2019/09/09 のログ
ご案内:「湾港都市ダイラス 飲食店」にクレス・ローベルクさんが現れました。
ご案内:「湾港都市ダイラス 飲食店」にハーティリアさんが現れました。
クレス・ローベルク > さて。
相手はアンデッドである。アンデッドにも色々居るが、先程の戦闘の様子から見て、毒物は効かない――つまり、アルコールを摂取しても、酔わない可能性がある。
となると、そこらの安酒場に行っても、彼女は楽しめまい。
しかし、高価な所は相応のドレスコードがある。流石に今から彼女に着替えろとも言えない。

しかし、そこまで考えが至って尚、男の歩みに迷いはない。

「ま、剣闘士やってりゃ色んなのと遊ぶ事があるし、そういう時の心得もあるさ」

路地裏の路傍にひっそりとある地下への入口。
そこを降りれば、一枚板の扉がすっぽりと嵌っている。
開けてみれば、そこはシックな内装の、廊下がある。
扉の直ぐ傍には受付のカウンター。そしてその先には、いくつもの扉。それだけ見ると、酒場というよりは、ホテルに似ている。
カウンターの男と、二三言話すと、鍵を受け取り、部屋に入る。

中は、簡素なランプと机とテーブルだけがある。
机の上には、メニューと、何かが入った袋がある。
男は、先にテーブルの方に歩くと、少し椅子を引いて、引いた椅子の反対方向の椅子に座る。

「何か、仰々しい場所だけど、要するに君みたいな訳ありの人でも周りを気にせず話せる場所なのさ、此処は。
どっちかっていうと値段により質の場所だし、ちょっとした"遊び"も楽しめるから、君でも楽しめると思う」

そう言って、男は魔王に席を勧める。
一応、内装は綺麗だが、それ以外に特に仕掛けなどはない。
勿論、盗聴などもないが――男の言う所の、"楽しめそうな物"も今の所見当たらない。

ハーティリア > 剣闘士のオススメのお店、とやらにおとなしくエスコートされることしばし……。
別に、安酒なら安酒で楽しめるし、着替えなんて魔法でいくらでもなんとかなるのだけど、それを言葉にして聞かれなければ伝える事もなく…元からそうと決めていたかのように迷いなく歩む彼の後ろを、楽しげについてあるけば、たどり着いた地下への入り口。

「…ほう、なんか隠れ家みたいなお店だぁね。」
階段を降りた先に広がる、どこか暗い…しかし落ち着いた空間に目を細め、ほう…と感心の声を漏らす一方、彼が受付と話し、鍵を受け取るのを見れば…連れ込み宿みたいだなぁ、とかぼんやりと思うが、それはそれ。
別にそれでも構いやしないが、部屋に入れば中は質素な空間が広がり、中央にテーブルとランプがポツンと…。
そのまま、彼が引いてくれた椅子に遠慮なく腰掛ければ。

「あー…要人や裏社会のあれやこれやが密会とかに使う場所とか、そんな感じか…っていうか、俺別に訳ありってほどじゃ……。」
失敬な、とわざとらしくプリプリしてみせるが、冗談めかして愉しんでいるだけなのはニヤニヤとした笑みを見れば一目瞭然で。
ただこう、一つ残念なのは…地下の個室なら致し方ないことなのだが…窓一つない部屋にちょっと狭苦しいなぁ、と呟き一つ。

クレス・ローベルク > 「実際、犯罪の密談の場所として使われる事もあるよ。
って、やめようぜそういう『別に俺普通だし』みたいなボケ!
いや、ボケたんだよね?まさか、君の周りあんなんばっかて訳じゃないよね?」

魔族側に君みたいなのが何人も居たら、人類滅ぶって、と苦笑い。
何とか勝ったが、彼女が発揮した実力だけでも、ハーティリアは十分すぎるほど強かった。
お互い殺すつもりでやったら、まず勝てない――人間側の軍隊がどれぐらい強いのかは解らないが、相当な苦戦は免れないだろう。
それが何人も居るとなったら、流石に男も安心してこの国には居られまい。

「ま、悪いけど狭いのは我慢してくれ。味は保証するし……何より、遊び道具もあるからさ」

そう言って、メニューを渡しつつ、袋の中を開ける。
開けた際に中身が擦れたらしく、中から何かじゃらじゃらと音が聞こえる。
その中から取り出したのは、二個のサイコロだ。

「まあ、袋には他にもトランプとか色々あるんだけど……さっきは物理的に勝負したし、次はこっちはどうかな、ってね
あ、勿論飯だけ食うのもいいよ。それならそれで楽しいしさ」

ちなみに、この店のメニューは結構豊富だ。
マグメール風の西洋魚料理を中心に、シェンヤン風の料理などもある。
値段は普通の酒場の3倍……高価なものだと5倍ぐらいのものもある。
その分、味は期待できるという所だろう。
……何故か中には、『ロシアンルーレットパイ』『ロシアンルーレットまんじゅう』などの、ネタ枠もあるが。

ハーティリア > 「俺の故郷だとまあ、割と居ないこともねぇけど…ん~、まあ『こっち』ではあんま見ねぇなぁ…血爪のは人間との争いに興味ないし…あと俺が知ってるのはラボラスくらい?
 まあでも、探せば居そうな気はするけどな、そもそもこのあたり(世界)って、魔族のくくりがめっちゃ雑だからなんとも言えねぇし…ってか、国作ってるのに驚いたわ。」

