2016/03/13 のログ
ご案内:「北方帝国シェンヤン 陋習の山村」にユリゼンさんが現れました。
■ユリゼン > ぱち、と薪が爆ぜる音がして、篝火からひとひらの火の粉が空へと上っていく。
山塊を背に鎮座する神殿めいた建物の深奥、奥座敷の御簾の向こうからその様を眺めていた。
この名も知れぬ山村に通りがかり、渇水に苦しむ村人たちのために雨を呼んでやったのが半月ばかり前のこと。
龍を崇める帝国人たちにあれよあれよと祭り上げられ、気づけばこの神殿の中にいた。
すべてが予定通りに進んでいれば、今ごろは帝都の名所旧跡を回り終えて帰途に着いているはずだったのに。
眼前には王都では見たこともない様な珍味や土地の銘酒が山と積まれている。
脇息にもたれて物憂く過ごすこの身の傍には、煌びやかな衣装をまとった娘たちが侍っている。
はじめは親切心でしたことだった。報いを求めるつもりもなかった。それがどうしてこうなった?
噂が広まってしまったのだろう。時を追うごとに貢物が増していく。際限なく。うず高く積もっていく。
「…………あの者たちを下がらせよ。叩頭など無用と言ったはずじゃ」
娘たちが不安げに眉をひそめる。このユリゼンの機嫌を損ねることは責任問題というわけだ。
■ユリゼン > 自分は村人たちが期待するような者ではないと、何度伝えても無駄だった。
龍を崇め、従うことが本能に刻まれたような人間たち。
考えることさえ投げ捨ててしまった様なその姿は、この身を嫌う王都の人間たちよりも不気味だった。
「だいいち、わしにはそなたら皆の願いを叶える力などない」
「この身を拝む暇などあれば畑仕事に精を出すがよかろうなのじゃ」
御簾の向こうでどよめきが広がる。
龍神の怒りを買ったのではと震えだし、ひそひそとささやき交わす声が聞こえる。
「――――下がれっ! 疾く去ねと申しておろうが!!」
わっと人が散り、押し合い圧し合い、つまづき転びながら我先にと神殿の外へと逃げ惑う。
破滅の予感に慄く人間たち。怒りを鎮めなければ、と血色の失せた顔を歪めて呻く。
そろそろ潮時かもしれない。逃げ出す算段を考えないといけない時期だ。
ふとした弾みに友人の顔を思い出す。傲岸不遜で捻くれていて、とてもわかりやすい錬金術師の顔を。
すこしは案じているだろうか。なにせこの身は会心の作。それが帝国領内で音信を断ったのだから。
ご案内:「北方帝国シェンヤン 陋習の山村」にグリュネイさんが現れました。
■グリュネイ > 果たして、錬金術士はやってきていた。
その消息をおおまか追跡しているのは学院の錬金術士であって外部協力者の彼女ではなかったけれども、
まぁまてこの間も一悶着あったばかりだしそれに帝国にほど近いこの位置も悪いここは俺に任せておけ。
そう自信満々の笑みで王都を出れば、正確な位置をすぐさま絞り込みユリゼンが実質軟禁されている村を見つけてみせてはいた。
それが、なかば別言語に近い帝国の方言で「供物をお持ちしました」と簾の龍人に伝えられた直後に入ってきた。
全身を覆うのは帝国風の薄絹で、普段は流している金髪も結い上げられている。
ばつが悪そうにというべきか、やや紅潮し引きつった顔で、軽く手をあげる。
「お、……おう……」
■ユリゼン > 空いた酒盃を向けるまでもなく、側仕えの娘が音もなく近づいて酒を注いでいく。
冷たく澄んだ無色透明の雫はほんのりと甘く、それでいて舌を楽しませる辛口の刺激を隠している。
王都で口にした生ぬるいエールよりよほど好みだ。美味である、と認めてもいい。
