2015/10/18 のログ
ロザリー > 「……ふぅ」

唾液の糸を引いて、その指から口を離す
心なしか、少し表情が緩んだようにも見える

「アルタードショックと言ってな…。
 肉体が不死者に変質していく過程で耐え切れず…という者もいるのだ。
 ふふ、人の場合は…五分五分といったところか」

服を脱いでベッドへ上がる様子を見れば僅かに目を細める

「良いのか?死んでしまっても吾は知らぬぞ。
 …吾はとある事情で今は血がいくらあっても足りん。…奪えるものなら、奪ってしまうが…。
 しかし貴様が吾を噛みたいという理由はよくわからん、ミレー族の習性か何かなのか…?」

そう言って小首を傾げる

キスカ > 「変異が起こるかどうかもわからないけど、もの凄く身体に悪いっていうのはよくわかったよ」
「だから君が噛んで、もしも私が死んだらこれを飲ませて」

混沌を煮詰めたような、どす黒いタールにも似た薬液の詰まった小瓶をみせる。

「教団の秘薬で、もの凄く強い強心剤みたいなもの。死にたてほやほやの人にダメ元で飲ませる薬」
「蘇生薬と言われてるけど、劇薬すぎて普通の人は耐えられない。一生のうちに二度も三度も使えるものじゃない」
「私はまだ使ったことはなかったけど、あとはミレーの生命力とかでどうにかするから!」
「それで、私は私のままでいられる…かもしれない。そのまま死んじゃったらご愁傷さまだね!!」

イレギュラーにイレギュラーを重ねて変異の工程を無理やり止める、みたいな話。
いぶかしむ様子に笑って首を振る。

「ミレーは関係ないんだ。個人的な好みの話。噛んだ人はいつもそのまま死んじゃうからさー」
「でも、死なないのなら何度でも楽しめるはず。だったら悪くないかなって」

動きづらそうなドレスの、細く絞られた腰のくびれに抱きついて豊満な胸を頭でもちあげる。

「食事の時間だ!!」

ロザリー > 「ふむ」

小瓶を受け取り、まじまじと見る
秘薬、どれほどの効果があるかは知らないが、これまで多くの人間を噛んできた
3分を超えて蘇生しなかった者にグール化を免れたものはいない
使うとなれば、そこがリミットだろう
…ただ、それなりに疑問もあった

「ゆきずりの吸血鬼に命を託すなど、酔狂な娘だな」
小さく微笑む
こういった、探究心の強い者は嫌いではないのだ
なぜなら、自分が人であった時、そうであったから
無限の寿命を求めたのも、また───

「ふふ、何だそれは、単に噛み癖のある猫とは話が違いそうであるな」

するするとその白い肌を撫でる
腹を、背を、そして自らが牙を突き立てるであろう首元を

キスカ > 「私は悪いミレーだからさー」
「昨日のことは覚えてないし、明日のことはわからない。君といる今が全てなんだ」

引き裂いたら怒られるかなこれ、と思案しつつドレスの胸に指をかけて引きずり下ろそうとする。

「猫はみんな狩人なんだよ。獲物を追う術も、いたぶる愉しみもよく知ってる」
「私の願いも、吸血鬼なら叶えられるはず。私だけじゃなくて、ロザリーにも命を賭けてもらうつもり」
「その代償に差し出せるものはひとつしかない……でも苦しいのは嫌だから薬はさっさと使ってほしいな」

