2023/04/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「貴族の屋敷」にメレクさんが現れました。
メレク > 大富豪たる奇特な商会主が市井の民から没落貴族まで
見所のある者に対して私財を投げ打って、パトロンとして支援を行なっている。
傍から聞けば、何とも美談であり、何とも胡散臭い話である。

だが実際、その貴族の眼に叶い、成功した者達は少なからず王都に存在する。
貧民区の乞食だった者が、繁華街で暖簾を構える大店の番頭となり、
装備も整えられずに万年C級だった冒険者のパーティが魔族討伐の功績を挙げ、
家が傾き、家人が離散した貴族が身代を持ち直したという話もある。

今も、富豪の邸宅に招かれたのは幸運の白羽の矢が立った者。
立派な招待状を持参した執事と豪勢な馬車に揺られて豪邸に足を踏み入れた後、
贅沢にも彼女のみの為に沸かされた風呂にて身を清め、用意された瀟洒なドレスに袖を通し、
案内された部屋には、屋敷の主たる貴族が二人掛けのソファに腰掛けて高級ワインを嗜んでいた。

ご案内:「貴族の屋敷」からメレクさんが去りました。
ご案内:「富裕地区・商業エリア」に影時さんが現れました。
ご案内:「富裕地区・商業エリア」にジギィさんが現れました。
ジギィ > 「フツー、はそうかもしれないですけど、カゲトキ、おじさまはフツーの逆で丁度、よろしいかと思いますわ。
 まあー、そもそも仕事、ばかりで、遊んでいる、イメージが全く無いですけれど。
 歳は…そうですわね?」

無責任な言葉をかけるエルフの声は、彼の肩を揉む手に力を込める度少し途切れる。
凝り固まっている、まるで老木のようなこれがほぐれるはず、と思うと少しむきになってぐいぐいと力を込める。親指でちょっと背骨に沿って押してみたり、彼が肩を回せば肩甲骨の上をぐいぐい押してみたり。
だもので、彼の年齢に関する話は聞いているのか居ないのか、何気ない声音で同意。
ついでに『お客さん、凝ってますねー』まで言葉に思想だったので、盛大に鼻息を漏らして誤魔化した。

「おじさまがそんなに茶色推しなら、茶色でもいいと思いますけれど
 その代わり織のパターンを組み合わせたり色んな茶色を使ってもらって頂くとか、何か工夫を入れて頂いくと良いと思いますわ」

彼がカウンターに歩み寄れば、エルフは肩に捕まるようにしながら背後に続く。
白か、赤かと言う彼の背後から、店主たる彼女のほうへ顔を覗かせて、さらに首を傾げて見せる。

本当はこれから更に彼と彼女の事(妄想)を言い募ろうかとしていたところ、彼女が彼にアイコンタクトを送ったところで口を噤む。
ここは何も言わぬが良し、これが彼と彼女の共同作業(?)の第一歩となるなら、それを邪魔しないような行動をとらないと。

「白 ―― なら、鼠色と 組み合わせるのは いかがでしょう?
 赤でしたら――― 赤から白への グラデーションの組み合わせ とか
 あ、刺繍もいいですわね!白地ならばそこまで派手派手しくもならなさそうですし。
 刺繍で先の流水の図柄を描いて頂くのはどうでしょう?」

エルフは彼の肩をぐいぐい揉み続ける。その延長戦上で彼の肩をぐいぐい押して、彼女との距離を物理的につづめようと試みる。
試みるだけは無料だ。力をこめるために少し背伸びをしなければならないのが、ちょっとキビしいけれど。

影時 > 「ンなモンかねぇ。……金貰う以上は手ぇ抜けねぇだけなんだが、と。
 っ、あー……。ほんとうに、やべェな。歳かねこりゃ。中々こーゆーことさせる機会無いから妙にクるな此れ。
 