こっちの魔族って多種多様だよなぁ、なんてケラケラ笑いつつ、彼の問いかけにはどこか微妙な答えだが、少なくとも…自分に比肩するか、上回る「魔将」が居ることは、ポロリとこぼす。
そもそも魔族がグループを超える国作ってる時点ですごいなぁ、とか言ってる辺り、どのくらい生態や習慣が違うか伺えそうだが。

「サイコロか…振ってるうちに振り方や落とし方で出目を把握できちまうけど…大丈夫?
ほうほう…まあ、それじゃあ…気分だけでも狭苦しいのはなんとかするか。」

取り出されたサイコロをなるほど…と眺めながらも、ふと思い出したように尋ねるのは…別に狙ってイカサマをするわけではないのだが、振ってるうちにサイコロのクセが把握できてしまう知覚力の差を気にして、そんな質問を。
あと狭苦しいのはなんとかしたかったのか…取り出したのは、小さなガラス玉。

『小さな小さなガラス玉、魔法も世界もその内に…世界は所詮夢幻…』

呟きと共にそれをコロン、とランプの火の中に転がすと、ランプの明かりを吸い込んで、煌々とした光を放てば……蒸し暑い残暑の夜に不似合いな、スゥッ…と涼やかな風の感覚と共に…周囲の風景がテーブルと自分たちを残して、光と共に塗り替わっていく。
天井が空に、床が草原に…ランプの明かりが天高く登り、白く冷えた月明かりに…今この時だけ、この部屋は地平線が見える「夜の草原」になったのだ。

「まあ、このくらいのお膳立てはよかろ?
 さて、何を食べようかねぇ…なんか、魚食べたいなぁ、魚。…なんだロシアンルーレットパイって。」
そういって、メニューを開いて文字を目が追いかけて…まあ、注文を取りに来た店員の度肝は、抜かれるかもしれないが。

クレス・ローベルク > 「あれ、魔族の国って結構昔からあるはずだけど。
人間がその存在を知ったのも、ナルラート朝の初期ぐらいだから……少なくとも、俺が生まれる前にはあった筈。
もしかして、結構遠いところから来た?」

男は、彼女がこの世界の住民だと信じている――というか、普通に考えれば異世界の住民であるとは考えない。
後に、異世界の住民だと知ることにはなるのだが、それが今なのか、それとも先の事になるかは解らない。

「あー、そっか。
眼や脳のスペック高いとそうなるか……」

狩る対象としてではなく、日常を送っている魔族という意味では、男は魔族のことをよく知らない。
強すぎる魔力を持つ故に、この手の賭け事が成立しない魔術師を一人知ってはいたが……まさか、目の前の魔王もそうであったとは。
そして、目の前の景色が変われば、「うぉっ」と感嘆なのか驚きなのか解らぬ声を出して

「いや、勿論風景が良くなるのは歓迎だけどさ……凄いなこれ。
風や空気まで再現してるのか」

いや、でも結構気持ちいいなこの風、と男はひとりごちる。
まだ、夏の残暑が厳しい季節。
一部の施設を除いて冷房のないこの世界では、貴重と言える涼しさだ。

「あー、魚料理なら今は鮪がお勧めかな。
グリエもイケるし、この店なら刺身も美味い。
ロシアンルーレットパイは、言ってしまえばこの店の名物だよ。5個のパイの内四個は美味しいけど、一個はメッチャ辛いってヤツ。俺、前に運悪く当たったことあるけど、危うく死にかけた。あれ、嗅覚とか見た目では全くわからないんだよ……」

前に、剣闘士同士の打ち上げで運悪く当たった事を思い出し、少し目を伏せる。
実家で訓練として食わされた、ジャイアントワームの丸焼きよりキツかった。
とはいえ、好奇心でチャレンジするつもりなら付き合うつもりではある。
何せ、アレを食べた時の魔王の反応というやつを、試してみたい気持ちが無いわけが無いのだから。

ハーティリア > 「ん~、まあ…『こっち』に着たのは千年くらい前だから、あんまり変わりねぇけど。なんか、神様の名前とか、どうでも良いことでわやくちゃやりあってんなぁ、って思いながら傍から眺めてただけだから、よく知らねぇんだよなぁ。」

しれっと実年齢4桁というアレな事実を暴露しつつ、まあそこはそれ…そもそも享楽的な男は、興味のないことはさっぱり覚えていないのである。
多分、記憶を漁らせたら知られたらヤバイ当時の事実とかも出てくる…のかもしれない。

「俺なんかマシだぞー、ドラゴンロードとか、アークデーモンあたりになると、見たり手に持った時点で分かってるからな。」

自分みたいに、多少試行回数を重ねないといけないのとは次元の違う種族も居るぞー、なんて話のネタに笑い混じりに語ったりして…そうして部屋が仮初めの世界に彩られると、感心したような彼の言葉に、小さく首を傾げ。

「再現っていうか…ガラス玉の中に作ってあった世界を、ランプの明かりで部屋に反映させてるんだけどな。
 ほんとは、ガラス玉の中に世界を複製して、観察するための魔法なんだけどなぁ…。」

俺じゃそこまでできなかった、なぞと話しつつ…涼やかな夜の草原の中、メニューを開くというのも奇妙な光景で。

「へぇ…じゃあ、鮪のグリエと…カルパッチョも食べたいな。あとライス。
……ふはは、うわぁなっつかしいなぁそういうの…よし、頼もう、ロシアンルーレットパイ。」

詳細を聞いてみれば、興味を惹かれたのか目を輝かせ、面白そうだとそれも注文に追加する。
流石に、パイの中身まで当てれたりはしない…はずだ。