2015/10/29 のログ
ご案内:「リーヴェンス家の邸宅」にゲーデゼックさんが現れました。
ゲーデゼック > (リーヴェンス家。辺境に領地を持つ地方領主のごとき王家が王都マグメールに構えた邸宅に訪れたのは、宮廷魔術団に椅子を持つ魔導士、ゲーデゼック。)

「ああ、ご丁寧にありがとうございます。よろしければこちらを。」

(案内をしてくれた使用人へと、手土産を預ける。中身は、茶葉の詰められた瓶…それも、特別製のものだ。
 本来であれば、それらは本日尋ねた先…ユージニア様にお見せしてから受け取っていただくのが正しいのであろうが…。)

「本日の茶にでも、ご利用いただければ。」

(ソレを押し通すほどに、この魔導士の侵食は始まっていた。精神を操り、支配下に置く呪いが、徐々に使用人たちにかかりはじめているのだ。
 しかし、今はそれが重要なことではない。重要なのは、この後に始まる、麗しくも純な、咲き誇る花の如き巫女への授業の時である。
 応接間へと足を踏み入れれば、今日の授業で用いる道具、次の課題に用いる書物などを、テーブルに並べさせていただいたのち、椅子の一脚へと腰をおいて、ユージニア様の来訪を待つのである。)

ご案内:「リーヴェンス家の邸宅」にユージニアさんが現れました。
ユージニア > 「ゲーデゼック様。今日もお越しいただきまして、ありがとうございます。先ほどは、わざわざお茶までお持ちいただいたとか」
(魔術師の来訪を聞き、姫巫女がその姿を現し丁重に一礼する。腰のところには、先日預かったユリの花の装飾の護符。)

「お茶はあとで、楽しみにいただかせてもらいます。
 今日もご教授、よろしくお願いいたします。」
(今日の教材の並べられた机の上を興味深く見つめながら、先日手元に預かった水の魔術の本を差し出し、席に着く)

「水の魔術の書、興味深く読ませていただきました。
 どこからなりと、お試しください」

ゲーデゼック > 「これはどうも、ユージニア様。過分なお言葉、うれしく思いますぞ。
 茶葉については、私の育てたハーブも利用しておりましてな。次の講義の際にでも、ご感想をきかせていただければ幸いです。」

(腰を上げて、臣下としての礼をとる。この程度は、腹芸にも入らぬ社交だが、茶葉のほうは違う。
ただ、用いているハーブに、多少魔力をこめた。それだけの小細工。だがそうして、ゲーデゼックの魔力に身をならさせて、少しずつ、染め上げていくことが目的であり…その目的には、弱弱しく吸収しやすいほど効果的なのだ。

「ユージニア様の勤勉さを、学院の生徒方にも見守っていただきたいものです。
 …では、まずは書の内容の理解度から溜めさせていただきましょう。
 まずは簡単な顧問より…
 一つ、水の属性、その特質は何か?
 二つ、それを用いるのであれば、どのような分野が考えられるか
 三つ、水の属性を帯びた触媒を魔術行使に利用する場合、どのような形となるのが効率が良いか。
 この3つについて、順にお答えください。」

(片手を掲げ、一つ、二つ、三つと指折り質問を重ねていく。第一の問は復讐であるが、第二、第三の問は、それらから得た知識より、発展させて考えさせるためのものであった。)

ユージニア > 「いえ、宮廷魔術師としてのご多忙を縫いお越しいただいているのは、私とて承知しております。
ハ―ブまで育てられているとは、少々驚きましたが…はい、次の機会にはぜひ」
(こちらももう一度礼を返す。ハーブは様々な種類があるため、部分的なことしか知らないと素直に告げながら…師の問いに耳を傾けて)

「はい。ひとつ、水の属性は、変化をしめすもの。
 ふたつ、雨や小川の分水としてならば、大地を潤す農業。
 または様々な飲料としての役割、薬などの媒介。
 三つ目は…やはり、薬などを溶かして飲みやすくする。
 または散布しやすくするような形がよいのではないか、と。」
(こくりとうなづくと、同じように指折りながら。真摯に考えを述べていく――娘の身近にしばしとどまるならば。
ほのかに花の香りがするのも、気がつくかもしれないが)

ゲーデゼック > 「ユージニア様のために時を使う。それは至上の贅沢だと思いますれば。
 …騎士団などに卸すため、ポーションの作成も業務のうちですゆえ、簡易的な栽培は趣味の一環です。」

