2017/12/21 のログ
アリステラ > いくら天井が高いといっても、洞窟の中だ。
岩壁を突き破って逃げるようなことはさすがに、ないだろう。
こちらが入口のほうから仕掛けるのだから、奥に抜け道でもない限り、相手に逃げられることはない。

「了解っ!」

まずは一匹。右手側のアリへと振るわれた剣の軌道が、魔力の輝きを宿してその頭をたたき切る。
やはり、魔剣かと予測はしていたが、そのきらめきに目を細めて。

「やっ!」
わざと声を出し、アリの注意を引きながら、もう一体のほうの護衛アリの羽を射抜く――
凍らされた羽はもはや動かず、重しとなってその動きを鈍らせれば、剣が振るわれるのも楽になるだろうと。

ちら、とみれば。一番大きな…女王アリ候補は、一番奥に陣取っているのだろうか

レナルド > 世の中には万一ということもある。
まして、このような巨大な、巨大すぎるアリというものが尋常な生き物である訳があるまい。
故に屠るならば速やかに屠るべし。敵の自由を赦すことなく、速やかに排除することが戦いの常道だ。
無論、人間や魔族相手の戦いがそのようにならないことは分かっている。

だが、魔物相手であれば、尚且つどのような手合いが居るか分かっていれば脅威のコントロールは容易だ。

「助かる……!」

では、もう一人もだ。翅による滞空や低空飛行を封じられれば、敵の機動性は鈍る。其処を突く。
喰らい付いてくる敵の顎を構える刃の腹で受け止め、ぐっと身を沈めながら首の甲殻の隙間に刃を捻じ込む。
其の侭縮めた全身を、伸ばす動きで刃を押し上げて断首にかかろう。
ごとんと落ちれば、断面からぱっとあふれるように体液が滴る。それを躱して前を見よう。

一際大きな個体が、そこにある。女王アリ候補だ。大きな腹部を持て余しながら、その代わりには翅を震わせる。
先ほどと同じ羽音による感覚阻害だけではない。風が吹いて唸る。奔る鳴動が衝撃波と化し、地面を撒き上げる。

「なるほど、心得ている奴か。……面倒だな」

自己の能力の使い方をよく知っているものほど、厄介なことはない。
自分から見て右方より相手の側面に回り込みつつ、刃を構える。その剣に青白い炎が乗る。
浄化の炎である。それを剣を振り上げる動きで剣圧に乗せて、放とう。羽音に散らされながらも、当たれば爆音が響く。

アリステラ > 二匹目の巨大アリの首が落ちる。
虫の類は生命力たくましいものが多いが、さすがに首が落ちればその動きは止まり、斬られた姿勢のまま地面に崩れ落ちる。

無駄のない剣さばきに、さすが、と一つ頷き。
最後の大物、女王アリ候補へと向き直る。
風を巻き起こす羽ばたきは、さすが女王アリというべきか。
だけど。

*凍結せよ*

かまえた弓とつがえた矢に、ひときわ強い魔力を込める。
そして、彼の魔法の炎に重ねるようなタイミングで、その羽音を断つべく、凍結の魔力を宿した矢を放つ!
厄介な羽を断てば、おそらく、動きは鈍ると踏んで。

「相手はこっちよ!」

側面に回る彼から注意をそらそうと声をあげ、さらに次の矢をつがえよう。

レナルド > 何処をどう潰し、斬ればいいのか分かっているものは楽でいい。
斬っても斬っても蘇るものは厄介だ。
そんな不滅の肉体に不屈の精神が宿っている英雄じみた魔王を祖先は討ったと聞くが。
さて、この場の居るアリはそんなものと匹敵するとはもちろん限らないが、油断はしない。

「……! はは、なるほど。そつがないな。だが……」

そう、そうきたか。
先ほどと同じ要領で最適解と判断した手を打つのは成る程、其れは正しい。
己の剣圧で動きを止めた敵に、凍結の意を乗せた矢を撃ち放つ。
狙い通りに翅は凍てつき、止まる。しかし、翅を強引に動かす。震わせれば、それはぼとり、と落ちる。
成熟した女王アリは確か、翅を落とすものではなかったか。

寧ろ、身軽になった巨大蟻が弓使いの方に向かって突き進む様に、

「阻め――妨げよ。立ち上がれ聖盾!」

紡ぎ上げた魔法を放ち、事なきを得させようか。アリが途中、進路上に生じる光の盾にぶつかり、つんのめる。

アリステラ > 「っ!それならっ」

羽を凍結させた、まではよかったが。
ポトリと落ちる羽に、思わず息をのむ。
そういえば、普通のアリも飛行したあとは羽が落ちて地にもぐるのだ――

それなら、次に狙うのは。目、だ。
甲殻ほどの固さはなく、鍛えようのない場所。
人と同じ光景が見えているかまでは知らないが、弱点なのはまちがいない。

「ありがとうっ」

こちらに突進してくる前に。光の盾でつんのめるアリの姿に、
一言礼を告げながら。
もう一度――凍結の魔力を宿して威力を増した矢を、アリの右目に向けて、解き放つ!

