2020/06/28 のログ
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──温泉旅籠内の、主に宿泊客向けに用意されたサービスの一つが、このマッサージ室である。

その施術室はいくつかの個室に分かれており、客は専用のカウンターで受付を済ませた後、各個室で待機しているスタッフと
一対一でマッサージを受けることになる。

なお、客にどのような施術を行うかは、スタッフの判断にすべて委ねる、というあたりはこの旅籠らしいといった所。
ついでに、各個室内には客に安心感を与え、施術への抵抗感を知らず知らずのうちに薄れさせてゆく効果を持った、
ほのかな香りのアロマが炊かれていたりもする。効果がどれほど出るかはその客次第なのだが。

「──はーいお疲れチャン。また来てくれたまへ」

そんな中の一室から、満足げに出ていく宿泊客を笑顔で見送る、スタッフ用の作務衣姿の金髪の男が一人。
今日も今日とて知り合いからの依頼で、臨時のマッサージ師として仕事に精を出しているのだった。

「ふぃー……こういう普通のマッサージも悪くはないのだが、そろそろ一発エロマッサージでもしたいところであるなぁ」

個室内に戻り、施術用のベッド脇の椅子に腰掛けながらそんな詮無い独り言を漏らす。
今日は現状、立て続けに男の『標的』にならない客の来訪が続いたため、男はごく普通のマッサージ師として
仕事をこなすばかりであった。
男としてはそれもそれでやりがいを感じなくはないのだが、やはり役得の一つぐらいは欲しいところであった。

「まああそれも時の運というヤツなのだが……──おっとと一息つく暇もなさそうだったな」

ボヤキを続けようとしたところで、閉じたばかりのカーテンが開く。
さて、やってきたのは男の『標的』になりうる客か、それとも……。

エレイ > そして男は、客を室内に招き入れ──
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」からエレイさんが去りました。
ご案内:「街道」にジェイクさんが現れました。
ジェイク > 王都から離れる事、半日。昼下がりの近隣の村落に通じる街道。
普段から人の往来が多い、その道を遮るように柵が設けられ、
道の脇には幾つかの天幕が建てられ、簡易的な陣営の趣きを為していた。
街路に立ち、通行する馬車や通行人を差し止め、積み荷や身分の検査を行なっているのは、王都の兵士達。
曰く、此処最近、山賊や盗賊の類が近隣に出没するために検問を敷いているという名目であるが、
実際の所は隊商からは通行税をせしめ、見目の良い女がいれば取り調べの名を借りて、
天幕でしっぽりとお楽しみという不良兵士達の憂さ晴らしと私腹を凝らすための手段に他ならなかった。

「――――よし。次の奴、こっちに来い。」

でっぷりと肥った商人から受け取った賄賂を懐に入れて、彼の率いる隊商を通せば、
列をなしている次の通行人に声を掛けて近寄るように告げるのは一人の兵士。
何よりも厄介なのは、彼らが紛れもない王国の兵士であり、市井の民が逆らえない事だ。
そして、その事を理解している兵士達は、御国の為ではなく利己的に国民を食い物にしている最低最悪な屑揃いであった。

ご案内:「街道」からジェイクさんが去りました。
ご案内:「娼館の廃墟」にチマキアさんが現れました。
チマキア > 月が見えている夜の町はずれ。というよりも町が過去に合った広く閑散とした場所に一つ。
いくらか形を保った石造りの建物が佇んでいた。とはいえ他の建物と同じ運命をもうすぐ辿るであろう
朽ち果て具合で、石造りの建物は殆ど吹き曝しになり、残っているのは半地下の構造だけだった。
この建物はかつて娼館だったが、ただ女を置いているだけではなかった。

瓦礫、壊れた調度品、ガラスが散乱する床のあちこちに人形が転がっている。
ココは娼館である、その人形が【生きていた】時、どんな役割を持っていたのかはすぐに分かる。
ゆっくりと覇気がない様子でほぼ失われた天井を見上げると、何処にいても簡単に夜の月が見えた。
足元でさらさらに乾いて転がっている女性型ホムンクルスの死体を男は見下ろしていた。
其処には娼婦として売られていた、キメラ、ホムンクルス、人形が至る所に転がっている。
死体ではあるが、人形を除き損壊した物は殆ど無く、皆まるで静かに眠っているかのようだった。

ミイラになったキメラや、バラバラの人形に混ざって、静かに転がっている風化したホムンクルスの数々
ホムンクルスの性能は作られた場所によりまちまちなのか、すっかりミイラになっている物もいれば
肌は潤いを失い乾いているが殆ど生身の状態で眠っているのかと錯覚するほどの死体まで様々だった。
人形でありながら殆ど砂となった物もあれば、肉でありながらその瑞々しさを失わない死体まで
至る所に転がり、自然の在り方がバラバラなその光景は全くの無音で奇妙だった。

「……」
其処に男は今日も一人、近くの石の台に腰かけ、その光景を無言で眺め続けた。
よほど気に入っていたのか、また今夜も足元に転がる美しいまま命を失ったホムンクルスの頬を
静かに撫でて過ごしていた。

チマキア > 静かに、そのまま骸達と共に月夜が見える時間を過ごした
ご案内:「娼館の廃墟」からチマキアさんが去りました。