2015/11/08 のログ
ロザリー > 「お前らしくもない言葉だな、魔王も恐れぬお前が何を恐れるというのだ?」
半分からかうような声色でそう問いかける
意外な答えであっただけに、それは気になるものだった

「そうではない、なんと言えば良いのか吾にもわからぬが…」
少し惑うような視線を、湖面へと泳がせる

「…吾は元々人間であった…と言うのは、薄々とわかっているだろう?」

これまでの会話の中でも、そう臭わせる言葉は使ってきていた
だから恐らくこのソードという男にも、そう伝わっているだろうと

ソード > 「さぁな。……そうだなぁ。俺ぁ……惚れた女が死んじまうよりも、惚れた女が……壊れちまうのが怖ぇ、かな。」

酷く抽象的な答えだった。
それこそが、男の唯一恐れるもの、とか、そういう事ではなく、今の話の流れからの連想だろう。
果たして壊れる、というのは、死ぬとは違うのか。肉体の事か。精神の事か。それとも心や人間性なのか。
そういう具体的な事は示唆せず、ただ漠然と言葉を紡いだ。

「?……ああ、そうだな。まぁ、何となくはそーなのかなー、と。見た感じ、ミレーではねぇし。」

彼女の言葉を黙して聞き、問いかけが返って来ると、首を傾げはするものの、すぐに肯定は返した。
この男も頭の使い方が偏っているだけで、決して莫迦ではない、筈で。彼女の会話からそれを読み取るくらいの事はできた。

ロザリー > 壊れるほうが、という言葉を耳にいれ、その目を細める
抽象的ではあるものの、そのニュアンスはよく伝わるもので

「吾はキルフリートという魔女の家系に生まれた娘であったのだ。
 故に、幼い頃から魔道書に囲まれて過ごしていた。
 小さな村であったが、吾らに向けられる目線は冷たいものであってな、祭事などというものもただ窓から眺めるだけであった」

なぜこんな話をしているのかが自分でもわからない
先ほどの光景と、その話が思い出させたのだろう
きっとそうだと自分に言い聞かせておく

「忌み嫌われ迫害されていた吾はただただ魔術と魔道の研鑽を続けた。
 あれは13の時だったであろうか…吾は異世界の魔神を召喚することに成功したのだ。
 しかし、どのような恐ろしい魔神が現れるのかと思えば、それは吾と年齢も近いような少年の姿をしていた」

くるりくるり、懐かしむような声色で、自身の長い髪を指で巻取り何かをごまかすように、話が続く

「吾はその姿に、つい願ってしまったのだ。魔術をどれだけ修めても、どんな魔法を覚えて生み出せなかったものを。
 『私の友達になってほしい』、と……それで、吾に生まれて初めての友人が出来た。
 …純粋に喜んだものだ。その頃はまだ、吾も魔神と人間に寿命の差があるなど考えもしなかったからな」

ソード > 彼女が語り出す。
男が知らない、彼女自身の事。
そもそも男は、彼女の事など何も知らない。
しかし、そんなものは当たり前なのだ。聞かねば、話さねば、知る事はできない。
それが、理解という名の勘違いであっても。
黙して聞く。
彼女の生まれを。
彼女の、おそらく吸血鬼としての始まりを。

「―――………………。」

今は、余計の合いの手も不要であろう。
黙って聞くのみ。ただ、ちゃんと聞いている、という事を示すかのように、こく、こく、と時折頷く事はする。

ロザリー > 「…もう話さずとも理解るであろう?
 吾がヴァンパイア、不死者となり永遠の時を求めたのは、ただ一人の友人と永遠に離れたくなかったからなのだ。
 魔術の研鑽に人の寿命では時間が足りぬ、というのも方便ではないがな」

そう言って、くすりと笑みを浮かべる

「つまらぬ話であったな。
 吾はお前のようにはなれなかったということだ。
 ただ一人の友人が出来たことが嬉しく、そこから逃れることができなかった」

ソード > 話が終わる。
彼女の言う通り、確かに結末の想像は容易な内容であった。
笑みを浮かべる彼女を見返す。
そして、ゆっくりと首を傾げた。

「別に、いいんじゃねぇの?」

男には彼女の懊悩はわからない。
聞いていないからだ。だから、考える。
男の頭で。感じ方で。
その上で、笑みもなく答えた。
彼女がたとえどう思っているのだとしても。
男は明瞭に、彼女を肯定した。

