2017/10/20 のログ
ご案内:「朽ちかけた教会」にフォークさんが現れました。
■フォーク > 人の気配で覚醒めた。
神像の裏でいつしか気を失っていた男は、ゆっくりと像の表側を覗き込む。
女が一人、像の前で頭を下げていた。
「……なあ、アンタ。怪物が人間に化けているんじゃなけりゃ、傷薬とか持ってねえか」
男は低い声で呼びかける。
太い男の腕は、ざっくりと深い傷ができており、激しい血が流れていた。
■アリエス > 「……!?」
完全に油断していた。
こんな至近距離で、気配にまるで気が付かなかったのだ。
思わずびくっと肩を跳ね上げ、飛び退いて距離を取る。
「…薬………?」
男の声に怪訝な表情をすれば、すぐに鮮烈な赤に染まる腕に視線が行った。
戦闘も考えられる仕事に行くとあれば、薬は欠かせない。
荷物に手をかけながら近づき、薄汚れた外套の裾にナイフで切れ目を入れると破り取って。
「……動かないで」
言うが早いかまずは傷のある腕、その傷よりも上をきつく破った外套で締めた。
そこから持っていた水筒の水で傷を洗い、薬の入ったブリキ缶を開けて薬を惜しみなく塗りつけてきれいな布を当てるともう一本外套から包帯代わりに布を細く破り取って固定して。
「……出来たわ。」
■フォーク > 咄嗟に警戒する姿を見て、相手が人間だと確信した男はゆっくりと神像の裏から姿を現す。
そして女に力ない笑みをこぼした
「不甲斐ねえ話さ……宝箱モンスターにまんまと騙されちまった」
宝箱モンスターとは、宝箱に擬態することで近寄ってきた間抜けを捕食する怪物のことだ。
男は開いた怪物の口に腕を突っ込んだ所を、ガブリとやられた。
なんとか倒し帰還しようとしたが、腕からの出血が激しくこの古びた教会にたどり着いたところで気力が尽きたのだ。
「…っつ、すまねえな。助かったぜ。たまには神様にすがってみるもんだ」
男は神像の方に顔を向けて、軽く肩をすくめた。
女が自らの外套を切り裂き包帯代わりに腕の傷を抑える。
その情けに男は感謝の気持ちでいっぱいだった。
「だが、俺にとってはアンタは神様以上にありがてぇ存在だ。名前訊かせてくれや。俺はフォーク。フォーク・ルースだ」
と自己紹介とともに相手の名を訊いた。
■アリエス > 「…別に。偶然、貴方を助けられる物を持っていただけだから。
…名前は…アリエス。呼びたいならそう呼んで」
名字が喉まで出かけたが、口にはしなかった。
自分にはもう、家の名前を口にする資格が無いから。
「…ミミック…。
…確かに、開ける前にきっちり調べないと引くこともあるわね」
そういうことが得意な彼女は他人事のように口にして。
それでも実際の被害者を見てしまうと、改めて警戒しなければと内心は思ったりする。
「…それだけの傷で、よく持ったわね。
何処に居たの…?そのミミック」
あんなものが居るのは、大体ダンジョンだ。
そこまで行くとなるとそれなりに離れていたはずだと思いながら。
■フォーク > 「アリエスか。神秘的な名前だぜ」
女が名乗る前に、一瞬の躊躇が生まれた。
訳ありなのだろう、と男は察しそれ以上彼女の素性を探るのは止めた。
「まったく俺の知識不足さ。実は俺は冒険者なんだがまだまだ駆け出しでね。モンスターの知識はほとんどねえんだ」
男の本業は傭兵だ。
傭兵の仕事がない時は一攫千金を夢見て冒険者の真似事などもしている。
今回の負傷は、男の冒険者スキルの低さが招いたものだった。
「……へへ、どこに居たかって?」
男は「しまった」という顔になる。
実は男はまだ冒険者ギルドにも登録されていない『ダンジョン』の入り口を知っている。
これは男の親しい人物の特殊能力によるものだ。
未踏のダンジョンは、なるべく秘密にしておきたかった。
「そりゃあお前さん、俺の身体は筋金入りよ!」
と、鍛え上げられた肉体を誇示して誤魔化そうとするのであった。
■アリエス > 「……そう。
確かに頑丈さも必要だけど…それだけじゃいずれ死ぬわよ、貴方。」
見せつけられた肉体に視線を巡らせ。
確かに身体能力は必要だが、ダンジョンに行こうというのならそれだけでは足りないとざくりと言い放った。
「…それで、何処に居たの?
