2016/09/06 のログ
ご案内:「ドラゴンフィート 観光地区」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「────じゃあ頼むます。毎度毎度すまにいな」

ドラゴンフィートの、正門から入ってすぐの場所。
金髪の男は、目の前に立つ兵士の男と、その横に並ぶ銃を担いだミレー族の少女に向かって眉下げて笑いながら軽く頭を下げると、首にかけるようにして担いでいたものを兵士の男に引き渡した。

──否、それは物ではなく、ボロ布を纏った小柄な人。ミレー族の少女だった。
その少女は目を閉じているが胸元は上下しており、生きているのが判る。
笑顔を見せてくれた男女の兵士と一言二言交わすと、居住区の方へ去ってゆく二人を見送る。

今彼らに引き渡したミレーの少女は、男が冒険者として受けた山賊討伐の際、そのアジトで奴隷として捕らえられていたのをついでに救助したものだ。
そして、『毎度毎度』等と言っている通り、そうして助けたミレーをドラゴンフィートに預けるのはこれが初めてというわけではない。

エレイ > この場所──ドラゴンフィートが出来る以前から、男はこうして依頼遂行のついでに誰かを助けることはしばしばあった。
だが人間はともかく、ミレー族の扱いはなかなか難しかった。

人間なら状態にもよるが王都にでも送り届ければ問題はない。
だがミレーとなると話は別である。理由は言わずもがな。
上手いこと隠れ里の一つでも見つかればいいが、そうでない場合は最悪多少の食料を与えて野にでも放つしかなかった。

「──以前の事を考えると、実に有り難い事なんだよなあ…」

今はこうして、安全に預ける先ができている。
男が予想するに相当のお人好しであろう、此処の組合長とやらには感謝せざるを得ない。
そんな事を考え、眉下げて笑う。

ちなみに最初の頃はこうして堂々と預けたりはせず、門の前に置いて行ったりとコソコソとやっていたのだが途中でバレてしまった。
今では、先ほどの兵士たちを含めチェーンブレイカーの一部の面々ともちょっとした顔見知りになってしまっている。
組合に入らないかとも誘われたが、自分は旅人の立場であるし、自由気ままで居たいのでやんわりと辞退した。
ただまあ、彼らの活動のちょっとした手伝いぐらいはそれなりに積極的にしてやりたいと思ってはいる。

エレイ > 「…まああそれはともかく。これからどーすっかねえ…もう今日は依頼も済ませてしまったしヒマな感」

ポリポリと頭を掻きながら、そう独りごちるとその場から歩き出し観光地区の方へと向かう。
賑わう人々の流れをボケーっと眺めながら、ぶらぶらと歩いてやがて辿り着いたのはウォード樹の庭園。
空いているベンチに腰掛けると、背負った剣を外して傍らに置き、ベンチに背を預け脚を組み。
くわわ……と大欠伸を一つ漏らした。

エレイ > 暫くそうしてボンヤリと過ごしていたが、やがてよっこいせ、とか年寄り臭い掛け声とともに立ち上がり。
剣を背負い直すと、ふらりとまた何処かへと去ってゆく。

ご案内:「ドラゴンフィート 観光地区」からエレイさんが去りました。
ご案内:「ダイラス近郊-森林地帯-」にデリアさんが現れました。
ご案内:「ダイラス近郊-森林地帯-」にレン・レイトさんが現れました。
デリア > ダイラスから歩くこと数分、山の斜面に程よく感覚を空けて生える木の間を、1人の女が歩いていた。その姿、衣服を一切身に着けていない裸体は、女であることを考えれば乱暴を働かれても文句は言えないが、その考えを持った人間を怯ませるに足る程の肉体を彼女は持っていた。戦士として、理想的な筋肉のついた引き締まった体を。それに加え、この日は可愛らしいボディガードも付いていた。数日前から弟子のような存在になった少年が彼女の傍らに歩いていた。

「そうだな、このあたりでいいだろう」

この日は約束していた修行の日。多少地面に起伏はあるといっても、柔らかい土と積もった木の葉で多少転びはしても大怪我をすることはないだろう。安物だが、用意しておいた木製の剣を少年に差出し。

