2021/09/24 のログ
ご案内:「地下施設」にマディさんが現れました。
■マディ > その日、女はふらふらと頼りない足取りで、ひとり、ある部屋を目指していた。
所々に灯火は配置されているが、窓の無い廊下は薄暗く、
空気は生温かく澱んでいるように感じられる。
しかし、女にとっては、どれもどうでも良いことだった。
程無くして、女はある扉の前で立ち止まる。
ぼんやりと扉を見つめてから、ノックの音を響かせ、
「お待たせしました、……告解の、お手伝いに参りました」
そう言え、と命じられた通り、抑揚に欠けた声で。
扉の向こうに待つのは、罪の穢れに苦しむ哀れな子羊――――
などという、殊勝なものでは無い筈。
女の所属する修道院へ手を回し、金を使い、あるいは脅迫して、
ここへ、女を派遣させた人物が待ち構えている筈だった。
今日の女は、判断力を鈍らせる薬を嗅がされ、
正しく肉人形として、この場へ派遣されている。
扉の奥で待つ客が、特殊な性癖でもって女の『正気』を引き出さない限り、
女は聖女の姿をした娼婦として、そのつとめを果たすことになるだろう。
■マディ > 中から応えの声がかかり、女は扉をそっと開く。
恭しく頭を垂れ、静かに足を踏み出して、
――――――その先は、閉ざされた扉の奥の秘密。
ご案内:「地下施設」からマディさんが去りました。
ご案内:「設定自由部屋」にクロイツさんが現れました。
ご案内:「設定自由部屋」にエシル・アルトワーズさんが現れました。
■クロイツ > ある日のある時、気紛れに買った何かの地図を調べるとそれは遺跡の地図。
遺跡の場所はこの国では遺跡が多くある九頭龍山脈なのだが…。
その遺跡は未探索の様だったのでエシルを誘い探索に繰り出す事にして。
「この感じが如何にも未探索って感じだよね」
地図にそって山中を歩き、途中に山賊や魔獣に遭遇をするも二人の敵ではなく。
簡単に蹴散らして地図に記された場所、隠されてた扉を抉じ開けては満足そうに笑って見せて。
早速行こうと手を差し伸べて共に遺跡の中へと。
■エシル・アルトワーズ > 「そうだね、見たところ誰もまだ入ってなさそう。気づかなかったのかな?」
転がる山賊を蹴飛ばし、開かれた扉をくぐる。
伸ばした手の先にはいつものようにやんわりとした笑みを浮かべるクロイツが見える。
相変わらず炎のような、綺麗な赤髪がふぁさりと振り向いた拍子に舞うのに見惚れながら、それを表情に出さないように空いた手で光を生み出す。
小さな光の灯篭が遺跡の中をぼんやりと照らし出すとそこはところどころ苔が生えてはいるもののどこか小綺麗さを感じさせる回廊だった。
「思ったより小綺麗だね、手入れされてたのかな。
ひょっとしたら神殿だったのかも」
クロイツの隣に並びながら憶測を流す。
ここに来てそこそこ長いけどまだ歴史や文化には詳しくないのだ。
「しかし真っ暗だね、幸い一本道みたい。地図は書くのも読むのも苦手だから助かるわ」
■クロイツ > 「そうかもしれないね。
遺跡って大体は洞窟から繋がってたりいかにも遺跡って見た目をしてるからね」
たった今開いた扉に軽く触れ、この扉のせいで手の込んだ悪戯と思われていたのかと考えを口にし。
笑みを浮かべたまま振り返ってエシルを見つめる。
何時もはとても可愛いのにこういう時は凛々しく勇ましく見える姿は頼もしくて。
何も言わなくても灯りを用意してくれ、その明かりに照らされた周辺を見回して。
「どっちかって言うと何も入っていないから綺麗なのかも。
