2016/06/14 のログ
ご案内:「ルミナスの森 城」にテイアさんが現れました。
ご案内:「ルミナスの森 城」にアーヴァインさんが現れました。
■アーヴァイン > 「母も似たようなことを言っていた気がする。苦労したと聞いた、でも、父が用心棒をしてくれたおかげで続けることが出来たらしい」
自分が生まれる頃にはいなかった父の事を語りながら、薄っすらと笑みをこぼす。
騎士団の話を聞けばなるほどと頷きつつも、同じような組織にいた身とすればあまり楽観視は出来ないが、気にしていないというように緩く頭を振った。
「王都の軍は腐っている部分も多い、俺が知るかぎりでは腐ってないのは第七、第九師団しか覚えがない。騎士団も…厳しいかもしれないが、正常とは見づらいだろう。昔は軍にいたからよく分かる」
だから自分達への直接利益がないと動かないだろうと思えばこそ、彼女に援護を求めに来たのだろう。
「馬より早いのか…それなら速度に耐えうる必要があるな。分かった、完成次第送ろう。 木材自体はそれなり硬いが、継ぎ目が脆いからな。そこを抑えて…後は防炎加工に表面を焼いて、特殊な樹液で整えてある」
おおまかに言えばそんなところだが、木材の組み方や重ね方などを考えて組まれている分、外見を整えて作られた馬車に比べれば高い堅牢性と耐燃性を持ち合わせる。
これも元々は工作兵をした頃の知識を活かしたものだが、笑みを浮かべているが少し照れくさそうに視線を落とす。
「転送魔法…こちらに最初に現れたのもそれか、まさかと思っていたが確信に至れてよかった」
対峙した者からの報告ではそれらしい言葉があったが、確実にそれはとは言い切れなかった。
その言葉に納得しつつ、戻った後のことを少しだけ浮かべていた。
手を握りしめて、不意に呟かれた言葉に あぁ と反応しながら苦笑いを溢す。
「魔法弓という昔のミレー族に伝わっていた特殊な弓術だ、魔力をそのまま矢として放つ」
握手の手を解きながら簡単な説明をしつつ立ち上がると、執務机へと向かっていく。
お願いの言葉に微笑みながら書類を幾つか手に取ると、ざっと目を通して確かめた。
それをおおまかな種類に別けてしまうと、そのうちのひと束を持ち上げ、彼女へと差し出す。
「まずは分けるといい、許可の有無がほしいのか、答えがほしいのか、それとも金銭の話か。それぐらいに分けて期限で並び替える。それだけでも速度は変わる、ちなみにこれは…君が許可するかどうかの確認が欲しいものだ」
許可の有無だけなら、空き時間にさっと目を通してサインを入れるだけだろう。
簡単なことだがひと纏まりに整えられた書類を見れば、気づいていないことに察しがついた。
■テイア > 「今となっては、そんな事情など関係なく虐げられているわけだが、一度根付いた意識はそう変わることはないだろうな。そうか、共に歩む者がいるというのはそれだけで心強かっただろうな。」
結局、人は自分たちにとって都合のよい方を選ぶのだろうと思えば、ミレーという種族の地位の回復の可能性は極めて低い。
そんな中で、ミレー族を知ろうとすれば、排斥する動きもかなりのものだっただろう。学者の女ひとりの命など、簡単に奪われてしまっていただろうが、愛する者が守ってくれたのなら心身共に支えられたのだろうなと。
「耳の痛い話だ。騎士団も古い組織だからな。利権などが非常に絡みやすい。今の団長も悪い人間ではないが、流されやすいというか、な。」
騎士団の内部でも腐敗の影響がないとは言えない。
寧ろ、古い組織である分影響は強いといえる。男の言葉に頷きながら、語る口調はどこか他人事めいて聞こえてしまうかもしれない。
「ああ、よろしく頼む。護衛がつくにしても、危険地帯を早く抜けられたほうがリスクは少なくなるだろうから、使えるなら使いたいのだが…。発想をし、それを実現するまでに繋げる能力。素晴らしい才能だな。」
恐らくは、こちらの注文通りに補強を行ってくれるのだろう。問題は、こちらの騎獣の方。速さに特化している分、力強さの面でいえば馬に劣る部分があるだけに、使えるかどうかは五分五分といったところ。
発想の自由さ、それを現実に作り出せる技術とその確保。それらは積み重ねられた経験と共に、彼自身の才能が可能にしているのだろうと思えば、素直に口にして。照れくさそうに感じるその視線の動きには、ふっと微かに目を細めて。
