2023/04/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にミルフィリアさんが現れました。
■ミルフィリア > 教会の聖職者といえば、その腐敗した上層部はともかくも、一般的な聖職者は清貧を主とした生活を送っている。
それゆえに魔法のひとつも使えれば、それを活かして生活費を稼ぐということも珍しくはない。
治癒の魔法に長けた少女も、そんなひとり。
時折ギルドに顔を出しては、怪我が日常的な冒険者を相手に、比較的安い値段で治癒を引き受けていた。
とはいえ、あまりに安いとそれはそれで他からも睨まれてしまう。
かといって高すぎては、客が付かない。
治癒の腕は良くとも、値段設定に関してはまるで素人で、なかなか苦労していた。
そんな中で見つけた張り紙。
見れば、それほど遠くにまで行かずとも採取できるらしい。
これくらいならば、ひとりでもこなせるかもしれない。そう考えて受付で教えて貰った依頼主の元へと足を運び。
「あの、掲示板に張り出されていた薬草採取をお受けしたいのですが―――」
酒場の隅のテーブルに陣取る男に、丁寧に頭を下げて話しかける。
その仕草は荒っぽい冒険者には、珍しいもので。
■ランバルディア > その仕草は勿論、その見目も含めて珍しくギルドに姿を見せたところから視線のひとつはくれていた。
こちらへやってくれば嬉しいものだが、とは思いつつ。
昼間から酔いどれている冷やかしを躱し、ごく僅かだが真っ当に依頼として報酬だけで済ませる冒険者に対応をして。
まさか、という奴。
「――あぁ、……どうしたシスター、物要りか?」
こちらも、酒場に似合わず柔らかく笑いかけて視線を向ける。
改めてその容姿を一瞥して、首を傾いで。
受付で聞いているだろうが、稼ぎのいい仕事を欲する理由を聞かせてほしいと言葉を促す。
■ミルフィリア > ギルド併設の酒場だから、少女がひとりでいても問題ない程度には監視が行き届いているとはいえ、
酔っ払いにはそんなギルドの抑止力も効かないことが多々あるわけで。
ただ幸いにして、今はまだ日も高い時間帯。
この時間から飲んだくれている酔っ払いの姿は少ない。
逆に言えばそうでもなければ少女がひとりでやってくるはずもない。
少ない今日の稼ぎの中から、コインをひとつ摘まむとマスターにミルクを注文する。
さすがに何も注文しないままに酒場に居座るのは、申し訳ないとばかり。
「物入りと言いますか……お世話になっている孤児院のみんなに、たまには甘いものでもと。」
男の向かいに腰を下ろして、受付で聞いてきたとおりの彼の流儀に従って話を切り出す。
日々の食費は何とかなっている。まぁ、それも十分とは言えないものだけれど。
それでも幼い子どもが多ければ、甘味の方が喜ばれるわけで。
「薬草採取くらいでしたら、私ひとりでも何とかなりそうですし。
どのくらい入り用なのでしょうか?」
行って帰ってくる時間を差し引いても、ここで治癒をしているより儲けは大きい。
となれば、少女でなくとも飛びつくだろう。
事実、少女が治癒を行っている間にも、何人かが男の元を訪れていたのは見えていて。
■ランバルディア > 「なるほどねぇ……そりゃ、それなりにそれなりだな」
演技の必要もなく笑みを深め、大きな方を揺らして笑った。それは大層喜ぶだろう、と。
とある孤児院ひとつ運営をしている男にはよくわかる話。
目の前の彼女自身だって甘味を喜びそうな歳頃に見える。
深く頷いて、依頼を受ける理由には十分と示した。
「いくらでも。量はあるだけありゃあいい、どれだけあったって俺には困らないクスリの素なんでね。
……シスターらには色々と世話になってるし、採りやすいトコとか教えてやってもいいぜ?」
採ってくれば採ってきただけ、報酬を支払うと嘯く。
ちょいちょい、手招き。男からも椅子ごと彼女へと近づいて。
尤もらしい理由をつけ“ここだけのはなし”と密やかに、情報もセットにしてやろうか、とまで。
■ミルフィリア > あればあるだけと示されるも、少女に持てるのは鞄ひとつが良いところだろう。
薬効があるのは葉だといえ、葉だけを捥いでしまえばすぐに萎びてしまう。
新鮮なままで届けようとすれば、どうしても嵩張ってしまうわけで。
どうやって運ぼうかと考えていると、思いがけない申し出にパッと顔を上げ。
「本当ですか? それは助かります。」
過去に痛い目を見たことがあるとはいえ、教会は基本的に人の善意で成り立っている。
腹黒いことも多々あるというのは理解はしていても、世話になっているからという言葉を疑うこともなく。
手招きされると、素直に身を寄せる。
何度か通り過ぎたことのある森の中とは言え、そこで採取するのは初めて。
情報はいくらあって困らない。ペンと紙があれば、それこそ書きつけておこうとするくらいには真剣な様子で。
■ランバルディア > 「まあ待てよ、ここじゃどんな聞き耳立てられてるかわかったもんじゃねえんだから」
前のめりに食い付く彼女を逆に制して、唇に指を立てた。
訝しまれるか、もらいすぎだとでも言われようものなら少し遊びを交えようと思ったけれど。
ここまで素直に乗ってくれるなら、小細工は要らなさそうだ。
「場所を変えようぜ?こういう時のために、上に取ってる部屋がある。
ちっこい頭だけじゃあ、おぼえるにも限りがあるだろ?」
それなりに監視と節度のあるギルドは、宿泊施設も兼ねている。
そこでならゆっくりと懇切丁寧に教えられる。それこそ、ペンと紙だって用意がある。
マスターが持ってきたミルクを自分が受け取って、彼女にも起立を促して。
ミルクと獲物を片手ずつに、借り上げた部屋へ連れ込もうとする。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からミルフィリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からランバルディアさんが去りました。
ご案内:「城塞都市 アスピダ 雨中の場」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
■メイラ・ダンタリオ > ◆
今日の雨の間は静かだった。
滑る地面 塗れる体 口に中に入り込む土の味
それを勝者も敗者も味わって、アスピダと言う場所を感じているのに
出てくる気配どころか、城壁周りで見回る者らによる虱潰しな数減らしも効果を為さない。
今夜は身を顰める時間のようだと感じると、メイラの中に燃え続けている 燻ぶっているそれ
獣性にも似た唸り声 捧げると尽くすで出来上がった体は、目の前に何も捧げられるものがなければ
白い息を吐きながら、使うべきときまで、押し込めていくだけ。
「静かな昼ですこと。
わたくしたちがいる間は、絶え間ない剣撃だって違和感がないのに。」
鎧も既に前回の闘争の血泥は綺麗に拭われているほど
一つの天幕 雨避けにされた中で視界を遮らず、アスピダの方向を眺めながら
長い髪を解いて同輩に梳らせ、体を水桶に満ちた雨水と布で拭う。
匂いも垢も、戦場では普通だ。
しかし、それを取り除く行為を実行するほど、今は静か。
鎧を外し、衣服を捲りながら拭いつつ、周りも不気味な時間として過ごしている。
顔付きは白湯を呑みながら待機している顔ばかりだ。
「こんな日は夜だって休まらない。」
赤い瞳は、ギザ歯を覗かせてそんな風に呟いた。