強靭な筋力を秘めているとは露ほども感じさせない、瑞々しい肌が吸血鬼の手を受け止めた。

「ぅぁ………」

生命が危機に瀕する焦げつくような感覚に痺れ、恍惚と震えて。

ロザリー > 「それもまた、随分と刹那的な生き方だな …!」

ふるん、とドレスが引っ張られ、白い乳房がまろびでる
一瞬表情が変わるが、すぐにその口元に微笑みを讃えて

「こうやって戯れるもまた良し、か」
ドレスが弾かれるように無数の蝙蝠となって散っていく
後に遺されるのは生気を感じないほどに白い少女の肢体

「…吾にはかけるべき命などとうの昔にない。
 しかし、そうだな……この刹那にお前と対等にはなってやろう。
 先程の血は美味だった。…礼というわけでもないが」

するりするりとキスカの肌を撫でる手が、その腕をとって自身の左胸へと押し付ける
…そこに感じる鼓動と体温はない

キスカ > 「天涯孤独の身なんてそんなものじゃないかなー」
「あ、スゴいの出ました。なにこれ?? 吸血鬼ってみんなこうなの?」

まれびとの社会でもなかなか見かけないサイズの胸に目を丸くする。
おそるおそる持ち上げて、その重量感と指が沈んでいく感覚に得体の知れない感動がこみ上げる。

「わぁぁ手が、手がしあわせだ! これは勝てないなぁ…勝てっこないよ」
「血が出るなら殺せるって昔の偉い人も言ってるよロザリー。でも命がないって…?」

導かれて押し当てられた手のひらに当然感じるべきものがない。
それは生命の鼓動。そして生命の証たる熱そのもの。
豊かな胸の下、丸みがった耳を押し当ててじっと耳を澄ます。ついぞ何も聞こえなかった。

「ノーライフキングってそういう意味だったんだ…? えっじゃあどうしよう??」
「私の願いは、何度でも君を殺すこと。死んでいく君の最期の音を聞かせてもらうはずだったのに」
「そっかー困ったなー。こんな人はじめてだよ! でもそれはそれとして肌は噛んでみたいです」

自己解決しました。

胸の動きを抑えていた下着を取り払い、ロザリーほど大きくもないふつーサイズの胸を付き合わせる。
ベッドの上、向かい合って。腕はロザリーの腰の辺りに。首をかしげて、首筋をさらす。

「はらぺこロザリーはお腹が空いちゃって大変なんでしょ? いいよ。でもお手柔らかに」

ロザリー > 「……そうかもしれんな。
 吾は比較的裕福な家庭に生まれた故、想像でしか共感を得られないが」

天涯孤独とは、不死の肉体になり永遠を生きたとしても絶対に経験できないものの一つ
それはいったいどのようなものなのか……

「む…断じて違うぞ、吾は恵まれた"はついく"をだな…」
言いかけて口を閉じる
こんなことを言ってどうなるというのだ

「そう、不死者が不死者たりえるのは命をもたぬからだ。
 …それはすまなかったな、キスカ。
 あまり派手に噛まなければ、まぁよかろう。……まぁ、その前に…」

目の前に差し出される、いわば据え膳
その白い首元に牙を突き立てればさぞや新鮮かつ美味な……

「…はらぺこではないぞ、断じてな」
一応そこだけ訂正して、はぁ…と口を開き

その首元へ、ぞぶりと牙を立てる

痛みは一瞬
その後は全身を駆け抜けるような快楽が襲い、やがて体の芯から、冷えきっていく
痛みもなく、ただ心地よい中で、確実に死を感じる感覚

人との差異がなければ
特別な祝福などがなければ

同じ道を辿っていくのだろう

牙を突き立てるままにその美酒を味わい、ちらりと例の小瓶へと目を向ける…
なぜこの娘は出会ったばかりの、しかも人とは敵対する存在である自分をそこまで信頼しているのか
…それを裏切るのは、非常に格好が悪いことのように思えた

キスカ > 生命のもとが流れ出ていく。止めどなく失われていく。
背徳的な悦びを感じたのもつかの間のことで。
首筋の傷から毒が回っていくことを感じていながら、何ひとつとして打つ手がなかった。
侵食は恐ろしい勢いで突き進み、強い致死性を示す毒の餌食になるまで全てが一瞬の出来事だった。
荒れ狂う暴威に人体が耐えられなかった。それだけのことだ。

「ぅ、あ……が、っは――――!……ぁあああ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

胸が苦しくなって、全身に火がついてしまったみたいに高熱を発する。
五感は意味をなさなくなって、カッと目を開けば極彩色の狂気が広がっている。
鳴り響く音に耳をふさぐこともできず、煮えたぎって沸騰する血が激痛をもたらした。

