2021/04/05 のログ
ご案内:「とある工房」にスピサさんが現れました。
■スピサ > スピサは、依頼の無いときは暇な時間は鉄を打つ
仏師が仏が見えてくるまでは、木板に小さな彫り物を続けるように、鍛冶屋もまた、暇があれば鉄を打つ
その日は、依頼も舞い降りず武器屋からの、手製依頼もない
大きな鍛冶場ギルドで鋳造品を量産で頼む以外でしか、スピサのような鍛冶屋には店からの依頼はこないだろう
暖かくなってきた昼間の最中、デッサンを眺めながらスピサは一体型の剣に励んでいた
無骨な、特殊な凹凸やデザインもない
斬る為に 突く為にの剣 そしてどこか古風な造りだ。
昼間の最中、汗が滲む裸オーバオール姿のまま、塩と果肉の入った水を呷り、作業を続ける
コォンッ コォンッ コォンッ 鉄を打つ音は、白いほどに熱の入った金属は丸い音を出す
逆に、だんだんと元の鋼色に戻ってくると、 キンッ キンッ カキンッ! とガラスをたたくような鋭い鉄の音となる。
そんな折、工房の扉がノックもなく開けられると見慣れた素材屋が、木箱を片手にサバけた態度で入ってきた
同じほどの体格で筋肉質な、魔族の同性
希少な素材を奪われることもない、信頼性の高い ヴィリア と呼ばれる、素材調達屋
「う、うん……いらっしゃい。」
顔なじみの相手ならば、戸惑うこともない
喉が時折引っ掛かる様になるものの、常連や顔なじみならば、まだ口舌も動いた。
木箱をトンッと勝手知ったるように置かれると、信頼高くとも、スピサは途中まで形成していた剣を、ヤットコでつまんで別の場所で休ませる。
そして休息といったように腰を下ろすヴィリアに、水桶に漬けていた白葡萄の醸し酒を瓶ごと渡し、ねぎらう。
「求められないと、こ、来ないし……。 はい、ごくろうさま。」
単眼を隠す、バイザー型の革の眼帯を身に着けたままヴィリアにそう言うのなら、木箱の蓋を開ける。
中身はたっぷりの藁と木屑が詰められ、損傷が無いようにされた、剣竜属の背びれ それも固く、尖った背中に生えた剣を思わせるそれの一枚だった。
「……ん。」
損傷もなく、綺麗な一枚板。
満足げにつぶやくと、根本に背骨の節がついたままのそれを持って腰を下ろす。
■ヴィリア > 例えば初めての相手とか、あるいは風変わり、真面目で頑固な職人などが相手であるならば、それなりに礼儀正しく振舞うこともある。
が、今こうして顔を突き合わせているのはこれまで何度か取引を交わしてきた、馴染みの鍛冶師。
それも同性で大人しめの気性ということであれば、仲が悪くなる筈もない。
壁に凭れたまま腰を下ろすと、手渡される酒瓶。
見上げると少し笑って、有難くそれを受取ろう。
「そうかい。ま、繁盛してるんなら良かったよ。ありがと」
蓋を開け、くいっと一口。
よく冷えた葡萄酒の爽やかな味わいが、喉を通り過ぎて胃の腑に落ちる。
決して軽くはない荷物を運んできた、程よく疲れた身にそれは染みた。
そうして調達した品を手に、隣に腰を下ろすスピサを見遣る。
「どう?品質自体は、まぁ悪くないとは思うけどね」
お気に召したかい、とかろい口ぶりで問いかけ、また酒瓶を一口呷る。
材料の見分をしている相手を傍目に、ふとヴィリアの目は工房の奥へと向いた。
つい先程まで打っていたのであろう、無骨な一体型の剣。今は休んでいるそれを一瞥した後、スピサへと視線を戻して…
「……そういや、アタシの武具もそろそろ傷んできてさ。よければまた、新しいもの作ってくれないか。
今あるものの修理でも勿論いいけどさ」
■スピサ > 剣竜という属にいる者は、巨大な蜥蜴型や純粋な竜と呼ばれるものまで、色々だ
これは剣竜の中では四つ足類に入る陸の者
背びれが鋭く、固く発達したもので、その一枚一枚の大きな板びれは狩猟者の武器やシンボルとして使われる。
スピサは、本当ならば竜尾 ドラゴンテイルなどと呼ばれる剣尾の類が欲しかったものの
それは伝説上の武器に倣って人気が高い
故に、背びれの剣竜で買い求め、運びを依頼した。
撫でる感触は鋼の塊も軽く、しかし硬い。
硬すぎれば欠ける 柔らかすぎればつぶれる これは生存状況で、その見極めが自然とできている
