2016/11/17 のログ
ご案内:「どこかの林の中」にノーガルトさんが現れました。
ノーガルト > 「……ここまで来れば、とりあえず追手は撒けるか…。だが、これからどうしたものか…。」

(ノーガルトは、雑木林の中で深いため息と共に、後ろにいるエルフの母子を見る。母親も娘も、安堵の表情を浮かべているが、服装は大きな葉っぱで陰部を隠しているだけのもの。)

『…お人よしめ、放っておけばいいものを何故助けた…。』
「そういうな、ダイン。成り行き上仕方がないだろうが…。」

(面倒を背負い込まされた、と悪態をつきながら、相棒であるダインの言葉に返す。先日、忍び込んだ貴族のオークションで、ひょんなことからエルフの母子を拾い、ここまで逃げ延びてきた。彼女らが服を着ていないのは、死んだことを偽装するため。)

「…そもそも、あの状態で逃げ切れるはずがないとは考えなかったのか、あの女…。」
『例の、電の魔剣を持っていた女か…。』

(そのきっかけとなった、ここにはいない白い服の女に、ノーガルトは悪態をつく。)

ノーガルト > 「ダイン、あの女が持っていた魔剣だが…お前の兄弟じゃなかったのか?」
『…違うな。俺たちの兄弟で、雷を操れるやつはいなかったし、なにより魔剣のベクトルが違う。』

(昔、ダインに聴いた話では、ダインたちは”種族として意思を持つ剣”であり、”魔力を帯びている剣”とは別のベクトルであるらしい。魔力の剣は意思を持たず、ダインたちは意思を持っているという点が、決定的に違うというのだ。)

『おそらく、あの雷の剣は意思を持っていないはずだ。』
「そうか……、オークションも外れだったし、面倒は押し付けられるし…散々だな。」

(ノーガルトは大きくため息をつきながら、後ろで木の実を食しているエルフの母娘を、肩越しに見る。これからどうするか、と頭を悩ませながら。)

「(少なくとも、安全なところまで連れて行くのがいいだろうな。…しかし、この国で貴族の手が及んでいない場所とはどこだ?ミレー族の集落はあるが、奴らは異種族にはあまりいい感情を持たん…。)」

ご案内:「どこかの林の中」にレン・レイトさんが現れました。
レン・レイト > 地形把握やスカウトとしての鍛錬のため、少し遠出をしていた。少年。
地形を覚えるために描いていた地図もあらかた完成して、此度の遠征を終えようと思っていた所、に慌ただしい人の気配を遠くに感じて。

奴隷狩りやそれに準ずる騎士であれば、近くのミレーの集落に伝えなければならない。
自分もまた彼らとともに住まうもの故、子供ながらにしっかりとその胸に使命感をもって、深く深呼吸をすれば、気配を消し、木から木へ、けもの道を抜けて音もなく視認できる距離まで気配のもとに近づくだろう。

「………!」

隠れながらでははっきりとは見えないが、ほとんど裸のエルフが二人…おそらく親子か。
そうすると近くにいる長身の男は…武人然とした佇まいから、奴隷狩りの傭兵か。
…おそらく自分よりも強い。
それでもどうするかと迷ったのは一瞬で。
自分の姉ならきっと彼女らを見捨てないだろう。
そして、彼女らを助けるその姿は自分が目指す、理想の強きものでもある。
逃げるわけにはいかない。

少年は静かに気を練りながら機会をうかがっていた。
そして、ふとその男の注意が後ろにいるエルフの母娘に言った瞬間。
「カッ………!!」
短いながらも、苛烈な気合とともに、木をを蹴りまっすぐに男めがけ突きこむ。
その勢いはまさに矢のようだった。

ノーガルト > 「(あいつらの集落はおそらく全滅しているはず…、出来るだけ王都から遠く、貴族の手が届かない場所に連れて行くのが確実だが…どこにそんな場所があるというんだ?)」

(考えても答えが一向に出ない。旅人としてこの国に来てそう長くはないが、貴族絶対主義国家と言う印象をもっていた。それが及ばない土地など、この国にあるはずがない。八方塞だ。)