レナルド > 「礼は要らんよ。
 ……完全に殺し切るまで、気を抜くな。人の形をしていないものは、相応の硬さやしぶとさがあるぞ」

今は、この助言を送ろう。
猟とも違う。魔物との戦闘は礼も何もなく、容赦なく、時に潰し合いにもなりかねない。
経験が足りないならば、今のうちに知らしめておく必要があるだろう。
そうすれば次は過つまい。やがて、次に来るべき事態にも教訓として生かせる。

「――見事。だが、敢えて言うなら、凍結は肉体の内部より外側に作用させる位がいい」

何故ならば、魔物の個体によっては体液が凍結しないこともざらである。
凍結程度では肉体内部の循環が乱されないこともある場合、外から固めてしまう方が行動阻害となる。
故に再び、地を蹴って前に進む。
矢が突き刺さり、其の身を痙攣させる女王アリ候補の上に跳び上がって着地する。

「ッ!!」

振り落とされない隙に刃を一閃し、胴の甲殻の隙間に刃を突き立てて抉ればことり、と。首が落ちる。
遅れて、足から力が抜けて崩れ落ちる女王アリ候補より飛び降りて一息つこう。
此れで恐らく全部、か。外から何かやってくる気配等はない。

アリステラ > 「はいっ」

助言に素直にうなづくのは、スライムのような弱い魔物でも不意打ちされれば危険だと聞いていたから。
そして、虫は小さいものでもいろいろしぶとい。
普通の狩りでは、今までさほどの魔物にはあわなかったが…気を引き締めてかからねばいけないだろう。
それが冒険者、だ。

「外?…外側から固めるほうが確実、だからですか」

そういえば。火トカゲ、サラマンダーの類ではどんな寒さの中でも体温を保持する仕組みがあるらしい。
体内に炎を宿すような魔物では、外から攻めるほうが効果が見込めるだろうと腑に落ちて…

それから。
首を落とされ、倒れた巨大な女王アリ候補を見届け、改めて周囲を見回して。
他に動くものの気配がないのを確かめると、ようやく一息。

「これで全部、みたいですね。お疲れ様でした、レナルドさん――見事な剣さばきです。
 少しは、お役に立てましたか?」

アリの集めてきた食料は、さすがに手を出す気にはなれない。
それより気になるのは、先輩冒険者である彼の評価だと…
まだ弓を手にしたまま、聞いてみよう。

レナルド > 「これで終いだ。……お疲れ様、と言っとこうか。
 ああ。特に氷や雷の力は弱点と分かっていても、見た目にも通じているかどうかが怪しくてな」

炎やら風やら、当たれば何がしかの負傷、損傷具合が見た目に分かるものならばいい。
しかし、氷や雷の類は外部からの効果を及ぼすものというよりも、内部に対する威力を意図することが多い。
故に敵によっては、善く弁えた上で使う方がより効果的かつ堅実に戦える。
剣に纏わり付いた敵の体液を振り払い、取り出した襤褸切れで拭って鞘に納める。

「言ったろう。礼には及ばんよ。ああ、良い腕だった。……あとは、実戦だ。実戦の勘だな。」

つまるところ、筋はいい。だが、経験が足りない。
並ならぬ武具とそれを扱うに足る能力はあったとしても、経験がまだまだ及んでいない。
此の侭だと、本懐を果たす前に敵に打ち取られかねない。そんな感想を内心で覚えながら、周囲を検分する。
特に現状目ぼしいものはない。魔族による指金でもなんでもなく、自然の働きとして生じた魔物であったか。

それを確かめたのち、帰るかと呼び掛けてこの場を後にしたことだろう。
帰り際、中に火を放つことは忘れない。油をかけておくにしてもこの中だけでならば、外に延焼することもあるまい、と。

ご案内:「洞窟」からアリステラさんが去りました。
ご案内:「洞窟」からレナルドさんが去りました。
ご案内:「どこかの廃教会」にバルジリスさんが現れました。
ご案内:「どこかの廃教会」からバルジリスさんが去りました。
ご案内:「どこかの廃教会」にバルジリスさんが現れました。
バルジリス > 【待ち合わせ待機中です】
ご案内:「どこかの廃教会」にセイン=ディバンさんが現れました。
バルジリス > (平原のどこか、既に管理する者もおらず、廃教会となった教会…だが、その内部は、チリ一つ落ちていない、綺麗なもので。それもそのはず、この廃教会内で、今まさに人を待っているこの蛇執事が、三日かけて綺麗にしたのだ。すでに日は落ちているが、魔力の蝋燭が光っていて、内部は明るい。教会内でまつられていたであろう、女神の像はすべて破壊されているが、祭壇の壊れた女神像の代わりに、ワルセイから渡された、イダーヤ家の家宝の剣とメダルが飾られている)
……さて、いよいよ今日か。来てくれるといいが……
(そう呟いた、今日は執事服ではなく、漆黒のタキシードのバルジリス。
教会内は、保温の魔法で温かいが…バルジリスは、緊張しすぎてガッチガチである)
……セイン、今日、俺は…お前に……
(そう真剣な表情のまま、手に持った小箱を眺め……ふっと笑って)
はは。俺らしくねぇ、緊張しすぎかな。本当に緊張してるのは…あいつだろうに…
(そう、愛しい人の顔を思い浮かべながら呟き…そして、教会の外に、人の気配がすれば…)
……よぉ、待ってたぜ、セイン。
(そう、相手の名を呼ぶだろうか…)