何か言えない理由でもあるの…?」
こちらも冒険者としては新米ではある。
元々の仕事で時には罠の中を進むこともあったことが、アベレージになってはいるのだろうが。
ただ、冒険者ギルドのシステムやらはまださっぱりなので未踏のダンジョンを隠したいという男のある種の下心には気がついていない。
男の一瞬の表情で何かがあるということだけは察したけれど。
■フォーク > 「いつもは他のメンバーと一緒なんだけどよ」
秘密のダンジョンなので一人で挑んだ。
男の予想通り、奥の方にはかなりのお宝が眠っている気配がある。
金銭に関してはかなり鋭敏な嗅覚がはたらくのだ。
「あのなお宝の種ってのはおいそれを人に話すもんじゃねえの。
あそこはまだまだスゲぇモンが眠ってるに違いねえんだ。
仲間でもないお前さんに話すことじゃねえ……」
と、ここで治療を受けた腕が目に入る。
「……じゃねえんだけどなぁ」
受けた恩もあるしなあ。
どうしたものか、と男は額を抑えた。
「お前さん、金がいるのかい?」
顔を挙げて男は訊ねた。
■アリエス > 「………?」
額を抑える男に、首をかしげる。
それまでの男の物言いで、事情は何となく察することが出来た。
尤も、ダンジョンの戦果を独り占めしようとしたという部分だけだったけれど。
男の言い分に関しては、文句などあるわけもない。
皆生活するためには金が必要なのだから、その種を見ず知らずの他人にくれてやる必要など無い。
それはきちんと理解していればこそ、男の話を黙って聞いていたのだが。
「…お金…。必要といえば、必要だけど。」
想像している額は、きっと質素な暮らしを暫く出来る程度の金額。
その程度であればこれから帰って報告すれば手に入るし、と思えばそんな返事が口から出てきた。
■フォーク > 男は傭兵だ。
いつ死んでもおかしくない戦場を生きる者だ。
だからこそ、受けた恩は生きているに返そうと考えている。
「~~~~~~~~っ」
男は痛みも忘れて太い腕を組んで唸った。
「よし、わかった。アリエス、お前さんはモンスターの知識を持ってるな?」
無いと言っても聞かない振りをする。
「そして身軽そうだし、身のこなしから腕も立つだろう」
先程の飛び退きの仕草から判断した。否定しても聞かない振りをする。
「それに美人だ」
否定はさせない。
「つまり俺のなか……いや女にしてやるって言ってるんだよ! 手に入れたお宝は折半!」
仲間にしてやる、だともし女がダンジョンの秘密を漏らした場合、制裁を加えねばならない。
しかし仲間以上の繋がりがある女がダンジョンのことを漏らしたなら、それは男の見込み違いで納得がつく。
メンツの問題だった。
「いいところに連れてってやるぜ、アリエス!」
外套が巻かれた腕を、女に差し出した。
■アリエス > 「…………」
この男は一体何を言っているんだろう。
そんな事を思えば、実際開いた口が塞がらなくても仕方がないだろう。
「…確認しておくけど、それは仲間っていうことでいいのよね?」
まさか、唐突に本当に自分の女にと言いだす輩など居ないだろうと。
もし本当ならそれはそれで、すんなりOKなど出来るわけもない。
露骨に警戒を滲ませながら、半歩後ずさろうか。
「…ちなみに、私も冒険者としては駆け出し。
腕が立つかは知らないけど、ある程度の訓練は受けてる。
美人は他にいくらでもいると思う。
いい所に行く前に、仲間で良いのか確認させて。」
敢えて女のくだりは避けた。
触れることは、自分の傷を抉ることでもあるから。
■フォーク > 男本人も自分で何を言っているんだろう、と思っている。