「はぁっ……はぁ……ふ、ふ………おそまつ、さま……でした…ぁ―――」

頭蓋の中に響く声。彼女に聞こえたかどうかも分らない。今となっては知る由もなく。

堰を切ったように快楽の波に襲われ、ただうわずった呻きを漏らすことしかできずに。
柔らかな寝床に倒れこんだまま、程なくして心地よい静寂が訪れる。
狂乱の続きを味わいながら、虚ろに揺れる灰色の瞳はおろぼげな薄金を見つめたまま。

口の端には、かすかな笑みを。

ロザリー > 「……ごちそうさま」
口元を軽く拭うと、小瓶を手にとる

「眷属として蘇生するか、それとも哀れなグールになるか…そのどちらもまだ、お前には相応しくなかろう」

小瓶の中身を口に含み、自身は飲み込まぬように
そっとキスカに唇を重ね、中身を流し込んでゆく

アルタードショックから立ち直らせるほどの効果がある薬なのかどうかはわからない
ただ、キスカがそうしてくれと言ったからするだけだ
ゆきずりのヴァンパイアなどに命を託したこのミレー族の少女への信頼の返しである

しばらくして、その口を離し、少女を見下ろす
………吸血鬼化を止める薬や、治す薬というのは色々聞いたことはある、
ただしそのどれもが眉唾ものだ
いましがた飲ませたこの薬の効果はどういうものなのか

…答えはおのずとわかるのだろう

キスカ > 重ねられた唇から漆黒の秘薬が流し込まれる。
食道を伝って劇薬が染みとおり、直ちに猛毒と変わらない劇的な効力を示し始める。

呼吸が止まっていたのはわずか数秒程度。

凍りついていた心臓が跳ねて、何がなんだか分らないままに全身に酸素を送りはじめる。
雪白の肌にいくらかの傷痕が残る裸体が奇妙な姿勢に折れ曲がり、筋繊維が断裂する寸前に弛緩する。
全身の発熱は従前のものを軽く凌駕し、そばにいるものにさえ陽炎が立つほどの熱気を感じさせた。

激しく咳き込み、霊魂には強制的なリブートがかかって大気を求めて喘ぎだす。
苦痛に胸を押さえて、ベッドを掻きむしるその背は汗に濡れていた。

「―――っは、……ッ!!………ぁ、は……!  ……はぁっ、はあああっ!!……はぅ…」

ぴたりと動きを止めたかと思えば盛大に血を吐いて、その咳が止むとぐったりと横たわった。

「………まっず……おぇ…マズいよこの薬………はぁぁぁ死ぬかと思ったぁ…」
「……さっきのお酒…貸して……ちょうだい…ロザリー……」

秘薬の殺人的な後味と自分の血が入り混じって味覚の大崩壊が起こりかけていた。

「―――私、どうなってる…? 牙が長いのはたぶん…生まれつき………」

ロザリー > 「……心臓が動いているか、体が温かいかどうか。
 それで自分でわかるであろう」

目を細めて、ワインの注がれたグラスを手にとり、キスカの口元へ押し当てる

「まったく、お前ほど酔狂な者は未だ見たことがないぞ」

しかし良いものを見せてもらった
あの薬の成分が気になるところだ

キスカ > 「たしかに。ロザリーあったまいい…」

あてがわれた酒盃を一気に飲み干して、元どおりに糸が切れた人形みたいに倒れこむ。
血がごっそり抜けたせいか、頭に靄がかかったみたいで思考がまとまらない。
ふらふらとして重たい頭をもたげ、ズキズキと痛む額を両手で支える。