セイン=ディバン > 「……こ、こ?」

もらった手紙に書いてあった日程。場所。少女はそれを何度も何度も確認して。
そして、今夜、そこへと赴いた。そこはくたびれ、崩壊した協会跡地ではあったが。明らかに雰囲気が違っている。

「お、お邪魔します……」

ゆっくりと、その教会の中へと入っていく。外からでも十分に伝わっていたが。
中は、それはもう綺麗だった。パッと見は、ここが放棄された協会だなんて誰も思わないだろう。

「……ど、どうも。バルジリスさん」

名を呼ばれ、少女は緊張した面持ちで相手に応える。
とことことこっ、と小走りで近づきつつ。周りをきょろきょろ。

「これ、バルジリスさんが綺麗にしたんですか……?
 凄い……凄いです……!」

興奮隠さぬ様子で相手に問いかける少女。しかし、その表情はどこかちぐはぐ。
笑顔なのに、瞳は悲しそう。はしゃいでいるのに、どこかぎくしゃくとしている。

バルジリス > よお、セイン。外は寒くなかったか?
(そう言いながら、セインに近づいて行って…そして、あらかじめ持ってきていた魔法瓶から、温かい薬草茶を…)
ほら、落ち付けて、体を温める効果のある薬草茶だ。一緒に飲もうぜ。
(そう言って、カップを一つ渡して…自分も、薬草茶を飲んで)
ふぅ……はは、俺も、緊張してんだ。
(そう緊張気味な様子のまま、苦笑して言って。そして、相手が興奮気味にすごいと言えば)
はは、三日もかけたんだぜ。最初はここ、ひでぇもんだったよ。
ま、俺の手にかかれば、すぐにきれいになったがな。
(そう少し嬉しそうに。だが、相手の…いや、セインの細かな様子の違いに敏感な蛇は、相手のぎくしゃくした雰囲気に気がついて…)
……?どーしたんだ、セイン。なんか…緊張とは別に、何か考えてるみてぇだが…
もしかして…あの、手紙に書いたことについてか?
……なんか考えてたり、不安なら、吐き出してくれ。
(そう、安心させるよう、優しく笑みを浮かべて言って…)

セイン=ディバン > 「はい、ちょっと、冷えましたね」

相手の言葉に応えつつ、お茶を頂く。一口飲めば、身体の中に熱が滑り落ちていき。
ぽかぽかと芯から温まる感触があった。

「そ、そうなんですね。ふふっ。バルジリスさんも緊張するんですね」

ガチガチ、といった様子の相手に苦笑する少女。続く言葉には驚いたように。

「三日……言ってくだされば、お手伝いしたのに……。
 でも、本当に凄いです。バルジリスさん」

三日間も、と驚きつつ。その相手の努力に頭を下げる。
だが、自分の些細な変化に気づかれてしまえば、少女は少しバツが悪そうに視線を反らし。

「あの、不安、とかじゃあないんですけど。
 ……昨日、魔王ベルフェゴールさんが。その、『私』の奥さん、なんですかね?
 とにかく、そのベルフェゴールさんが。男の私とお話してて。
 ……別居が、決まったんです。それで、私の中の男の私が。
 すっごく、落ち込んでて……。その精神の影響があるみたいで」

少女はお茶を飲みつつ素直にそう報告する。
それぞれが共同であり独立である少女の中身。多少なりとも、精神的影響はあるようで。
そのせいで、少女は少し平常心とはいえない状況らしい。

バルジリス > はは、今のテメェは女の体なんだから、冷やしすぎんじゃねぇぞ。風邪なんて引いたら大変だ。
(そう、温まる相手にふっと笑んで優しく眺めながら…)
俺だって緊張ぐらいするぜ。なにせ…これからテメェに、一つケジメとしての告白をするんだからよ。
(がちがちの様子を指摘されれば、真剣にそう返して…そして、相手のその後の発言には、危うく薬草茶を吹きだしかけて…気合で口内にとどめて)
な……!ま、マジか。そ、そりゃ気の毒だったな……
(つい先日、セイン(男)の娘にあった身としては…気の毒だったな…としか言えなかった。
男の身として、その落ち込み用は察して余りあって…)
まあ……こんど、高い酒奢るって言っておいてくれよ。それくらいしかできないからな。
(そう冷や汗を流しながら言って……そして)
…………こんな時に、って思うかもしれねぇけどよ。俺にとっては、待ちに待った今日なんだ。
男のテメェには悪いけどよ………しっかり、言わせてもらうぜ。
(そう改まれば……)
セイン………俺は、ただのバジリスクモドキだけどよ……
テメェを思う気持ちは、誰にも負けねぇ。もしそれ以上の相手がいたら、勝って見せる。奪って見せる。
セイン、俺は、女のお前が好きだ。
妻にしたいくらい…いや、したいでは終わらせない。して見せる。
男のテメェには悪いけど……俺の、恋人に…妻に……パートナーになってください。
(そういって、騎士のように相手の前に座り…小箱を、相手の前に
中には…銀色の、指輪が…)

