2022/04/05 のログ
■ラファル > 「ほんとね。」
師匠の様子に、肩をすくめる事で、話の終わりを伝える異にする幼女。
裏社会だからこそ、表ではないからこそ、本来はない筈の物だからこそ、話をそれ以上膨らませる必要がある。
師匠ならば、良く判るはずだ。
師匠の過去、忍という物は、東洋の盗賊ギルドだったとはずだ。
盗賊ギルドの数倍以上、ルールが厳しいと思う、師匠の聞きかじりだけども。
「フレッシュゴーレム……ああ!お肉で作ったゴーレムね!
益々、悪趣味だね。」
最初、衛視ゴーレムの正体がフレッシュゴーレム、師匠の言葉がたどたどしいのだけども、この国の人ではないのでしようのない事だ。
気にもならないので、気にしないことにして、フレッシュゴーレムに関して、ギルドの本で学んだ知識を思い出す。
生物を使い、作り上げるゴーレム。
多分、悪辣なゴーレム制作者のセンスがきらりと光ったのだろう、一石二鳥とかなんとか、で。
とは言え、それを眺める幼女が思うのは、伝えるのは、悪趣味、の一言。
「はーい。じゃあ、これはぶっ壊そー。」
其れなりに、お金になるというのは、幼女の目から見ても判るのだ。
しかし、だ。悪辣な作りや思想、作り方は、悪用される未来しか考えられない。
師匠の言う通りに破壊して、素材にしてしまおう、鉱石には、罪はないのだし。
そう考えて居ると、シュルシュルという音がして、視線を向ける。
何の因果か、トカゲのような形のゴーレムに、蛇のようなゴーレム。
ドラゴンの前に、之を出すのか、此奴らが来るのか。
「かっちーん。」
ニコニコしながら、幼女は呟く。
爪が、ギラリ、と輝いた。
「だれが、とかげ、じゃー!」
誰もそんな事は言って無い、まあ、人竜だから、純粋な竜じゃないから。
一寸コンプレックス的な地雷的な何かに作用してしまったのやもしれない。
ラファルん大暴れ。
師匠のいる扉の外で、どったんばったん大騒ぎ。
■影時 > 「二重に全くだ。……壊さず腑分けしたら、モツが出そうな造りじゃねェだろうな」
忍の一群、一党は盗賊ギルドというよりは、どちらかといえば傭兵の集まりと考えたほうが適切かもしれない。
同業者、同じ職能者の相互扶助ではなく、流派や地方私大で複数の忍びの群れ同士が戦いあうことだって珍しいことではない。
機密保持のために鉄の掟が敷かれていたのは否定できないし、そうするだけの理由もあった。
肉体改造で絡繰りの義肢や、妖怪、魔物の四肢や内臓を縫い付けて異能を忍術として得た流派も、皆無ではなかった。
このあたりの知識や知りえている外道の技は、弟子にあえて伝えていないことも多い。
悪趣味、外道の誹りを受けても否定ができないのは、己も同様だ。
例えば弟子に伝授している分身の技だが、戦場に転がる骸を分身の依り代にして精度や維持のための負担を下げる技がある――といったら、どんな顔をするのか。
先ほど、ゴーレムの中枢を穿って爆ぜ砕いた感覚を思い返しつつ、表情の裏で思うのだ。
穿った感覚は硬い何かだったのは、恐らく核となる宝玉の類でも砕いたのだろうが。
「見本の類で云うなら、……どうやら間に合っているみてェだからな。遠慮なく壊してしまって構わねえ。
って、今度はどんなナリの奴らが出たンだか」
加工前の原石を持ち帰るより、加工過程ごとの状態のサンプル、見本を持ち帰れば、見た目としては良いだろう。
これらを公開するかどうかは熟慮が必要だが、取り扱いに困る悪趣味だが造りだけは巧みなゴーレムを持ち帰るよりは体裁は良いはずだ。
遠く聞こえてくるのは重い足音の連なりではなく、何か這いずるような音と複数の足音と思しい響きだ。
それらを制圧する弟子は、何を見たのか。何か刺激されるようなものでもあったのだろうか。
今いる場所の探索を進めつつ、思いっきり首をかしげて覆面の下で少しだけ不安げな顔を垣間見せる。
さて、工房を引き払う――直前だったのかどうなのかは、整っていながらも散らかった風情も見える場所の様子から伺い辛い。