 遊ぶ時は遊ぶンだがな。本当だぞ? 散財の趣味は無ぇから、奇麗な花が咲いてる場所があるなら、酒持って遠出とか」
 
無責任とはいえついつい考えてしまうのは、根っからなのだろう。
金銭の収受、やり取りにかかわる仕事がなく、オフの時であれば己の認識では羽目を外している。
其れこそ、言葉には出さないと言え男女のかかわりだって少なからずはある。
しかし。ギルドの依頼ではなく遠出する、魔族の国の奥底まで足を延ばしてしまうのも――遊びの範囲でもあるのだろう。
連れて行く弟子の修行の名目とは言え、知らぬもの、噂されるものを確かめに行くことは、物見遊山以外の何物でもない。

そんな中でツボ押し宜しく背骨やら、肩をぐいぐい回すところに押されると、ついつい息が漏れてしまう。
定番の語句が出てしまいかねなるのもまた、無理もないことであろう。

「推しって言うか、色々と慣れた色だからなァこの手の色。
 侍も商人だろうと割と袖を通しがちな色だからな、と。……この際だ、茶色だからとは拘泥はしねぇぞ?」
 
そう、忍者の考え方で言う“紛れやすい色”という観念、或いは保護色という言葉を用いるとわかりやすいかもしれない。
薄汚れている、いないも含め、派手派手しい武家、侍の類は除き、珍しくない色を着る方が浮いて見えないから。
かつての本業であり、フィールドワークのための装束(ユニフォーム)である忍び装束を変えなければ、普段着を派手にしても差し支えないか?
考えつつカウンターに歩み寄りつつ応えれば、肩につかまるように乗る重みに横目を遣る。
くっつけたいのか、どうしたいのか。コイバナメイカーを志してくるような様に思案しつつ、手元に寄せた色見本を手繰ろうか。

「白鼠色の羽織、着物なら……あー、見憶えるなあ。商家の若旦那とかが遣ってそうだ」

故国で港町やら商人が集う街を行き交った、最後には国を出る際の経路として使ったが、エルフが言うような色の着物に覚えがある。
柄の有無は思い返しづらいが、シンプルに決めるのは良いだろう。他の候補はどうだろうか?
そう思いつつ、目くばせの気配に顔を上げ、肩を竦めよう。お嬢様はこういう気質なのだ、と。
だから、か。ぐいぐい押し込む手つきは何か、カウンターを回り込んで向こうに押し込むような力加減がある。
全くと内心で息を吐きつつ、踏みとどまるように堪えよう。その分だけ、向こうが背伸びするのもきっとはかどるだろうか。

NPC > 「あー、分かる分かる。これだと鉄板、ハズレがないって思うから、ついつい着ちゃう色ってあるかも」

さて、クライアントの性格も一理ある。
スカウトやシーフ等よろしく、紛れることに拘泥しなくとも、拘らなくとも、普段着として選ぶ色というのはあるものである。
騎士や貴族などの礼服、礼装の類とは違い、普段着のコーディネートというのは悩むもの。
同じ型式、形状の服を何着も揃えて使いまわすのも財力があれば可能だが、かといって不潔に見られるのも避けたい。

「うん、ある。確かにその手の生地の見本集めてたわね。
 赤と白のもあるけど……ちょっと派手かなあ。
 それだったら裏地に赤を使って、表地に白ってどう? ……裾はたぶん長い方が好みなら、刺繍できる面積も広いわよ?」

顧客の片割れのエルフが言うような布地のサンプル、または図案のスケッチも確かにあった筈。
銀色めいても見える白みがかった鼠色の生地や、紅白のグラデーションを奇麗に染色して描いた色付きのイラストも捲る本の中にはある。
男が言う羽織はその下の着物ではなく、上着の方だろう。シルエットを考えれば裾の長い方が好みであるらしい。
刺繍を入れる面積にはきっと困るまい。そう考えつつ、何か押しやってくるような風景に苦笑めいた表情を見せて。

「……君たちのご主人って付き合ってるのかな? 何か知ってる?」

肩に乗ったり、カウンターでちょろちょろとしている毛玉たちに何となしに囁き、尋ねてみよう。
聞こえてしまっても困らない同然の嘯きを零しつつ、頭の中で算盤を叩く。勘定面もいよいよ明確化すべき頃合いだろう。