「現れたときと、去る時では少しその手段に違いがあったとように見えた。…なんというか、戦闘の最中でもまったくよく回る口をもつ男だった。」
現れたときは、どちらかというと隠形しての侵入のように見え、去る時に転送魔法を使ったように見えたとその時の状況を説明して。まるで口から生まれたような男だったと、勝負をした感想を軽く述べて。
「ああ…しかし、凝縮した魔力を手で直接扱うとなるとかなりの修練がいるらしいな。」
経験上、実際にそれを見たことがあるのか彼の説明に納得したように呟き。
その手にできているタコにも納得といったところか。
手をとくと、執務机に向かう彼へと続いてソファから立ち上がる。
書類に彼が目を通している間に、ちらりと窓の外を見やれば珍しい大きな隼に興味を示した子供たちが、案の定集まっているのが遠目に見えた。
その様に小さく笑みを漏らす。恐らくは質問攻めにあっているのだろうと。
「ああ、なるほど。書類が到着した順番に処理をしていたな、そういえば…。」
一つの束を受け取って、ぱらぱらとめくっていく。全て可否の書き込みだけで済むような書類だった。
こういった書類関係の整理はシルキーには頼まずに自分で行っていたが、手当たり次第にやるのが常だったなと苦笑を浮かべ。
ちなみに、分類された書類の中で割と多いのがその他に当てはまりそうなもの。
○○と△△の間に子供が生まれた、だの生まれた子供の名前を考えてくれだの、誰と誰が浮気が原因で喧嘩をしたなど。
■アーヴァイン > 「だろうな…だから俺はあそこを作ったんだ」
母に影響されたというわけではないが、目の前で塵の様に命を潰された瞬間を見れば、内側から変えるなんて時間の掛かることは言えなかった。
苦笑いを浮かべつつも、それが正しかったのだと今は胸を張っている。
何処か遠目に見るような言葉は、長年生きてきたエルフからすれば、見ていてもどうにも出来ないことなのだろうと思うと、王都の闇の深さに小さく溜息をこぼした。
「そうだな…一番の身の守りは戦わず逃げるだ。…少しだけ目の付け所が違っただけだよ」
守りを固めても、足止めされて叩かれれば何時かは壊れる。
走り切る合間に耐えれるに十分な守りがあればこそ、逃げるが勝ちなのだ。
更に褒め言葉が重なると、むず痒い心地になりつつ、照れ笑いをうっすらと浮かべていた。
拠点への襲撃は、彼女の言葉を受け止めながらも潜まれないようにするしかないかと思いながら、成る程と頷いていく。
「矢を射れるまでは時間がかかった、ただ…詠唱しての魔法はどうにも下手で、これのほうがしっくり来た」
色々と手がまわり器用な割には普通の魔法は苦手らしい。
苦笑いをしつつ書類を整理し、束を渡すとやはりと言った様子に薄っすらと笑う。
「整理すれば何があるか分かるから、手分けしてもらうことも出来る。こっちは財務関連の者に、こっちは調査が必要だから、担当に証書か伝言をしておけばいい。こっちは……秘書がいれば、代わりに見てもらえばいい。対応が必要なものだけ君がこなせば大丈夫だろう」
書類に必要な作業を分散させていくのだが、多めのその他をざっとみて苦笑いを溢す。
まるで目安箱だなと思えば、その割り振りこそ手を借りるべきだ。
子供の話がみえたところで、彼女へと視線を戻す。
「……君の場合なら旦那の手でも借りられれば、休まりつつ進められるかもな」
これだけしっかりしていて美人で、長く生きている。
誰か相手ぐらいいるのだろうと、その落ち着き様から考えれば、そんな事をさもありなんといった様子で語りかける。
■テイア > 「ああ、それが正しかったからこそ、ドラゴンフィートには人が集まるのだろうな。」
ミレー族だけではなく、彼と考えを同じくする者。そんな人々が生き生きと生活している様を垣間見ればそんな言葉が出てくる。
ただ、少数派というのはなんにせよ目を付けられやすい。そして疎まれやすい。懸念はあるものの、そんなものは目の前の彼が重々承知している事だろうから、わざわざ口に出しはしなかった。
永くこの国に身を捧げ、内側から見つめ続けてきた国、組織。
今はもう、諦めてしまっている部分が多いからどうしても他人事のような響きになってしまう。