武器を造る上での鉄の軟度 硬度を丁度良くしている状態といってよかった。
ヴィリアも、グローブをつけたままでもわかるのか スピサが撫でる様子を眺め、具合を聞いてくる。
「うん 良い状態……手に入ってよかった。」
これを、物語に倣い剣にしたいところだ
もしくは、性質上ならば刃の部分だけを造り、頑強な柄を付けて斧にするのもいい。
鍛冶屋としての、物作りの空想の幅が広がりながら背骨板を撫でていると、ふとヴィリアが制作依頼を出してきた。
ヴィリアはスピサは同系統と言えるパワー型の戦士の一面もある
スピサが金砕棒とメイスを混合したような武器を愛用するなら、ヴィリアは大剣や斧などを愛用していた。
勿論、スピサは同じ体格やその力の具合を知っており、手ずから作った武器を収めたことがある。
スピサをうかがうように言う辺り、大剣が、傷んだのだろう。
「……ちょっと見せて。」
スピサの種族性の力は、老いた鍛冶屋とは違う
魔導機械の自動槌いらずの手ずからの品
しかしスピサが打っても、何れ限界を迎える 武器とはそういうもので、ヴィリアの力とはそういうものだった。
―――――――――――――
「……。」
互いに、傍で腰を下ろしていた姿は、作業場で丸太椅子に腰を下ろす形に変わる。
火明かりを傍に寄せ、大剣が目の前に真横に ぞろり と姿を現した。
革のバイザーを外し、大きなサイクロプスの、単眼の眼が火で照らされた剣身と、研がれた刃の伸びた部分
小さな亀裂 そして欠けた部分を眺め、グローブを外した指先でつまみ、確かめる。
「……わ、わたしもまだまだだね。 もっと息が長い剣だったらよかったのだけど。」
そう言って、同じ個所で斬り続けた後もあれば、大剣を振るうに値するほどの硬さか、サイズと打ち合ったと思われる
剣の記憶を垣間見た。
そして、果汁塩の水を飲み干すと、鼻息で一度深く息をつき。
「……次は大剣がいい? それとも、斧?」
■ヴィリア > 冒険者という立場もあり、時にギルドでの依頼と此方の依頼がマッチすることもある。
今回は、かの剣竜の討伐依頼がギルドで出ていたため、ものはついでと同行した次第。
他の冒険者と力を合わせ討伐を完了し、背の板びれを一枚拝借し──今回、相手の元に届けられた、というわけだ。
高評価を得られれば、ヴィリアは満足げに頷く。
戦いの高揚感も良いものだが、依頼をこなしてこうして感謝されることも同じくらい心地が良い。
今回の材料がどのような武具となり、どのような人物の元に届くのか。
それは目の前にいる友次第といえよう。
「あぁ、頼む。……」
今回使っていた武器は、身の丈にやや劣る程の長躯を有する大剣。
無論魔導機械などを使用した自動槌で作られた武具も、技術の進歩などと相まって良いものであることに変わりはない。
だが、手ずからで作られたものはそれにしか無い良さがある。
丈夫さ、手の馴染み具合など。
まして、己の体格からくる力の加減を知っている鍛冶師であれば尚更。
──場所を移し、作業場の丸太椅子に並んで腰を下ろす二人。
大剣をじっくりと見分する姿を横で眺めていたが、やがてその口から発される言葉に、首を左右に振る。
「いや、スピサが気にすることじゃないさ。
最近は随分と頑丈な奴ばかり相手にしてきたもんだから。それにどれだけ頑丈な武器でも、いつかはこうなる」
そして、問われた。
少し考えた後、相手の手にする大剣を見ながらヴィリアは言う。
「……じゃあ、斧にしてくれ」
■スピサ > 研ぎ師は言う
粗末な研ぎは簡単に折り、正確な研ぎは1000年だって保つと。
それは保存や鑑賞剣の言葉だ。
ならば実践は、研ぎ続け、何れ剣身が削れ手細くなり折れるか
それもと新たに火にいれ、魂を入れなおす鍛え直されたものか
その二通りになる
元の形のままで永遠に、とはいかない
それが剣の常 剣に、常若というものは、存在しない。
故にヴィリアの言葉にも、素直にうなずくと、最後に聞いた言葉
大剣がいいか 斧がいいか
その言葉に従って出てくる言葉を、単眼の瞳で見つめ、ジッと待つ
態度は先ほどまでの、舌や喉が廻り辛い、人見知りの態度ではない
むしろ鋼と向き合っている時の態度に近かった
故に、視線をそらさず、夕焼け色の眼がヴィリアを見つめている。