ジギィ > 「ンー 遊んでついでにお金がもらえるなら、という考えはいかがです?
 … もし お気に召したら、たまにやって 差し上げますわよ。ヘッドスパつきで お代は時価ですけれど。
 えー おじさまはもっと散財したほうが良いと思いますわ。酒もって遠出、なら滞在先を豪華にするですとか、現場にシェフを呼びつけるというのはいかがでしょう? あ、その際はもちろんお付き合いいたしますわよ」

本当、という彼の言葉は真正面から疑問をぶつける。本当か否か、というよりは『遊ぶ』の定義が少し違うのだろう。
エルフもそれは承知しているが、それでもうすっぺらな『散財』を唆す言葉を口にする。
その気になればやってくれるかもしれないし、兎に角口にするだけはタダなわけで。
ぐいぐい揉む指先に、彼が吐息を漏らす風情の感触が伝わってくると、エルフはほんの少し『仕方ないなあ』というように眉尻を下げて、引き続き老木を懐柔させるために力を込める。

「あっはは ―――…こほん。 おじさまが『若旦那』の衣装はちょっと背負いすぎかもしれませんわね。
 もしするなら、おじさまの髪もきちんとしませんと。
 ―――― 色々ありますのね。 生地の素材は…こちらは絹ですかしら?」

押し込むのを耐えるようにある彼の背中。肩もみエルフはしまった、押すより引けばよかったかしらん、などと思いつつ
またひょいと顔を覗かせて、彼の手元や机の上のサンプルを見遣る。

「おじさまの場合、その鉄板の範囲に年相応の幅広さが足りないんですのよ。 ほーんと、仕事ば…ンン
 ―――裏地に赤もいいですわね!はずかしがりのおじさまにピッタリかと思いますわ。
 ……ディアーヌ様、火の粉を払うのがお上手ですわね?」

コイバナと肩もみと、どちらにも心を奪われながらデザインにも口出しをする。
さすればツメが甘かったらしい、彼女からコイバナの逆襲のような発言が聞こえてきて
エルフはまず眼をまるくして、数度瞬いて、それから上目に彼女を見ながら唇の両端をきゅっと上げる。
残念ながらその彼女の心の中には算盤が登場してしまったようで、これ以上自分からコナをかけるのは難しそうだ―――

と、悟ると、毛玉たちに素早く目配せをしてみせる。
『それより、あねさんとしてはおやぶんをどう思うんです?』
見たいに彼女を煽ってくれ、とその目は言っているが、果たして毛玉たちが従うかどうか。
それとも、真剣にエルフとハーフエルフの彼女をどちらを『あねさん』と慕うか、2匹で協議でもはじめるかもしれない。『おやぶん』には最後に意見をきくつもりで。

影時 > 「世の中そんなンじゃァ、道理が通るまい。……――気分の問題だ、気分。
 散歩ついでの片付くような仕事が、端した金にしかならンのは仕方がない。筋が通る。
 あれこれを片して、その分の日銭がこう、その日銭で足しになると見積もれる仕事なら割り切ってやる。それだけのこった。
 
 ……気分任せの時価は勘弁してくれ。俺の薄い財布があっという間に干上がるぞぅ。
 
 あのなァ、お嬢様。其れは行き先がわかっていての豪遊ってンだ。
 行き先がどうなっているか分からん旅がお好みってなら、心置きなく連れて行くぞ?」
 
さながら、駆け出しの冒険者たち向けの依頼、クエストを熟練者が片すかどうか、という問題によく似る。
良い暮らし、奮発しようとする等にも、何につけても金銭が要る。
熟練者から見て、難度の低い仕事で得られる報酬はそれこそ、稼ぎの良い仕事と比べて端金になってしまう。
誰も手が付けず、駆け出しが出払ったものを、片手間にこなして小遣い稼ぎというのは無いわけではない。
それは割り切って臨む類のものだ。気を抜いて仕損じるのは、それこそ侍が口にするような誉れに関わってしまう。