出入りがあるとどうしてもそれだけで荒れちゃうからね。
んー……もし神殿なら僕は少しは気をつけないといけないかもね」
所々に苔の生えた回廊、壁や床に触れては回廊を作る石材の劣化具合を確かめ。
もしエシルのいう通りに神殿なら死霊術使いの自分には危ないかもと呟いて。
「どの時代の遺跡なのかは奥で分かると思うけど本当に暗いね。
一本道だから罠とかに気をつけよっか。
書くのは兎も角読めないと大変だから…今度教えるね」
この国は一度状況が大きく変わったのでその前後で違いがあるからと口にし。
自分でも灯りを一つ用意して回廊に足を踏み出して。
■エシル・アルトワーズ > 「うぇ、勉強するの苦手なんだよー…」
ありがたい申し出に大袈裟なくらいゲンナリとして見せながらクロイツと歩を並べる。
自然と歩幅を合わせてくれているのかぴたりと合う足音を響かせながら回廊を突き進む。
「不気味なくらい静かだね。
ホントに何にもないのかな?」
聞こえる音はこつーん、こつーんと響く靴音にちりんと鳴る首の鈴、そしてわたしたちの話し声だけ。
絵画でもあればそれなりに雰囲気なデートになりそうだけど、生憎そんな気の利いたものもなく。
隠していた扉とは裏腹なまでの殺風景さが別の違和感を煽る。
「…長いね」
どのくらい歩いたのだろうか、
特に疲れるなんてことはないけどまっすぐ進むだけなのに妙に長く感じられた。
螺旋回廊なのか、呆れるほどの長さなのか、それともーー
■クロイツ > 「それは知ってるけどさ、地図ぐらい読めないとあの子に呆れられるよ?」
ゲンナリとした姿にまだ小さい二人の子供、あの子が大きくなったら呆れるよと少しだけ困った笑みを見せ。
だから少しでも覚えよう?と微笑みながら歩幅を合わせて。
「本当の遺跡はこうなんだよ。
何もないかもしれないし、あるかもしれないし…」
罠もなく何も現れない静かな回廊。
そこに響くのは二人の足音と鈴の音、そして話声だけだが退屈はなく。
回廊こそ綺麗に整ってはいるが絵画や壺の一つもない光景に本当に神殿かもと思え。
「それなりに歩いたけど奥に付かないね。
ちょっとごめんね」
エシルのいう通りに長い回廊。
疲れはしないがこの長さは流石におかしいと足を止めて一言謝ってから壁や床に触れ。
そしてポケットから小さなガラス球を取り出し床に置けば…
「気が付かないぐらいに回廊が曲がって下ってるね。
しかもこれ…空間が歪んでるかも」
歩いた長さを考えれば山を横断するほどではないがかなり長い。
もしかすると神殿は神殿でも何か封じているのかとエシルを見つめてどう思う?と首を傾げて。
■エシル・アルトワーズ > 「うーん、そうなんだよね…」
それはごもっとも、と渋々頷く。
魔族らしくすくすくと猛スピードで成長するクロスとクロエ、2人が冒険者になるのもそう遠くはないのだ。
確かにわたしだけ地図が読めないとなるとちょっと恥ずかしい。
クロイツが一言置いてガラス玉を置くところころと転がり出す。
…まさかとは思ったけど、ほんとに曲がっていたとは。
「ホントに下ってたんだ…それに、空間が歪んでるの?」
首を傾げながらの問いかけに少し顔が引き攣る。
本当に何かを封じている神殿なら、それほどまでの規模で細工をしているとなるとあまり考えたくないモノが脳裏をよぎる。
「壁ぶち抜いたら何か変わるかな」
自分でもそれはどうなのかと思いながら提案してみる。
■クロイツ > 「二人が冒険者になったら同行するよね?
