2016/06/15 のログ
テイア > 「とはいえ、出会いとは唐突に訪れると最近実感したんだが、そなたもそのようなことがあるかもしれないぞ。」

苦笑いに、そんな軽口を。自分だって、今こうやって番がいる状態を想像だにしていなかったのだ。まだ早い、と思っていても案外ころりと落ちる事だってあるかもしれない。

「さかのぼってもらうのは、先王の時代くらいで大丈夫だとは思うが…。」

なんせ森の歴史が歴史だった。完全に遡るのはほぼ不可能であろうから、次の王が決まった時の為に過去何十年分かの遡りを依頼する事になるだろう。さらりと言ったが、経理担当に来てくれる者は、その量と、不確かな資料に泣く事になってしまうかも。

「…いや、単に臆病なだけだ。欲張りなのかもしれない。騎士としての生き方、領主としての生き方、どれも捨てられない故のな。その上、更に男や子供たちとも歩みたいと。…不安に思われているのだろうか。私の方は、もうかなり長い間この立場にいるから、慣れているのだが…。」

初対面である相手にすら不安に思うと言われてしまった。
ならば、番の男の心の内はどうなのだろうと難しい顔で考え込み。
権力を使っての圧力も、今までに少なからずあった。
実力で跳ね除けられるものは、跳ね除けてきたし、状況に応じて対応してきたわけだが。

「…なんだ、口説くつもりだったのか?」

え?と驚いたように相手の顔を見たか。まさか今までの話は口説かれていたのか?だなんて。割とそういった方面には鈍感な方だ。やはり、そういった目印は必要だろうかだなんて納得してしまう。

アーヴァイン > 「どう…だろうかな、出会いがあればいいが」

軍属の頃は天然で口説く割に、女との巡りに対して運が無いと言われたことが脳裏を過る。
あるいみジンクスに近いものに縛られる中、すんなりとは言葉を受け止めきれず困った様に笑う。

「……お手柔らかに、頼む」

先王…ということはかなり前からだろう。
数字をまとめるのも、それを整理するのもかなりの手間だろう。
サポート役の経理担当も悲鳴を上げそうだと思えば、少しばかり乾いた笑い声が溢れる。

「婚姻の言葉を借りるなら、どんな時でも互いに尽くし尽くし合う。それなのに、君が苦労を夫に伝えなければ…支えてもらえなくなる」

察していくことは出来ても、その分時間が掛かってしまう。
子供も授かっての中なら尚の事、一緒に歩くべきだと、柔らかに微笑みながら背中を後押しする。
今は慣れて耐えれても、蓄積する辛さは何時か、彼女を蝕みかねないからだ。

「……そのまま言葉巧みに押し倒してしまうかもしれないな」

何時もならここまでの冗談も言わないが、鈍感過ぎる反応に困った様に笑いながら宣っていく。
他社から見た自分もあんな感じなのだろうと思えば、さらりと思った通りの言葉を言い過ぎるのも気をつけようと思わされるが…彼女にも気付かせるために、敢えて踏み込みそうな言葉をかけて、変わらぬ笑みで見つめた。

テイア > 「発展途上だからこそ、そなた個人を支えてくれる存在は必要だと思うけどな。まあ、出会いがなければどうしようもないことだが。」

発展途上の時こそが一番大変な時期だろう。そんな時に心の拠り所となる存在があるとないとでは、心の持ちようが違うだろう。とはいえ、自分だってめぐり合うのに人間では何代も生まれ変わっているような時を過ごしているから、巡り会えるかどうかは別として、なんて冗談めかして。

「まあ、私のような者がやっていて問題なかったのだから、多少抜けていても問題ないと思うがな。…経理以外にも人手は余っていたりするのか?」

しっかりと学んだものがやってくれるなら、確実に女以上の仕事をしてくれるだろうと思う。
人手に関して問いかければ、もし余っているようであればこれを機に役割を分散させてもいいかもしれないと、書類に関する男からの助言を思い出して。

「……ふむ…その苦労が、男にとって快くないものでも、か?」

言葉にして伝えるのが苦手な己。機微に敏い番の男に甘えてしまっている部分もおおいにある状況。
背中の後押しに、思いが揺らぐ。それでもある不安を問いかけに乗せて。

「………うん、わかった。既婚であることが分かるように配慮する。」

変わらぬ笑みで見つめられるのに、少しだけ間があいた。
え?本気で?みたいな空気が感じられるかもしれない。
じっとその笑みを見る事数秒。
押し倒してくるような輩には、相応に迎撃するつもりではあるがそういう場面にならないよう配慮すると頷いて。

アーヴァイン > 「…その出会いが難しい」

日長一日拠点の運営に携わり、暇があれば酒場の店主として戻り、時には出撃。
こうして日常を振り返ってみると、人に説教できるほどではないほど仕事まみれであり、マズイなと少しは心配になり、苦笑いを浮かべたままだ。

「粗は大目に見てくれると助かる。そうだな…実際のところ、戦闘要員が少なく、後方の仕事…経理、事務、衛生管理といった人員は余裕がある」

奴隷となっていた少女達が皆戦いを選ぶわけではなく、娼婦業を続けるのもいれば、拠点内の仕事に興味を持って各分野に散っていく。
内勤の人員の方が余ってしまったのは、少し困りどころでもあって、悩ましさが表情に浮かぶ。