骨ばった、健康的にはまるで見えない顔立ちに、笑みを浮かべる。
そう、目の前の瑞々しい少女を味わうためならば……。

「よろしい。」

その欲の向く先、ユージニア様の告げた回答に、満足げにうなずいた。

「点数を与えるとすれば、一つ、二つの問は90と言っても良いでしょう。
 ただし3つ目の問だけは、70と言ったところです。まあ細かな点ではありますが。
 先の言い方では、水に薬を投じた場合が論じられておりましたね。散布についても、水に入れ、水を変質させる、という活用の仕方です。
 ですが、逆に。水に浸すのではなく、水を浴びせる、あるいは水墨画のように水を塗り付けるという活用法もありえます。」

要するに、と一言前置きを口にして、

「水の中へと受け入れるという変化だけではなく、自ら他者の中へと入り込むことで効果を表す。この視点を忘れぬようにしてください。
 この活用法については、主に聖水の利用などがあげられます。邪なるものを退け、洗い流す。しかしこの聖水という液体は、光の魔力などを宿しているのではなく、水の魔力を利用したものなのです。
 どのような変化がおきればそうなるか、お分かりになりますかな?」

今度は、少しばかりわかりにくい言葉を交えながらの問いかけ。これは正当よりも、考える力を養うためのものだ。

ユージニア > 「ありがとうございます。
 あぁ、ポーションの材料なのですね、ハーブは。」
(宮廷魔術師ならば、当然そういうポーション作成の依頼などもあろうと、素直に納得する。
 そして、あちこちで魔物などが出現する荒れた時勢では、さぞかし激務でもあろうと…むしろ尊敬の念を抱いて)

「70…はい、おっしゃる通り、水を受け手とする形を考えていました。
 聖水について言うなら――あれは。なにかに浸食されたものの身に沁み込み、
清らかな水そのものの力と置き換えるようにして、邪なものを外へと流し出す…仕組みではないか、と」
(もちろんその水に、光を宿せばさらに強力になるのだろうけれど。清らかな水そのものの力は、決して弱いものではない。
それでどうでしょうか?と尋ねるように見上げて)

 

ゲーデゼック > 「劇薬として用いるものとしては、鉱石なども扱いますが…危険性を考えれば、ユージニア様が扱うことはないでしょうな。知識としてだけ、覚えていて下され。」

ポーションについての話は、緩やかく首を横に振ることでで打ち切ろうとするが。
男のこけた頬や骨ばった体躯から、激務に応えているように見えるかもしれない。

「うむ、原理としては間違っておりませんな。
 水の属性と、邪なる肉体に抗う肉体に新たに浸透させることで、邪悪と肉体の間に挟まるようにしたうえで、
 水そのものもまた、先に告げた水の受け手として、邪なる力を受け入れることでその力を弱める。
 そして、物理的な要因として水をぬぐい落せば、手早く清浄にすることが可能。これが聖水を用いるにあたっての、魔術的な思考となります。」

お忘れませぬよう、と言い聞かせるよう、強めの口調で告げておく。光の魔力をこめた水は、聖水とは別のものなのだと。

「さて、しかし。これらの水の属性、その力を高める方法はやはり、魔力を流し込むことです。
 水の属性を帯びた魔力を、水に籠める。これにより、水の属性たる変化はより顕著となる。水の魔術を扱う上では、避けて通れぬ問題です。ゆえに、今日はこちらを。」

そう告げてテーブルの上へと並べて見せたのは、3つの瓶。それぞれコルク栓が別の色であり、赤、緑、青となっている。

「これら3つは、すべて別の水です。ユージニア様には、すべての水に魔力を流していただき、どの水が魔力を流し込みやすかったかを、当てていただきましょう。」

(左寄り、赤、緑、青。数値の高いものほど、魔力を通しやすくなるのです。)
[3d10→3+6+7=16]
ユージニア > 「はい。」
(劇薬ともなれば、専門的な分野。直接扱うことはまずないだけに、道理として受け止めて)

「あ、…わかりました。水は中和という役割も果たしているのですね、置き換えるだけでなく。」
(強めの口調で告げられ、足りなかった部分に気がつく。神殿だけではない魔術的なものの見方に、目を輝かせ聞き入り)

「…別の水、ですか。ただ見た目では差があるようには見えませんが――やってみます」
(コルクの栓の色がなければ、違いがないように見えるが。
きっと地域や手を加えたかなどでの違いがあるのだろう、と推測して手をかざし…赤、緑、青と魔力を注いでいく。
透明な水に魔力が注ぎ込まれ、その魔力に染まっていくイメージを脳裏に浮かべ…比べてみれば、どうやら)

