2016/11/18 のログ
レン・レイト > 「……!」
とっさに槍を捨て、両手で彼の突きを受ける。
それは相手の体躯を考慮しても、ただ突き飛ばすだけとは思えない思い一撃。

体重の軽い少年など、髪のように吹き飛ばされるが、空中で起用に宙返りをし、受け身を取るように着地をし、すぐに拳を構える。

武器もなく、相手から感じる不穏な空気。

「早く逃げろ!!」

いよいよ覚悟を決めた少年は、未だ動かないエルフの親子に向けて、いよいよ声を振り上げる。
それは先ほど相手が言ったものと同じ、エルフを遠ざけようとするもの。

少年は今まで持てる経験をすべて動員して、気を自身の丹田と、そして台地から足の裏へとため、相手の出方をうかがう。

ノーガルト > 『おっしゃあ!みたか、聖剣ガラディン様の力!』
「…聞こえることがないからいいが、その台詞はやめておけ、痛い。」

(突き飛ばし、そして距離を離せば一呼吸置ける。ふう、と息をつき構えなおしたところで、聞こえるのは少年が逃げろと声を張り上げること。ここで、やっとおかしいという事に気づける。)

「……待て!…おい、坊主。お前は、貴族の追っ手じゃないのか?」

(構えたままなのは、完全に信頼していいものか迷っているから。ただ、エルフを逃がそうとしているあたり、どっちが本当なのかわからない。ノーガルトは、黄金の柄を持つ剣を背中に治め、そして黒い刀身の剣を抜いた。)

「変則的な使い方になるが……ダイン、レベル3だ。」
『…3だと?何をするつもりだ、ノル。』

(レベル3は、ノーガルトでも使える範囲ギリギリのレベル。一言二言、ダインと話をすると、笑みを向けたまま、ノーガルトの姿が、消える。木の葉を舞い上げて、一直線に何かが通っていく、それしか見えず。)

レン・レイト > 「あんな奴らと一緒にするな…!」
相手の言葉が腑に落ちないが、すでに余裕がないことと、貴族と勘違いされた事に対する怒りが、彼が、商品に手を出して逃げてる奴隷狩りではと判断して。
さらには自分が嫌いな貴族と勘違いされたことに、悪態、注意をこちらに引き付けるための挑発として、思いっきり相手に向けて中指を立てる。

そして次の瞬間、彼を姿が消えて、代わりに何かが空間を突き進み飛んでくる。

少年本能的にまずいと判断した。
練り上げた気を一転かかとに集中させ、足を思いっきり振り上げる。
まだ未完成の技ゆえに、自爆技としてしか使えないが…迷っている暇がなかった。
その振り上げたあしを振り下ろせば、地面が爆ぜ、彼の前面に弾丸のように礫が飛び散るだろう。
はたして、振り下ろされる足は間に合うか。

ノーガルト > 「………なるほど、どうやら互いに勘違いしていたらしい…。」

(足が振り下ろされる直前、姿を現したノーガルトはその足を片手で掴んでいた。ただ、さっきと様子が違うのは、かなり息切れしているという事。)

『無茶苦茶すぎるぞ、ノル!レベル3で広範囲を走り回って、周囲を調査するなど!下手を打ってお前が壊れたらどうする!』
「はは…しかし、其れでこの坊主が追っ手ではないことが解ったんなら、安いものだろ?」

(危険がない、とわかればもう争う必要もない。固まっていたエルフの親子に目配せして、大丈夫だという事を告げよう。)

「落ち着け、坊主。俺は奴隷狩りや根性の悪い傭兵じゃない。経緯を説明するから、ひとまずその剣幕を収めてくれんか?」

(掴んだ足を離し、地面を抉るほどの威力を持つそれを不発に終わらせる。こんなところで広範囲に爆裂を起こす攻撃など、冗談でもさせるわけには行かない。レン・レイトが少しでも落ち着けば、経緯を説明するためにノーガルトは胡坐をかいて座った。)

「まず、俺の名前を言っておこう。俺の名前は、ノーガルト。旅人だ。…で、あっちのエルフの親子だが。」

(ノーガルトは、彼女らを交えて説明をした。王都で行われていたオークションで、奴隷として売り出されたこと。それを助けようとしたのか、貴族風の女に放り出されたこと。それを拾い、左腕の傷からの出血を、ボロボロだった彼女らの服に塗りつけ、死亡を偽装してここまで逃げてきたこと。)

レン・レイト > 「……なっ!?」
見えなかったのはわかっていた。
それでも初動は、一瞬だが何かが動いたのが分かった。
しかし足を振り下ろそうとしていたのに、それを止められたことに気づくことにすら遅れて驚きの声を上げた。
知覚できない速度だった。
次の瞬間少年は身をひねるように飛び、片足を掴まれたまま、飛び上がり、反対の足で相手を蹴ろうとするが、気のこもってないそれは容易く受け止められて。