元より竜は雑食の種。肉も喰らえば草木も喰らう。
ゆえに得体の知れない獣の肉も平気で喰らった。これがなかなか悪くない。
村の里長は龍神の好む酒肴ばかり、贅をつくして揃えたと言っていた。
帝国人たちの説では、このごろの竜は酒を大いに好むらしい。
くい、と酒盃を傾けて冷たい清酒を喉に流し込む。
「……こんな、もの…」
人間の知恵が生んだ甘露の雫。自分の知る若き旧世界には、影も形もなかったものだ。
けれど、それだけだ。飲んで喰っては抱いて寝るだけの、安穏として怠惰で自堕落な生活。
ここには狩猟の喜びもなければ、知識を得る興奮もない。
チヤホヤされはしないが、王立学院で過ごす日々にもそれなりの良さはあったのだと気づかされる。
「やれやれ、とんだ旅行になったものじゃな」
それはさておき、酒が美味い―――。
「ん? 下がれと言ったはz―――――ブフーッ!!!」
「…っげほっ!!! ごはぁ! 気管にっ、入んんんごほごほごほっ!!!」
「けほっ、こほ…こほん。死ぬかと思ったのじゃ……くくく、よい様じゃなグリュネイよ」
慌てて近寄る娘たちを左手で制して、焼けるように熱い喉をさする。
■グリュネイ > 「まーて!色々あったんだよ!変な誤解をするんじゃねーっ!」
ひらひらふわふわと浮き上がる薄絹を手で抑えながら言葉を連ね始める。
かいつまめば、ユリゼンを発見したので連れ帰るために村へ旅人としてやってきたものの
山奥の村とは思えぬ大層な歓迎を受けているうちに、あれよあれよとこうなっていたというだけなのだが。
「まー、そっちも問題ないねーみたいだな……全く、また手間をかけさせやがってよー」
はーと嘆息する。その息が妙に熱を持っていた。
■ユリゼン > 錬金術師協会が貴重な研究標本を音信不通&行方不明のままにしておくはずがない。
とはいえ、グリュネイ自身がわざわざ探しに来るとは思っていなかった。
ましてやその当人が、この龍神とやらの供物となって現れるなど。
「…っく。くくく。退屈が紛れそうじゃな!」
ドリー・カドモンの霊魂に標準搭載された拡張言語ライブラリをもってすれば帝国の言葉を解するなど容易いこと。
けれど、虫食いだらけの書物を読んだり外の世界を知らぬ娘たちの相手をするのも飽き飽きしていた。
そこにこの珍客である。
「下にもおかぬ扱いなのじゃ。じゃが、これでは見世物小屋とさして変わらぬ」
こほん、と咳払いをして声のトーンを変える。
「その方ら、こたびの仕儀まことに大儀である。あの者をこれへ。閨の支度をせよ!」
雷に打たれたように肩が震え、血走った目を涙ぐませる村の古老たち。
口々に安堵の溜息を漏らしつつ、異貌の供物を御簾の向こうへと押しやっていく。
我が身の回りでは娘たちが寝具を整えにかかる。
「わしが呼ぶまで伺候は無用じゃ。当地の禁足、侵す者あらば災いあるものと心得よ」
脱出の算段をするにも人払いをする必要があるのだ。人の身はかくも小さく力なきがゆえに。
■グリュネイ > 「まー学院のやつらとしてはお前が短気を起こして暴れ逃げなかったのは僥倖だったかもな。
場所が場所だし……んん……なかなか興味深い村なんだろうが、オレには専門外だ。
紛れるも何もねーだろ、とにかくさっさと離れ……あぁ!?」
ここまでやってきたのだからある意味当然だが、
ユリゼンの放った現地語を、グリュネイもまた理解している。
素っ頓狂な声をあげている間に村人に押し込まれ、少し空けて頷いた。
「おっおっおっおぅ……あー、なるほど。これで聞かれねーけど」
別にあの村人たちの理解できない言葉などお互い何種も操れるだろうに。
