2016/06/27 のログ
■テルヴェ > 「あ、う……ごめんなさい。せっかくツァリエル様の手間を取らせて案内していただいてるのに…」
ツァリエルさんが戻ってくるのを目に捉え、その時になってようやく、脚を立ちすくませていた事を自省する。
再び歩み出そうとするも、褐色の頬と紺碧の瞳で覗きこまれれば、はっとなって再び立ちすくむ。
「……は、はい。とても怖い思いで……その、いま自分がこうして生きているのが不思議なくらいの。
きっと僕は運が良かったんだと思います。けど、そんなのずっとは続かないから」
途中、テルヴェは緋色の瞳を瞼で覆い、王族の少年から目を逸らして言葉を紡ぐ。
運がよかった、というのは嘘で。生き残れたのにも理由があって。でも、真相をこの少年に語っても詮なきこと……。
誤魔化しを口走り引け目を感じた肩に、そっと温かいものが乗る。ツァリエルさんの褐色の手だ。
つややかなその指のラインを目に捉え、思わず自分もその手に触れてしまいそうになるが……身分が違う、失礼にもほどがある、と中程で躊躇してしまった。
「……ツァリエル、様……」
そして、桃色の唇から紡がれる、自らを気遣う言葉の数々。その音素のひとつひとつが、過去の恐怖に萎縮していた心に染み込むのを感じた。
トラウマに傷つき、臆病に走り続けていたここ半年。卑屈に縮こまっていた、冒険者未満の情けない生活。
それらを、この少年は赦してくれている。意味があったことだと言ってくれている。
記憶の日陰に収まり錆かけていた「勇気」の炉に、つかのま火が着くのを感じた。
ぐしゃっ、とテルヴェの童顔が歪む。喉から、詰まった呻き声に似た音が響く。
「……うぐっ……あ、ありがとう、ございます……もったいない、お言葉です……」
涙を滲ませながら、嗚咽を抑えながら、ツァリエルさんの顔を再びまっすぐ見ようとするテルヴェ。
そのシルエットは……すらっと細まった顎や、ふんわりと伸ばしたブロンドヘア、慈愛に満ちた瞳は。
この国の腐敗した現状にあって、貴族や王族というものにどこか漠然とした嫌悪感を抱いていたが、そういった印象とは全く異なる。
きっとこの人は、神職にあるべき人……自分のようなろくでなしにも慈愛と救いをもたらす神の巫子……いや……。
(……お母さん……)
「……ツァリエル様は、とても優しいお方です……っぐ……貴方のような王族に会えて、僕、嬉しいです。
さっきの言葉を頂戴できただけでも、この王都に来た甲斐があったって……ウウッ」
自らの脳裏をよぎった、根無し草の自分には馴染みのない言葉。てんで見当はずれのその呼称を思考から振り払うように、感謝の言葉を述べるテルヴェ。
そして、自分がやや恥ずかしい言い方をしてしまったのではないかと、瞳をうるませながら再び顔を伏せた。
■ツァリエル > ぽろぽろと涙をこぼし言葉を紡ぐテルヴェに
そっと懐から取り出したハンカチで涙を拭ってやる。
自分よりも年下の少年が危険に身を晒し、そのせいで苦しんでいるのは
とても胸が締め付けられる思いだ。
だが本当に一番その状況に悔しさや情けなさを感じているのは
誰でもない目の前のテルヴェ自身だろう。
自分のつたない言葉で少しでも彼を慰め勇気づけられたのなら良いのだが。
「あなたが今日まで無事に生きていてくださって
そして僕と出会ってくれて本当に良かった。
過去にもこの先にも、あなたが危ない目にあっていたら僕はとても悲しいでしょう。
どうぞご自分をあまり責めないでください」
中途半端に浮いたテルヴェの手を自ら両手で包み込む。
その背をさすり、落ち着かせるようにあやす。
「どうぞ顔を上げてください。
僕は今でこそこんな身分にいますが、元はテルヴェさんと同じく平民の育ちです。
だから遠慮なさらず、頼ってくださいね」
少し相手が落ち着いたとわかればその手をひいて、テルヴェの欲しい情報がありそうな書架までゆっくりと歩いてゆく。
目的の歴史や地理の分類までたどり着けば、めぼしい本を一つ一つ指差して
「こっちが詳しい地図の本で、こちらが遺跡に関する年代を詳しく紐解いたもの。
反対の書棚にはたしか考古学の本がありましたから遺跡から何が出土するかなども載っていると思います」
なるべくテルヴェにもわかりやすいような易しい内容のものを選んで教える。
■テルヴェ > 「ううっ……すみません、ツァリエル様……」
頬を伝う涙をハンカチで拭われれば、高貴な身分の者の纏うモノを汚してしまうことに一瞬躊躇し、恐る恐る緋色の瞳を上に向ける。
しかし、優しげな顔立ちの中にどこか憂鬱も滲ませるツァリエルさんの表情を見れば、その気配りを甘んじて受け、澄んだ雫でハンカチを湿らせた。