そのおかげで探索は捗る。
帳簿か、それとも作業の工程をまとめたものなのか。己には読めぬ言語で綴られた本が、卓上に放り出されている。
それを手に取り、ページを手早くめくりながらいくつかの絵図面に目を通してゆく。
「……四角い奴は、嗚呼。地金……なのかね。そうとなれば、置き場所は――このあたりか?」
寓意かそれとも加工の光景なのか。かいつまむ中で、最終的な加工後の「製品」の形状にあたりをつける。
魔族とて、精錬した金属を持ち運びしやすい形にせずに保管するわけがない。
いわば、インゴット状に加工された地金は専用の置き場をこのドーム状の壁に埋め込まれた保管庫に入れていたらしい。
壁に手を付け、氣を流してその反発の有無から探りをつければ、壁に埋め込むように偽装されたスイッチらしい手ごたえを押し込む。
(※判定:最低個数2個+1D6個)
■影時 > [1d6→5=5]
■影時 > ――押せば開く。されば開かれん。
そうして押し込むスイッチに反応し、ぎごがここ、といった重い音とともに壁が開く。
奥に浅く沈み、左右に観音開き状に開く壁に偽装した扉はまさに保管庫のそれだ。
白い光が落ちるそこに、安置されていたのは赤い布の上に整然と並べられた白銀色の水晶の塊ににたインゴットたちである。
一つ一つのサイズは、短剣を鍛えるに足りそうな質量のもの。それが7個。
一緒に数着置かれている白いローブは、作業着なのだろうか。
地味な印象はない。金糸や縫い取りに擬したものは、ある種の護りを意図したものであろう。
恐らくは加工前の鉱石の作用が過剰になる可能性が高い、加工場に立ち入るための一種の防護服のつもりか。
■ラファル > 「今は、もう骨が出てくるのだろう、ね……。」
流石に、今更、臓腑が出てくるには、白骨化しているので、骨以外出てくるのはもう、勘弁だ。
うぇぇ、と舌を出して、不愉快を示して見せる。
忍の里、に関しては、師匠はあまり詳しく教えてくれない。
自分の為との事なので、ラファルはそうなんだ、と理解を示す。
師匠は、ちゃんと伝えるべきことは伝えてくれるし、伝えるべきでないことは教えてくれないのだ。
そこは信用している、信頼もしているので、忍の里の事などに関しては、詳しく聞かないことにする。
外法の事に関して、さて、どうなるのだろう。
幼女は、まだ心は幼い、知識が多くあったとして、師匠の様に割り切れるかどうか。
未だ、その辺りに不安はあるので、教えられてないのは―――正しい判断だとおもう。
もう少し成長すれば、また違うのだろう。簡単に判別する方法がある。
ラファルの分身を使えば、だ。あれは、ラファルの性格を色々と細分化しているのであるから。
分身が嫌悪感を抱かなければ、本体ももう、大丈夫と言う事が示せる。
「はーい。でも、ぶっ壊していいなら、頑張るよー!」
るんるんるん。
残さなくていいと知って、ラファルの声は、返答は、とても、とても明るく元気。
ぶっ壊して良いと言われて、元気がアップ。
遠慮なく、全力で殴る、蹴る、叩きつける、ぶっ飛ばす、吹き飛ばす。
砕く、割る、抉る。
水を得た魚の様にゴーレムをぼこぼこのボロボロにしていくのである。
壁に叩きつけたり……をしたら、崩れたりする可能性があるので、普通に爪爪牙尻尾で。
もう、傷つけられたプライドを埋めるかのように、思いっきり元気に破壊していく。
「ぐぅぉおおおおおおお………んっ!」
粉々になったゴーレムを足蹴に。
幼女は意気揚々と、雄たけび、勝ったよ!と、誰にともなく吠えるのだった。
その後に、ぽてぽてっと、師匠の方に、行くことにした。
「ししょー、ボク、やったよー!」
ルンルン気分。
お宝とか、そんなのはもう、頭からすっぽり。
安全も確保したし、色々お手伝いでも、と。
■影時 > 「木乃伊になってたらまだいい方かもしれんが、……止めだ止めだ。
考えてもつまらんことにしかなンねえな」