「いいじゃねぇか。そのダチと離れたくねぇ、って、おめぇが決断したんだろう?
すげぇ事じゃねぇか。おめぇは決断したんだ。
そのダチに対する感情も、命さえ続けばその約束が守られるって事も、そのダチの存在も、何もかも。
てめぇで信じて、肯定して、その上で、決断したんだろが。」

座した尻をズラして、男は彼女に向き直る。

「誇れよ。ロザリア。ロザリア・キルフリート。
城主の立場よりも、不死者である事よりも、おめぇのその決断こそが、一番スゲェ事じゃねぇか。」

鋼色の瞳で、彼女を見つめながら。

ロザリー > 「……そのような言葉を返してきたのはお前が初めてだな。
 …と、そもそもこのような話をしたのがお前くらいであったか、ふふ」

思わず笑いが溢れる

「しかしその決断は孤独に対する恐怖があってこそのものだ。
 吾の人としての心はその時に凍てついたまま、これからも変わってはいかぬ。
 恐怖を知ってはいてもその中の希望という光を知らぬ。
 恋を知ってはいても、愛というその先を知ることがこの先も決してない」

夜風に黒紅のドレスを靡かせ、ソードへと振り返る

「…良いものを見せてもらった。久方ぶりに人であった頃を思い出したよ。
 それに、神の血というのも、なかなかのものであるということを知った」

残念ながら人の血の流れないこの身では酔うことは敵わなかったようだが、
ロザリアは微笑みつつ、空となったカップをソードの脇へと置く

ソード > 彼女が笑って言葉を返してくる。
ん、と男は小さく声を漏らしてから、頬を掻いた。
そしてひどく、奇妙な表情を作る。
照れている、のか。
どんな貌をしたものかわからないような、そんな貌。
続く彼女の言葉を受けて、再び彼女へ向き直ると、彼女のドレスが風に靡くのが見えた。
眼を細める。
言葉を終え、彼女がカップを己の脇へと置いた。

男が、その手を掴む。

「―――……。」

無言だった。
無言で、男はその鋼の瞳で彼女を見つめた。
その力は、かつて彼女を凌辱したあの出逢いの夜を彷彿とさせるもの。
その瞳は、かつて彼女にもう負けてやらないと宣したあの夜をを匂わせるもの。
そして、意外に能弁なこの男にしては珍しい、その無言は、彼女のきっと知らぬもの。

多分、言葉にならなかったのだ。

しかし男は、自らその手を、離した。
今夜は。

ロザリー > 「お前もそんな顔をするのだな」

手を引こうとしたところを、掴まれる
力強い、雄の握力
否応なくあの時のことを思い出す

そうか

この男は『先』を求めているのだ
凍りついた時を生きるロザリアには、その理解が遅れたのであった

やがて手を離されると少しだけ意外そうな表情を浮かべ……

「……ふふ、気を使わせてしまったようだな。
 良いぞ、ソード。お前が望むというのならば相手をしてやろう…が、
 前のようにいくとは思わぬことだ。誰に数百年享楽に生きてはおらぬのだからな?」

腰を下ろしたままのソードを見下ろす蒼碧の瞳
それは少女のものにも関わらず何処か妖艶で

「…その時は我が城で歓迎してやろう。愉しみであるな…?」

その声が消えゆくと共に、少女の姿が小さな蝙蝠となって散り散りに空へと羽ばたいてゆく
それは月灯りのない空に紛れ、間もなく闇の中へと消えてしまう───

ソード > 闇へと消えてしまった彼女。
暫く男はその虚空を見つめた後、ばりばりと頭を掻いた。

「―――ばっかやろう。」

適当に後片付けをして、リュックを背負い立ち上がる。

「あんな女みて、」

言葉の続きは闇に解けて。
男は、夜の平原を駆け抜けていった。

ご案内:「湖畔」からロザリーさんが去りました。
ご案内:「湖畔」からソードさんが去りました。
ご案内:「王城の一角」にツバキさんが現れました。
ツバキ > 王城の奥にある資料室、そこに一つの人影が佇んでいる。
棚から資料を取り出しては、それに目を通す…その姿は、本来この資料室を管理する男性の姿だった。
だが、それは仮初の姿。
では本物の男性はどこへいったのか、資料室の端、書架の影になる場所に気絶させ縛り上げて転がされていた。

