2017/09/29 のログ
■マティアス > 実のところ、長く残るという特性を考えると、伝達媒体として石というのは間違いないものだろう。
金属も優秀だが、鉄は駄目だ。手入れが必要である。
腐らないという点で考えると金も良いが、これは高価が過ぎる。
であるならば、石に勝るものは人の歴史の中で勝るものはまだ、見出すに至っていない。
そうでなければ、石碑と言うものが今もまだ長く、残ったりはしないのだから。
「成る程、ね。……瘴気の類は確かに荒廃をより、深めさせる」
頷く。あのような巨大な魔物が跋扈するのは、比較的後だろう。
まずはこの廃墟が沼に沈むまでの過程とより詳しく考えることが出来れば、分かるものがあるかもしれない。
「……――確かに。
奥の方かもしれないね。あるいはより深く掘った中に、埋まっているかだ」
墓を作るという文化を考えると、あるとすれば裏手か、或いは奥の本殿というべきところか。
もっと穿って考えるとするならば、深い場所に穴を掘って其処に棺を納めたということもあるだろう。
踏みしめる泥は深くなるが、所によっては浅く済む。
次第に奥に行けば、開けてくる場所がある。これは――祭壇か?
天地図というべき、巨大なオブジェが奥に見える。左が朝、右に行くにつれて昼、夜と、一日の流転を描いたもの。
■エアルナ > 「以前…あの植物モンスターが住み着いてた沼は、相当広範囲に瘴気がただよってましたよね?
あれよりは瘴気の範囲とかましでしたし、元が神殿や市街地なら、石畳ですから…沼になってもそんなに深くなかった、のが原因かも」
もちろん、いろいろ要因はあるだろうし、断定はできないが。
いちおう巨体をすべて隠せるくらいには、水棲生物の類は水の深さも求める傾向にある。
いろいろと検討する会話を交わしながら神殿の奥とおぼしきほうへ進めば、祭壇らしいもの。
そして、一日の時の流れを表したのだろう、大きなオブジェ。
「朝には太陽。…夜には月…この真ん中のには、星ーーがありますよ?」
おや?と。そのオブジェの一部を示そう、ひときわ凝った装飾の部分を。
■マティアス > 「嗚呼。あれは、どう判断すべきかなあ。
……エアルナ嬢。土壌の問題もあるかもしれないね。元より土とは様々なものを含むものだ。
土然り、砂利然り、だ。火山の足元にあると土地であれば灰も含んでいる。
あの蔦みたいなアレの場合、もとより堆積したものに加えて動物の死骸等まで含んでいた。だから、深くなる」
水深と言いうる要素をどのように作るに至っているかどうかと、瘴気吹き上げる土壌を如何に作って至ったかにもよるか。
そのように見立て、語ろう。この見解が正しいかどうかは諸説はあるが、元々神殿となれば何らかの加護もあったのだろう。
「確かに、あるね。……ん、よし探ってみようか。」
さて、どうだったか。月の涙、星の雫、太陽の夜露を捧げよ、だったか?
頭の中で先ほどの言葉を反芻しながら、祭壇の上にしつらえられたオブジェを確かめてゆこう。
いずれも、滴り落ちるものがキーワードである。故に、それぞれ描かれた下に何かないか、汚れを払いながら眺めて。
■エアルナ > 「土壌…ですか。…そこまでは詳しく見てませんでしたね、あのときは」
なにせ。あの植物モンスターは媚薬の原料にもなる強烈な分泌液をもつ。
知らなかったのも一因とはいえ、見事にやられたのと、そのあと…手当がいろいろ大変だったのは、記憶に刻まれている。
ちら、と師匠のほうを見て赤い顔で視線を泳がせたりしながら。
「んー…その、装飾の上側はどうです?なにか、液体を注げるようなのがあったりします?」
お酒を祭壇に捧げる、などはよくあるが。
一応聖水は持っているし、これでもいいのでは?と。
自分より長身の師匠に、聖水入りの瓶を差し出してみようーー
太陽、星、月の装飾には。
上側に器の入り口のような穴、そして…下には何かが流れ落ちるような、そんな筋が壁に彫られているのが見つかるかもしれない
■マティアス > 「本格的に考えるなら、よく怨念等に塗れたものがあれば、いい。土をよく穢し、瘴気を生む土壌の苗床になる」
――なんてね、と。最後には軽い口調をつけて、努めて笑うもそれが冗談の類としては聞こえまい。
もっと拘れば拘る程、とても厄厄しくなってゆく。窮めるのは外道の類の所業であろう。
だから、過日の事は思い出せるにしても、今この時だけは眼鏡の奥の瞳は冷たさが過ろう。軽々しく扱えない故に。
