2018/10/02 のログ
ご案内:「王都内 居酒屋」にユールさんが現れました。
ユール > 【お約束待ちです。】
ご案内:「王都内 居酒屋」にヴィンセントさんが現れました。
ユール > 「 やはり どうしても。 …余所の お国の  …特に此方の 方はなかなか。 
 いただく機会 が ないもので… 」

(とりわけ今は、諸外国との関係が悪化しつつある。
シェンヤンの方とは特に緊張状態が続いており、国内では異国の民への、謂われ無き非難も有るらしい。
それもあって、常日頃、こういった料理に巡り会う機会は、非常に少なかったから。
物珍しさも相まって、自然、箸が…もといフォークが進む。
相変わらず、一口一口、それ自体は。小さな物でしかないけれど。)

「 …? お酒は …お付き合い 程度 でしたら  普段から。 」

(色々な意味で、大人に付き合う機会は多いから。
自然お相伴に与る、お酌をする、そういう形で触れてはいる。
とはいえ、自分から積極的に飲もうとは思わないので。貰えるのなら貰ってみようか、という認識。
そもそも…この料理に合う、異国の酒という物が。とんと想像付かなかったから。
首を傾げて、店主の方を見てみよう。)

ヴィンセント > 少しづつ、しかし確実に食事が進む様子はまるで小動物のよう。
珍しそうな目は普段それらを目にする機会が――つまり、異文化との交流が途切れつつある証左か。

「まァそうだろうな。異国の料理なんざ城の中では見られんだろうさ。
特に戦時もかくやのこのご時勢なら尚更な。
――なら、今夜は異文化交流と洒落込もうじゃないか。
軽いものもある、いろいろ飲んでみるのも面白いぜ」

視線を受けた店主が得心したように振り返り乳白色の小瓶を取り出す。

『・・・軽めの、甘口だ。少しづつ飲むといい』

注がれる液体は透明な――清酒と呼ばれるもの。
葡萄酒や蒸留酒とは違い見た目は味気ないが、しかして漂う仄かな甘い香りは他にない独特のものが少女の興味を誘う。

ユール > 「 そういうの 無かったら …良いのです、 けれど。
 …はい ありがとう ございます。 ヴィンセントさま。 
 ぁ そういえば …あなたさま は、どちらの お国の出 …なのでしょう? 」

(ぱっと見て。この地に産まれたミレー族なのだと思うけれど。
此処の様な、異国の某に、随分と慣れているようだから。
違う所の出身か、或いは、彼方此方を旅しているような。そういう生活なのかもしれない、と。
…気になると言えば気になるものの。考えてみれば、果たして、聞いても良い物なのか。
分からない分、問い掛ける声音は、努めて抑えた小さなものに。)

「 …ぁ わ … はい。 …こちらも。 何と 言いますか。 …初めての 味で… 」

(だから、咄嗟に表現はし辛いものの。するりと喉に通ってしまったから、とても飲み易いものなのだろう。
米から作られるのだ、と、そう聞いた事は有るが。
例えば、葡萄酒が赤や白であるのとは違い、素材の色ではないらしい。
其処の辺りも、何だか不思議、という面持ちで。
折角だからともう一杯、店主が注いでくれた物を。
今度は直ぐに飲んでしまわず、しげしげ、覗き込むように。)

ヴィンセント > 「面白いだろ?普段飲む味とは根本的に違うからな。
――んで、質問の答えだが俺はこの国の生まれさ。
ただ奴隷として、傭兵としてそれなりに色々なところに行ったからな。
知り合いも、敵も大勢増えたさ」

おっかなびっくりに問う声音にあっさりと答える。
彼にとっては特に思うところもないのだろう。
元奴隷であることもあっさりと明かす。

おかわりを貰い今度はじっくりと覗き見つめる様子を、まるで初めて飲んだ自分と同じと重ねる。
なんともこそばゆい感覚に思わず口端が緩むのを感じては。

「大将、俺も一杯貰おうか。ああ、同じもので頼む」

程なくして、先ほどの透明な酒が注がれる。
懐かしむようにそれを眺めてはグラスを持ち上げ。

「それじゃあ、少し遅れたが――乾杯」

ゆらり、と軽く掲げる。

ユール > 「 色々な 物が お酒になる …とは 聞いた事 が 有ります けれど。
 実感する…のは 初めて です。
 ……ぁ 。 はい、そうなの ですね。
 だから 色んな事を 知っておられる  と。 」

(当人が、気にしている事ではない、と言いたげな口調だから。
此方が意識した様子を見せるのも、それはそれで、失礼なのかと。
努めて、平静な応答を心掛ける。
ただ、今は傭兵であって、もう、奴隷ではないという事らしいから。
其処には、少しばかり安堵して。
安心した拍子に、二杯目を。く。と、一口。小さな器から喉へと。流し込む。
ほわり。酒気を帯びて少しばかり、熱っぽさも増す息を吐いてから。
これまた味の染みた大根を、ちまちま、小動物めいた仕草で囓る。)

