2021/09/23 のログ
■スピサ > 柄や鍔などは、後々の作業
須らく手で仕上げるブロードソード達
質実剛研 それを旨とした形状も、長さも 特別な物なんてない
魂を込める それだけが鍛冶師だけができる唯一無二のもの
形を作り終わり、焼き入れ 焼き戻し 二つを終えた長剣は硬いだけのものではない
シェンヤンや東国と同じように硬い鋼 柔らかい鋼 挟み込むことで生まれる硬度と弾性の耐久力
刹那だけ耐えられる撓みは、剣の強度と切れ味を産む
表面に生まれる、鋼の周りに生じた焼け残った後
それを砥石で磨き上げれば、単純銘塊と呼べるべきものが出来上がる
どこにでもあるありふれた形状 その一つ一つが、冒険で頼られていく剣一つ一つとなり
冒険者一人ずつが心に思ってくれる銘になる
「五本目……」
赤い手ぬぐいを巻き付けた鍛冶師の姿で、打ち終えた五つ目のブロードソードを眺める
両刃 平直剣 鋼の剣 その剣身を眺め、まだ茎の段階で握り、ヒュッと振りつつバランスも確認する
口物の端が、小さく 小さくわずかに上がるのは、確かな造りができたと思う故の笑みだろうか
「鍔と柄はどうしようかな……。」
武器屋に鍛造剣が大量に置かれるなどということはない
軍が大手の工房ギルドに依頼するのとは違う
故に五本 手ずから作り上げた武器としては多いのか、少ないのか
一人で続けるスピサにははっきりとした感覚はわからないものの、鍔と柄
それ用の金属素材を用いながら、小さな作業をコツコツと始め。
■スピサ > やがては出来上がった鍔競りもできるよう厚みのある〘型の真鍮色鍔
鑢模様の握り柄などを持たせた鋼の剣
それらに対し、黒革と金属の鞘
総てが終わるころには、時間も大分過ぎているだろうか
納品回収という名目で訪れる、馴染みの武器屋が訪れるまでまだ数日空いている中
スピサはバリバリと音を立てる厚紙に包み
湿度を取り払う水干石の粉末を入れた茶袋入れを中に一つ
保存 保管も良しとすれば、一度汗を拭ぐうと、しゅるりと赤のバンダナを頭から外した
「ふぅー……。」
青い肌が露出した部分を拭いつつ、グローブを外すと身体をほぐす
まだ残っていた、塩と柑橘を落とした温い水を含んでゴクゴクと喉を鳴らすころには
一度心地がつくだろうか
このまま汗を流しに工房を出ようか その後は食事もいいかもしれないなどと思いつつ。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 鍛冶場工房」からスピサさんが去りました。
ご案内:「川の畔」にトーラスさんが現れました。
■トーラス > 王都近郊の森林沿いを流れる川の畔。
水遊場などにも水をもたらす川は王都や近隣村落の住民の重要な水源で憩いの場ともなる。
そして、水を求めるのは生物として必要不可欠な事であり、何も人間に限った専売特許ではない。
森に住まう動物達も飲み水を求めて集まり、中には人に害する存在も発生し得る。
「――――……、そんな魔物を退治してくれ、とは、何とも業腹な事だなぁ」
水辺から少し離れた繁みの中、川からは見えぬ場所に張られた天幕にて、
中年冒険者の男性が、独り言ちて、嘆息めいた吐息を吐き洩らす。
ギルドに寄せられた依頼は、近隣住民が水浴びや飲み水に利用する川にて、
魔物が現れて遭遇したために退治して欲しいとの事。
だったら、場所を変えれば良いのでは、と思うものの、未だ実質的な被害は蒙っていないらしい。
その為、この場所を利用する者達は後を絶たず、要するに安心が買いたいとの話で。
魔物と言っても水場で周囲を害さないという生物の暗黙の了解を貫いている中、
自分勝手な人間のエゴに辟易しながら、天幕の中で川辺の様子を窺い覗き見る。
はてさて、川に現れるのは咽喉を乾かした魔物か、それとも、涼を求める人間か、と。
■トーラス > 暫し、天幕内で何者かが現れるまでの時間を潰して――――
ご案内:「川の畔」からトーラスさんが去りました。