「…赤、が一番…時間がかかったようです。緑と青では、ほんのすこし、青のほうが時間が早い感じが。
 ですから、青、緑、赤…の順で流し込みやすかった、と観ました」

ゲーデゼック > 「その通り。」

中和、とその言葉を聞けば、満足げに骨ばった顔に笑みを浮かべる。

「変化とは、柔きを硬くもすれば、堅きを柔らかに解きほぐすことでもあります。
 変容し、結びつける。複数の物事を中和し、寄り添い合わせることが水の力の一端となるのです。
 それを正確にするためには、今行っている、魔力を水に流し込むという仮定が必要なのです。」

語り聞かせながら、ユージニア様が瓶の中の水に魔力を注いでゆくのを見る。
あの魔力量。未だ稚拙ながらも行ううちに洗練されていく様…そして、魔力を注ぎ終えたのちの判断力に、顔に浮かんだ笑みが深まった。この巫女姫は…使える。

「素晴らしい。その通り、魔力のとおりの悪さについては、それであっています。
 まず赤の瓶ですが、こちらには、濾過した私の血液をほんの少し、混ぜ込んでおりました。それ故に、私の魔力、そしてほのかに残った魂の力が他者を阻んだのでしょう。
 そして、緑。こちらは光の魔力を、神殿のほうで籠めていただきました。光の魔力をこめた水は、聖水とは違い、闇やよこしまな力を弾き飛ばす、そうした攻撃的な扱いとなるがゆえに、他の魔力と調和しづらいのです。おそらくは、ユージニア様に光の魔法の素養があった故に、といったところでしょう。
 そして、緑とあまり差がないと感じた青の水ですが……これは、その辺の井戸で、”地下水"を汲んだ、ただの水です。 さて、それでも緑の水にも抵抗は感じたと思われるのですが、その抵抗の源は何だと思いますか?」

ユージニア > 「双方に自在に行き交い、結びつかせ、添い合わせる…ですね」
(水の力。漠然と捉えていたものが、言葉によって明らかに浮かびあがり、イメージとして鮮明となる。
魔術の奥の深さを少しづつ意識していくそのうちに、魔力をつかいこなすその技術も、自然、磨かれていくのだろう)

「青が普通の井戸の水、ですか。
 赤の水の抵抗の高さは、お話でわかりましたが…血、というのは。濾過しても、その魔力や魂の影響が残るものなのですね?」
(と、そこは向学心から、確かめるように尋ねてから)

「緑の水。光の魔力をこめてあるなら…おそらく、ですが。
私の中の他の魔力、水や土などにも反応したか――私が巫女とはいえ、人間であるゆえ、でしょうか?
人間は純然たる光ではない存在、ですから」
(そうしばらく思考したあとで。自分なりに考えた、抵抗の源を述べてみる――)

ゲーデゼック > 「ユージニア様は、センスが良い。 そこまで理解できているならば、初級の魔術を使いこなすのもすぐの事でしょうな。」

ああ、実によろしい…とても、とても良いことだと。笑う顔の裏では、弟子としても求めてしまう欲望が渦巻く。

「その通り。魂を持つ者とかかわりのあるものは、わずかではあるが抗魔力を得るのです。
 そして井戸の水は、地下水です。つまりは土の下にあった。これにより、若干の土の要素が入ったため、それが抵抗となったのですな。純水ではないが故、ということです。」

好奇心か、あるいは向学心か。問の言葉には喜ばし気に応えよう。教えがいのある生徒はとても良い。気持ちよく学ばせることができるし…優秀なればこそ、支配した時の利益も大きいのだから。

「ふふ、そちらは少し違いますな。 形なき水とはいえ、許容量が存在し、そしてそれに満ちた場合、魔力が通りにくくなるのです。
 今その水には、光のちからが満ちています。 ゆえに、水のもたらす中和の力も弱まっている。
 そうなれば、人の身の光の魔力では安々とは緩衝できないのですよ。」

ユージニア > 「ありがとうございます。神殿での修業は、理論というより、感覚を磨く一面が優先しておりましたから…こういう授業は。
とても興味深いのです」
(思わず魔術師の笑みにつられるように、少しはにかみながらも、嬉しそうに応えて。さらに語られる言葉には、熱心に聞き入り)

「かかわりのあるもの…では、血に限ったことではないのですね?その、抗魔力を持つのは。
 …土の下…ですね、汲み上げたばかりならなおさら土の影響を受ける、と。泉のように大地の上にわき出た水ならば、
純粋に近い、ということでしょうか?」
(さらに質問をしながら、解説を聞き。)

「許容量…光と闇の力は、他の元素系の力よりも強いと解釈していましたが…
基本、ある魔力に満ちている状態を揺るがすのは、簡単ではないということでしょうか。」
(封印などでもたぶんそう、なのだろうけどと。魔術師の言葉を噛みしめて、解釈を述べてみる…今は純粋に学問としての疑問であり、問いかけ)