「 ぇと。 どうか ご無理は …なさいません ように。
お酒は 何といいますか。 怖い物 なので。 」

(飲めないと言っていたけれど。大丈夫なのだろうか。
とはいえ、付き合ってくれる、という事だろうから、止めはしない。
彼が掲げたグラスに、かちん。小さくグラスをぶつけ合わせて。)

「 かんぱい です。 ……何に に、いたしましょう。
彼女 の無事にか …あなたさま との 出会いに でしょうか。 」

ヴィンセント > 「特に考えてなかったが・・・ハハ、そうだな――ユール、お前さんが初めてみる外の世界に、でどうだ」

かちんっ

グラス同士がかち当たる澄んだ音が響く。
下戸ではあるためそう呑むことは出来ないが、一人酒も寂しいものだろうと少しづつ、慣らすように喉へ、内腑へと流し込む。

早くも頬に紅が差し、目の前の少女と同じように吐く息も僅かに熱を帯びていく。

「酒の怖さは俺も知っているつもりさ。まぁこの一杯に留めておくさ
――失敗もあるからな」

心配のような忠告に頷き、ふと苦い思い出がよぎっては苦笑い。
寄り道のように蒟蒻を箸で器用に摘み、口へ運ぶ。

「ッ、はふ・・・はふ・・・・・・、熱っ・・・」

――予想以上に熱かったようで少しばかり涙目なのがどうにも板に付かないが・・・

ユール > 「  はじ、めて。 ……そぅ ですね。 はじめてで す。
色々… こういう場所が有る 事すら。 わたし、何も 知らなくて。 」

(それこそ、城から歩いて来られる程しか、離れていない場所なのに。
自分にとっては未知その物。
改めて、どれだけ、世界を知らないのかという事を、自覚させられて。
重ね合わせたグラスの向こう。僅かに綻んだ口元は、何とも、困ったような色を滲ませる。
そんな困惑も、押し流してしまうように。グラスの残りを、流し込んで。
口から離した所で。改めて。)

「 同じく です。 酔って、 殿方に 介抱して いただく…というのは。
其処から 色々と。 駆け引きを せねばならない と いうのは。
世の常だと 窺っており ます ……が。 」

(実際、貴族同士の駆け引きの為、生かされているような立場だから。
そういう事柄も、自然と、聞き覚えてしまう物。
…とはいえ、こういう、一種のお約束に関して。
逆に、男性の方が酒に弱いというのは、あまり聞かないので。
流石に当て嵌まらないのかな、とも思う。
今度は厚揚げ豆腐を口に運びつつ。)

「   、……っ …… 」

(きょとん。そんな面持ちになった。
改めて、相手の方へ目を向けてみれば。丁度熱さに悶えて、涙目になった所。
…どうしよう。笑ってしまうのは、物凄く、失礼で。
けれど、我慢出来なかった。顔を伏せ、口元を押さえて。口を着きそうになった、笑みの気配を堰き止める。
少しばかり、剥き出しで分かり易い肩が、震えてしまうので。
隠した気配は、バレバレでは有る…かもしれない。)

ヴィンセント > 「・・・、ふはっ。こういう時は笑えばいいんだぞ、てか隠しきれてねェよ」

口内を蹂躙する黒色をどうにか飲み込み、顔を上げれば俯き方を震わす少女。
堪えようにも堪えきれない笑いが体を通して滲み出ているのが見てわかるほどである。

「そうだなぁ、酒に酔わせて・・・て奴は少なくないだろうさ。
特にユール、お前さんのような別嬪さんなら尚更獣になる奴は少なくないだろう。
こんな国だ――と、いかんな。辛気臭い話になっちまう」

懸念のようななんとも言えない声に思うところがあるのか。
酒がそうさせるのかいつも以上に舌が滑る。
口数が多いのは彼の長所であり短所でもあり、余計なことかと頭を掻く。

「俺は駆け引きが苦手でな、アタマ使うよりは筋肉使うほうが性に合う。ま、それで存することも多いがな」

ハハハ、と笑う。
酔いが回り頬だけでなく貌が、首が朱に染まる。

「・・・少し酔い過ぎたな」

首元を仰ぎ、天井を仰ぐ。
水を飲むがそう簡単に醒めれば下戸など居ないわけで。

ユール > 「  っ、 っすみ ません、 …つぃ…… 」

(笑う、噴き出す、どれだけぶりやら。
只でさえぎごちない笑い方が、おかげで、ますます妙な具合になってしまう。
ツボに嵌った、というのは、こういう事を言うのだろうか。
声に出して笑う事は、何とか、堰き止める事が出来たものの。
今度はこちらが、必死に押さえ込みすぎて、それでも、逃れきれなくて。
うっすらと涙を浮かべてしまいつつ。)

「 する 側も  される側も。 …色々。 思惑 有っての 駆け引き です。
 そう ですね。 そういった殿方 は。 たくさん。
 …勿論 酔ったから といって。 溺れる ばかり 荒ぶるばかり の方々 では。
 ありません けれど。 」