ヴィリアの答え
それは斧だった
「斧、か。」
スピサは、顎に手を当て、少し考えた
すぐに、わかった いいよ 等とは言わない。
形材料全てが決められたものを造るのとは違う
依頼主に合わせた最適な武器
それを造り、認めてもらうのが鍛冶師の本懐だ
況してや、ヴィリアの力の具合ならばなおのことだった。
「……んん。」
ヴィリアはパワー型の戦士であり、武器は 大剣 斧 メイス
など重量と力に合わせたもの そして大剣まだしも、先端
それに威力が濯がれる武器を愛用する
故に、斧は代表格
当てる箇所は常に同じ場所 力を籠め、ぶつけ、叩き落とす
ヴィリアに耐えきれる斧 そう考えると、少しだけ考えてしまっていた。
「―――ぁ。」
ふと、造りたくて求めた
古代剣に倣った剣竜の背びれ
それを思い出しては、それは片手剣 もしくは最適化するならば斧
そう考えていた代物だった。
チラリと、立てかけていた背鰭の一枚を眺める。
これは、蘇りも利かず、一発勝負 そして寿命を迎えるまで研ぎ
それだけで続けるしかない代物だ。
運命だったのかな などと、武器と主の邂逅
そんな物語、数知れない ゆえにヴィリアのほうを振り向き。
「ヴィリア」
スピサの肚は決まった。
「鋼でなくてもいい?」
■ヴィリア > 鍛冶の良し悪しは、一介の調達屋でしかない自分には中々理解が難しい。
だがスピサが真剣にその教え、想いと向き合い、会得して良い武器を作り出している。
そのことは、こうして時折訪れる際の会話でも、その眼差しや態度を見ればわかる。
そしてヴィリアは、斧、と問いの答えを出す。
すぐに頷くわけではなく、少し考えるような仕草。
武器を注文するのはこれが初めてではない。だからこそ、その仕草も見慣れたものだ。
鍛冶師が考えている間、ヴィリアは再び葡萄酒を口に運ぶ。
するすると喉を通り過ぎていく、冷えた液体の感触。
ふぅ……と、息を吐いたところで掛けられる声と、顔を向ければ此方を見つめる真摯な眼差し。
「……あぁ。いいよ」
暫し見つめ合う。
その視界の端に見えた、己が持ち込んだ背鰭一枚。
それだけで大体を察したのか、薄緑の双眸が静かに、細められる。
「アタシはスピサの腕を信じて頼んでるんだから。
思うように作ってくれ」
■スピサ > 鋼でなくてもいいか
それは鋼を鍛え、造り上げるスピサには、少し珍しい代物となる。
ヴィリアが同意する様子に、単眼の眼は目をそらさず、確認しあう。
全信頼を向けられた言葉
炉の めらり と燃える音 それはスピサの胸に、火を入れた。
「わかった。」
利き腕や扱い方に変わりはないか
闘い方はそのままか
丈はいつも使う斧と同じくらいでいいのか。
そう聞いていく。
そして、スピサの中で決まったのは斧という名の、暴力的な先端だ。
「一週間、待って。」
そう言って、先ほどの背びれ起こし、目の前に立てかける。
「ヴィリアなら、きっと竜も似合うよ。」
そう言って、真顔で 任せて と語って締めくくった。
ヴィリアは、大剣を預けてほしいと言われ、大剣を預け、工房を後にする。
勿論、郵送料云々はきちんと行われたうえで。
―――――――- そして一週間が過ぎた。
■ヴィリア > 普段訊かれない言葉だけに、その問いは深くヴィリアの印象に刻まれた。
利き腕、扱い。闘いの手法。
そして武器の丈。
訊かれるがままに答える。特に躊躇うでもなく、信頼を寄せるがゆえの素直な受け答え。
「一週間か。……わかった」
似合うと言われれば少々、擽ったい。
ありがと、と軽い礼を紡ぎながら、今日のところは工房を後にしよう。
言われた通り大剣を預け、日々は過ぎ──
一週間が経って。ヴィリアは約束通り、スピサの工房を訪れる。
扉を開き、中から溢れ出す熱を肌で感じながら、中へ。
「……スピサ」
どうだい、と問は言外に、首尾を窺う。
竜の欠片は、さてどのように変貌を遂げたのか。この目で確かめてみたい。
■スピサ > スピサは、顔なじみの依頼以外 閉店を示す看板を下げていた。
背剣竜の背びれ それは捕食者の革と肉を貫き、絶命とまではいかない者の
恐れと喰らう意識という心を折る まさに、斧のための背びれ
研ぎだけでしか、背びれ竜の剣身は作れない