しかし恩と欲と情と面子が入り交じった結果がこの有様だった。
男はボロボロの長椅子にどっかりと腰を下ろす。
そして女に向かって誓うように言おう。
「お前は、俺を『仲間』と思ってくれていい」
これから先のことはわからないが
治療をしてくれた恩人にいきなりけしからん行為に及ぶつもりはない。
それにダンジョンに潜るならやはり人手が必要だ。手は二本よりも、四本ある方が何かと役に立つ。
彼女の力があれば、ダンジョンの探索もさらに深く進めるだろう。
■アリエス > 「……そう、わかった。」
少しの間の後、露骨に向けた警戒が解けるのと一緒にそう言って。
見も知りもしない場所で、誰一人知っている人間も居ない。
行きつけの店の店員だとか、そういう相手ではなくもっと近い相手が欲しかった。
一人で居るのは、まだ若い彼女には少し辛かったのだ。
「…じゃあ、そうする。
……名前で、呼んでも良い?」
とはいえ、相手との年齢差を考えれば敬語のほうが良いのかとか色々と考えて。
出てきたのはまずそれだった。
■フォーク > 「お前の呼びやすい様に呼べよ。こっちはひどい時は番号で呼ばれてたんだぜ」
監獄に隠された宝物を探すために、わざと逮捕されたことがある。
「改めて自己紹介するぜ。俺はフォーク・ルースだ。花の39歳。まだまだお兄さんだ。
見ての通りの良い男で、本業は傭兵だ。戦場の知識が欲しい時は遠慮なく言ってくれ」
彼がいい男かどうかは個人の好みによって変わるのは言うまでもない。
「へへへ、いい仲間ができたぜ。目の保養にもなるしな」
と、彼女に気を許したか視線が彼女のミニスカートからはみ出る脚に移る。
途端に座っていた椅子がパキリと壊れ、男は尻もちを付く。
「……さっきカッコつけて強目に座っちまったからな」
壊れた椅子の下、照れくさそうに頭を掻いた。
「ま、よろしくな。アリエス」
■アリエス > 「…じゃあ、フォークって呼……
……父さんと、変わらない…?」
年齢を聞けば、父親と変わらないことに驚いた。
もう少し若いのかと思っていたのだ。
「……あ。
……っふ、大丈夫…?」
じっと見ていれば、崩落する長椅子と男をまともに見てしまって。
少しの間のあと、小さく吹き出してから近づいて手をかそうと腕を差し出し。
「…私はアリエス、歳は18。
得意なのは…暗殺と護衛。
だから正面からの戦闘には自信が無いけど…妨害とかで、手を貸すことは出来ると思う。」
よろしく。と口元を緩めた。
■フォーク > 「あぶなっ!」
地べたに尻もちついたまま、身を捩る。
父親と変わらないという彼女の発言が、見えないナイフと化して襲ってきたからだ。
危うく心に深々と突き刺さる所だった。
「大丈夫さ。ちょいとケツに破片が刺さったくらいだ」
女の柔らかい手を借りて、起ち上がる。
尻が少しチクチクするが気にするほどではない。
「さっきお前さんも冒険者としては駆け出しと言っていたな。
本業はボディガードだったってところか」
ここに至るまで、彼女にもドラマがあったのだろう。
仲間になったとはいえ、男にはそこまで深く彼女の事情に踏み入る権利はまだなかった。
「……なあ、アリエス」
立ち上がってから、彼女の顔をまじまじを見て。
「言っとくけど、お前ほどの美人はいくらでもはいないぜ?」
そこは言っておかないとなと思ったらしい。
実にフォーク・ルースらしい発言だった。
■アリエス > 「!?」
咄嗟に身を捻る男に、刺客でも居るのかと周囲を警戒する。
そんなものは居ない、むしろ自分がそれに当たるのだが気がつく気配などない。
「…ええ。でも…もう要らないって」
単にお払い箱にされた、ということにした。