その時に困ると思うよ」
すくすくと育つ二人の子供たち、しかも魔王と勇者の子供なので冒険者には確実になると思い。
そうなれば慣れるまではどちらかか二人が同行は確実、その時に困るからと諭して。
「だってさ、歩いた距離を考えたらかなり大きいと思うよ。
でも他の遺跡にぶつかってないからさ、僕たちの家と同じ原理だと思うよ」
ただのスペースを拡張という自分と同じ理由ならまだいい。
ただ何かを封じているのなら戻る必要もあるかもしれないから。
封じるのは大体は魔に属するもの、つまり自分も当てはまるかもしれないと。
「破っても回廊と同じ石材かその先の土か岩だと思うよ。
もしかすると別の部屋に繋がるかもしれないけど…試してみる?」
運が良ければどこかに繋がるか何も起きないか。
こればかりは運であるがこのまま歩くよりは良いと考え、やっちゃおうと満面の笑みを見せる。
■エシル・アルトワーズ > 「そうだね、試してみるのも手かな」
笑みを見てこくりと頷く。
1歩離れ、手を横に翳す。
直後掌に黒い稲妻と共に愛剣が顕れる。
黒く捻れた聖剣の果てーー夜天の剣。
「危ないから下がってて。
ーー集え雷光、我が剣に宿りて立ち塞がる全てをなぎ倒せ…」
バチり、とスパークが走る。
魔剣を肩に担ぎ、魔力を注ぐ。
無尽蔵に溢れ出す魔力、それを雷に変換しながら魔剣はその存在感を増していく。
「3...2...1...行くよッ!」
掛け声とともに剣を振り下ろし、
溜めに溜めた魔力の雷をぶっ放す。
轟音と共に黒雷が壁にぶつかり、衝撃波と爆煙を上げる。
もうもうと立ち込める煙が辺り一体を見えなくする。
「どう…かな?」
■クロイツ > エシルが笑みを浮かべて頷き、下がるように言われれば後ろへと下がる。
自分の扱える大規模な魔術は遺跡内で扱うには不向きなものばかり。
彼女の魔剣ならば壁だけをぶち抜くのも簡単な筈。
魔剣を肩に担ぎ魔力が注がれれば放電の音。
自身の魔力がエシルに流れていくのを感じながら見守り。
「いつでもいいよ、思い切りやっちゃって」
その言葉に頷き念のためと障壁を張り。
振り下ろされる魔剣、魔力の雷が解き放たれ黒雷が壁にぶつかり轟音と衝撃波、そして爆煙が回廊を満たし。
「流石エシル、この先は部屋だね」
煙を風の魔術で吹き飛ばし壁を見ればそこには大きな穴。
その向こうに大きな部屋、奥は暗くて見えず。
「行ってみようか。近道か隠し部屋か判らないけどね?」
■エシル・アルトワーズ > 「ほんと?やった!」
ぱちん、と指を鳴らす。
流れる風によって煙が晴れ、風穴から部屋が覗く。
「手がかりのひとつでもあるといいなぁ」
壁の中を覗き込むと部屋は広く、また薄暗かった。
光の灯篭では照らしきれないので1歩ずつゆっくりと踏み込んでいく。
「罠があるかもしれないから、気をつけないとね」
部屋を見回すと何やら怪しそうな壺や棚などがちらほら。
どうやら隠し部屋だったようだ。
「隠し部屋みたいだね」
剣を仕舞い、クロイツへ振り返る。
■クロイツ > 「そうだね、何のための場所か判ればいいけど…。
判らなくても最悪、それなりな物があればいいかな」
一番はこの遺跡が何かのか判ればいいが最悪は面白いものがあればいいと考えて。
罠があるかもというエシルに頷いて見せて続いて足を踏み入れる。
薄暗い室内を二人の灯りで照らせば壺や棚が見えて。
「倉庫か宝物庫かどっちかかな?隠し部屋だとそう言うのが多いしね」
振り返るエシルに笑いかけて頷き。
この遺跡の事が判る手がかりでもないかなと棚に目を向け本でも神像のようなものでもないかなと探してみて。
■エシル・アルトワーズ > 「この古さで食品庫は少し嫌かな…」
少し顔が渋るのを感じながら部屋を物色する。
幸い宝物庫か何かなのだろうか、腐った食品の類は出てこなさそう。
金品やよく分からない干物、そしてこれまたよくわからない像。
「なんだろう…おまじないに使うのかな」
振り返りクロイツに見せてみる。
その時、像の目がキラリと光った気がしたのは気のせいだろうか…?