実際、山賊街道を担当する部隊に女自身が何かを言うことはないのだろう。
騎士団には、何も言わない代わりに女自身が森と共に動こうと考えていて。
「人と違う目の付け所、というのはなかなか難しいと思うぞ。それもまた才能というわけだ。」
照れ笑いを浮かべる男。そのむず痒いような気持ちは、女にもよく理解ができたが、これだけの功績を褒めるなという方が無理な話だったか。
「器用そうなのにな。まあ、人には得て不得手があって当然か。」
詠唱魔法が苦手と聞けば少々意外そうに男を見遣った。
「手分けといってもな、領地、というのは人間的な考え方でここに住む種族たちはそういった考えはあまりないだろうな。私はそれでいいと思っているから、なかなかこういった仕事を出来る者も少なくてね。」
財務関連など、そういった細かな役割というものがここにはなかった。人間的な仕組みについては、その殆どを女が取り仕切っている。だからこそ、女の仕事が増えているのだと納得がいくだろうか。
「旦那は、いない。…ああ、いや、いないわけではないのだが…なんというか、こちらの立場に巻き込んでしまうのは少々気が引けるというか。」
視線を戻され、旦那という言葉が出てきて少しだけ不意をつかれたような顔を浮かべる。
いない、と否定したあとに否定を重ねる。言われてすぐに思い浮かんだ顔に、少々頬が赤くなる。
珍しく言いよどみながら、なんと答えたものかと。どう答えても悩んでいることに繋がってしまうとここにきて困り顔を浮かべてしまったか。
■アーヴァイン > 「それが…とても嬉しいよ」
目を細めて嬉しそうに笑うものの、組織が大きくなり、成功を納める程に、心の中の棘が食い込む。
失恋に終わった女性に言われた一言が、時折脳裏に響く。
事を大きくし過ぎた、先客があったとはいえ、それが引っかからなかったことはないだろう。
そこにあったのは自分なのか場所なのか、分からなくなりそうな一抹の不安が少しだけ笑みを陰らせた。
褒めの言葉を遠慮しても重ね返されるのなら、観念したように苦笑いを浮かべて、分かったと受け止めていく。
「父の血のせいらしい、父も同じく詠唱魔法が苦手だったそうだ。 なるほど……それならこちらにいる人員を少し回そうか、数字を覚えたいというミレー族の者がいたので教えたはいいが、部署が埋まって試せず文句を言われてる」
奴隷にされていた娘達の中でも、教えれば頭の回る娘は多かった。
腕試しにもなるし、そちらも経理は楽になるだろうしと、そんな提案を持ちかけた。
「……? 婚姻した中なのだろう、向こうがそういうのが苦手なら良くないと思うが…」
恥じらいに薄っすらと微笑むものの、何処か曖昧な答え。
訝しげに思いつつ、不躾ながらに更に掘り起こすような問いを掛けてしまう。
■テイア > 「…何か、気になることでもあるのか?」
こちらの言葉に、嬉しそうに笑みを浮かべたが、その笑みの翳りを見出して問いかけを。
何でもないと言われれば、食い下がるつもりはないが他人だからこそ話せることもあるかと。
「…人員を回してもらえるのは、とても助かるがその者達は、ドラゴンフィートでの仕事を望んでいるのではないか?」
人員を回してもらえるというのは、とても有難い申し出ではあったが奴隷という立場から救われ、学ぶことを望んだのはきっと救ってくれた者の役に立ちたいという気持ちがあったからだろうと思えば、そこ以外での仕事は嫌がられはしないかと。
「…いや、正式な婚姻は結んでいない。人間の仕組みの中で、貴族という地位を持っているんだが…婚姻すれば、面倒な柵の中に巻き込んでしまうだろう?…あー、どうだろう。職人気質だから、こういった仕事は苦手、なのか?」
問いかけに、少し困ったように視線を彷徨わせる。
今は曖昧なままにしている立場。その理由をぽつぽつと語り。
■アーヴァイン > 「……気になるというか、振られた女性に言われた一言を思い出すんだ。事を大きすぎたと、だから歩くほどに自分ではなく場所のために生きていると思うと…少し寂しい時がある」
皆のための場所であり、そのための存在。
望んだのは自分とはいえ、自分という個が埋もれていく。
この先も同じ言葉を女性には突き刺されるのだろうかと思うと、流石に男としては辛いものがあり、困った様に笑っていた。