確か砂漠の国では大昔、死者を弔う作法として乾燥させた木乃伊にしたなどと聞いたことがある。
その際、腑分けして取り出す臓物は加工をしたうえで専用の壺に封入したのだと。
鉱物と肉体をわざわざごたまぜに、混在させるような造りはなかったが、若しやっているとすれば似たような感じなのか。
考えて――、すぐにやめる。魔力生成にかかわる内臓器官でもあれば兎も角、年月も経ちすぎていれば状態は考えるべくもない。
最終的に破壊してしまうのであれば、結局のところ、どうでもいいの一言で割り切ってしまうほうが気持ちがいい。
外法は知っていれば対策ができる――とも限らないが、よほどの理由がなければ敢えて伝えはしない。
竜種がわざわざそういうリスクの塊の技を頼ると仮定した時点で、相当特殊過ぎる事例だろう。
願わくば、「よほど」のことがないことを祈りたい。
「――おぉ、頑張れ。無茶しすぎない程度になぁ」
帰り際にきっと惨状を見るのだろうが、何か気に障るレベルの代物が出たに違いない。
分身か口寄せの術で出す蟲を向かわせればいいのだろうが、門扉の隙間から漏れ聞こえる破壊音はまことに元気がよろしいリズムである。
武道家の演武、デモンストレーションで動かなくなった馬車を手足で叩き壊す、などという見世物があるが、きっとそれにも近いか。
弟子に与えた小太刀、短刀を使うのではなく、手足や尻尾で壊すのは己がやる以上に回転速度が速い筈。つまり、あっという間だ。
「……――早かったな。茶ァしばく暇もなかったぞ。そも、湯を沸かさなきゃならんが」
やがて聞こえてくる勝利の雄たけびのあと、ぽてぽてという風情で中に入ってくる弟子の姿を片手を挙げて迎え、手招こう。
まずは探索して見つかった事物の共有だ。
目的自体は恐らく、このインゴットとそれに関連する資料類で第一目標が果たせたといってもいい。
だが、この工房区はまだいくつか部屋がある。それに続く回廊らしい道が広がっている。
地下に向かうルートであれば恐らく、精錬加工の場。
同じ階層で奥に向かうルートであると、これは何だろうか。
案内板らしい魔族の言語で書かれた絵図を見れば、広い空間につながっている。まるで、演武場めいた空間が。
■ラファル > 「あーい。」
師匠の言葉に対して、軽く返答を返すラファル。
部屋の外と中、そして、研究室だというのに器用に会話できるのは、単にラファルの技能のおかげだ。
風の竜として、精霊を介さずに風を、空気を操り師匠と自分の短距離ではあるが会話ができるようにしている。
そんな師匠が、深くなりすぎそうな思考を止めるので、それに従って、会話を止めることにした。
師匠ほどに、考察などを考えたりはしてないのだった。
幼女は、腰の刀を抜くことは少ない―――というよりも、基本『抜け』ない。
腰の刀は、師匠の方なの対の小太刀であり、立派な対竜の刀、竜特防の刀であり、実際に言えば、ラファルと相性が悪い。
刀に残る、竜殺しの怨念が認める時に限り、手にし、抜くことができる。
そう言う意味で言えば、ラファルがこの刀を抜く時は、よっぽどピンチでないと、駄目なのだ。
刀に邪竜認定されてしまえば、ラファル自体が、この小太刀の餌食ともなるので、そうそう使う事が出来ないのだった。
今回は、一寸いらっ☆と、したので、人間の枠を超えた。
人化の術を一部といて、尻尾をだしているのだ、竜の尻尾は、其れこそハンマーのような物だから、がっつり殴り飛ばせる。
其れもあり、ゴーレム程度など、小型の台風のラファルの前では、歯が立たずにあるのだった。
「ただいまー!ちょっとヤル気だしたー。」
てへぺろ、と言わんばかりに舌を出して、笑い乍ら幼女は師匠の下へ。
手招きされるがままに近づいてインゴットと、資料を確認する。
資料の方に関しては、確りと内容も覚える異にする、読めなくても書き写すことはできる。
いざ、書類が無くなったとして、覚えてしまえば複製も出来る、この辺りは、人外だから出来る芸当。
「……大物が居そうな広さだね?」
下に行くの?