■クロイツ > 「大丈夫だよ。もしそうなら壁を破った瞬間に凄い臭いがするからさ」
ゾンビの群れみたいな臭いがと判りやすく嫌な例を上げても視線は棚を向いたまま。
よくわからない小箱や何かの植物の束に目を向けるが手にはせず。
宝石やお金になりそうは物には一応目星をつけて置き。
「何か面白いものでもあった?」
エシルの言葉に何かあったのかと声に振り返り像を目にし。
像の目が光ったように感じた瞬間に感じるのは異様な脱力感。
「エシル、それを捨てて!魔封じだ!」
自分の魔力を一部とは言え封じられるような感覚を覚えては珍しく声を荒げ。
像の目の光を遮るように闇の魔術を発動させる。
■エシル・アルトワーズ > 「え…?」
クロイツが珍しく声を荒らげる。
こんな声を聞いたのはいつぶりだったかなとか考えるよりも早くわたしの手はこの怪しそうな像を手放そうとしーー
「あれ?離れない…ううん、離せない…?」
手が、開かない。
まるで誰かが上から握りこんでいるかのようにわたしの手はがっちりと像をつかみ、クロイツへと差し向けている。
当然、わたしの意思など無視してだ。
「クロイツ、逃げて…!こいつ言うことを聞かない…!」
いっそぶっ壊してやろうと放電するも全く効く様子がないどころかむしろ吸い取られていくような感覚すら起こる。
「く、この…離れてよ…!」
体を捩れどもまるで引き寄せられるように腕は一点へと向けられる。
■クロイツ > 「魔封じに呪い付き……?せめて他所を向けて…」
エシルの声にもしかして呪いまでセットなのかと思えば冷や汗が流れる。
魔に染まったとはいえエシルは勇者、それなのに像が手放せずに自分の方へと向けられているという事は勝手に操っている可能性まであり。
「そうしたいんだけどさ、どうやら僕の天敵っぽいよ、それ」
逃げようとしても像は自分の方へと差し向けられる。
エシルも抗ってはいるが自分と命と魔力を共有しているから抗いきれない様子。
像から逃げるように向けられていれば彼女も感じるはず、自分の魔力が封じられて小さくなっていく事に、そして。
「しまったなー……多分だけどさ、この遺跡自体が罠なのかもね。
魔に染まった人にしか見つけえないって魔術でもかかってたのかも」
今まで見つかっていなかった事、中が異様に綺麗だった事に空間が歪んでいた回廊。
そしてエシルが持つ像と同じようなものはよく見ればいくつか見え、失敗しちゃったと笑いながら座り込んでしまう。
■エシル・アルトワーズ > 「クロイツ…!」
クロイツが座り込むと同時にしつこくくっ付いていた像がひとりでに離れた。
ごとり、と拾った時とは全然違う重みのある音を立てて落ちる。
"繋がり"からわかる。
クロイツの魔力を大方吸い尽くしたんだ。
魔力量そのものは無尽蔵にある魔王でも一時的に枯渇させるほどの量をたっぷりと吸い取り、満腹になった像はその色すらも変わっていた。
ーーそしてそれが、部屋の至る所にあり、こちらを見ている。
自分の魔力もかなり吸い取られてしまったけど、僅かに残る"勇者の名残"がかろうじて魔力を残しているみたいだ。
「ちょっと待ってて、今こいつらどかすから…!」
流石にまた手に取る気には慣れないので棒切れで引っ掛けたり、足蹴にしたりと1箇所に集めて蓋をする。
残る像はひとつ。
クロイツーー魔王の魔力をしこたま吸い上げた、この禍々しい一体。
「これ、どうしようか…ごめんね、わたしが変なもの見つけたばかりに…」
クロイツの隣にしゃがみこむ。
今のところ何かが出てきたり近づく様子はないけれど、何が起こるのかは正直わからない。