1枚1枚ページを捲り、中身を確認していく。
内容はこの国の歴史やら何やらっぽいか、自分としては興味はないのだが、仕方なく覚えていく。

ツバキ > 記憶術、目を通したものは長い時間でなければほぼ全て記憶しておく事が出来る。
こうして資料等に目を通し覚え、場所を変えて写しを作成するのだ。

この国に着いた時は本当に、どうしたものかと考えてしまったもの。
でも色々とあって王城?と呼ばれるこの場所まで辿り着けた。
さっさとここにある全てを調べ上げ、写したものを国に送れば任は終わる。
そうなれば、後は自由だ。
この国を色々と巡ってみたい、どんな風景があり、どんな者達がどんな生活を送っているのか、興味はある。

任を終えた後の事の想像を膨らませながらも、その行動は資料を静かに整理している者のそれに見えるだろう。

ツバキ > 資料を調べていけばいくほどに、なんだか複雑な国と国の関係を理解していける。
どうやら、この国は人間に支配されている国で、隣にこの国を侵略しようとする魔族、とやらが支配する国があるらしい。
そして魔物とかいう存在があり、人間の生活を脅かす…これは自分の国でいう妖怪みたいなものだろうか?
奴隷の扱いを受けるようになったある種族、そのほか色んな種族が居るらしい。
…なるほど、何人も人外である事を感じたのはそのせいか、ふと港湾都市とやらであった者、山中で送ってくれた者を思い出す。
あの者達も、そのうちの何かだったんだろう、そう思う。

そんな感じで調べていれば、どんどんと奥へと進む形になる。
奥へと進めば更なる古い歴史を記された書物等を見付けれる。
中身を開いては国の歴史が関連した物を選別し、記憶し続けていき。

ご案内:「王城の一角」にルーキフェル(光)さんが現れました。
ルーキフェル(光) > 「おーほっほっほっほ。
 今日もわたくしは美しいですわ」
『まことに美しゅうございます、ルーキフェル様』
資料室に、アホな自画自賛をするアホが入ってくる。
そんなルーキフェルは、十数名程の従者を連れていた。
ちなみに従者達は、アホな自画自賛に同意する姿勢を見せながら、内心呆れ果てている様子。

「あなた方愚民は、高貴なるわたくしを崇めていればいいんですの。
 さて、それでは必要な資料を集めますわよ。
 従者達、早く集めてらっしゃい!」
『仰せの通りに』
従者達は、ものすっごく嫌々な感じで散らばっていく。

そんな時、ルーキフェルの瞳は一人の男を捉える。
「あなたは管理人の方ですわね。
 資料を整理してますの?
 それはそれは、愚民らしき雑用、御苦労様ですわ」
ルーキフェルは、管理人と化しているツバキに話しかける。
嫌味をこめているというより、単に見下しているといった感じ。

ツバキ > 資料室へと入ってくる足音、その音に反応するように手にした書物をぱたりと閉じる。
ゆっくりとした足取りで入り口へと向かえば、そこには入ってくる従者達を連れた女性の姿。
どうやら会話から、この女性が中心人物である事、その名前がルーキフェルだという事が分かった。
そして、従者の様子からこの女性は変わり者であり、嫌々付き合っているのだと考える。
ともあれ、合わせるしかないだろう、女性へと恭しく頭を下げる。

「おぉ、何方かと思えばルーキフェル様ではありませんか。
その通りで御座います、私はここの管理を任せれて居るものですが…如何様の御用で参られたのでしょうか?
私で宜しければ、是非ともお手伝いをさせて頂きたく思いますが」

その見下したような視線を受けながらも、にこやかな笑みを浮かべる男性の表情を作り上げる。
なるほど、この男性はここの管理人だったのか。
それならば手伝いを名目にして資料を調べる続きでもしていようと考え、願い出るふりをした。