そう思いつつも、人が居ないにこしたことはない。
寝具を整えた娘達が出て行くのを横目で見送った。
ユリゼンへと歩み寄って腰を下ろす。
「崇められるのだけは板についてんじゃねーか。
どんだけ飲んでんだよ……」
自分も歓待でしこたま飲まされたことを横においてつぶやいた。
■ユリゼン > 「これでも以前はそれなりに名が通っておったのでな」
「九頭龍のあたりはみな我が城よ。ぶいぶいいわせておったのじゃ」
数千万年前の話である。
「この地におった龍神とやら…わしではなく、前の住人の話なのじゃが」
「村の者らに恵みをもたらす代わりに、見目良き娘どもを喰らっておったそうじゃ」
「無用のことと知りながら柔き肌を噛み、その血を啜って喉を濡らす…」
「人に飼われて性根が腐れてしまったのじゃろうな」
側仕えの娘たちが神殿を出ていくのを見届け、重たいお仕着せを脱ぎ散らかしはじめる。
「このユリゼンの子らであったやもしれぬ。そなたならば何とする?」
最後に髪飾りを投げ捨て、肌襦袢一枚の姿で解放感に浸って思いっきり伸びをする。
怠惰な暮らしでほんのすこし肉づきがよくなったかもしれない。
金色の翼を広げて一度だけ羽ばたいた。
「そなたも何ぞ毒されておると見た。毒気を抜いてやろうなのじゃ」
残った酒を口に含んで、口移しで流し込もうとする。そのまま薄絹の衣装に手をかけるつもりだ。
■グリュネイ > 「どうする、って、そりゃ死骸でもあるならオレの範疇だけどよ。
……いててて。
しっかし騒ぎにせずに服を取り戻して消えるとなると難しいなーったく」
ユリゼンがお仕着せを剥がすのと同じにやたら重たく複雑な髪飾りだけ引っこ抜く。
ぐるぐる結い上げられた金髪を手櫛でなでつけながら自分の体に視線を落とした。
生地は王国ではあまりみないもので、上等なのだろう。生け贄用のドレスというわけだ。
「毒というか……ん、んん」
口移しには抵抗しなかった。
以前からすっかりキス魔になった相手に慣れてきたというのもある。
それに確かに毒は回っている。歓待の酒盛りでたっぷり盛られたものだろう。
本来ならそれは生け贄になるべき女の肉と脳を侵し、龍神に自らその身を捧げさせる強い強い毒。
錬金術士の体は毒に対して強い抵抗力を見せたが、それでも意識の芯は熱を帯びてくる。
何より、手をかけられた衣装がふわりと広がると、甘ったるい匂いが充満した。
グリュネイ自身というより龍の鼻孔をくすぐする強い香。
猫にマタタビではあるまいが、そうしてかつての龍は供物を最後まで喰らい尽くしたのだろう。
前の龍神がいつまで生きていたのかはわからないが、
少なくともこの村は今でもその知識と因習を維持し続けていたというわけだ。
■ユリゼン > 「わしはただ見届けるだけよ。そなたらに肩入れをする理由もないのでな」
「善きにつけ悪しきにつけ、生ある者はみな滅ぶ。コトの正邪もまた常ならず」
「それが避けられぬさだめならば、悪しき竜にもいずれ滅びが訪れよう」
微風が通り抜けて行灯の中、小さな炎の明かりが揺れる。
「現にそやつはここにおらぬ。おおかたどこかで果てたのであろうよ」
龍の好む味付けを心得ていると里長は言った。それは酒や肴だけに限らないらしい。
錬金術師の身体には癖になるような香が染み付いていて、じわ、と涎が滲んで止まらない。
そんな色香にすんすんと鼻を鳴らしながら酒精に浸かった舌をねじ込む。
金の髪結う首を抱え、誘い出した舌を鋭利な牙で噛み千切―――ろうとして動きを止める。
………今、何をしようしていた?
