吾の吸血を受けている。
頻繁に…とはまた違うかもしれぬが、寵愛を与える際なども…したりはするな?」
細まったままの碧の瞳は幼いその顔つきにそぐわぬ妖艶さを讃えていて
表情は変わっていない筈なのに、その頬に朱を差した訪問者を見つめる様子は何処か笑みを浮かべているようにも見えた
■シュティレ > 「なるほど……。お答え、ありがとうございました。」
手紙の中身に興味を向けるなんてとても失礼なことだと思いますが、お答えいただきお礼とお辞儀を一つ。
主が知っていたのか、と思うことにしましょう、この方はとても有名なかたみたいですし。
「……寵愛を与えるとき……!」
どきり、と冷たいはずの心臓が跳ねるような気がしました、私達血族は外見の年齢と実の年齢が食い違うことがよくあります。基本的には外見よりも実の年齢が高い、という意味で。
実の年相応の妖艶さを見せるそれは同性といえども、跳ね上がってしまいます。
頑張っても、顔が赤くなるのは止められません、流石に数々の血族を束ねる王は魅力も段違いなのでしょう。
「し、失礼しました……。私の国の文化とは違いましたもので。
ロザリア様に寵愛頂けるというのは少し羨ましく思います。」
美女と褥を共にする、血族の生殖は吸血であるから、性愛はそれこそ好みになってきますので。
目の前のような美人と愛し合えるのは素直に羨ましく思えるので、口にしました。
とんでもないことを口走った気がしなくもありません。
■ロザリア >
「眷属へと誘う時には冷たき死を与え、
寵愛を与える時には甘露な快楽に誘う…それが吾が牙である」
くすりと、僅かにその唇が笑みに歪めば、その隙間から小さな可愛らしい白い牙が覗く
「ふ……滅多なことを言うものではないぞ、シュティレ。
他の主に仕えている者を吾が眷属にしようなどとは思わぬ。
これでも多少の弁えはあるつもりなのでな」
すっかりと顔を蒸気させてしまっているシュティレ
自分と違って背も高く、相応の年齢にも見える少女のそんな姿はなかなかに見ていて楽しい
■シュティレ > 「死は、何よりも甘美な眠り……と、私は捉えてます。」
冷たき死の先にいるのが血族なのだから、と、私は思っております。
くすり、と笑う姿、その唇に思わず視線が、その唇の甘さを想像してしまいましょう。
「失礼しました、ロザリア様。
とはいえ、無念におもいましたのは、本当にございます。
……余り無用なお話でお時間を割いてしまっては申し訳ありませんね。
私はそろそろお暇させていただこうと思います。」
年頃の少女のように顔を赤くしてしまう私、このまま居たらちょっとまずいかも知れない。
ロザリア様の言葉を受けて、ぶんぶん、と顔を振りましょう。
私も、見目麗しい女性が好みなのもあると思います、あの方の言うとおり、ロザリア様と褥を共にするのはまずいでしょう。
後ろ髪がとても引かれてしまいますが、要件も全て終えましたし、聞くことも聞きました。
今回は、退出しましょう、その旨を告げて、頭をひとつ下げます。
■ロザリア >
「うむ。次は茶でも振る舞おう」
言葉を投げ、玉座から立ち上がる
その場に立つと、その体躯は更に小さく見えたかもしれない
「既に人間が魔族の領内に入り込んでいる可能性もある。
十分に気を払い、帰路につくがよい」
そう言葉をかけて、訪問者の少女を見送る姿勢のようだった
■シュティレ > 「ありがとうございます。
次にお伺いするときは、お茶菓子でも持っていきます。」
立ち上がるロザリア様、その小さな体に余る程の貫禄に、すごい方なのだと再認識しつつ。
私は次の言葉を紡ぎ上げることにしました。
「はい、十二分に気をつけて戻ります。
それでは、何かご用向きの際、お声いただければ、お手伝いさせていただきます。」
それでは失礼します、と最後にスカートの裾をつかみ、少し膝を曲げて会釈しまして。私は大きな扉をくぐり退室をいたします。
そのまま、また、羊頭の魔族の誘導を受けて入口まで戻り、そのまま魔族の国の今のところの私の仮宿へと向かい歩き去るのでした。