セイン=ディバン > 「ふふ、はい。判りました。
 バルジリスさん、やっぱり優しいですね」

お茶をちょびちょび飲みつつ。笑う少女。
そのまま相手の言葉に、真剣な表情になりつつも。

「ケジメとしての告白、ですか……。
 ……そうなんですよね。その。表面上は今まで通りに振舞ってるみたいなんですけど」

少なくとも、精神に影響が出るレベルで落ち込んでいるのは事実らしく。
少女もちょっと元気が無い状況。とはいえ、気遣いしてくれる相手に、少女は頭を下げて感謝する。

「い、いえいえ。お気になさらないでください!!
 その、男の私の問題は、バルジリスさんには関係……ないというか。あるというか……」

真っ直ぐ自分を見る相手の態度に、両手をぶんぶん振りつつ弁解する少女。
そのまま、改めて背筋を伸ばし、相手の言葉をただただ黙って聞き届ける。

「……え、っと。その。お手紙で頂いたとおり、なんですね……。
 ……うううぅぅぅ。どう、しましょう。頭が、混乱中です……。
 嬉しい、ですけど。その。あの。前も言ったとおり……。
 私、その。いつか消えるかもしれないですよ?」

恭しく。実に堂に入った振る舞いの相手。少女は赤面しつつ、どうしたものか、と困惑中。
言葉の通り。嬉しくないわけではないのだ。だが。色々な事情もある。
故に。どうにかしないと、と思いつつ、でも嬉しいわけだから困っている。

バルジリス > (相手は混乱の最中にある状態の様で、当然だ、いきなり妻になってくれと言われたのだから…そして、相手がいつか消えるかもと言われれば……)
ああ、そうだな。テメェはセインの一人格。もしかしたら……消えるかもしれねぇ。
それは、正直怖い。テメェが、居なくなるなんて…考えられないくらい…怖い。
でも……俺は、その上で、テメェと付き合いたい、テメェと……結婚したい。
俺は、テメェが存在する限り、全てを使って、テメェに、色んなものを見せたい、色んな事を…一緒にしたい。いろんなことを、一緒に…
万が一、万が一よ、テメェが消えたら……俺は、死なねぇ。
生きて、生きて生きて。テメェがいたという証を、残していく。
俺の記憶の中で、存在させてぇし…この指輪だって、テメェが存在したって証なんだ。
(そう言えば、指輪が光って…)
この指輪は、俺の魔力と、テメェの魔力が交じり合ってできた、魔力の塊みてぇなもんだ。
これには、俺と、お前…二人の魔力が宿ってる。
これは二つあってな、片方をお前に、片方は、俺がつける。
セイン……万一にもそんなことにはさせたくねぇが…万一、テメェが消えても、この指輪が…!テメェが存在したって証だ。
(そういって…)
まあ、もし、テメェが消える事態が起こったら…俺は、神にも、悪魔にもあらがって見せるからよ、安心しろ。
(そう、にこりと笑って…)

セイン=ディバン > 自分の言葉を紳士に受け止めて、それを考慮してくれる相手。
その気遣いや優しさは、とても暖かな物で。
更に、そこに率直で正直な気持ちまでも伝えてくれる。
この人は、本当に。本当に、優しい。そんな気持ちが、少女の中でどんどん膨れ上がっていく。

「……え、っと。あぁ……。はああぁぁ~~……。
 なんでしょう。これは……この気持ちは。
 これが、恋、なんですかね……。とっても暖かくて。嬉しくて……」

強い気持ち。恋慕の情。相手の言葉は、いつもそれを少女に与えてくる。
応える応えない。そんな感情、考えが芽生えるよりも先に。
まず、嬉しさがこみ上げてきてしまう。胸がドキドキするし、ポカポカしてきて。

「わっ……綺麗……。
 ……その。ありがとうございます」

光を放つ指輪を、そっと受け取り。まじまじと見る。
輝きは、また暖かで。見ているだけで、安らかな気持ちになれる。

「……そ、それはつまり。結婚したい、っていう気持ちは。
 撤回するつもりが無い、ってことですね……?」

相手の笑顔に、少女はちょっと困惑した様子。
嬉しい。嬉しい。だけど。嬉しいからこそ。自分の不安が、やっぱり大きくなってしまう。

「……ちょっと。ちょっとだけ、考えさせてください。
 5分……いえ、3分。え、えぇっと。1分! 1分時間をください!」

深呼吸。決意するまでの時間を要求する。
どうしよう。どうしよう。どうしたらいいんだろう。……自分は、どうしたいんだろう。
そんな思考が、頭の中で渦を巻く。

バルジリス > (相手が、原因不明の感情に戸惑っていれば…)
ああ、それが……多分、恋ってやつだと思うぜ。
テメェが……俺に。はは、これ以上なくうれしいぜ…
(そう、口調は相変わらずだが、嬉しさ満点の声色で…
そして、結婚したいという言葉を撤回する気が無いかと聞かれれば…)
ああ、セインの心の負担にならなけりゃ…な。
(そう、肯定して…ただ、セインを苦しませるのは本意ではないが
そして、相手が考える時間を必要とすれば……)
ああ、何時間でも待つぜ、セインが、落ち付いて、結論を出してくれるまで…な
(そう言って、穏やかな表情のまま、目を閉じ……相手に考える時間を与えるとともに…
万一、断られたらどうしようか……そんな不安で、実は一杯だったりする。)
もし、もしよ………いや、なんでもない。
セイン、テメェの、したいように。大丈夫だ、誰も…俺でさえも、テメェの決定を、縛ったりしねぇよ。