ラファルは師匠に確認をするように首を傾ぐ。
行くなら幾で問題ないし、逝かないなら行かないで引き返すだけの事だから。
■影時 > いざとなれば、雇い主を経由して念話を飛ばすという手立てもあるが、今この場においては弟子の術を介する方が会話には早い。
伝言ゲームになりがちな大きなネットワークを経由するより、小規模なローカルで完結する方が一番シンプルだ。
魔力の扱いが難しいところであったとしても、今己がいる場所については問題が排除されている領域だ。
(……――これ見よがしに“ある”ということは、安全が確保できている場所でも何かあるということか?)
だとすれば、どうだろうか。
この工房区に巡らされているであろう防護は外側からの魔力収奪を防ぐためのもの、と実感として考えることができる。
いわば安全圏としてある場所で、守りを用意するのは万が一その守りを破られた際の備えか。
それとも、安全圏内であるにも関わらず、あえて備えを用意しなければならない何かがあるということであろうか。
そう考えながら、発見したローブの一着を掴む。
年月が経ているにも関わらず状態がいいのは、保存が良かったのか。否、生地自体が何らかの特殊なものだろうか。
それを柿渋色の羽織の上から肩に重ねる。色合いの組み合わせがあまりよくないのは是非もないが。
「おかえり。やる気出しまくりだったな、全く」
ともあれ、元気いっぱいにやる気満々の所業を見せた弟子に笑いかけて、とりあえず発見物を近場の卓上に運び出す。
インゴット類は敷布を風呂敷がわりにして包み、めぼしい書籍類もまたサンプル類ともどもまとめて包めば、一先ずは整うか。
魔法の収納アイテムでもあれば、それに放り込めば恐らく済みそうな物量だが、さて。
「……下は恐らく精錬加工の場だろうなぁ。見分しても愉しそうだが、俺は向こうの方が気になる」
行くとすれば、後回しだ。首を横に振り、奥の扉を指し示し――歩き進む。
手に触れた扉は、固く閉ざされている。否、それが不意に施されている鍵が砕けて、開くのだ。
(お遊び判定⇒1:剣 2:槍 3:双剣 4:槍 5:槌 6:杖)
■影時 > [1d6→5=5]
■影時 > 開かれた扉の奥は、いわば円型の演武場でありデモンストレーションの場らしい。
この工房のどこかで鍛造された、作り上げられた武器の試しや発注者に示して見せるために恐らく用いられたのか。
だが、当然ながら作られる武器は人間のためのものではない。魔族のためのものだ。
そうして仕上げられた武器は最高級、最高純度の素材を使って、王にささげられるべきものも、あっただろう。
――ここにそれは、あった。
この地のそこかしこに埋没しながら、産する様は金のそれのようにわずかずつで。
集まれば、限りなく魔力を吸い上げる様は、生気に飢える亡者の如く。
宥めるように精錬し、鍛えられた果ては、強く。魔力が籠められば籠められるほどにより硬く、堅く。
なるほど、そうした特性を一つの形として鍛えるとすれば、その形状の結実も道理か。
石畳が広く敷かれた広間の奥、黒い異形が屹立している。
恐ろしい風貌の魔物の顔に四本の腕と、骨格だけの翼を持つ動く石像――リビングスタチュー。
その手に、白銀色の一本の戦槌が握られている。
幼女の身の丈を超え、忍者の背丈に匹敵する長さの長柄に、竜が顎を開いて吠える様を模した槌頭と逆側に翼の意匠を籠めたピックが施されたウォーハンマーだ。
それを大きく振りかぶり、叩きつければ鳴動が起こる。
鳴動が、まるで魂を揺さぶるような震撼(わななき)を以て、周囲の魔力を強引というほどの勢いで吸い上げてゆく。
「……! ラファル、俺の後ろに隠れろ!!」
それは奇しくも先に防護として着込んだローブの作用でなければ、意識ごと気力を奪われかねない勢いで。
■ラファル > 【PL:中断致します】
■影時 > 【中断⇒次回継続予定でー】
ご案内:「魔族の国」からラファルさんが去りました。
ご案内:「魔族の国」から影時さんが去りました。