ご案内:「宵闇の城・キルフリート」からシュティレさんが去りました。
■ロザリア >
「………」
その姿が謁見の間から消えれば、小さく溜息と共にその細い肩を落とす
…あのように真っ直ぐで汚れすら知らぬような少女でさえ、
此度魔族の国へと侵攻する一団は、出逢えばその手にかけるのだろう
顔も知らぬ同胞がいくら倒れようが、知らぬ存ぜぬで通すだろう
しかし……
「…せいぜい、吾の逆鱗には触れぬことだぞ。人間ども」
誰ともなしにそう呟き、出現した空間の捻じれへと、ロザリアはその姿を消した
ご案内:「宵闇の城・キルフリート」からロザリアさんが去りました。
ご案内:「宵闇の城・キルフリート」にロザリアさんが現れました。
■ロザリア >
謁見の間にて、ロザリアは眉間の皺を深めていた
配下であるアンデッド達からの報告、
人間の軍勢がもう此方の領内へと入り込んでいるという話だった
先んじて戦えぬ魔族達を城へと匿っておいたものの……
「──この城に戦火が及べば、同じことであるな」
重苦しく呟き、玉座から立ち上がる
■ロザリア >
謁見の間より姿を現した城主は大階段を下り、一階のホールへと降り立つ
太陽の光が一切入らぬよう作られた古城
その内部は魔力の光に灯され、豪華な装飾品で彩られた大ホールは神秘的な姿すらを見せる
「吸血城キルフリートよ」
少女一人が佇むホールの中央、声高にその名を呼ぶ
──呼応するようにその城、そのものが大きな震動を起こす
主の声にと、反応を見せたのだろう
「貴様の身に危機が迫っておるぞ。
数千年間干からびていた貴様に折角と与えた吾の血…無駄にはしたくなかろう」
再び、城が鳴動する
ご案内:「宵闇の城・キルフリート」にルーシェさんが現れました。
■ロザリア >
ゴゴゴ…と重苦しい音を響かせる古城
それはただの古城に非ず
数多の戦乱、この城の城主となった者は常に戦火へと晒される、呪いの城
数万、数十万にも及ぶ夥しい血がこの城で流れていった
やがてその城自体が吸血鬼と化してしまう程に
「この吾すらも貴様の呪いに巻き込もうというのだから、強欲な城であることよな。
時折踏み入る人間達の血だけではやはり禄に腹も膨れぬか」
言葉と共に、すらりとその細腕を掲げる
右手の爪が鋭く伸び、その切っ先が鋭利な刃物のように煌めいて
「──もう一度ばかり、貴様に吾の血を与えてやろう。
腹を満たすには足りぬであろうが…何、やがて大勢、餌が来る」
その手首に赤い爪が走る
まるでワインのような赤い血が、絨毯へと滴り落ち…そして吸い込まれてゆく
ひとときの静寂
絨毯へと零れ落ちた血液はその痕すら残さず、吸収されて……
ズン、と一際大きな震動──
城のあちらこちらから、歯車の回るような音が響く
ギロチン、ペンデュラム、剣床
ありとあらゆる、侵入者を血袋へと変えるための城の機構の数々が最大稼働をはじめていた
「…さて、住民達には地下にでもゆくよう伝えておくとするか」
くるりと踵を返して───
■ルーシェ > 戦場から遠く遠く、そう逃げ出した先は友人の居城だった。
彼女のいるホールの床に水の線が円を描き、六芒星を浮かび上がらせる。
ぱしゃっと波打つように水が溢れると、普段と違って青い瞳に海蛇だらけの触手のような足となった姿で出現すると同時に、ぽてっと地面に突っ伏す。
丁度踵を返した瞬間に、そこへ現れたと言ったところか。
「ぅ~……ぅ? ロザちゃん?」
何やら振動がしたと思いきや、当たりが激しく動き始める。
その様子に何事とあたりを見渡しながらも、よろよろと身体を起こそうとした。
背中を向けた友人を見つければ、何事と言いたげにその名を呼んで、視線を送る。
■ロザリア >
「…ルーシェ?」
背後からの音と声、それと気配
見返り気味に振り向いたロザリアの眼に飛び込んできたのは、いつもとは様子の違う友人の姿だ
「どうしたのだ。 …その姿は?」
明らかに普段とは違う様子、思わずそう声をかけて
■ルーシェ > 「えへへ……」
普段と違う姿もそうだが、先程の戦闘もあって本来の姿であってもそれなりに魔力を消費してしまっていた。