セイン=ディバン > そもそも、恋だの愛だのを経験せず、それなりの年齢でこの世に生まれた存在。
自身の抱えている感情が恋心なのかどうか、その辺の確証が持てないのも仕方ないことなのだ。

「そうですかぁ……コレが、恋……。
 え、えへへ。ちょっと恥ずかしいですね……」

その恋心を抱いている相手が目の前にいて。その上この気持ちを既に語って聞かせてしまっているのだ。
なかなかに照れる状況であり、少女はくねくねと身体を変にくねらせる。

「こ、心の負担だなんて! た、ただ。
 私にも、覚悟が必要、と言いますか……」

相手の言葉には、強く反論するものの。やはり不安、迷いなどがあるのだろう。
待つ、と言ってくれている相手の優しさに甘え、少女は何度も深呼吸する。

「……すぅ、はぁ……。
 ……は、はい! 決めました! 私、決めました!!

 ……その。よろしく、お願いいたします。バルジリスさん」

たっぷり一分。時間を使って少女が出した結論は。
そんな。単純な言葉だった。

バルジリス > (相手の、単純な、単純な一言。その言葉を…その言葉を待っていたのだ…)
………は、はは。セイン………こちらこそ、よろしく……よろしく、な!
(そう、心が踊りだしそうな感情を抑えつつ、だが、声の色はすでに喜色満点で…)
じゃあよ、セイン…テメェの手、出してくれねぇか?俺に、指輪……つけさせてほしいんだ。
(そう言って、相手の指へ……)
はは、セイン、思えば、テメェの指輪への勘違いから、こんなことになれたんだよな。
ほんとに…本当に、嬉しいぜ…
(そして、指に装着させた後…ゆっくりと、セインの唇へ、自身の唇を近づけていって…)
……セイン、愛してる。今日は、ちゃんと唇に…させてくれよ。素面で…な。
(そう囁きながら…唇同士が重なり…そっとセインの小さな体を抱きしめれば……
舌が絡み合う深い、深いキスをするであろう……くちゅ、くちゅ…)
……ふふ、素面でのファーストキスだ。

セイン=ディバン > 少女がその言葉を口にする。沈黙。間。なんとも気持ちが焦れてくるけれども。
その静寂を打ち破るような、相手の喜びの声を聞けば。

「は、はい! あの、よろしく、です。本当に……。
 ……えっと、こう、ですか?」

相手が嬉しそうにしてくれる。それだけで、いや。それこそが嬉しい。
やはり少女の中には、しっかりとした恋心が芽生えてしまっているようで。
少女は相手の言葉に従い、手をゆっくりと伸ばし。その指輪の装着を受け入れた。

「そういえば、そう、だったんでしたっけ。
 ふふ、でも今度は間違いじゃないです。……は、はい……」

きっかけは些細なすれ違い。でもそれが、今のこの感情を生み出している。
少女は涙目になりながら。そのキスを受け入れた。絡む舌。熱い吐息。
恥ずかしさよりも。嬉しさがどんどん大きくなってくる。

「い、言わないでください!! もうっ!」

でも、その一言には怒る。だって、恥ずかしいから。
だけど……少女はすぐに笑い出し。そのまま、相手へと体重を預けた。その眼は潤み。何かを相手に訴えるだろう。

バルジリス > (相手の体重を、体温を感じる。セインのほのかな温かさ、軽いながらも、確かな存在を…)
セイン……
(そう相手の名を呟き……そっと、相手に体温を伝えるかのように…抱きしめて)
……なあ、人間って。結婚したらよ、初夜って言うんだっけか?する……らしいな。
(そう言いながら…ギュっと力を込めて)
セイン……わりぃな、俺、ムードとか、そういうのわかんねぇけどよ…
その、しよう…ぜ。
(こうやって、合意の上、かつ、自分から相手を抱こうとするのは…しかも、相手は愛する相手、なのは初めてで……対応など分からないが…そう言って)
……っはは、俺、緊張しすぎだな。
(そう軽く笑い、もし、相手が合意すれば…自分のタキシードを脱ぎ、簡易マットレスとして床に敷くであろう)
綺麗でも、流石に床だからな。この上に、寝っ転がれるか?
(そう聞いて……)

セイン=ディバン > 触れる肌。感じる体温。相手を見上げながら、少女は頬を赤らめ。
名を呼ばれれば、嬉しそうに微笑むものの。抱きしめられれば少し身を硬くする。

「……そ、それは、その……。
 まぁ、する、でしょうね……。ハイ……」

突然の言葉に、戸惑いながらも答える少女。抱きしめられる腕の力強さに驚きながらも。
少女は、相手の言葉に小さく頷いた。

「……いい、ですよ。その。
 私も、そういうの、憧れてましたから」

お互いに緊張しているのは、イヤと言うほどわかる。
だからこそ、拒んだりしない。相手の気持ちに、応えたい。
少女は、優しく微笑みつつ、相手の言葉に従った。

「は、はい。その……。や、優しく、してくださいね?」

タキシードの上に寝ながら、少女は服を脱いでいく。
ゆっくりと。肌を隠しながら。ただ、その肌を隠すのがよくなかった。
そのせいで脱ぐのに時間がかかってしまい。なんだか変なストリップをしているような状態になってしまっているのだ。