「(やはり、あの女に引き渡すのが一番確実か…。理由はどうする?逃げた先で俺が捕まえて、お前に引渡しに来たというのが妥当か…。だが、買い付けた貴族とは明らかに関係が…)」
『………!おい、ノル!』

(考え事をしている最中は、まったく意識を外に向けてはいない。ダインの言葉で、ハット顔を上げるが、あまりに遅すぎる。一瞬、なにかがこっちに迫っていると言うことしか認識できなかった。)

「ん、どうしたダ――――――ィがはぁっ!?」

(矢の様な、というよりも弾丸のような速さで突き込まれた少年の拳は、ノーガルトを完全に捕らえていた。体を句の字に折り曲げて大きく、大きな体が吹き飛ばされる。もし、後ろに木の幹がなければ、どこまで飛んでいたか。)

『ノル、大丈夫か!』
「ぐっ……!あ、ああ………。な、何だ……何が起こった…!?」

(まだ、ノーガルトは理解していない。驚くエルフの親子は、その場に固まり動けないでいる。)

レン・レイト > 凄まじい速度で突きこまれた拳。
虚を突いたそれは見事に成功し、細身ながらも大男といえる彼を吹き飛ばすように殴りぬけた。

(成功した…!)

一か八かの奇襲に、内心心臓が飛び出そうなほど緊張していたが、着地と同時に丹田に気を込めて、呼吸ともども落ち着かせる。
が、すぐにまた焦ることになる。
男が、あの勢いで殴られ、木の幹にぶつかったというのに、まだ意識があるというのだ。
殺すつもりはなかったが、殺す気で攻撃した。それでようやく相手を気絶に追い込めることができるだろうと思って。

少年は攻撃の前、顔が割れないように赤い仮面をつけていた。
そして声でもばれないように、エルフの親子に大きく手を振り、早く逃げろとジェスチャーをして。
槍を構えてから今度こそ気絶させようとその柄で殴りかかる。

ノーガルト > (前を見れば、真っ赤な仮面をつけた少年と思わしき者が、そこにいた。さっきの攻撃は彼からか、と確信を抱けば木の幹を支えにして、ゆっくり立ち上がる。)

「くそっ……追っ手か。少し長居しすぎたらしいな…!お前たち、今すぐここから離れろ!あとで必ず追いつく!」

(少年がジェスチャーをしているのは見えなかった。仮面をしている少年を追っ手と思い、まずはエルフの親子を逃がすべく、構えを取る。幸い、彼はこっちに気を向けている。)

「…先に俺をどうにかするつもりか……ディン!」
『あいよ、任されたぜ!』

(幼いながら、鍛錬を積んでいるのはしっかりと解る。振りかぶられる。その柄を、黄金に輝く柄の剣の腹で受け止めた。)

レン・レイト > 「……?」

いったん逃がすような物言いの相手に違和感を覚える。
ふつうこういう時奴隷狩りだったら逃げたら殺すなどと脅すものだと思ったから。

しかし迷っている暇はない。
まだ相手が立て直していない今こそ自分にとっては決着をつけられる唯一のチャンス。

その少年の体躯からは想像もできない早く、重い、突き下ろすような柄の一撃。
しかし彼もまた、さるもの。その一撃は剣の腹で受け止められる。
勝ちを急いたか。それとも先ほどの発言に迷いがあったのか。
否、きっと純粋な実力の差だろう。
全力の一撃だった故、受け止められたのであれば、その反動ですぐに引くこともできない。
脳内でいくら次の動きをシミュレートしても、良い手が思いつかない。
結果、ただただ大きな隙をさらすこととなってしまった。

ノーガルト > 「…………。」

(受け止められた柄を見れば、何の変哲もないもの。ダインに聞くまでもなく、これは魔剣の類ではない、普通のものだ。それに、エルフが固まってるのにそっちに手を出さない。)

「(……時間稼ぎか?)」

(その可能性を棄てきれない。この後で追っ手が皿に追加でやってくるという可能性を考慮すれば、早々にカタをつけてしまうべきか。)

「ディン、レベル1だ。」
『おっけぃ、やっちまえ!』

(黄金の柄から漏れるオーラが、ノーガルトの体に付着する。その力を倍増させる能力を使用し、少年を思い切り突き飛ばす。)