2017/09/28 のログ
ご案内:「遺跡」にマティアスさんが現れました。
ご案内:「遺跡」にエアルナさんが現れました。
■マティアス > ――浄化の術式と法陣を仕込み、植え込む浄化の作用を持つ苗木を植えて、日を重ねること暫し。
過日に訪れた遺跡を汚染していた、腐毒や瘴気が払えたことを確認するために足を運ぶ。
王都より離れた地に位置するここは、半ば水に浸かった神殿のような様相をしている。
否、実際に神殿であったのだろう。まだ幾らか祓い切れていないものはあるが、この位ならばまだ、どうというものはない。
「……少なくとも、防毒の覆いとかつけずに済むというのは楽でいいねぇ」
ほっと息を吐けるくらい、落ち着けるというのはとても気楽でいい。
水位も下がったのか。見上げるほどの遺構がここにある。足元は泥に漬かっていれば、同じように泥に埋もれたところはあるだろう。
しかし、だ。注意して歩くならば、苦労はない。そもそも侵入不可の領域であるということ自体が問題だったのだ。
作り自体は堅牢である。隙間も入らない程の石組と尖塔らしい屋根の形状、等々。見るべきものは多い。
■エアルナ > かつてヒュドラが徘徊していた遺跡の周囲からは、瘴気や腐毒の気配が浄化の術でほぼ消えて。
科の怪物が住み着く前の、普通に…というとなんだが、かつて栄えた神殿の名残がかなり広範囲にみられる。
たぶん…神殿とその周囲の小さな町のような、そんな場所だったのだろう。
周囲を見渡せば、山が5つ、そして谷間を流れる川、川沿いの大きな池…かつては湖だったかもしれないが。
「ええ。地形は間違いなく、鏡の地図にあった通りですし。
川の流れや水のたまり具合は多少変化してるかもですけど…
この神殿があの地図の中心にあったのは矛盾しないですね」
しばらく前。祭りの時の屋台のような店で見つけた、銀の鏡の裏に刻まれていた謎の地図。
あれを読み解いた結果が、この探索につながっているのだ。
まぁ、ヒュドラのおかげで少々遠回りにはなってけれど。
■マティアス > 周囲の地勢を読むに、確かに生活の拠点らしい形跡も見て取ることが出来た。
古の頃にはそれなりに栄え、人の生活があったのだろう。
神殿は人の信仰を集めるにふさわしい場所だが、それだけではない。何らかの教義という形で生活の知恵等を伝授することもあるからだ。
火がない場所に煙が立たないのと同様に、伝えられる話には何らかの由縁がある。
この地で生まれ育ったことのない自分にとっては、想像のしようもないものだが――。
「成る程。裏付けはある、ということだね。
……結構。では、答え合わせではないけど、見て回ろうか。
足元に気を付けて。毒は抜けていても完全じゃない。長靴の底を踏み抜かないものがない、とは限らない」
あとで、去り際に花の種でも撒いて帰ろうか。浄化の作用を持つ古木の種を蒔いておくのも良いが、それだけでは華がない。
きっとこの辺りも昔は草花も一緒に育てていたのだろう。
如何に時の流れに埋もれ、果てに汚濁に塗れていてもそのままというのは余りに忍びない。
「……ん」
手を伸ばす。傍らにある壁に闇の陰影という形で壁画らしい様相が見える。掌に灯す魔法の灯火で照らす。
顔料の類が剥げ堕ち、しっかりと見通すには難があるが、あるのは明白である。何らかの意図で描かれたものである。
■エアルナ > かつてこの地に伝えられていただろう神殿の叡智も、文書に残らないほどの昔に拡散してしまったのかもしれない。
わずかに残ったのがあの、銀の鏡…だれが何のために地図を残したかは、もう推測するしかないが。
「はい。大きな地形の変化はないですから、転変地異で一気に壊滅した…とみるのは可能性が低いと。
ただーーヒュドラが住み着くというのは、たしか、それなりの瘴気とか毒気とか。
清浄さに欠けるような場所…でしたよね?」
師匠でもある青年に確かめながら、あたりを見渡す。
「だから。もしかしたら…急速に滅んだんじゃないか、と。
疫病が一気に広まったとか、あるいは…何かの襲撃で、全滅させられた、とか。」
あまりうれしくない推測だが、と。あげてみながら、青年の手元のほうを見て
「鏡には…悲しみの声、満ちるとき。月の涙、星の雫、太陽の夜露を捧げよーーと」
そう読めました、と古い文章の解読を告げよう。
■マティアス > 時の流れは残酷だ。
何の加護もされてないものは脆くも崩れて失せて、石造の遺構すらも風雨に洗われて削れてしまう。
否、それが正しいのかもしれない。永遠と言うものはない。森羅万象、この世の全てが移ろい、揺らめく。
「――天変地異の類ならば、はっきりと痕跡があるだろうからねえ。
地震、洪水、落雷――嗚呼、火も天変地異と言えなくもないか。……天より降る雷火の類は、脅威だ。
嗚呼、そうだよ。瘴気を好むような類は、大体がそうだと言ってもいい」
だから、あのような結果に至ったとなると、どうだろうか。
段階を踏んで地に満ちる清浄さを失ったか、それこそ魔族の類等による侵略のだろうか。
考えることは尽きない。ただ、じっとこの周囲を見回すだけでは、荒廃の所以の全てを探り切るのは難しい。
成る程、と。響く推測の声に眼鏡の奥の双眸を細めつつ。
「……――では、ここに荒廃という悲しみの声は満ちた。では、捧げるべきとなると何処だろうね?」
古書の解読結果たる言葉の連なりに考え、奥の方へと向かおう。
この遺構は広い。奥にまだまだ、何かがある。踏み抜く泥濘に四苦八苦しながら、足を進める。
■エアルナ > かつてこれだけの神殿を立てたときは、それなりに年月をかけ、石を積み彫刻を刻んだのだろう。
石に残すのが、まだ、比較的ではあるが確実と考えて。
それさえも雨風に少しづつ削られ、やがて元の姿を失うのだが…
「ええ。水位の変化は多少ありますけど、これはわりと近年だと思います。
ヒュドラが住み着いたのも、たぶん、そう古いことじゃなさそうですし。」
壁に残る水位の跡や、水草の跡。
滅びたといえ、一時は…しばらくは平穏なときもあったかもしれないと、小さな吐息。
「気になるのは…今のところ、ですがお墓らしいものが見えないあたりかな?
神殿ならそういうものは珍しくないのに。」
その辺も、たぶん、推測の材料にはなりそうだが。
さて、捧げものはとなると…まだ判断には至らない。
さらなる証拠の痕跡を求めて、青年について、奥へと足を勧めよう。
泥だらけになりそうなローブは、しかたあるまい。