「……くしゅっ!!」

おまけに、いくらお茶を飲んだとはいえ、少し冷える。
少女は小さくくしゃみをしてしまい……見事に、鼻が垂れる始末。
なんとも色気のない状態だ。

バルジリス > (憧れていたと言われれば、ふっと笑んで)
ああ、実を言うとな……俺も、憧れてたんだ。愛する相手と……こういうことするって。
(そう、少し恥ずかしそうに言って…優しくしてと言われれば…)
ああ、善処する…と言いたいが、セインが可愛すぎると興奮しちまうかもよ。
(そう悪戯っぽく笑って……そして相手の脱衣を眺めながら…自身も、裸になっていって。
相手がくしゃみをすれば)
おいおい、やっぱり寒いんじゃねぇか。ほら、拭けよ。
(そう言って、ハンカチを手渡して…)
セイン、じゃあよ、手、どけろよ。俺に、じっくり見させてくれ、テメェの、裸をよ。
(そう言えば、相手に手が伸びて行って……さわ、さわと肌を優しくなでて…肩から、胸へと…優しく、優しく揉む。ふにゅ、ふにゅと。)
セイン……柔らかいな……しかも、温かい…
じゃあ、俺がもっと温めてやるから…
(そう言って、胸へ…口が近づいて行って…)

セイン=ディバン > 男性の時と違い、ずいぶん乙女なこの少女。
結婚だの恋愛だの、初夜、だの。そういうものへの憧れはかなり強いらしい。

「そ、そうなんですね……。
 ……あああああどうしましょう、急に恥ずかしさが!」

愛する相手、と面と向かって言われれば。休息に恥ずかしさがこみ上げてくる。
だが、相手の気持ちに応えたいと思った以上、そこは何とか堪えてガマン、である。
服を脱ぐ相手の姿を見ていたが、くしゃみをしてしまえばハンカチを渡され。

「しゅ、しゅいましぇん……」

びろ~ん、と垂れていた鼻をハンカチで拭い。そんな姿を晒してしまったからなおさら赤面を強くする。

「……は、はい……。あっ……」

相手の手をどけろ、という要求にも、当然応える。凄まじく恥ずかしくはあるが。
これからする行為を考えれば、いつまでも隠したままではいられない。
少女は肌を晒し、そのまま、優しい愛撫を受け入れていく。

「んっ……くっ……。
 あ、ああぁ……!」

少しずつ進んでいく愛撫に、少女が声を漏らす。
両足をもじもじとすり合わせながら、少女自身、身体の奥に火がつくのが実感できた。
そのまま、少女は相手の肌へと触れ、その逞しさを掌で味わっていく。

バルジリス > (相手が足をもじもじさせながらも、自分の指示に従い手をどけ、自分男愛撫を受け入れる相手には…)
ああ、いい子だな。セイン……ほら、もうすぐ、セインのおっぱいが、執事の蛇に吸われちゃうぜ~。
(そう煽るようなことを言いながらも、舌を伸ばし…セインの胸の先端を、チロ…チロ…と、舌の先で舐めて…そして、はむぅ!と口内に胸のふくらみを招き入れれば…ちゅば、チュバとその柔らかな胸を舐め、吸って……)
んん……ふふ、セイン、セインの胸、甘くておいしいぜ……
ほんのり甘くて…セインの、優しい味がする…
(そう呟けば…する、する…と手は下がっていき……淫唇を、指が撫で上げるであろう…)
セイン、足、広げて?よく、セインの大切なところを見せて…?
(そう、耳元でささやくであろう…)

セイン=ディバン > 「……あの、バルジリスさん。
 ……スケベオヤジっぽいです」

愛撫を受けながら、感じていたはずの少女。だがしかし。
その相手の言葉は流石に看過できなかったのか。ついついツッコミを入れてしまう。
だが、胸を咥えられ、舐められ、吸われてしまえば。

「んううぅぅっ!! あ、ひぁ……!!」

強い快楽の痺れに、身を大きく仰け反らせるものの。
すぐさま秘所へと責めを重ねられてしまう。
僅かにだが、しっかりと湿り気を帯びていたそこは、指で触れられた瞬間、にちゃ、という粘着質な水音を響かせ。

「……こ、こう、です、か?」

本当に顔から火が出るほどに恥ずかしい。それでも。相手が求めるなら、と。
少女は、両足をゆっくりと広げていく。だが、どこで覚えたのかあるいは無意識なのか。
少女は、その足を両手で抱えて見せてしまい。
見事な、男を誘うようなM字開脚の形を披露する事になる。

バルジリス > そ、そうか?この間読んだ本には、こう言えば女は興奮するって書かれてたんだけどな…
(そう、スケベ親父っぽいと言われれば、少し困った様子)
へへ……セイン、もっと、もっとセインの喘ぎ声が聞きたいな…
(そう言えば、セインの乳首に、軽く歯を当てたり、強く吸ったり…やはり胸が大好きなようで…胸を重点的に舐って…
そして、相手のM字開脚を見せつけられれば、ごくり……喉が鳴る)
セイン……いやらしすぎだ。テメェ…
(そう言えば、淫唇へ口を近づけ…ちゅ、くちゅ……ちゅば、じゅるるる!とだんだんと激しく音を立て……セインの一番大切なところを舐って…)
はぁ……はぁ……セイン……!
(そう息を荒げる男、そのペニスは、長く、太く、固くなっていて……)
セイン、舐め合いっこするか?俺の顔に、セインの大切な場所近づけて、俺は。ペニスをセインに舐めてもらうからよ…できるか?
(そう、69をやってみようと提案して)