しかし相手は自分は敵ではないと、少年が思うような存在ではないと弁明する。
拘束された恐れから最初は抵抗するも、彼の言葉は嘘に聞こえなく、それに、奴隷狩りであれば、自分を捕まえるためにこのまま攻撃を続行するはずだとおもい。
少しづつ荒かった息は落ち着きを取り戻していく。

相手が止めた攻撃は本来相手にぶつけるもの。それでも、防御の気までまだ寝れない少年がそれを放てば、彼自身の足をづたづたに引き裂く。
さらに今回は変則的な用途に、エルフの二人も守るように範囲を絞らなくてはならなかったから…きっと発動すれば、少年は瀕死の重体だっただろう。

相手が座れば、こちらも警戒を解かずたったまま話を聞くだろう。
そして、彼の話を聞き、エルフの親子にも確認が取れれば、さっきまでの剣呑な表情は嘘のように青ざめて行く。
そして次の瞬間。
「も、申し訳ありませんでした!!」
ごっ!と鈍い音があたりに響く。
少年が頭を打ち付ける勢いで、否、勢いでなく、実際に打ち付けて土下座をしていた。

「自分の実力不足のために、状況把握を怠り危害を加えてしまった事、お詫びの使用がありません!!」
何度も何度も、額から血がでても打ち付ける程必死に謝罪するだろう

ノーガルト > (ダイン、魔剣ダーインスレイブの能力は、段階的にノーガルトの素早さを高めていくもの。近く出来ない速さにまで到達することが出来るが、その分体力の消耗も激しいハイリスクの力。大きく、カタで息をしながらも説明を続けた。)

『…落ち着いたらしいな。』

(ダインの言葉に、ノーガルトもようやく息をつくことが出来た。信頼できないと一蹴されれば、それまでだったのだから。)

「ああ、いや……そこまで謝る必要はない。…お前もお前で、必死だったんだろ?」

(あの剣幕、そしてあの攻撃。どれをとっても敵を倒すためのものではなく、護ろうとする想いが伝わってきた。もし、ただ殺すだけの業ならば、ノーガルトも容赦はしなかっただろう。)

「ほら、もう顔を上げてくれ。…後、坊主の名前も教えてくれると、俺は嬉しいがな?」

(必死になって謝るレン・レイトに、エルフ2人も苦笑をするしかない。頭から血を流すそれを、ノーガルトは肩を叩いて嗜めた。)

レン・レイト > 「……はい」

優しく諫めるように、必死だったのだろうと聞かれれば、目を伏せて短く答える。
強き理想の者に近づくため。
そのために助けに入ったのだが、軽い気持ちではなかった。
自分がかつて奴隷だったこと。
彼を救い姉となってくれた人もまたエルフだったこと。
様々な強さを知ったこと。
これらの思いが全て込められた結果の行動だった。
心の底から、あの親子を救いたかったのである。

…そしてな訪ねられればばつの悪そうな顔。
自分の名を名乗っていいものかと迷っている様子。
自分もかつては奴隷だった。
この国ではなかったにしろ、奴隷市は流れる市場ゆえに情報を共有する。
そして今はある組織に…正式に所属しているわけではないが、その庇護下にいる。
故に何らかの形で自分の名前を知られることが組織の不利に働くことがあるのかもしれないから。
しかしここまで不義理を行ってしまった手前偽名を名乗るわけにもいかなないと律儀に悩む少年。
しばらくの苦悩の後に

「レンといいます。レン・レイト」

自分の真の名を名乗った。

ノーガルト > 「レン…か。よろしくな?」

(ノーガルトは、ただ右手を差し出した。何を思っているのかはさておき、助けようとした心は買ってもいい。逸れに、ノーガルトとしてもいろいろと聞きたい。)

「…レン、お前はこのエルフの親子を助けて、どうするつもりだった?…もし、ただ助けてはいそれまでだったら俺はお前を一発殴る。だが、もし助けた上で、この2人の安全を確保する手立てがあるなら、それを聞かせてくれ。」

(ただ、助けるだけだったならばノーガルトはレンを許さない。そんな無責任な、自分勝手な正義感を、ノーガルトはとても嫌う。)

「情けない話だが、成り行きでこの二人を連れ出したはいいものの、どうしたものかと途方にくれていたところだ。もし、お前がどうにかできる手立てがあるなら、俺はこの二人を、お前に預けたい。」

(其処まで考えての行動だったならば、ノーガルトは喜んで悪人に成り下がるつもりだった。自分は悪人で、エルフ2人を連れまわしている、それを、レンが助けたとあれば、例え茶番でも救われるだろう。)

レン・レイト > 「よろしく…お願いいたします、ノーガルトさん」

未だ対人恐怖が抜け切れていないため、差し出された右手を、見れば一瞬躊躇するも。
それでも恐る恐るといった風にだが確かに、しっかりと握り返す。
そして続く相手の言葉を聞けば…