「…………っはぁ! ………ん、ん……ふ……」
息を継ぐ。薄絹に覆われた胸を鷲づかみにして。口付けは頬を経て耳へ、そして首筋へ。
発熱する身体から匂いたつような強い香気を吸いながら供物の喉に喰らいつく。白い肌に牙を立てる。
■グリュネイ > 「だからそういうことは、ここの村人なり、錬金棟の奴らなりに言ってや、れ、って……ん」
言葉も中途に、酒の匂いを口内で交換すると、噛みつかれかけた舌を引き戻して笑いのようなものを浮かべた。
「ほら、人が話をする前に何も聞かねーから……
つまんねーとか言いながらがばがばがばがば食っちゃ寝し、やが、って……っはぁ……」
ぎくしゃくとしたそれは熱を強く帯びて、言葉はいくらか挑発的に、己の白い喉ヘ食らいついた龍の後頭部を撫でる。
本来よりは回らぬ毒が、それでも痛みを和らげ、つながった場所からじくじくとした疼きだけを伝えてきていた。
掴まれた乳房の先端でとがるものが、薄絹ごしに相手の掌へ主張し、
寝床に下ろした尻をゆらゆらと揺らしながら天に向かって熱を吐く。
「逃げ出す前にしとくことが、できた、な……❤」
■ユリゼン > 「……なるほど、そういうからくりなのじゃな」
供物の喉を解き放ち、薄っすらと鮮血の滲む噛み痕を労わるように舌先で撫ぜる。
「この毒は我らの有り様さえ歪める。そもそもおかしいと思わぬかの?」
「なにゆえわざわざ人を喰らう。腹を満たすだけならば野の獣で事足りように」
豪奢な薄絹を縦に裂き、腰を抱いて鎖骨のくぼみから胸の谷間まで口付けの雨を降らせる。
「ひとたび心狂わせ、そなたらの味を覚えさせてしまえばその先は思うがままよ」
「生贄さえ与えておけばこの地を去らぬ。かつてここにおった龍神はその末路じゃ」
「己が欲のために竜を操ろうなど、そなたら人はつくづく怖ろしき生物よな」
発散される熱と香気に誘われるまま、痛々しいまでに主張する胸の先端に甘く歯を立てる。
噛んでも味がしない事をいぶかしむ様に吸いついて、それでもダメとわかると両方一気にぎゅっと抓った。
「ふん。やはり卵を孕まねば何も出んのじゃな。つまらんのじゃ」
「じゃが、この身にはモノがないゆえ、そなたに子を授けてやれんのじゃ。是非もなしじゃな」
神殿の中で見つけた弓なりの水晶細工を引っ張り出してきてグリュネイの眼前につきつける。
異教のお守りめいたその品は一対の男性器が背中合わせにつながったように見える。
「今日はこれで良しとせよ。すごいのじゃぞこれは! このとおり向こう側が丸見えなのじゃ」
■グリュネイ > 「だからさぁー、どんだけ飲んでるんだっつってんだろー……が、んん……。
ま、供物がオレでよかったじゃねーか。
普通の小娘が差し出されるまでゴロゴロしてたらどうなってたことか。
……ほんとお前キス好きだ、な、あッ❤」
そなたらと言われても相変わらず訂正はしなかった。
随分らしくなったという自負がある。
ふふんと鼻を鳴らしかけて、乳首を強く抓まれて背筋が伸びる。
「なん、だよ。ええ? おっぱい欲しいの~~? っていうか卵なんてできねーから」
からかうような言葉だが、顔は変わらず紅潮しており
それはユリゼンが新しく水晶細工を引っ張り出してきてより深まった。
「お、おぉ……おう……。結構、すごいな。
それを、使いたいわけ……?」
普段通りに見えても、向こうもずいぶん回っているのか。
蕩けはじめた顔でいくらか首を傾げる。
■ユリゼン > 「いかにも。気に入っておる。不思議と悪い心地がせんのじゃ」
満更でもないと素直に認める。好きも嫌いもあって当然。
たまたま数多ある人の仕草のひとつを気に入っただけのことだ。
「うむ、うむ。人の子はみな幼き時分の常食にしておると聞く」
「我らいにしえの竜種には覚えがないもののひとつなのでな」
肌襦袢の前を解いて、大きく張った自分の胸を持ち上げてみせる。
手のひらにはずっしりとした重量と水風船のように定まらぬ形、そしてどこまで柔らかい肌の感触が乗る。
本来あるはずのない器官だが、この身体にもだいぶ馴染んできているということだ。
肌にはあでやかに朱がさして、目に見えて血色が良くなっている様だ。
「これもそなたの毒を抜くためじゃ」
とん、と肩を押して柔らかな寝具に押し倒し、双頭の水晶細工を酒で濡らす。
口の端を吊り上げ舌なめずりして、滑らかに磨き抜かれた一端を供物のふとももの間の逆三角形の隙間に突っこんだ。
ぐにゃぐにゃと不規則に滑って動く張型の、段々になった凹凸が行き来するたび秘所を押し開いて刺激を与える。
「さて、そなた一応供物であろう? ならばこの身に仕えるが道理よな。奉仕せよ」
肌襦袢を脱ぎ去り、長い黒髪の下、金色の翼と太いしっぽが生えた背を向けて。供物の顔に腰を下した。