骨が硬化されて造られたそれは、単純な鉄鎧を砕き、獣の背骨を折り、肉を貫く。
大型の獣の牙が顎の力でそれを成すように ヴィリアの怪力 背剣竜の背鰭
足されれば、強くなる 単純な答えだった。
一週間の間で、背鰭竜の形を単純な斧にすることをスピサは嫌った
決まり切った形というわけではなく、真っ直ぐな線が走るこれは下手な形に削れば欠けると想ってだ。
故に、その形状は先端が太く、根本が若干細い
平面で見た水晶体のような五角形の斧だ。
先端の二辺 両側の二辺 柄を取り付ける以外の露わな互角の辺は全て研がれ、白い刃がむき出しになっている
分厚い平面の剣身はやや深めの錆浅葱色
これは曲線を描く斧ではなく、鋭く太い先端という角を備えた、アックスハンマーと言えた。
大剣は柄に再利用されている。
不純物を取り除くように火入れされ、折り返し、伸ばされた柄は両手用
大剣の代わりなのだからもちろんだ。
しかし、ヴィリアならば片手でも奮ってしまえるだろう。
「……うん、待ってたよ。」
剣身となる背剣に穴を開けるわけにもいかない。
故に、斧の後頭部をすっぽりと覆うように鍛えた柄が嵌め込まれた
黒鉄色の柄は、全体が捻じり模様を描き、滑り止めと握りでの強みをかける。
斧の柄の握りをよくするため、二か所に、手に馴染むように追加で仕入れた背剣竜の革を固く煮詰め、細く加工し、藤巻式に巻き付けている。
スピサは、一週間かかりきりだったものの、まるで疲労を見せていない
むしろ制作中の、アドレナリンのような何かが未だ働いているかのようだ。
「具合、確かめて。」
全長 両手斧
剣身 先端が太い平面五角形 両刃
色 深い錆浅葱色
柄 後頭部を覆うように作られた、捻じり模様の入った両手用
光沢の無い黒鉄色を帯び、緑釉色の剣竜の革を細く、藤巻型に柄の二か所に巻き付けている。
覆う先端は鋭い円錐で刺突用に拵え
柄頭には滑り切らないように膨らませた、先端が鋭い鬼灯型。
「これ。」
そして目の前には、スピサ製を思わせる、分厚い一体型の鉄兜が丸太椅子の上で鎮座している。
意味は、わかるはずだ。
■ヴィリア > 工房に入ってまず、目についたのはその特殊な形状の斧。
大剣の名残を微かに残す柄。
見るからに両手用の武具ではあるが──片手でも扱えそうな形、大きさではある。
状況に応じて使い分けることが出来る。それは大きな利点だった。
「わかった」
具合、と聞けば素直に頷き、よく研磨され鍛えられた柄を握る。
その目は、丸太椅子の上に鎮座した兜へと向く。
ゆっくりと両手持ちで構え、切っ先を其処へ向けて──振るった。
一閃、鈍い音を立てて鉄兜が弾け飛ぶ。
いや、砕け散るといった方が正しいか。
その威力は矢張り、腕の立つ鍛冶師のお墨付きということもあって絶大だった。
満足気に頷くと、ヴィリアはスピサへ向き直る。
「──ありがと。これなら、巨竜とだって渡り合えそうだな」
そう礼を紡ぐと、予期せぬ相棒との出会いを祝すようにからりと笑ってみせた。
■スピサ > スピサは、はじけ飛ぶのも恐れないのか
工房内での兜砕きを実践させた
兜割りではない 兜砕きだ
剣身の広い先端が、兜に当たると滑る前に拉げ、砕き割られる。
バ キ ン ッ という音が、最後に鋭く伸びて疾く消えていった。
斧を返してもらうように言い、剣身を眺める。
潰れもしていなければ、欠けてもいない
正に自然武器の一角を用いたものだと言えた。
「……貫きはしてみせるよ、絶対に。」
その背鰭の持ち主故にか、そう言って見せる。
しかし単眼を今は巻きなおしていた眼帯
瞳や表情は読み取れないスピサは、両手を後ろにやっては再び斧を握り、喜ぶヴィリアを眺め。
「……でも、無茶はしないでね。」
強大な相手に挑むための斧ではない
ヴィリアの敵を屠る為の斧なのだから。
そして、その斧が背折れるようにと、背中から支えられるフックベルトを渡す。
相手の体格に変わりはないため、それは作りやすかった。
強度はほかの獣の革ながら、簡単に千切れるものではない。
背中に斜めに取り付けさせたフックベルトは、斧を載せると丁度よく抜けそうな位置に柄が来てくれた。
「サイズ、合わせられるように穴あけ幾つかしてあるから。」