「液体、……あ、あるね。水が注げそうなものがあるよ? どれ」
差し出される瓶を受け取り、さて、先ほど探ってみた場所を改めて見てみよう。
確かにある。それぞれ注ぎ口らしい形状の箇所が。
少し考えて、預かった水をそれぞれの口より注いでみよう。三か所に均等に。何かが動くのかもしれないし、出るのかもしれない。
そんな、淡い期待とと共に。
■エアルナ > 「怨念…それは、あまり」
扱いたくないというか、関わりたくないというか。
学問的な事実としてはその通りだろうけど、と小さくうなづくにとどめて。
「お願いします」
そうして。装飾に聖水が注がれるのを、どこか、わくわくしながら見守ろうーー
月の涙、星の雫、そして太陽の夜露。注がれた聖水が、したたり落ちて壁の下へと吸い込まれていく…
そして。
なにか、カチリと、外れるような音がして…
閉ざされていた祭壇の。上部が、左右へと開くーー
■マティアス > 「――うん、知らない方が良いよ」
自分にとっても、最低限の知識として留めておきたい具合の代物である。
どうして自分にも扱いかねるものを、伝えることが出来るだろうか。だから、言外にも伝授はしないと込めて。
「ん。……これは……」
水が、洗う。この辺りまで穢れた泥が侵食してこの仕掛けらしいものを無為としているか、不安はあった。
だがそれは無用な心配であったらしい。水が奥の何かを満たし、作動させて開く。
祭壇の上部が左右に開かれ、出てくるのは――質素な杖らしいものだ。
清浄なる気配を纏った、新緑を芽吹かせる枝の如き衣装の樹杖。
ところどころに黄金をあしらったのは祭具としての用途か。
他に何か一緒に納められていたらしいが、微かに散るこの破片がそうか。否、白銀のヴェールのようなものも見える。
ミスリルを糸として、布として織り上げたヴェール。繊維が特殊だったゆえに、年月に腐らずに済んだか。
「……エアルナ。これは、どうやら君が持っておく方がよさそうだね?」
■エアルナ > 「…杖、ですか。春の枝のような意匠の作りですねーー」
そして。もう一つは、白銀の…ヴェールか。
よくまぁ残っていたとおもえば、どうやらそれは、ミスリルの糸で編み上げたものらしく。
「ミスリル…ですね、この糸。貴重品です、間違いなくーーじゃ、預かりますね。」
こくりと一つ頷いて、魔力を一応監査したうえで、杖とヴェールを手に取ろう。
祭具だったのか、清浄な気配をまとう二品は…素直に手の中に納まって。
■マティアス > 「僕にはこの剣があるからね。……ここで出会ったのも、きっと何かの縁だろう」
だから、感謝とと共に有難く拝領しよう。少なくとも役に立つだろう。
示す品々を確かめた上で手に取ってゆく姿を認め、手に示すは簡単な祈りの所作。
祀られていた神の名は知れぬけれども、示すべき礼儀は持ち合わせているつもりだ。
「……後は、奥か。もう少し確かめた上で、浄化の樹の苗と種を蒔いておこうか」
怨念を育てるような類のものはこの辺りにはさすがにないようだが、少しはもらったものに見合うことは必要だろう。
墓地の痕跡があればその整備、並びに汚染が残る泥の掃除とその泥に種を蒔いて、いつか芽吹かせる時を待とう。
次訪れるならば、古き時代を思わせるような花に飾られた地であればいい。
それがきっと、忘れられた地への慰めであろう――、と。そう考えながら探索を続けて――。
ご案内:「遺跡」からエアルナさんが去りました。
ご案内:「遺跡」からマティアスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 裏通りの露店」にジードさんが現れました。
■ジード > 貧民地区の路地裏の一つ。普段はあまり人が寄り付かない用事のある人間や迷い込んだ人間がふと訪れるその場所で、
ふらりと一人の男が無造作に姿を現す。路地の中でも少し広くなった場所を探し当て陣取り、
手にしたカバンを地面に置く。すると機械仕掛けの玩具の様に
パタンパタンとカバンが開いて大小二つの陳列棚を持つ小さな露店が姿を現した。
棚の上に薬瓶やアクセサリーなど商品を陳列し店としての体裁を整えれば胡坐をかいて店の奥に座り込む。
「よし、それじゃあ開店だ。場所の選択が間違って無きゃいいが」
露天の常として場所選びが悪ければ商品以前に目に留まらないのはよくある事だ。
そうでないことを祈りながら正面の路地を静かに見据えるのだった。