「なくはない…といったところです」

連れていける場所にはあてがある。
しかし追手がいるのであれば自分一人で護衛しきれるか、というのが問題だった。
それに相手の話を聞けば間違いなくエルフの二人は探されている。
少なくとも自分が奴隷時代、奴らは死体をはっきりと確認するまでは執拗に探していたらから。
故にここから無事送り届けられるかは100パーセントの保証はないものだと、彼に伝える。

「だから…貴方にも来てほしいのです。僕は僕の責任をもって全力を尽くします。でも最初に助けたのはあなたです。ノーガルトさんも、この方たちも、その方が安心するのでは?」

…とそう告げる。
それは暗に、最後まで面倒を見ろといっているようにも聞こえるかもしれないが。

ノーガルト > (右手を握られたら、そっと握り返す。クセのように、肘まで覆う黒い手袋の感触しかないが。)

「……ほう、聞かせてもらおうか?」

(助けた後、連れて行く場所のあてがあるのは非常に助かることだ。少なくとも、途方にくれていたノーガルトよりも、よっぽど頼りになる。当てのない逃避行よりも、ずっと。だが、追われている可能性があるのは、ノーガルトも十分考慮に入れていた。服を切り裂き、血をつけて偽装したとしても、目で見ていないのだから核使用はいくらでもあるのは、間違いない。)

『…この小僧、思っていたよりもしっかりとしているな…。どうする?』

(ダインの言葉、それにはノーガルトも納得している。長年連れ添ってきた相棒の台詞に、軽く頷いた。)

「…レン、一応言っておくが……最初に助けたのは俺じゃない。そもそも、俺は本来助けるつもりなどなかった。そこだけは、しっかりと覚えていてくれ。」

(だから、助けた責任を問われてもそれはお門違いというものだ。だが、乗りかかった船でもある。)

「……案内は任せてもいいんだな?」

レン・レイト > …九頭竜山脈の集落ドラゴンフィート。
集落といっても街ほどの規模がある。
少年は今そこで暮らしている。
そこに住まうのはミレー族が主だが、他種族が暮らしている。
現に、彼の姉もまたエルフだ。
それに元奴隷というものも多くおり、そういったものの保護もそこに属するある組織が行っているため、連れて行こうと思うと伝える。

「…そうですか。でも、投げ出さないで…あてもないのにずっと護衛していたんでしょう?…奴隷にとって、それがどれだけ心強いことか」

…まるで自分のことのようにその心境を語る少年。
そしてそんな彼だからこそ、道中の護衛を引き続きお願いしたのだ。

「…ただ、集落は立場的にいろいろあるので、他言は無用でお願いしますね」

…案内すること約束すればそう告げる。
相手を信用してのことなのだと。
そして人間不信の自分が相手を信用することなんてよっぽどなのだと、さらに冗談めかせてつたえただろう。

ノーガルト > (九頭竜山脈に、大きな集落があるというのは噂程度には聞いていた。しかし、実際に其処にいきたいかと聞かれると、正直微妙であった。だが、他に頼れそうな場所がないならば、少年に任せるほうがいいだろうと、ノーガルトは判断した。)

「……うるさいな、乗りかかった船だから、たまたまそうなっただけだ。俺の本意じゃない。」

(まるで、照れ隠しのようにノーガルトはそっぽを向いた。ただ、やり遂げなければ気がすまないという性格なだけだが。ともあれ、多種族が住まう集落に匿ってもらえるなら、こっちとしてもありがたい。)

「ああ、解ってるさ。街に着くまで、しっかりと護衛させてもらうさ。」

(だが、一つだけノーガルトは約束させた。それは、街に着くまでという条件。旅人である自分が、いつまでも個人を護衛するつもりも無いし、何より目的があるのだから、いつまでもかまけてられない。更に言えば、面倒を押し付けたあの騎士風の女に文句をいってやりたい。)

「……ははっ、それならしっかりと信頼に足る証拠を見せないとな…。」

(本当にしっかりした子供だ、とノーガルトは感心していた。姉、と言う存在がよほどしっかりと教育しているのか、それとも。ともあれ、安住の地があるならばそれに越したことはない。レンの案内のまま、ノーガルトはエルフを引き連れて、もうしばらくの逃避行を続けることにした。)

レン・レイト > 照れ隠しのようにそっぽを向く様には薬と笑って。
根は本当にいい人なんだなぁなどと思いながら、彼が出した条件にはこちらも納得して、約束をした。

「そうですよ。…たぶん勝手な事して僕は怒られるんですから」

なんて少し乾いた笑みを浮かべるだろう。
休息にもう少し落ち着けば、彼らを引き連れ、少年は戻るべき家へと戻るのだろう。

ご案内:「どこかの林の中」からノーガルトさんが去りました。
ご案内:「どこかの林の中」からレン・レイトさんが去りました。
ご案内:「平民地区の端っこ」にシンシアさんが現れました。