「たぶん死んではいない、と思うけど…次からはもう大丈夫?」

血を吸われるたびに半死半生になっていたらさすがに割に合わない。
秘薬はもう死んでも口にしたくないし、次は身体が持たないような気もして。

「これでちょっとは君との絆…みたいなのができたかな」
「不完全かもしれないけど、今の私にはそれで十分。まずは友達からはじめましょうってことで」

がくがくと震える細腕を支えに、手負いの肉食獣みたいな動きでロザリーに近づく。
冗談みたいに大きな胸に埋もれて、汗に濡れて乱れた髪の向こう、吸血鬼の瞳を見上げた。

「………ロザリーはいい子だね! 私の勘ってよく当たるんだ」

それだけ言って力尽きて、アンニュイに頭をめぐらせる。
豊かな胸の頂きに慎ましく秘められたもの。新発見が目に飛び込んできて興味をそそられ、手を伸ばして。

「……おぉー…いつもは隠れてるやつだ。こんなに大きいもんねー…」

ロザリー > 「む、いやそれはわからん。
 二度以上血を吸った人間などおらぬからな…」
ふむ、と顎に手を当てて考える
最初に吸った時に人間だった者も次に吸うときには不死者であり眷属である
そればかりはロザリアにもわからぬことであった

「……絆?お前は絆が、友達が欲しかったのか?」
少しばかりきょとんとして、でもその顔はすぐに表情を変えてしまう

「うっ…こ、これはその、乳腺の成長が乳房の成長に追いつかぬとこういうことになるというかその、そういうものでだな」

なんだか恥ずかしがるように突然饒舌になるロザリア

キスカ > 「身体が作り変えられた痕跡みたいなのは残ってるんじゃない?」
「いろいろ中途半端な状態だから、もう同じことは起こらない…みたいな。だといいなー」

だるさが残る手のひら、ぐっと力を込めて、開いて、ぐーぱーぐーぱーと繰り返す。

「友達…うん、友達。夜の散歩好き同士、仲良くなれるかなって」
「ロザリーがはらぺこ吸血鬼で陥没乳首のおっぱいさんでも私は平気」
「いい吸血鬼だって言ってたしさー。実際いい子だったしさー」

周りをつまめば出てこないかなとこねくり回し、陥没した場所に指先をつっこんでみたりもして。

「じゃあどうすれば出てくるのさ! 教えてよロザリー」
「……なんかね、下着。さっきので台無しになっちゃったみたい」

ぐっちゃぐちゃに濡れて貼りつく感覚が気持ち悪く、脚の間から抜き去って投げ捨てる。
まだまだ本調子には程遠いけれど、かといって今すぐ寝込んでしまう程でもなく。

ロザリーのおなかに手のひらをあて、そのまま撫で下ろしていく。持ち前の生命力に感謝しながら。

ロザリー > 「吾も学者ではない故な…もう一度噛んでみればわかるかもしれんぞ?」
にや、と笑ってみせる

「誰がはらぺこ吸血鬼の陥没乳首のおっぱいさんか!!」
むがっ!という勢いで抗議するその様子はどこか子供じみている

「良いか悪いかで言えば悪いであろう、少なくとも人間にとっては害なす存在であ───ひゅあっ?!」

陥没エリアに指を差し込まれてぶるっ、と体を震わせる
血色の悪いなりにその頬に赤みが差してきている

キスカ > 「いいよ、任しといて! また血ができたらその時は。なにか別の方法を考えないといけないけれど…」
「私は害なしまくりだよー。行くとこ行くとこ血の雨が降る! なにしろ悪いミレーだからさ」

不死なる定めを負う前と中身はそんなに変わらないみたいで、くすくすと笑いだす。

「えっそんなに。へー、そういう反応しちゃうんだー?」

指先の形を受けとめて膨らんだ乳輪の、さらに深く中をほじくるみたいにかき回して。
反対の胸に吸いつき、牙を立てて抜けるように白い肌に噛みあとを残す。
同じく舌先を埋め、強く吸いながらぐりぐりと埋もれたものの在り処を探る。