「そうだろうな…でも、ここであの娘たちが君の為にすることは、ひいてはドラゴンフィートの為だ。外を目指すものが彼女達を見た時、安心して選べる場所となる」
奴隷に貶された彼女達が、そこまでの仕事をするようになるのは、ここでの自分達を示す存在となる。
嫌がりはしないが、それを知れば結果として恩返しは時を経て受け取るのだと、少し先を見通しての答えを紡ぐ。
「成る程、内縁の夫ということか。 それは少し難しそうだな…」
職人気質と聞けば、拠点にもいる鍛冶屋の男達を思い出し、納得したように笑みを浮かべる。
それから先程書類を受け取った手を思い出しながら、すっと左手を指さし。
「せめて指輪はしておいたほうがいい、それだけ美しいと言い寄る男の数に嫉妬される」
薄っすらと微笑みながら思ったままの言葉を紡ぐ。
銀髪に宝石のような鮮やかな色違いの瞳と端麗な顔立ちに、引き締まったラインながらも女性らしい丸みを帯びた姿。
エルフの美女となれば、お声掛けも多かろうと思い、そんな男避けを伝えていく。
■テイア > 「なんとなく、わかるような気がする。私も、国の為、民の為と生きてきたからな。…丸ごと全て、そなたを包んでくれる女性に出会えるといいな。」
国の為に身を捧げ、騎士道に生を捧げてきた女にとって、男の話は重なる部分があって。ただ、それを寂しいと思ったことはなかったけれど、包み込まれた時の心地よさを最近知った。
その心地よさを知らなければ、今までどおり寂しいと思う事もなかっただろうけれど、もしそれを失くしたら自分も同じように感じるのだろうと思う。
けれど、きっとまだ出会っていないだけで彼を、その大切に想う場所ごとすべて受け入れてくれる女性はいるだろうから、そんな風に言って。
「では、お願いしよう。ただ、経理なんていままでいないも同然だったから、かなり過去までさかのぼっての仕事になると思うが…。」
その娘達が、そう思ってくれる職場になるように己も努力しようと約束して。
しかしながら、長年女が一人でやってきた仕事故に資料が残っていたり残っていなかったりとかなり大変な思いをさせてしまうと最初に謝っておこう。
「…そんなことは気にしない、と言ってくれるのだろうが。私の側の立場へと正式につながってしまえば、どす黒い貴族とも関わらなくてはならなくなるからな…。それに嫌気がさしてしまわないかと、そう思えばなかなか踏み出すことができなくてね。思った以上に私は臆病だったようだ。」
番と定めた男に言い出せないでいる悩み。
それを、どうしてか会ったばかりの相手に打ち明けている不思議。彼の持つどこか話しやすい雰囲気と、そしてあったばかりであるからこそぽろりと出てしまっていたか。
「…指輪?…そういうもの、なのか」
左手を指さされて、自分の左手をみやりそして続く言葉に少し首を傾げた。
■アーヴァイン > 「ありがとう…とはいえ、まだ発展途上だ。落ち着いて離れられる時が来れば…また考えられる」
彼女の優しい言葉に苦笑いを浮かべつつ紡ぐも、それは自分に言い聞かせていたのかもしれない。
立ち止まるにはまだ早いのだと。
「……最初から大仕事だ」
森にある全ての経理となれば、遡るとかなりの量になりそうだ。
ベテランの経理担当も一人、サポートに添えておいたほうが良いかもしれないと思えば、笑みを深める。
「…優しいんだな。だが、男からすれば、そのドス黒い世界に意中の相手を置いておくのは不安だと思う。特に王都は、権力で君をどうこうすることだって出来るだろう?」
騎士団から追放するだの、位の剥奪ぐらいならまだしも、森を逆手に脅しをかける輩もいるだろう。
その時に求められるのは女が相手なら体だ。
しかし、夫が隣りにいるなら何を奪われようと傍にいてくれる心強さが、暗い取引を遠ざけてくれると思ってのこと。
少なからず、俺は不安に思うと薄っすらと微笑みながら語る。
「あぁ、手つきなら避けることもある。男が女に弱いところを見せるのは、そういう思いもあるということだ」
隠したがるだろう傷を晒したのも、貴方にならという特別感を与えるためのトリックだと昔に習った。
とは言え、先ほどの言葉はそこまで意図したものではないが……状況が重なる今なら、揺さぶることぐらい出来るだろうと、相変わらずの笑みのまま紡いでほんの少し意地悪をしてみた。