「嫌になったら時には怒るだろうが…本気で愛するなら、ガス抜きが終われば幾らでも付き合うさ」

上がり下がりあっても、嫌うことはないと微笑む。
一番嫌なのは、そんな心配をする彼女を失うことだろうと、自分なら思えたからだ。
それにと言葉を重ねて、薄っすらとした笑みを続けていく。

「俺なら幾らでも好きな人の苦労を受け止める、君が後ろめたいと思うことでも…迷惑だろうと思うことでも。それでずっと気持ちを繋げて、独り占めできるのなら尚の事だ」

何時もすらりと浮かべていく言葉を、抑えることなく紡ぐ。
それが当たり前で、変わらず普通のことだと言わんばかりにゆっくりと語りかけると、一度瞳を閉ざしてから微笑む。

「……と、言葉で迫られるかもしれないからな」

多少動揺してくれれば意地悪のしがいがあるところだが、果たして。

テイア > 「まあ、それもよく分かる。職務中などは、仕事のこと以外考えられないしな。」

職務中などは、異性を異性として見るなど浮ついた気持ちでいれば命に関わる。
それは、荒事を生業の一部とする相手とて同じだろう。

「寧ろ、私の付けている帳簿の粗を大目に見てもらいところだな。…ふむ。では、事務関係の者をあと何人かこちらに回してもらう事は可能だろうか。先ほどのアドバイスを実現できる程度の人員を。」

後方の仕事の要員が余っていると聞けば、そう申し出て。もちろん、実際に働く者たちの同意があればの話。
代わりに戦闘要員を、と持ちかけたいところだが軍隊ではないためそれは難しかった。
先ほど交わしたリクルートを進めるのがやっとといったところだったか。


自分の嫌な部分を見せて、自分のもとから去ってしまう恐怖。
いままで、自分のもとから去った男は何人もいたけれど、それを引き止めたこともない。
そこまでに思い入れる相手がいなかった分、どの程度踏み込んでいいものなのか加減が分からなかった。
男の言葉をそういうものなのか、と少しだけ首をかしげながら聞き。

「…………。んなっ?!…こほん…。一度、しっかり話し合ってみる。指輪の件も含めて。」

それに、と重ねられる言葉。
一瞬本気で言われているような気がして、どきりとした。
浮気とかそういうのではないけれど。
けれど、続いた締めの言葉に思わず動揺が顔に出てしまった。
本気にしかけた自分が恥ずかしくてやや頬を染めながら咳払いをひとつ。型なしである。

アーヴァイン > 上に立ったり、戦いに赴くようになれば、嫌でも異性との距離は離れるようだ。
それに比べて弟の器用なこと…ここばかりは兄としては完敗だと思わされてクスッと笑ってしまう。

「それならお互い様か。 分かった、では希望者を募っておく」

人員を余らせて置くのも勿体無いものなので、二つ返事に了承する。
ほんの僅かなことだが、集落から人が広がり始めたのだ。
これでもっとこの事実が知られるようになれば、人々の認識が変わるかもしれないと、淡い希望を浮かべるほどに。

見た目と生きた年月の割に男女の関係には本当に疎い様だ。
ある意味、若き少女と大差ないかもしれないと、意外なもろさを感じさせられる。
言葉で踏み込まれ、崩され、恥じらう姿に微笑んでいると、外から声が届く。
どうやらそろそろ時間だと護衛の少女達が呼んでいるようだ。

「すまない、そろそろ戻る時間のようだ。また今度ゆっくり伺おう。それと…君が誰かのものでなければ、そのまま迫っていたとだろうな」

あの言葉を本気にして踏み込み、白い肌に触れていたことだろうと IF の話を語りながらドアの方へと向かっていく。
また会おうと軽く手を振れば、ドアを開いて隼達の方へと戻っていくだろう。
子供達の質問攻めにもそこそこに答えながら、大きな隼の背に乗り、空へと舞い上がっては小さく遠ざかっていった。

テイア > 「ああ、よろしく頼む。」

何かを思ったのか、クスリと笑ったのに少しだけ首をかしげ。
二つ返事で了承してくれるのには、礼を述べて。

それこそ言葉通りに、職務に忠実に仕事エルフとしての生を歩んできたから思春期の淡い恋愛なんて経験していない。
余裕が出た頃に、それなりに男と付き合ったことはあるがどれも、本当にそれなりにというだけ。
みっともない姿を見られてしまったと、はあっとため息を密やかにこぼしていれば外から声が聞こえた。

「ああ、色々と実りのある話が出来て良かった。私の方も、ドラゴンフィートの方へいずれ伺わせてもらう。
 …先程のは、忘れてくれ。…相談にのってくれて有難う」

IFの話には、辟易しつつ男を見送るべく女もドアへと歩いていく。初対面であるにも関わらず、随分と私的な相談をしてしまったが、嫌な顔をせずに聞いてくれた事に対して礼をいい。
森の子供たちとともに、空へと舞い上がる隼を見送り。

ご案内:「ルミナスの森 城」からアーヴァインさんが去りました。
ご案内:「ルミナスの森 城」からテイアさんが去りました。