レン・レイト > 全裸の女性の後をついていくように歩く少年。
肩にはありきたりな、少し傷んだ鉄槍を担いでいる。
自分の中だ新しい何かを掴もうと、この女性に稽古をつけてもらうことになったのだが数日前。
やはりその裸体になれたわけではなく、ぎりぎり視界の端に入れることで何とかやり過ごしている。

「……剣の心得は全くないのですが…」

彼女が開けた場所で立ち止まり、木製の剣を渡せば少しだけ眉を吊り上げて。
肩に担いでいる通り彼が扱うのは槍か、無手。
新しく新調してもらった彼が所属する組織の槍は、所属をダイラスで隠すために持ってきていないため、今まで使っていた鉄槍を持ってきていた。
標準的なそれだが、かなりの使い込まれ、聊かボロボロになっていた。

デリア > とりあえずと持ってきたものの、どうやら少年に剣の心得は無いらしい。その代わり、どうやら槍の心得はあるらしい。
「ふむ、槍か……」と少年の持っているそれを少し眺め。

「だいぶ使いこんで入る様だな、どれ少し貸してみろ」

と、少年の持っていた槍に、荷物の中から縄やら布、あて木やらを取り出して器用にカバーをつけてやり。

「これで良いな、確かに使い慣れてる武器の方が扱いやすいだろう」

と、簡易的だが丁寧にカバーがかけられた槍を手渡し。

レン・レイト > 「…ご、ごめんなさい。せっかく用意していただいたのに」

木剣の代わりに自分の槍を差し出せば、カバー代わりの工夫をおどこしてくれた相手。
それを受け取れば、外れないか確認するために二、三回振りますだろう。
その若さに似合わず、しっかりとした槍捌き。
一流にはまだ遠いが、武人の端くれとはしっかり言えるだろう腕前で。

「これで…組み手ですか?」

外れない事をしっかりと確認すれば、渡された木剣や槍をカバーしてもらった事からこれから行うことを想像して相手に尋ねる

デリア > あの華奢な体格で槍を取り回す様子は少々想像が難しかったが、実際に槍を扱っている姿を見ると武器に振り回されている様子も無く。
しっかりとした扱いに、思わず「ほぅ……」と関心の声を漏らし。

「あいにく、私の技術はどこかの正式な流派ではない。完全な自己流だ。習う順序も無い、実際に手合わせするしか教える術は無いからな」

自分は慣れた剣の方が扱いやすいため、用意していた木剣の片方を手に取り。
腰に下げていた荷物入れを木の根元へと放り投げ。少年との距離を数メートルほど空け。
今から手合わせをする旨を伝え、「いつでも来い」と笑みを浮かべて剣を両手で構え。

レン・レイト > 「…僕も教えられたのは基本だけで後は我流みたいなものですよ」

そう小さく返す少年の顔に僅かに影が落ちた。
…技を、基本を教えてくれた師を思い出したのだ。
師の教えも基本的に組み手だったと思い出す。
毎回、骨折で済めば御の字なハードのものだったが、この年で、そして僅かな時間でここまでになれたのはマジがいなく師のおかげだった。
万人の敵と言えるような人格破綻者ではあったが…少なくとも自分にとっては初めて自分を一個人としてみてくれた人。
しかし、約束を果たさず自分を捨てた人。
…すこし、余計なことに思いをふけってしまったかもしれない。

「…では、参ります」
さて、今までであれば、ここで地面を蹴って砂埃でも目くらましにかけようものだが…、彼が望む新しい強さというのは、正々堂々と言わないまでも、真正面からぶつかりたいもの。
今までの常識を突き破るため、真っ向勝負に出ることを決意する。
…少年の眼に、小さいながら炎が灯る。

「…シャッ!」

恐ろしい瞬発力で少年が跳ねる。
正面ではなく、斜め前の森の木めがけ一瞬で飛び、三角飛びの要領でその木を蹴り、高所から射られた矢の様に、まっすぐに相手めがけ頭上から突進する。