「なるほどなるほど。ロザリーは胸が弱いんだ。こっちはどう?」

自分とは肉のつき方が違うふとももをつまみ、鼠蹊部に沿ってなぞり上げていく。
秘められた場所には触れず、覆い隠すもののない下腹部とふとももを撫でた。

ロザリー > 「むっ!ち、違うぞ、今のはだな…」
攻められ慣れていないだけ、というのは言い訳には余りにもアレではないだろうかと言いつぐむ

「っく…っぅん……っ」
甘い声、甘い吐息
女としての声に変わっていく
舌先に、そして指先に硬くなったソレがツン、と触れる

「だから、そういうわけではないと…むっ…ぅ………」
ふとももをそろりと撫でられればぞわぞわとした感覚に身を震わせた

いけない
キスカが攻めの気分になっていることを感じる
初心な反応を返してしまった自分も自分だが、ここは多くの少年少女を長き時の中で嬲ってきた威厳を見せなければならない
……とは思ったものの、実行に移すタイミングが見つからない

キスカ > 「みつけた! これでしょ? ほんとに出てくるのかなって半信半疑だったんだけど」

いまやはっきりと存在を主張しているそれを舌で押し潰し、手加減もせず牙を立てる。
見せ付けるようにつまんで、玩具みたいに引っぱり回す。大質量が揺れる揺れる。

「ほら見える? こんなに大きくしちゃって。もっと乱暴にした方がいい?」

もちもちとたわみ震えて形を変える胸に歯をたて、痛みを与えた場所を優しく舐めて。
下腹部には手のひらを当て、指で押し広げて深奥を大気にさらす。

「ロザリーはたまたま悪いミレーに攫われちゃっただけ。だれも見てないから平気だよ」

何が平気なのかまでは口にせず、細指を鉤状にかえて秘所に滑り込ませる。

「―――そっか。こういう時でも冷たいんだ? 体温がないから。不思議だねー」

わざと聞こえるように、音を立てて暴いていく。

ロザリー > 「う……むっ…」
まるで声を出すのを我慢するようにその小さな唇をきゅっと噛みしめる

「…わざわざ見せつけずとも良い……」

少しだけ乱れが呼吸で、そう応える
柔らかな白い双丘から顔を出したそれはツンと尖り、誘うようにふるふると震える

「っは……っ♡」

にゅるっとキスカの指が秘部に潜り込み、小さな声をあげる
そこは冷たいままに、それでもとろりとした液体が指に絡む

キスカ > しっぽを器用に動かし、ふわふわの毛並みで冷たい秘所を撫でる。

「わかる? 君が与えてくれた熱。胸の音だってそう」

ロザリーの手を取り、どろどろの熱を帯びた胎のあたりに手のひらをあてがう。

「いつかの君が持っていたもの。今度は私から返す番かなって」

胸に口付けしてはなれ、ロザリーの片脚を抱いて鏡写しみたいな姿勢をとる。
冷たくぬかるんだ場所に自分の熱源をあて、カタチの違いをたしかめるみたいにすり合わせた。

「ん……!! 私が動く、から……いいよ、楽にして、て………っは、ぁ…!」
「……あ、ぅ…そんな顔、も…できるんだ…? いいね! ロザリー…ロザリぃ!」

ふたたび快楽の波にさらされ、腰が砕けそうになりながら名前を呼んで激しくわななく。
幾重にも共振する余韻を味わいながら何度も達して、尚も貪欲に求めつづける。

―――窓辺にはいつしか黎明の気配があって、つまりは夜明けが近づきつつあった。
それが逢瀬の終わりを意味することを、今はまだ知ることもなく。

ご案内:「平民地区のセーフハウス」からロザリーさんが去りました。
ご案内:「平民地区のセーフハウス」からキスカさんが去りました。
ご案内:「牢獄」にヴィルヘルムさんが現れました。
ヴィルヘルム > 【石壁の一角をぽっかり、四角く切り取っただけの窓の体裁を繕った穴から入り込む光はない。
 角度が十分でない故に月光の光しか与えられず、日差しを浴びようにも全身には届かない。
 湿気た空気と何がしか饐えたにおいが鼻に突く。薄ら暗く寒い地下牢獄。】

「――如何せん、何も無いとつまらん」

【妖精の囁き声を紡げど、それを聞いてくれるものはいない。一人ごちてみても、今日は見張りとなる人物もいない。昼間ここに来るものもいなければアソび相手もいないときた。
 看守から貰ったトランプゲームに興じようにも、一人神経衰弱で神経をすりつぶすくらいしか遊びがないのでは世話がない。】

