2023/04/09 のログ
ジギィ > 「フーン、 お金ってむずかしいんですのね。 必要なものがあって、それに対してどうやって稼ぐか算段する、というのともちょっとちがいますのね?
 気分任せなんて失礼ですわね。ちゃんとそれなりのモノを扱いますわよ?
 
 ンー 行先がどうなっているか解らないのは嫌ですわね。道中どうなるか解らないのはべつに構わないですけれど、行先や目的の不明は困りますわ」
エルフが彼と話していて少しずれるのは、『基本的に金銭を浪費する習慣』の差かも知れない。このエルフにとっては基本料金タダの暮らしが当たり前。恒常的に稼ぐ必要があるというのがどうもピンとこないらしい。
そのくせふらふら目的が無いのも好まないようで、旅立つならば何かしら目的がほしいと言う。とどのつまりがどうなるか解らないのは構わないが、最初から構わないというのは構うという
複雑な心である。

「余計ではないですわ。この国ではいっそ誉め言葉ですから、胸を張って良いと思いますわよ。
 ……そうですわね、 赤… あか…」

背後からぎゅぅぎゅぅ彼の肩を掴まり揉みしていたエルフは、暫く考えるように天井を仰いで
それからふと彼の顔を覗き込む様ににゅうとページをめくる彼の腕の下から顔を出す。 じぃとどんぐりまなこが彼の眼を見て

「―――おじさまの眼の色を、明るくしたような印象だと合うと思いますわ。
 …何色、といって良いのかはちょっとわからないですけれど」

ン――――と唸り声のような音を喉から響かせて、暫く彼の瞳をじっと目を凝らしてみる。
瞳の色は光の当たり具合で色が変わる。彼の色を一色で表すのは難しいけれど、似たサンプルというか、表現方法はないものかしらん…

「あら、ディアーヌ様もお上手ですわね。 そうですわね、両手で足りないくらいはありましたけれど、まあ大概は自分の欲望に正直な光が目の底にありましたわね。 ほんと、正直な殿方たちで」

ほほほ、と笑う彼女に呼応するようにエルフも片手を口元に当てて笑い声を零す。
それは本当にあったことかどうなのか、まあどちらにせよ、この国では特に珍しくもない出来事であるし『コイバナ』とはほど遠い出来事のようではある。

 「綿と絹と、掛け合わせても面白いかも知れないですわね。艶消しの布と艶のある布と……いっそすごく凝って、オジサマに歩く広告塔になってもらうように…ああ駄目ですわね、おじさま背景に溶け込みたがりますから…
 
 …? どうかなさいまして?」

再び彼の背後にもどって肩を揉んだり、また机の上のサンプルに身を乗り出したりしていると、エルフと彼女の視線があう。
毛玉たちに視線をちらりとやると、どうやら願いはとどかなかったらしい。でも取り敢えず、彼女に懐いてくれている様でなにより、と独り勝手に頷いて、また彼女に視線を戻すと

「……」

取り敢えずピースサインを送って見せた。エルフとしては『応援していますわ!』のつもりだが
このエルフの『応援』は彼女の意に沿う『応援』ではなく、コイバナ方向に舵をきらせようと軌道修正さ酔うとするものになるのは、想像に難くないだろう。

影時 > 「いンや、間違っちゃいないぞ。
 
 金は天下の回りものであり、あればあるほど色々とできることがある――たァ言え、使い方次第だ
 例えば、そこそこ良い暮らしをするに、大体確か……二百ゴルト位か?目安として。
 それを安定して毎回稼ぐにあたり、冒険者であれば、どんな仕事やら依頼等に手ぇつけるのか、ということになるか。
 生活に限らず、何か欲しいものが出たときには、何を切り詰めるのか、という考え方も出ちまう。

 ……ははは、本当かねお嬢様。
 
 タナール砦を超えた向こうのどこそこに何かがあるらしい、とか聞いたらついつい向かっちまうクチなんだが、俺」
 
後援者、パトロンのお陰で最低限の生活は保証、支援がある。
それでもそれに甘んじないのは酒代やら細々したもの、毛玉たちの餌代といった食費、武具を整えるための費用等のためだ。
野宿も選択肢に入れる位に生活の最低限をどれまで下げられるか、という経験と弁えはできていても、人界に生きるのに代価なくは非常に難しい。
生活の保証があるのも、時間を適切に割いて、自分でなければできない教え、教授を行えるからである。
飲酒などの嗜好品含め、より満足なものを得たいのであれば、それはもう働くしかない。
旅もまたしたい。魔族の国という危険地帯への行脚も良いが、いつぞやの森の探索もまたしたい。

