2015/10/12 のログ
ご案内:「街道沿い:イルミの魔法店」にイルミさんが現れました。
イルミ > 「はぁー…………」

『四分間、筋力が三~五パーセントくらい上がる薬』『二分半、痛みがちょっと感じにくくなる気がする薬』『キノコだけはよく切れるナイフ』など悉く微妙なアイテムが雑多に並ぶ狭苦しい店の中、椅子に座ったまま溜め息をつく。今日は特別な予定もなければ客の気配もなく、そして退屈をしのぐものも何もない。それもそのはず、この店は周囲に何もない街道の側にぽつんと建つ小さな魔法店だからだ。日に訪ねてくる客は多くて十人。最高記録は十六人。そしてその多くは男性で、大体の場合異様に口下手なこちらの接客に辟易して帰っていく。

「もう少し街に近いところにすればよかったかなぁ……」

それならもう少し客足もあり、そして退屈な時には街に遊びにいけるかもしれない。しかし、それは両方とも自分の苦手な男性と接触する機会が増えるということである。そう考えると少し迷うところではあるが、これだけ暇ならいっそ男性でも客が来てほしいとも思う。何せ貧乏なままでは暇潰しすらままならないのだから。

ご案内:「街道沿い:イルミの魔法店」にテルヴェさんが現れました。
テルヴェ > 「ここが……噂の占い屋さん……? なんかすっごい雰囲気出てる……気はする」

街道に建つ魔法店の入り口で、冒険者姿の子供が中を伺ったり、外の陳列物を眺めたり。
やがて、意を決したように店の暖簾をくぐってくる。

「すみません、あの、占いをお願いしたいのですが……えと、できれば先にお値段のほうを知れると嬉しいです……けど……」

店主はどこかと、響く声で問いかける。その声は未だ声変わり前の甲高さだ。

イルミ > 「こっ、こんにちは……占いですか?」

最初は緊張に震えたような声だったが、彼の姿を見てすぐに和らいだ。いくら男性とはいえ、小さな子供相手ならそこまで怖くはない。よく一人でこんなところまで来たなと思いつつ、と安堵の溜め息をひとつ吐くと、

「お一人様、一回15ゴルドです。占っていかれますか?」

自分でも珍しいと感じる、比較的それらしい接客ができた。こちらは準備万端ですよ、と主張するように、いかにもそれらしい水晶球を用意するのも忘れない。

テルヴェ > 「は、はひっ。こんにちわっ」

掛けられる声に、全身をぴくっと震わせるオーバーなリアクションで反応し振り向く少年。
店主のほうへ歩み寄り、しばしその様子を見分。いかにも!な感じの魔女のお姉さんだ。
怖い老婆や悪女でなくて本当によかった。ローブの中は豊満そうだが、机越しでは詳しくは窺い知れない。

「えっと、僕、冒険者やってるんですけど。いま依頼されてる……猫ちゃんがですね。どうしても見つからなくて……」

真ん丸の瞳で魔女を見つめ、たどたどしい舌使いで説明する。そして、ベルトポーチを探り、一枚の羊皮紙を取り出す。
そこには、あまり上手とはいえない猫の似顔絵と、特徴が仔細に記述されている。

「この子は貴族に飼われてたそうですが、この街道を馬車で通っているときに逃げてしまったそうなんです。
 僕が依頼を受けて探してるんですが、なかなか見つからなくて、困っちゃって……。
 15ゴルドなら、収支マイナスにはならなさそうです。あの……何か手がかり、お願いできますか?」

説明をする間も、その視線は店主とその後方や周囲にきょろきょろとせわしなく動いている。説明を終えた後はなおさら。
どうやら占い屋、魔法店という雰囲気そのものに不慣れな様子だ。

イルミ > 「猫、ですか……うーん、どこまでやれるか……」

占いというのは大抵、これはやめておいたほうがいい、こうすると運気が上がる、という類いの大まかな指針を示すものだ。特定の人、物の場所をピタリと示すのは難しい。しかし、どうせ今は少し……いや、かなり退屈していたところだ。

「わかりました、やってみますね。少し時間がかかるかもしれませんが…… 」

やれるだけはやってみよう。そう思いながら、目の前の少年の目をしっかりと見つめて言った。こんな小さな子でも頑張って仕事をしているんだから、自分も負けてはいられない。
水晶球に軽く手を添えて、そっと目を閉じ、集中する。