ヴィルヘルム > 【湿気に当てられたマフラーの生地は知らず知らず痛んでいた。また外に出る機会があれば買っておかねばなるまい。
 獄中にあるものといえば、既に読み更けて湿気った広報誌と簡素な毛布。妖精どころか人間として見ても大柄故に手狭ではあるが、"無駄"のない作りの部屋に宛がわれていた。
 どこか遠くへと耳を澄ませてみれば、誰ぞ雌の喘ぎ声が聞こえる。種族は分からないがここに来るものは何割かは人間であるはずだから、そういうことなのだろう。
 すすり泣く声や下卑た怒号に嘲笑。ここに何十年と捕らえられて過ごしている身からすればもう慣れ親しんだ音ばかり。昼夜問わず聞こえるそれは、一定期間を過ぎるとぴたりと啼く声が止むものの、またしばらくすると新しい声が届いてくる。】

「オーク並みか。低脳にヤられるとは猿も可愛そうに」

【順応し、優柔児的な生活を送る妖精は、壁にもたれかかってぐっと伸びをした。】

ヴィルヘルム > 【虚空を眺めて沈黙を守る。時折響く遠くの声を極力排除する。
 ぐ、と立ち上がり、マフラーを外して体に巻いた。それを勢いよく引っ張る!】

「――あーれーおよしになってー」

【くるくると自分で回りながらマフラーを地面に落とす。よろよろとへたり込み、異国の劇中劇を演じる。
 「へっへっへ、体は正直じゃねェか」「はァ、ぅ……そんなご無体な」「ほれほれ、逃げずにもっと近こう寄れ、近う寄れ」「は、はい、ご主人様ぁ……!」】

「………虚しい」

【妖艶とも、上手いとも言い難い演技の末、マフラーを巻きなおしてから壁に手をついた。
 得意分野の多声を出して1人2役を演じてみても口にした通りの感想以外出てこなかった。
 2年ほど前に擬似プレイとして同じようなことをやって暇つぶしに慰めた末に果てたら途端に死にたくなったのを思い出す。どうせ自分は死なないのだけど。
 男性としてやったのだから悪いのだから女性としてやったらどうだとやりなおしても同じ感想が出てきた故に、とことん一人遊びが下手なのだと改めて思い知らされる。】

ヴィルヘルム > 【気を取り直して顔を上げる。窓の外を見ても明るい世界がそこにはあった。
 臥せっているときだと中々に堪える。何かできることは無いか、つまらなさを解消できる物事はないかと頭を働かせてみても、妙案は浮かばない。
 誰ぞに向けた心遣いでや施しを、他の奴隷に与えられればいいものを、良くも悪くも『個室』を与えられては何も出来ない。真正面や両隣にある牢獄は現在空き部屋のため、新たな入居者が訪れるまでは時間がかかる。】

「看守よ、誰ぞおらぬのか。私は暇で暇でしょうがない」

【牢獄の檻に手を掴んで軽く揺さぶってみる。古びているとはいえ、頑強さを忘れさせない強靭な構成。喧しい音が響くものの、それに反論したりわめき散らすような猛者たる奴隷はいない。
 暫くがしゃんがしゃんと鳴らしていた。】

ヴィルヘルム > 「寝るか」

【がしゃんがしゃん鳴らし続けていても特に何も起こらないと踏んで、再び壁へともたれかかって毛布をかける。首が落ちないよう注意しながら姿勢正しく眼を閉じた。

欲望の渦巻く声と、時折聞こえる風の音。外の活気に身をゆだねて、意識は次第にまどろんで落ちていった。】

ご案内:「牢獄」からヴィルヘルムさんが去りました。
ご案内:「設定自由部屋」にヘルガさんが現れました。
ご案内:「設定自由部屋」にカタリナさんが現れました。
ヘルガ > 篠突く雨から逃れるように、居並ぶ、灯りの落ちた家々の軒先を借りる影がひとつある。
黒色の外套も、その上に流れる黄金の頭髪も濡れ鼠の有様。
それなりに降られたからか、あるいは、肩口からじわじわと滲み、掌の先まで流れ落ちる出血ゆえか…
その唇は僅かに紫色の様相を呈していた。誰のものとも知らぬ家の壁面に背を預け、深い溜息が白い煙となって雨中に消える。