「お前ね、其れ働かないコトこそが美徳とか云うんじゃぁあるまいなあ……。
 俺の目の色の、ねぇ。……緋色、か、深紅、深緋色あたりとか?」
 
怠惰はむつかしそうだ。肩もみしつつ掴まるエルフが考える込む仕草を感じていれば、にゅいと動く気配がある。
ページを捲った後の瞬間を縫うように、腕の下から顔を出す姿を見下ろす。
低い視点から鮮やかな草色の眼差しと明度を落とした暗紅色の視線が合えば、それがちょうど鏡代わりになる。
言葉に表すなら、口に出したものあたりが良いのだろうか。氣を灯して爛々と輝けば、言葉通りの色を持つだろう。

「面白コンビかぁ。いやまぁ、否定はできんか。
 お嬢様はコイバナに目が無くてなぁ。宣伝材料代わりは勘弁してくれ。羽織の色変えは望むところだが、けったいなのは困る。
 
 俺としちゃ白が主体なのは賛成だ。または、いっそ全部深紅か深緋色に染めて刺繍を重厚に入れるか、とかな。」
 
しかし、突っ込みが入ると返す言葉がなくなる。
第三者から感想というのは、良くも悪くも新鮮な感じではある。
エルフの趣味を示しつつ、広告塔と宣う様には思いっきり嫌そうに顔を歪める。奇態に凝り過ぎると往来でも忍ばざるを得ない。
白+刺繡+裏地に赤か。あるいは裏地も表地も赤くしてがっつり刺繍を入れるか。着る身としての要望を述べて。

NPC > 「赤か紅色とか、だと……この本とかどう?」

色にお悩みなら、と。カウンター横の棚から一冊の本も引っ張り出す。
この世すべての色を網羅しているわけではないが、それでも困るには多少なりとも助けにはなるだろう。
色彩学の手引書というのは、こういう時に便利である。
他国の色の言葉も訳しないと理解できないこともある以上、完備していないとデザインを考える側も悩む。

「えへへー。……それ付き合う相手間違ってない?
 そんな顔とかしてるのって、大概絵に描いたように太った商人や貴族のオジサマを思うんだけど?」

褒められていない、と突っ込まれても仕方ないくらいに、店主のハーフエルフも耳を揺らして頭を掻きつつ笑う。
だが、その顔をすぐに顰めるのは、絵に描いたようにいかにもビジョンが思い浮かぶからである。
見目のいい美女の奴隷を見定め、品定めするような品評会の情景がそれこそ如何にもしっくりくるのではないか?
そうだとすると、コイバナというコトバにはちょっと合わない。

「生地のつくりとかによっては、自然にとそうなるかな。
 端切れを組み合わせて一着作ってるヒトとか居たけど、……あれ、気を付けないと襤褸を纏っているようになるから、あんまり向かないかも。
 このオジサマだと背も高いから、ちゃんと作っておいた方が間違いないんじゃないかな。
 
 白か、赤か。ん、あたしとしてはどっちも良いわよ。同じくらいの費用で用立てられるわ。お代は……こんな感じ?」
 
凝り過ぎると縫うのも大変よ?と。ちょっと苦笑交じりにアドバイスしつつ、男の要望通りのものはできると述べる。
そのうえで勘案した見積もりを出そう。毛玉たちの洋服、男の羽織の新調、そして羽織のデザインと生地に合わせた毛玉たちにもう一着。
締めてお代はいかほどにと描きだす値段は、やはり安くはない。相応に値が張る。

それぞれの反応を待ちつつ、贈られるピースサインに店主は目を瞬かせ、男の言葉に趣味か―、と困ったように笑う。
顧客へのサービスと恋心、心情の噛み合いというのは、どのように扱うべきか。

ジギィ > 【次回継続】
ご案内:「富裕地区・商業エリア」からジギィさんが去りました。
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