セイン=ディバン > 「……それは、人によると思いますよ?」

相手の読んだその本。それがいったいどういったもので。
どんな経緯で作られた本なのか。謎は残るが。少女はそこをとりあえず黙殺した。
冷たい視線を相手に向けたものの、胸を集中的に責められれば。

「んあぁっ!! や、だめ……っ!
 そんなに、おっぱい吸っちゃ……くぁ、ああぁっ!」

元々、そんなに大きくない少女の胸。今まさに発育途上、という感じであり。
それゆえに、かなり敏感なのだろう。少しでも責めを強くされれば、少女の口からは声が漏れてしまう。

「ああぁ、あぁっ! あひいいぃぃっ!!
 だめ、だめええぇっ! そんな、んあああっっ!!」

更に、激しくクンニリングスをされれば、少女は一気に余裕を無くし。
身を悶えさせながら、悲鳴のような声をあげる。
しかし、体は快感に反応しているのだろう。溢れる蜜の量は増え続け。相手に、準備が整っていってしまっていることを伝えてしまうはずだ。

「……はぁ……はっ……。
 えっ!? ……は、はい……その。知識はあるので。できる、と思います……」

息も絶え絶えな中。少女は相手の提案に驚くが。それを相手が求めるならば、と。
必死に頭の中から知識を引っ張り出し、その要求に応えようとする。
目の前に現われたペニスへ、ゆっくりと手を伸ばし。先端へとキスしたかと思えば。
少女は、それをおずおずと口に含み、ちゅうちゅうと吸い始めた。

バルジリス > (自身のペニスに感じる、小さくやわらかなセインの舌をペニスに感じ、楽しみつつ……
舌は、セインの膣や陰核を、舐って、突いて、侵入させて…ぴちゃ、ぴちゃ、ジュルル!)
ん………っく、ふ……セイン、気持ちいいぜ?
じゃあ、一発目出すからよ……セイン、しっかり受け止めろよ…!
(そう言えば、陰核を重点的に責め始める。舌が、指が…陰核を、潰し、つまみ…一気に虐め始めて…相手の口に、顔に……精を、吐き出すであろう…)
はぁ……ふぅ……セイン、このまま、入れるぞ……!
まだ、ここ使い慣れてねぇと思うから…痛いかもしれねぇけど…
しっかり、慣らしたから……入れるぞ。
(そう言えば、セインを開脚させ、唾液と精に濡れたペニスを膣口にあてがって……)
さ、大きく息すって、ゆっくり吐くんだ。ゆっくり、入れるからよ…
(そして、ゆっくり、ゆっくりと侵入させていって…)

セイン=ディバン > そもそも、この少女自身は、そういった経験をまったくしてきていない。
少女の中の別の存在は、経験豊富なのだが……少女には知識しかないわけで。

「ん、ふぐっ……んううぅぅぅっ!?」

懸命に口で奉仕するものの、それはやはりぎこちない。テクニックだけでいえば、素人そのものだが。
それでも少女は必死に奉仕を続ける。だが、自身のクレパスを激しく責められれば、あっさりと奉仕の手は止まってしまい。
そのまま、相手の言葉の後すぐに精を吐き出されてしまえば。

「んうぅっ!? んっ!? ……ゲホッ!!
 ぶぇ、げぇっ……んううううぅっ!!」

受け入れ準備が整っていなかったのだろう。口内で暴れるペニスが精を吐き出した瞬間。
驚き、口からペニスを離してしまう。間に合わず、喉奥に直接飛び込んできた精液に咽ながら、顔で精液のシャワーを受け止めるハメになってしまい。
むわぁ、と香るオス臭さに、少女は顔をしかめるが。メスとしての快楽中枢が刺激されたのか。少女は、その匂いだけで小さく達し。

「……は、はい……。
 大丈夫です。大丈夫ですから……」

興奮した様子の相手。その言葉に、少女はただそう言って返す。
経験はまだ一度のみ。また痛い目を見るかもしれない。
それでも、少女は覚悟を決め、相手の言葉に従う。

「ど……どうぞ、バルジリスさん!
 んっ!! うううぅぅ、ううううっっ!!」

深呼吸を繰り返し、受け入れる準備をする。
ゆっくり、だが確実に進入してくる肉の槍。
その感触に、少女は苦悶の声を上げる。だが、痛みは前回ほどは無く、どちらかと言えば、強い違和感があった。

バルジリス > (相手が口を離し、精にむせ始めれば…慌てて)
セイン、大丈夫か?ほら、嫌だったら拭きな。
(そう言いながら、新しいハンカチを渡して。そして、相手の膣へとペニスが侵入していけば……)
っく、ふぅ……はぁ……セイン…セイン…!愛してる、セイン、愛してる…!
(そう、愛しい人と、素面で一つになれた嬉しさ、興奮が…セインの膣を責める、ペニスのびくつき、脈動に現れて…だが、セインの膣を、強姦まがいに攻めることはせず、ゆっくり、ゆっくりとセインの膣を犯し…だが、段々と、腰の動きは激しくなっていくのは、仕方のないことかもしれず…)
く、はぁ……セイン、中で、中で出すぞ。
このまま、孕むくらい…だしてやる……!
(そう宣言すれば……びゅる、びゅるる!熱く、濃い精が、セインの子宮口を叩くだろう…)
はぁ…ふぅ…セイン、どーする?このまま、一緒に寝るか?
大丈夫だ、ここは、結界で俺たち以外入ってこれねぇからよ…
(そう、暢気なことを言ったのは、気が緩んでいたからかも…)