そう言うことで、自分を納得させようと。
男を引き上げるために思い切り後ろにかけていた体重を戻しながら口にして。
「……そんなこと、ないと思う、けど…。
お世辞でも嬉しい…ありがとう、フォーク」
ほんの少し口元を緩めてそう言うと、ふと荷物の中の懐中時計を見た。
「……あっ。
いけない、ギルドが閉まる…!」
仕事の報告をしなければ、報酬を今日受け取ることができなくなってしまう。
慌てた様子で荷物からメモと鉛筆を出して何かを書くと男に差し出して。
「私は大体、そこにいる。
どこか決まった場所があるなら…後で一番下の酒場で」
言うが早いか、街に向かって走り出した。
その足は、心なしかいつもよりも軽かった。
ご案内:「朽ちかけた教会」からアリエスさんが去りました。
■フォーク > 「ほー、どこの業界でもあるもんだな」
傭兵も戦が終わればお払い箱になる。
逆に平穏な時は不審者扱いも珍しくない。
「仲間の言うことだ、信じておけよ」
褒め言葉だ。信じておいて損はないだろう。
それに嘘でもお世辞でもなかった。
「ああ、そんな時間ね」
崩落した天井から見える星の動きで、男は時間を読んだ。
時計のない戦場で覚えた知識だ。
「わかった。今度、仕事について話そうぜ。またな、アリエス」
メモを受け取れば、去っていく彼女を見送った。
「さてと、俺は一眠りしてから戻るか……っておおっ!?」
たかが破片と思っていたが、予想以上に大きな木片が尻に刺さっていた。
血がドックドク出てる。
結局、フォーク・ルースは尻から血を出したまま、帰還したのである。
ご案内:「朽ちかけた教会」からフォークさんが去りました。
ご案内:「タナール砦・地下牢」にアリュースさんが現れました。
■アリュース > 魔族が占拠していたタナール砦にて。
薄い藁が敷かれただけの硬い床の上に、
アリュースは空の瓶を抱いて幸せそうに眠っていた。
…その首には、壁から伸びた鎖に繋がっている首輪がかけられているが。
「…ひゃっ!」
天井から滴る水滴が頬に落ち、アリュースは飛び起きる。
徐々に覚醒していく意識の中で、砦のベッドの上ではない事に、否が応でも気づかされる…。
「あれ… こ、ここは…?」
…宴会で大騒ぎしていたアリュースが、次に目覚めた時は
地下牢に閉じ込められていた。
どうやら眠っているうちに襲撃に遭い、呆気なく人間たちに奪還されてしまったらしい。
あとで慰み者にするために、取りあえず牢に入れられてしまったのだろう。
「うぅ… さ、寒いぃ…」
地下牢全体を覆うひんやりとした冷気に、アリュースは身を震わせる。
露出度の高い今の服装は、残念ながら防寒には役立ちそうもない。
足元の藁を纏ってみようとしたが、チクチクと肌に刺さって痛いためやはり敷いておく。
「うぅ… なんで私がこんな目にぃ… あれ?」
アリュースが耳を済ませると、天井の方から怒号や悲鳴、剣裁の響きが聞こえてくる。
魔族側が奪還のため、砦に攻め入ったようだ。
…誰か助けに来てくれるかも…
アリュースは待ってみることにした…
ご案内:「タナール砦・地下牢」からアリュースさんが去りました。
ご案内:「設定自由部屋」にシャルティアさんが現れました。
ご案内:「設定自由部屋」からシャルティアさんが去りました。
ご案内:「九頭竜の露天温泉」にシャルティアさんが現れました。
■シャルティア > 九頭竜の外れにある天然温泉
ぬるい温泉にぷかぷか浮かぶように、小さな少年が浮いてる
ふにゃーとふやけた表情して気持ちよさそうにゆらゆら
ぬるいお風呂はのぼせないので大好き。
ゆったりと時間を楽しんで