出し惜しみのない、少年の全力の突き。

デリア > 闘技場で出会った時とは、良くも悪くも様子の違う少年に、少し驚かされた。
あの時は、この少年が戦闘の心得を持っているとは思っていなかったが、今となっては、それなりの実力があることは明白だ。
ただ、それと同時に少年の様子に少し曇りが現れたことにも、彼女は気が付いた。それは森での暮らしが長かった上での注意深さか。

「良い身体能力だ、それに自らの力量を良く知っている攻撃……」

同じく自己流とは言っても、その攻撃はその辺りの兵士のそれよりも何倍も鋭い。いったいどれだけの鍛錬を積んできたのか。
最小限の動き、着地地点を1秒にも満たない時間で察すると、小さく後方へのステップでの回避。あれだけの速度で地をけり、頭上からの攻撃をくりだしてきた相手だ、次の手も、きっと素早いのだろう。ステップで、後方の地面を踏んだ瞬間、握った剣に力を込め、しっかりと体勢を整えた上で、それでも素早く、此方も目前の少年の額に向かって、風きり音がするほどの速度で突きを放ち。

レン・レイト > 「……ッ!」

躱された槍の穂先が地面を抉る、少年は一瞬驚く。
攻撃をかわされた事ではなく、相手の反撃の突きが、「自分がまだ着地する前に」すでに額めがけ繰り出されていたことに。

「…ツァッ!」

短い気合とともに、自分自身の躱された突きの威力が地面に吸収されきる前に強引に身をひねり前に乗り出すようにして柄を掴み、曲芸の様に槍の柄に逆立ちして。
強引に躱した結果、額をかすり、木剣といえで少年の額が切れた。
しかしひるまずに突進の勢いを未だ乗せたままの槍を逆立ちの体制から引き抜く様にして、両手で絵を掴み、そのまま相手にたたきつけるように振り下ろす。

僅か一瞬の攻防に、観客がいたなら沸き立つこと間違いないだろう

デリア > 直撃、とまではいかないにしても、少年の額を捉えた木剣の先。しかし、彼女の表情は攻撃の命中で安堵し、緩むようなことはなかった。
ただ、まるで動物のような、そのしなやかな動きは予想できなかった。
振り下ろされた槍の柄は、右肩へと直撃し、肉を打ち付ける鈍い音が響く。
思わず、僅かに表情が痛みに歪むものの、それも一瞬。
次の瞬間には左手で打ち付けられた柄を掴み、女性のものとは思えない力で引き寄せる。

「良い反射だ、それに機転も効くようだな……!」

両手でしっかりと柄を掴んでいた少年の体勢が不安定な間に引き寄せ、半ば宙に浮いた少年の腹へと右手に握った剣を横一閃に振りぬき。

レン・レイト > しまったと少年は全思い切り打ち付けてしまったことに気づき、訓練とはいえ、一瞬とはいえ、戦闘のさなかに相手を心配してしまうが、すぐにそれが過ちだと気付いた。

並みの相手だったら今ので沈んでいただろうに、怯みは一瞬で、次の瞬間恐ろしい力で引き寄せられる。
とっさに槍を離し、腹部を腕でガードしようとするも間に合わず、腹に横から痛烈な一撃を食らい、身軽な少年は思いっきり吹っ飛ばされるだろう。

「…カ、ガッ…ハァ……!!」

例え隙を見せなくても防御は間に合わなかったであろう見事な一撃。
地面を一度バウンドするように転がり、腹筋の上からにも拘らず木剣の重い一撃に一瞬呼吸が困難になる。

それでも地面を掻き、ゆっくりと起き上がる少年。
しかし、先ほどまでとは雰囲気が違う。
先ほどまでの小さいながらも力強い炎のような意志はその目から感じられず、代わりにあるのは淡く暗い、幽鬼のような目。

「ヒュゥゥ……」

小さく無手で構え、気を練る彼から発せられるのは、冷たさと暗い暑さを内包した、黒い負の感情。
見えるものが見れば見えるだろう。
気の塊が地面から彼の腕めがけを電流の様に駆け巡るのを。

「ハァ!!」

常人を超える怪力を誇る少年の拳が地面に突き刺さる。
そして次の瞬間拳に寝られた気が地面で爆発。
相手にめがけ土片や石が弾けたつぶての様に襲い掛かる。