一仕事、終わった。
ふぅっと一息つけば、斧を背負った強戦士といった出で立ちのヴィリア。
ふと、報酬を聞かれると、 ぁ と忘れていたようだった。
■ヴィリア > お手製の鉄兜は、その為だけにスピサが作ってくれたのだと思うと、
手間をかけさせたことに有難みが増す。
鋭い音が工房内に響き渡り、消えていく。
斧を返し、刀身を見てもらう間、兜が置かれていた丸太椅子に傷が無いか、などを見る。
どうやら無事のようだ。
再び渡された斧を握る。手に馴染むような感触。
これが先日、自らの手で打倒した竜のものだとは。ややも感慨深さを覚えた。
するとスピサから向けられる言葉。
「……あぁ、勿論。アタシだって別に、無茶したいわけじゃないからな」
笑って頷くと、手渡されたフックベルトを受け取る。
身に着ければ、丁度良い位置に斧が収まる。体格がほぼ同程度だとこういう時便利だな、となんとなく思った。
さて。報酬の話になると、すっかり忘れていたらしい相手に笑ってしまう。
──斧を傍らに、余計な傷を負わないような場所に置く。ひとまずは。
「………いつものお礼にするか?」
そう言って、肩同士をとんとぶつけにいく。
お互いに露出の多い服装。肩から剥き出しになった色違いの肌が密着する。
どうする?と、スピサの顔を覗き込むようにし、ヴィリアは口端を持ち上げた。
■スピサ > 形状は質実剛剣という言葉が作れそうな斧故、ヴィリアが握るとまるで魔物狩りの徒だ
武器、久しぶりに気合を入れて作ったなと、納品された日にこうして出会ってしまった持ち主。
剣よりは斧が向いているけれど、などと思ったのが決まり手だったのだろう
新しい作品が振るわれる姿 ちょっと見てみたくもある
そうして報酬の話になると、金額をどうしようか迷っていた
研ぎ 柄の拘った強度 いつものお礼 にしては大きすぎるか
「んぇっ。」
以前も制作依頼したことがあるのだからこそ
ヴィリアはスピサ工房のルールを知っていた
故に、いつものお礼がいいかなどと気さくに、同じ背丈 同じほどの力量を持つ相手に
白肌と薄蒼肌がくっつきあう。
知らない体ではないものの、頬を少し染め、んー と考える
互いに向き合うと、だゆんっと90センチ大の胸部が押し付け合わされながら、両手を腰に添えてぼそぼそと。
「……い、一週間溜め込んでるし、と、止まらないと思うけど。」
強度のあるヴィリアだけに、回数もそれなりになりそうだなどと正直に明かす
強く、何度も打ち付けられる凹凸と強さを持つせいか、仕事痕も相まって、スピサも溜まっていた。
故にか、お金でもいいし、体でもいいよと言う。
正直、がっつりとできるヴィリアとだと、スピサも加減をしなくていいのだ。
■ヴィリア > 新たな相棒を振るい魔物を狩る姿はさて、いつになることか。
今は目立った討伐依頼もないし、今度ギルドに行ってみよう、と思う。
それはまた別の話として。報酬となればこの工房のルールが真っ先に思い起こされる。
実際、それを適用して何度となく世話になってきた身だ。
「……へぇ、やる気満々じゃん。
いいよ、アタシだって暫くシてなくて溜まってるんだ」
互いに向き合って、互いに相手の腰に両手を添えて緩く抱き合う形。
豊かな乳房同士がむにゅっと布越しに押し付け合う感覚に瞳を細め……
がっつりとすることに何ら異存の無い表情にて囁いた。
「じゃ、行こう」
寝床へ。顔をすっと寄せ、軽いキスをその唇に落としてから一旦離れる。
そのままごく自然にお互いの腕を絡め合い、肩を並べて相手の寝所へ向かうのだ。
ご案内:「とある工房」からヴィリアさんが去りました。
ご案内:「とある工房」からスピサさんが去りました。
ご案内:「富裕地区 ホテル」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 御約束待ちです。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ > 『部屋移動します』
ご案内:「富裕地区 ホテル」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。