介抱されれば、そのうちテルヴェも落ち着いていく。
「もったいないお言葉です。僕なんかに……根無し草で、臆病で、弱っちい僕なんかのために。
……でも、とても嬉しいです。そして勇気が出ました。
ツァリエル様が、僕と会ってよかったと言ってくださるなら。僕はこの出会いを大事にします。
ツァリエル様のために……ツァリエル様の言葉を無碍にしないために、僕、がんばりますから」
その、あまり心配かけない程度に。そう小声で付け足して、テルヴェはニッと白い歯を見せ、笑顔を作った。
白く小さい、とても冒険者のそれとは思えないテルヴェの手が、褐色の両手でそっと包まれる。温かく、柔らかかった。
テルヴェは今度は躊躇なくもう片方の手を伸ばし、やんごとなき身分の者の手へと自ずから触れ、包み返した。
「平民出身、だったのですね。だからきっと、お優しいお人柄なのですね。ツァリエル様はすごい人です……」
手の温もりを感じながら、テルヴェは未だ潤みの残った緋色の瞳を丸く開き、ツァリエルさんを見上げている。
その頬にはほんのり紅が差している。泣き疲れゆえか、それとも。
そのまま、導かれるように歴史・考古学の棚へ。もともとそちらが目的だったのだ。
ツァリエルさんの助言に従い、自らが求める地域・推定される遺跡の年代に近い書物をピックアップし、目を通していく。
「たしか、九頭龍山脈の北東の2合目あたりの遺跡でー……すごい、ツァリエル様どうしてそんな早く本を見つけられるんですか?
まるで司書さんみたいです!」
こうなるともう、テルヴェは見た目相応の幼い子どもと振る舞いはそう変わらない。
教師に付き従う児童のごとく、ツァリエルさんの後を追い、彼が開く書物のページをキラキラと光る瞳で凝視している。
■ツァリエル > やがて笑顔を見せたテルヴェに同じようににっこりと微笑み返し
「そんなに卑下されることはないです。
テルヴェさんはとても頑張っていらっしゃいますから……」
どうも自分と同じように卑下しがちなこの少年が気になってしまう。
自分を励ませない代わりに彼を慰め励ますことで、自分もまた元気や勇気を分けてもらっているようだ。
司書のようだと褒められれば照れたように頬をかいて笑う。
ただ逃げるように図書館に通っていただけだから当然司書でもなんでもないのだが
こうして年下の相手に尊敬と期待に満ちた目で見られるのはなかなかうれしいしこそばゆい。
彼が手の届かなさそうな本を代わりに手に取り、参考になりそうな文献をいくらか選び出して手渡す。
それから、と自分の首にかけていたノーシス主教のシンボルを外して
テルヴェに握らせた。
「もしお仕事に困ったり、他にも何か相談事があれば
ぜひお城まで来てください。ツァラトゥストラの知り合いと門番に告げて
これを見せれば通してもらえるはずです」
王侯貴族が身につける装身具なだけにかなりの価値がありそうなそれ。
もしテルヴェが自分に会いに来るために使わなくとも
食うに困ったときなどに質にでも入れて金銭に変えてしまっても構わないだろうと思っている。
テルヴェがこの品をどうしようともそれは彼の自由だ。
「もう少しお手伝いしたかったのですが、ごめんなさい。
人を待たせていますからこの辺で僕は失礼しますね。
もし、よかったらまたお会いしましょう」
そういって名残惜しそうにテルヴェの温かい手を握ってからその場を離れてゆく。
学院で初めて他の人と話ができたことに胸がドキドキと高鳴ったが
なによりまた親しくなれたらと、そんなふうに思ってしまう。
いつもよりも少しばかり晴れやかな顔で学院を去っていくツァリエルであった。
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院」からツァリエルさんが去りました。
■テルヴェ > 「僕も弱いなりに頑張ってるつもりです。でも……よく空回りしちゃって。そういうときって、どうしても落ち込んじゃって。
でも、ツァリエル様とお話出来て、またネジの巻き直しができた気がします」
頭をつき合わせて文献を読みながら、テルヴェは楽しげな口調でそう語る。
しょげこんでいた気持ちもずいぶんと回復してきたようだ。
ゆえに、立ち上がり去ろうとすると、一瞬は寂しげな視線を向ける……が、貴族や王族の忙しさも弁えているつもりだ。すぐに自分も立ち上がり、ぺこりと軽く会釈をして見送ろうとする。
「……え、これは」
そんなテルヴェに渡されるペンダント。この国の宗教の聖印であることはさすがに分かるが、実際に手にしたのは初めてかもしれない。