「……降られてしまうとは、ね。宿を、探さないと」

悪魔と契約した身とて、超常のちからが備わるわけではなかった。
疲れもするし風邪も引く、そしてこの淫欲が滾る体質上、一箇所に長く留まることは避けたかった。

「最近は休まっていたから…すこし気が抜けていたか。自粛せねば……くそ、私を遮ってくれるな」

体を駆け抜ける寒気にぞわりと震え上がり、軒を滝のように流れ落ちるその向こうも
雨によって見通しが悪い。宿を探すのも一苦労だろう。
腰に佩いた愛剣さえずしりと重荷に感じながら、この雨中に身をおどらせるべきか待つべきか、今しばしの雨宿り……

カタリナ > ゆっくりと雨の中を歩く。
特別、雨宿りをするつもりもなかった。
遅い買い物に出ていたけれど濡れて困るものは買わなかったし。

故に彼女は雨に降られながら、ゆっくりと雨の降りしきる夜の街並みを歩いて居た。

 「……」

はあ、と息が漏れる。
この雨があの時の記憶を洗い流してくれれば、と少しだけ考える。
普段は雨にずぶ濡れになるなんてそんな事はしない。
あの時の事を思い本当に軽い自暴自棄のようなものだ。

死ぬ勇気も、この街から逃げ出す勇気も無いのだから。
だから生きている。
はあ、ともう一度溜息を付く。
先ほどよりは軽く。

 「……?」

己の家に近づいた時ふと、目に留まる。
もう後少しという所の家の軒。
雨宿りをしている一人の人物。
見れば既に同じく濡れ鼠のようで。

少しだけそれが彼女に親近感を湧かせていた。

 「……あの?」

そんな事もあって思わず若干の躊躇いと共に声を掛ける。
どんなに沈んでいてもどうあっても、御人好しという根だけはまだ変わっていなかった。

ヘルガ > 体も髪も乾かしたい。未だに水気が抜け切らない毛先からは、
ぽたぽたと雨垂れが地面に落ちて新たな波紋を刻む。
雨の切れ間が見つからず往生していると、近づく者の気配をとらえた。

「………」

前髪の隙間からその姿を伺う。
殺気のようなものは感じなかった。
途端、相手の姿が随分なものに思えて、
ふぅとため息ひとつとともに壁から背を剥がす。

「きみ……ずぶ濡れじゃないか。旅装ではないのに、傘も持たず」
「そのままでは、風邪を引いてしまうよ?」

自分の姿は棚上げし、一先ずは慮ろう……
年頃の女性、三年前までは守るべき対象として敬意を払うだけだったものに
節操なくずくりとうずく体を、どうにか抑えこみ、唾を飲み込むのをごまかして。

「最近は治安にも良くない噂を聞く、よかったら近くまで送ろうか」
「ついでに……近くに宿があるなら、場所を教えて欲しいんだけれど」

一方的な押し売りにならぬよう交換条件を向ける。
呪いの影響で、皮膚の裏側が熱くなるのを感じながら、
早く離れねば、という感情と、放ってはおけぬ精神が相剋する。
……相手の家がすぐ近く、だなんて考えてもいないのだけれど。

カタリナ >  「あ……いえ、ちょっとだけ、そう、ですね。治安もあまりよくないですし」

あはは、と軽く笑う。
雨に降られているにしては明るい声。
人と話していると先ほどまでの陰鬱な気持ちは何処かへと引っ込んで行った。
その事が少しだけ嬉しくなりながら。

 「大丈夫です、私は丈夫なのが取り柄ですから……宿ですかこの辺りで宿は……」

と言った所で改めて目の前のヘルガを見る。
よく見れば己の状況よりもずっと彼女―――だろうか、恐らく間違いではないと思う―――の方が悪く見える。
そして夜雨で紛れていてぱっと見ではわからなかったが腕を伝い、流れている赤い色。