(良い人も居れば悪い人も居る。それが人間という物で。この国でも其処は変わらない。
色々有ったという事は肯定しつつ、やんわりと、他人のフォローも忘れずに。
ただ、あまり良い顔を出来なかったのは。こんな国、と言われても仕方のないような。
つい先程の一件が、どうしても思い浮かんでしまうから。
また一口。グラスの中身を一気に喉へ…これで。二杯目も空になる。)

「  …、っ …。 すみません。 良い 飲み方 では。 ありませんね これだと。
お酒にも 申し訳ない で…す ……? ぁ。 の ヴィンセント さま …? 」

(誤魔化す為、押し流す為、の飲み方は。きっと良い物ではないだろう。
折角出してくれた店主に、申し訳が立たないと、其方に頭を下げてから。
再度振り返ってみると。…一杯だけしか飲んでいない筈なのに。
本当に、真っ赤に染まっている姿が有った。
駆け引き云々ではない、間違いなく、酔っている姿。
心配の声をあげてしまうのも、当然というもので。)

ヴィンセント > 「あぁ、そうだな・・・そんな飲み方じゃあ美人が台無しだ
・・・俺は大丈夫だ。いや、大丈夫じゃあないがまだマトモだ」

カウンターにもたれ、大きく息をつく。
熱く湿った吐息が彼の酔いの程を示すか。

「・・・いや、限界か。
すまないな、少し風に当たってくる――このままだと本当に“溺れて”しまい兼ねん」

ふらり、と立ち上がり不安定な足取りで外へと向かう。
口だけはしっかりしているが、瞳は熱く濡れ、吐息も熱を帯びている。
放っておけば数分の後に戻ってくるだろうが、引き留めれば恐らくは
理性のブレーキなど硝子細工のように砕けてしまう。と言外に含める。

ユール > 「 それは 別と言いますか …ぇえと。
 つまり それ、 大丈夫じゃない  …という事 では …? 」

(じゃないが、とついている段階で、疑念と懸念は継続確定。
こういう時、どうすれば良かっただろうか。
取り敢えず、冷たい水を貰おうか、と。店主の方に向く間に。彼の方は立ち上がってしまった様子。
夜風に当たるというのも、酔い覚ましとして、定番かもしれないが…)

「 …ぁ ぇ お待ち くだ さい  外に行く より そのっ 」

(流石に、止めざるを得なかった。
ふらつく足元を見ても、矢張り、大丈夫とは思えなかったし…
もう一つ、心配せねばいけない事が有った。
自分達は、謂わば狂言誘拐とはいえ、攫われた少女と、攫った男とであって。
万が一、街の中まで、警邏の兵士なりが出て来ていたら。
見咎められる、捕まえられてしまう、そういう危険性が有る。
ぎゅ。と、外に出ようとする男の、袖なり上着の裾なりを引っ張って。)

「 あぶな い です。 まだ …出ないで 行かないで いただければ …… 」

ヴィンセント > 「・・・全く、人の話を聞いていなかったのか。
“悪いミレー族”が本当に悪人になってしまうと言ったんだがな」

囁くように放つは最後の理性を振り絞った言葉。
事情を知るものからすれば引きとめざるを得ないものとしても、
そこまで考えが回らないのは気質かそれとも酔い故か。

ゆっくりと振り向き少女の双眸を見つめる。
威圧感こそないもののその目が何を語るかを知らないわけではないだろう。

今この瞬間にでも襲い掛かりそうな欲望を矜持を持ってなんとか押さえ込み、言葉を探して説く。
怖がらせないように、無理強いしないように。
理性の残り滓と立ち上る獣欲が鬩ぎ合う。

「お前さんの目は酔い過ぎる。それこそ酒よりもな」

ユール > 「 …今 その …今 捕まって しまったら。 ……公的に? 世間、的に?
 そういう 意味で も。 …悪いミレー族 扱い …ですよ…? 」

(恩人を、そういう目に遭わせる訳にはいかない。
れっきとした、考えた上での制止なのだという事を、言葉にしようとするものの。
…振り返った彼の瞳に。僅かに息を飲まされてしまう。
知らない訳ではない、というより。当然と思えてしまう程、見慣れてきた瞳。
ぎゅ。と、一度、胸元で空いていた方の手を握り込んで。それを胸に押し付け、ことん、と跳ねた鼓動を押さえつける。
其処から、改めて。決して裾は離さないまま、下から覗き込むように、男の顔を見つめて。)

「 …そんな事 を仰る 方。 初めてです。
 そういう方が ……わたし達 のような、 娘達を 助けて下さった あなたさまが。
悪い方とは ……怖い 事を なさるとは。 …思って おりません。 」

(そして。この場合の、怖い事、といえば。それこそ城での、先程の一件のような物であって。
…こうして、言葉が介在するなら。今既に襲われ、壊されているのでないのなら。
……何も持たない少女でしかない、自分に。出来る事と、応えたい事とは、決まっている。
だから矢張り。手は離さないままだった。)