特に、水から水へ移動する術はゆっくりと発動すれば消費は少ないが、素早く発動させれば魔力を多く使ってしまう。
力なく苦笑いを浮かべながら立ち上がれば、したしたと海蛇の足が地面に頭を押し付けて身体を支えていく。
「第七師団と戦ってきたの……ごめんね、追い返せなかったし、逃げてきちゃった。ぁ……わっ、み、見ちゃ駄目っ! 可愛くないからっ!」
あれだけ派手に戦ったが、遠くの気配は戦いの熱気を冷まさぬまま。
申し訳なさそうにつぶやき、俯いていくも、続く言葉にハッとして顔を上げる。
見るなというように、両手を左右に振って視線を遮るようにしながらも、变化を解除していく。
普段と変わらぬ白い足と紫の瞳、逆に魔族の本来の姿から擬態へ変わると、魔力の総量も抑えられてしまい、ふらっと身体が傾いて目眩をおこした。
■ロザリア >
「………」
はぁ、と溜息をつく
そんなことだろう、とは内心思っていたのかもしれない
「…あれに話など通用しなかったであろう。
海の魔王が、陸の上で無理をするな。見た夢の通りとなったらどうする?」
一歩踏み出す、と、ルーシェの身体が揺らぐ
──反射的、思わず、色々と言い方はあるものの、思わず手を伸ばしその身体を支えようと…
■ルーシェ > 「ぇっと……ごめんね、やっぱ私のせいだなって気持ち強かったから……何かしないと落ち着かなくて」
呆れたような溜息に、しどろもどろになりながら視線を反らし、俯く。
お叱りの言葉にも、しゅんとした様子で項垂れながら反省の姿を見せていた。
「最初から馬鹿にされたよ……ぅ、で、でもちゃんと、真水を海水にしてドーンして、水浸しにしてこっちのペースに持ち込んだんだよ? ぅあ……っ、そんな気がしたから…逃げてきたの」
彼女の言葉がザクザクと突き刺さるように染み入る。
本当に彼は怖がっていたのだろうか、それすらも疑わしくなる。
彼の言う通り騙されただけなのだろうか、彼女の言葉こそ正しかったのか、今ではよくわからない。
ただ、後味の悪さは心の中に残り、苦笑いを見せようとしたところで身体は揺れて……。
「ぁ……っ」
差し伸ばされた手に身体が支えられると、倒れることはなく、その淡い勢いに彼女の方へと体が揺れていく。
少し撓垂れ掛かるように身体を寄せると、間近な顔を不思議そうに見つめた後、満面の微笑みを浮かべて頬と頬をこすり合わせるように顔を寄せようとした。
「ロザちゃん、やっぱ優しいねぇ……」
子供っぽい自分を叱りながらも、こうして気遣ってくれる心遣いを噛み締めてながら囁く。
するっと両腕を彼女の背中に回して、もっとと甘えるように抱きつこうとしていく。
■ロザリア >
「死ぬかもしれぬというなら危うきに近寄るな、…大人しくしているのが良かろう」
それなりに責任を感じて立ち向かっていったのだろう
彼女はその奮戦を自分に語る
…ルーシェは決して力の弱い魔王などではない
人間達は余程の準備をして来ているのだろうか
「海へと戻れ」
自分を抱きしめるその頭を撫でながら、一言、そう発する
■ルーシェ > 「でも……」
だからといって、その危機を放置していられるはずもなく。
子供のようにふるふると頭を振って否定すれば、身体を寄せていった。
冷たい身体の感触も心地よく感じる中、髪を撫でられれば水気の残る水色はしっとりと感触を与えながら指の合間を滑り落ちていく。
目を細めて感じ入る中、紡がれた言葉にピクンと体が跳ねると、緩やかに顔を上げてその顔を見つめようとする。
「……何で?」
今になって突き放そうとする言葉に、じっと翡翠色の瞳を覗き込みながら問いかけた。
■ロザリア >
「奴らは此処を目指している。
死ぬのが嫌であろう?自らのテリトリーならば、貴様も負けることなどはあるまい」
わざわざ危険を侵す必要はない
どこかで割り切りを覚えねば、本当に少女の夢のとおりになるような、そんな気がした
「だから貴様は、貴様の海へと戻るのが一番である。
…自分でもわかっているであろう?」
自らを覗き込む、その頬へとひんやりとした手を添えて、見つめ返す