 「あ……。怪我、してるじゃないですか」

それだけを言えば。
一歩。
躊躇なく、彼女へと踏み出した。

ヘルガ > 「っ………」

近づくな、と声を上げることもできただろう。
けれど、平凡な村娘、それもこの濡れ方を見せられてはそれを飲み込むことしかできない。
雨の香りに紛れて、女が香る気がして、居心地悪そうに目を背ける。
濡れた服に浮かび上がる「女」も、あまりに目に毒だ。

「困ったことに、治安がよくないようだからね。少し小競り合いに巻き込まれたんだ」
「良くないものをみせた。すまない。血は出てるけど、傷はそんなに深くない……大丈夫だよ」

どう見ても怪しい相手に、こうして声をかけられるとは、と
若干の驚きもあった。どこか安堵を覚える自分もいる。
そうしてヘルガは少し考えて、その血をごしごしと濡れた外套で拭うと。

「そうだな、送るついでに…余裕があればいいんだが、包帯や布を分けてくれるかい?」

宿への道は行くがてら聞けばいいだろう。
彼女を家に送り届けられるし、自分はそのまま離れられる…
妙案だ、と思った。
風邪を引いてしまわぬうちに、行こう、と顎を動かす。
彼女が来た方向とは逆、進行方向を示して。

カタリナ >  「ああ。それでしたら私の家で一晩泊まって行きませんか?」

ゆっくりと隣をやはりちらちらと傷が気になりながら歩きつつ。
何気も無く、一切の迷いも無く。
そう彼女はヘルガへと伝えた。

 「どうせ独り暮らしですし、簡単なものですけど治癒魔法なら使えますから」

天性の御人好しなのか、ただの無防備なのか。
どちらか初めて会ったばかりのヘルガには推して知る事も難しいだろうか。

 「騎士様がよろしければ、ですけど」

宿代も浮きますしこれ以上濡れなくて済みますよ、と。
屈託の無い笑顔を向けながら。

ヘルガ > 「きみ……治安が悪い、という話をしたばかりなのに」

歩きがてら告げられた提案には、驚きから、若干の呆れを含んだ顔を見せた。
打算がないことが透けて見えるような表情に、困る。
少女とひとつ屋根の下、など、自分は絶対に拒まなければならない、のに……

「……そう、だな、……旅は道連れというし、厄介になっても……いいかい?」

人恋しさか、もっと暗い欲望か、前を見て歩きながら、
駄目だとわかっていてもそういう言葉がついて出た。
ちらりと横目で見た笑顔に、ずくりと下腹が疼く……美味そうだ、と。

「私はヘルガ。騎士様…と呼ばれていい者ではないよ」
「でも、まぁ……力仕事は得意だから、なにか手伝わせて」

やがてたどり着いた家屋に、此処かい?と問いかける
内部に招かれれば、躊躇いながらもついていくだろう
安堵、そして確かな期待に、気づけば冷えた体の内側が、
熱っぽく火照っていた。

カタリナ > 再度微笑むと「勿論ですよ」と返す。

 「ヘルガさんですね、私はカタリナです。……そう何ですか?」

ゆっくりと軽く小さくお辞儀をしながら、そう名前を告げ騎士、と呼ばれていいものではないと言う所に少しだけ首を傾げた。

 「お気持ちは嬉しいですけど、けが人にお手伝いなんてさせません」

軽く冗談めかして言えば。

 「はい、此処です」

其処には今は閉店しており灯りがついていない暗くなった軽食店、その横にある小さな家であった。

扉を開けて中へと招き入れる。
ヘルガが何を考えているのか―――やはり全く知らずに。

ご案内:「設定自由部屋」からヘルガさんが去りました。
カタリナ > (部屋名変更致します)
ご案内:「設定自由部屋」からカタリナさんが去りました。
ご案内:「平民区:カタリナの部屋」にカタリナさんが現れました。