とはいえ、豪遊が気持ちいいのかどうかは――いつもながら判断に迷うところである。

冒険者として未知を愉しみたい、味わいたい。そのための余地を冒険に求める。
金銭に糸目を付けない散財はそれこそ、喉から手が出るような武具を買わねばならない、というレベル。
豪遊と考えだすと、悩みが途切れないのは貧乏性かもしれない。
身体の凝りを懐柔するような、そんな手つきに目を細めて息を吐く。

「ほっとけ。……顔を作る訳にもいかねぇしなァ。
 絹だな、こりゃ。やっぱり見栄えなどに凝りだすとそのあたりになるよなあ……。
 
 仕事バカは余計だぞ? 裏地で赤、か……それだったら目に痛い赤は避けて欲しい。深みの強い赤辺りがいい」

化粧をして身なりを整える程度で済めばいいいが。若作りめいた体質はまだきっと、それができる位はあるはずだ。
とは言え、ぼろが出てしまいかねない憂いは無いわけではない。
髪は毎日洗って奇麗にしているとしても、男の一人暮らしだと、質云々を問われると痛い。
痛いと言えば、服の生地云々もそうだ。サンプルを軽く触れば感じる手触りは、綿や麻とは違うものがある。
十中八九絹か。所によっては魔力を帯びた絹糸を紡いだ――などの触れ込みも小耳に挟む。
そういうレベルになると丈夫である代わりに、お値段も相応に張り出してくる。

そう思いつつ提案を吟味しつつ、色合いを考える。
恥ずかしがりは余計だぞ、とぼやきつつ、さりげない処で主張する色は派手過ぎない方を望む。
どちらかと言えば、黒に近い位の赤であれば締まるだろうか? 例示できる物を算段するようにサンプル帳を漁る。
深紅よりは蘇芳、黒緋色の類の方が裏地としてはしっくりくるように思うが、さて、お嬢様の評価は如何に。

NPC > 「せーかい、絹よ。魔力の通りがいいから、エンチャントもし易いのよね」

高い生地は大体絹か、絹と綿などを組み合わせている――が、値段に見合った施術もしやすいものである。
術式体系などにもよるが、魔力の通りのよさ云々という観点もある。
エンチャントがしやすい生地であれば、それを下地に刺繍などをすることで、何もしないよりも丈夫にできるメリットもある。
表地裏地と組み合わせが利くのであれば、一枚で仕立てるよりもずっと丈夫にもできるのだと。
そう説明しながら、目を瞬かせつつ笑うように口の端を上げる顔を見やろう。おほほ、と口元を隠すようにしつつ声を潜ませ。

「またまたー。お嬢様もお美しいから、そんな話の一つや二つ位ひょいひょい位来てないかなーって思っただけ。どう?」

男って実用一点張りとかになるわよね、と。冒険者界隈のお洒落事情を思えば、察しうる点もある。
お洒落は金を使うものである。宿暮らし、その日暮らしで服のメンテナンスに凝れる収入を維持できるのかどうか。
高い生地にこれまた高い金を使って、エンチャントに工夫をするのも、実用面ばかりではないのだ。
火の粉を払うというよりは、あしらい方、対処の仕方を心得ていると言ってほしいとばかりに切り返しつつ、毛玉たちを見よう。

「とても言えないって顔ってより、……ん、あんまり知らない?
 でも、そうねぇ。傍目から見るとね。二人の方が面白コンビになってる風に見えるわよ?」

肩から降りたモモンガが、カウンターの上のリスと向き合って、ごにょごにょと話し合うように囁きあう。
そのあとに見せる顔としっぽを横に振る仕草は、言いづらいというよりは、語れる程のものがまだ足りないというようにも見える。
ふぅん、と声を上げつつ、サンプル帳を見やって考え込む男とエルフをぢー、と見よう。
ノリと突っ込み。ボケと切り返し。主従というよりは、付き合いが長いコンビのような。そんな印象がある、と。