2022/07/09 のログ
ご案内:「タナール砦」にコルトさんが現れました。
コルト > タナール砦の深夜
魔族達は夜こそが本領といわんばかりに 眠気とは無縁な者らがそこにはいる。
夜は静かなもので、明るい時間と違って耳に入ってくる音は少ない コルトはそう感じていた。

相変わらず悲鳴や懇願 喘ぎ声 狂った声が聞こえる。
この境目で負けた者 捕らわれた者の末路なんて 魔族も人間も同じものだから同情なんてコルトにはない。
その表情は常笑と呼べるニコ糸目のまま、眉すら落ちることはない。
その声が そのうるささが、当たり前なのだ。

地下から響く程度のものだから、うるさくて眠れないということもなく
コルトは夜の番についている。
砦の淵で鋼の爪足がカリンッと先を立てて立ったまま、今夜は夜でも九つの頭を持つ竜の山がよく見えた。


「あっちはこっちより酷い有様らしいしなぁ。
 行きたくない子達がタナールに増えるから大変だぁ。」


アスピダに行くくらいならタナールに行く方がマシだ
そんな流れで魔族が奪っている間の訪れる敵の数といったらなかった。
おかげで皆が喜んで張り切っているから、ここはいつも活気に満ちている。
怠惰になれず 飽きも来ず 悲鳴は絶えず だ。


「ボクとしては、仲間が増えたほうがいいんだけどなぁ。」


種族的に、コルトは同族意識がもてない。
代わりに砦のメンツが仲間として大切に思えていても、どこか寂しそうに同僚とそんな話をした。

ご案内:「タナール砦」からコルトさんが去りました。
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──温泉旅籠内の、主に宿泊客向けに用意されたサービスの一つが、このマッサージ室である。

その施術室はいくつかの個室に分かれており、客は専用のカウンターで受付を済ませた後、各個室で待機しているスタッフと
一対一でマッサージを受けることになる。

なお、客にどのような施術を行うかは、スタッフの判断にすべて委ねる、というあたりはこの旅籠らしいといった所。
ついでに、各個室内には客に安心感を与え、施術への抵抗感を知らず知らずのうちに薄れさせてゆく効果を持った、
ほのかな香りのアロマが炊かれていたりもする。効果がどれほど出るかはその客次第なのだが。

「──はーいお疲れチャン。また来てくれたまへ」

そんな中の一室から、満足げに出ていく宿泊客を笑顔で見送る、スタッフ用の作務衣姿の金髪の男が一人。
今日も今日とて知り合いからの依頼で、臨時のマッサージ師として仕事に精を出しているのだった。

「ふぃー……こういう普通のマッサージも悪くはないのだが、そろそろ一発エロマッサージでもしたいところであるなぁ」

個室内に戻り、施術用のベッド脇の椅子に腰掛けながらそんな詮無い独り言を漏らす。
今日は現状、立て続けに男の『標的』にならない客の来訪が続いたため、男はごく普通のマッサージ師として
仕事をこなすばかりであった。
男としてはそれもそれでやりがいを感じなくはないのだが、やはり役得の一つぐらいは欲しいところであった。

「まああそれも時の運というヤツなのだが……──おっとと一息つく暇もなさそうだったな」

ボヤキを続けようとしたところで、閉じたばかりのカーテンが開く。
各個室は廊下に面しているため、稀に受付を経ていない誰かも紛れ込むこともあるようだが、それはさておいて。
現れたのは男の『標的』になりうる客か、それとも……。