そして素人目にも明らかに高価なものだが……。
「そこまでして頂いて……、本当にありがとうございます。
はい、もし相談したいことがあったら……ぜひ寄らせてください。ご迷惑はかけませんから。
……ツァリエル様とのお話、とても楽しかったです! またお会いしましょう!」
図書館ゆえそれほど声は張り上げられないが、それでもよく通る澄んだ声で、何度も「また!」と語りかけながら見送る。
……そして姿が見えなくなると、手にぎゅっと握りしめていた、ノーシス主教の聖印を再び見やる。
幾何学模様の意味するところはテルヴェには分からないが、とても聖なる物品であることはわかり……精緻な造形の奥に、ツァリエルさんの褐色の顔が透けて見えるように思えた。
どこか憂いを帯びた表情。だが、見るものすべての心を穏やかに包むような、優しい笑顔。
「いい人……だったなぁ。また会いたい……」
ほう、と溜息をつきながら、しばらくその贈物を眺めていた。
これは、友情だろうか。それとも、別の感情なのだろうか。
数えられる程度の人間関係しか築けなかったテルヴェに、ツァリエルさんに対し抱いた印象を定義することは難しかった。
もう一度会いたいという気持ちは本当。でも、自分はどういう時に彼に会いたいだろう。
思考を巡らすと、いろいろなモチベーションが浮かんでは消えていく。その中で色濃く残ったのは、「寂しくなったとき」だろうという予想。
「……あの人は、僕の……」
ぎゅ、と聖印を握りしめる。手のひらが痛むほどに。
寂しいという感情。温もりを求める心。ごくありふれた感情のはずだが、テルヴェにとっては馴染みのないものなのだ。
それもそのはず、テルヴェは親というものを知らずに生きてきたのだから。
さて、遺跡の事前調査の任務が無事達成できたかどうかは別の話……。
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院」からテルヴェさんが去りました。
ご案内:「エアーティの隠れ家」にエアーティさんが現れました。
ご案内:「エアーティの隠れ家」にベルフェゴールさんが現れました。
■エアーティ > 「へ… 悪いなぁ、アタシだって溜まってるんだ…」
エアーティの顔がニヤリと歪む。
魔王の小さな手が、エアーティの剛直に触れた瞬間だった。
剛直に刻まれた紋様が輝き、ベルフェゴールの両手から、物凄い勢いで魔王の力を吸い出し始める。
エアーティの肉体に、途轍もない力が蓄えられていく…。
これまで感じたことのない高揚感を感じながら、エアーティは吼えた。
「オオォオオオォッッ!! き、来たああぁああっ!! スゲえエネルギーが… 流れ込んでくるうううぅぅっっ!!! ウォオオオォオオオォオッッ!!!!!」
エアーティの髪が真紅に染まり、赤黒い、血のような色をしたオーラを、全身から炎の如く立ち上らせていく…
■ベルフェゴール > 「溜まってるとはいえ……ねぇ……ンにッ!?」
(触れた瞬間、明らかにわかる。魔力を、吸い取られている感覚。
魔導機械を製造しているユースレスファクトリーの稼働率が少し落ちたのを感じて。)
「……なんで出すんじゃなくて、むしろ溜めてんのさ……変なの。」
(猛々しく吠えるエアーティを首を傾げて見上げる少女は、そのエアーティの先端を優しく掌と指でこすって。まだ、吸い取られている魔力の量くらいなら、さほど影響はないようで)
「……魔力を吸い取る……種族?みたいな?……そういう術式、かな?……ふぅん。どこまでできるか……見て、上げる。」
(手のひらから伝わる感触と、魔力の動きで色々推測し、ならば試してみようと。エアーティの布地をどかし、その剛直の先端に軽く口づけをし、両手を添えながら、ゆっくりと舌を這わせる。)
■エアーティ > 「ガアァアァッ…!! いい、ぞ… もっと、吸わせろ…!!」
魔王の愛撫により、エアーティの肉棒の表面に血管が浮かびあがり、濃いカウパーを先端から溢れ出させていって。
同時に紋様の輝きは消えず、奉仕をしている舌からも魔力を吸収していってしまう。
エアーティはさらに腰を突き出し、小さな口を犯そうとする…
■ベルフェゴール > 「……まぁ、良いけど……これくらいでテンション上がっちゃってるんなら……どうなっても、知らない……よ?」
(カウパーを舌先で舐めとりながらぺろりと舌なめずり、突き出された肉棒を咥えて、とても加えきれないので、両手でも扱きあげながら。自ら、勢い良く、エアーティに魔力を流し込んでいく。先ほどまでの数倍数十倍の勢いで、魔力を、半ば強制的に、【食わせよう】と。)