セイン=ディバン > げほごほ、と何度も咳をしつつ、相手の心配するような声と、差し出されたハンカチに首を振る少女。

「げほっ……いや、じゃないです。
 ただ……驚いたから、でして……げふっ……」

むせ返りつつも、口内にこびりついた精を何とか飲み干し。
そのまま、いよいよ愛され、繰り返される囁きに少女は赤面を強くする。

「わ、わたし、もっ……! 私も、愛して、ますっ!!
 あぁ、バルジリス、さんっ!! 気持ちいい……気持ちいい、ですうぅっ!!」

まだまだ経験不足なハズなのに。その感情、そして、愛する人に求められている、という事実が少女を高みへと導いていく。
緩やかなスローセックスから、激しい行為へと切り替わる腰の動きに。
少女もまた、感じてしまい、一気に快楽が心と肉体を襲う。

「は、はいっ……! んああああっっ!!
 出して、出してください……!! ん、あ、くうううううっっっ!!」

欲しい。この人の精が欲しい。そんな感情は、言葉と仕草に現われる。
相手にしがみつくように抱きつきながら精を注がれれば。少女は大きな絶頂に攫われることになり。身体全体を震わせながら、嬌声を上げた。

「……はっ……ひぃっ……。
 そ、そう、です、ね……。このままゆっくり……。

 ……え……?」

相手の言葉。かろうじて、その意味を捉えた少女は、そのままゆったりと過ごすことを選択しようとした。
だが、それは叶わなかった。

少女の腕。指先が。青白い光の粒になり、空中へと霧散していた。
それはすぐに少女を蝕み始める。肘、肩。足先も同様。
膝、腰まで、急速に、一気に少女の体が消滅し始めていく。

「え……ウソ……イヤ、イヤ、いやあああああああっっ!!
 私、まだ何も……!! 何も成し遂げてない!!
 愛して貰い足りない! この世界に何かを残してすらいない!!
 消えたくない! 死にたくない! イヤ、嫌ぁああああっ!!

 助けて、助けてバルジリス! 私……!!」

面積が大きいからだろう。胴体の消滅はゆっくりだ。
だが、着実に。少女の肉体はこの世界から消滅し始めている。

バルジリス > (そう、それは気が緩んでいたからであろう。相手の、体の末端が消滅し始めてるのに気が付くのがほんの一瞬遅れたのは…)
セイン……?せ、セイン!
(相手が……愛しい相手が、この世から消滅し始めている…!それは一瞬で理解できた)
セイン!ち、チクショウ、こんな、こんな事って…!
(相手を、この世界にとどめる方法を、必死に考えようとするも、混乱した頭ではそれもかなわず…セインの体を抱きしめようとするが…体の、消滅は止まらない)
セイン!まだ、魔だテメェを愛したりてねぇ!何か、一緒にやり遂げられてない…何か、残させられてもいない!セイン…消えるな…!くそ!
(お互いの魔力で作った指輪に、魔力を送るも……消滅は、止まらなくて…)
セイン!くそ、まだ、まだお前に何も返せてねぇのに……!消させてたまるか!
セイン、今からお前に、俺の命を削って魔力を流す…!これで何とか…なってくれ!
(そう言えば、セインの唇へ、口から魂を削って作った大量の魔力を送ろうと…その顔に、手を伸ばして…)

セイン=ディバン > この世界に存在している魔王や神、悪魔や天使がこの一件にかかわっているのならば。
それはなんと悪趣味な存在なのだろうか。あるいは……それらの存在が関わっていないのだとすれば。
この世界は、どれだけ無慈悲なのだろうか。

「あ、あぁ、寒い……。消える、私が、消えちゃう……」

既に少女の肉体は、半分以上が消失している。抱きしめられた部分は感触があるが。
その感覚すら、時間と共に失われていく。

「……ぁ……イヤ……。
 でも、そっか……ふふ、バルジリス、泣きそうな顔……。
 泣かないで……ね?」

流れ込む魔力は、すぐさま空中へ散ってしまう。
そこで少女は何に気づいたのか。笑顔を浮かべ、相手へと語りかける。

「たぶん、これは罰……。わたしみたいな、はんぱものが。
 あなたみたいなすてきなひとにあいされたから。天罰なの……。
 ふふ、だって、わたしみたいなそんざいが。あなたをひとりじめしてたら、かみさまだって、怒るよね……。

 ありがとう、バルジリス。愛してる。

 ……だから、泣かないで」

自身の存在が。自身の気持ちが。自身が愛されているということが。
それら全てが罰なのだ、と。そう言って。少女は更に笑う。消えかけた手で相手の顔に触れようとするのは、少女も同様で。

だけど。
それは。

届くことなく。

少女の姿は、相手に触れることなく。相手に触れられることなく。

全てが美しい蒼白の粒子となって。
空へと掻き消えてしまった。