2016/10/03 のログ
ご案内:「タナール砦にほど近い魔族の砦」にヴィクトールさんが現れました。
■ヴィクトール > 第七師団の長が行方不明となったという情報を聞いた兄は、自分にこんな命令を下した。
砦周辺にいるなら、こちらでも探し用があるが、魔族の国に連行されているか、身を潜めた結果としてそこになったのなら、そう安々と手を延ばすことは出来ない。
但し、単騎で馬鹿みたいに暴れられる奴がいるなら別だと。
そうして飛び出し、魔族の国に踏み込むと、ほど近いところに見つけた砦へと向かい、今に至る。
人間の捕虜がいるかと門から叫んで問いかけたが、答えは地獄で聞けと言わんばかりに魔物が押し寄せる始末だ。
「人間様舐めんじゃねぇぞ、クソ魔族が!」
大剣を引き抜くと、横薙ぎの構えを取りながら前へ踏み出し、意識を集中してからの一閃を放つ。
神速と言わしめる程、音よりも早く感じる斬撃が前方180度を薙ぎ払い、真空の刃も相成って、広範囲を切り払い、魔物を肉片へと返る。
魔法が飛び交えば、大剣を戦旗槍へと変化させ、旗の部分で魔法を絡め取るように振り回し、じわじわと前進していく。
「てめぇで食らってろっ!!」
瘴気やら闇やら、色んな魔法を絡め取った旗を振るうと、それが一塊になって魔物たちへと放たれる。
爆ぜる魔法が魔物たちを打ち払えば、更に大剣を変化させ、黒曜石の粒子へと変えていく。
粒子を一点へ集中させ、光線を思い浮かべていく。
集中力をかなり有するため、動けなくなるが、一撃放てれば十分だった。
「失せろぉぁっ!!」
真っ黒な太い光線となって直進する粒子は、固く閉ざされたもんを強引にぶち抜いた。
轟音と共にぽっかりと穴を開けた門を確かめると、再び粒子を大剣に戻して穴の中へと突入していくと、迎撃に飛び出した魔族を遠慮なく叩き切り、血反吐が地面に広がる。
「こちとら捕虜がいるか聞いただけだ、ぶっ殺される理由を作ったのはてめぇらだからな!」
■ヴィクトール > 突入すると、四方八方から魔族とその部下たる魔物が飛び道具と刃で一斉攻撃を仕掛けてくる。
大剣に瘴気を纏わせて変化させれば、それは双剣へと変化し、四肢に靄が移っていく。
四足歩行の獣の様に低い姿勢になって地面をければ、かなりの速度で一人の魔族へと接近し、刃を交差するようにして叩きつける。
剣で受け止め、魔法で反撃を放たれれば、直ぐに回り込むように地面を蹴って加速し、回転しながら脇を切り裂いて駆け抜ける。
地面を滑り、再度蹴って加速すれば、振り返った魔族の目が見開かれた。
魔族の瞳に最後に写ったのは、平行に並べて構えられた双剣が斜めに振り抜かれる瞬間。
深々と魔族の身体を切り裂いて鮮血を飛び散らせると、飛んできた魔法を、亡骸を盾に受け止める。
「うぉらぁっ!!」
剣の片方を放り、死骸の胸倉をつかみ、魔族をオーバースローで敵の群衆に放り込む。
落下してきた剣を受け取りながら、死骸を叩きつけられた群衆へと近づくと、全力の飛び蹴りを死骸を抱える敵へと叩き込む。
受け止めた敵を木製のドアへと叩きつけてドアを砕き、室内へと突入する。
狭い場所に入れば、攻撃できるポイントが減るからだ。
「……おら、人間の捕虜がいるかどうか答えろよ? 答えりゃ、やめてやってもいいんだぜ?」
ニタリと憎たらしい笑いを浮かべながら、押し潰された魔族を踏みつける。
突入してきた敵へと視線を向けると、魔族は誰が答えるものかと悪態をつき、反撃を試みるが、目もくれず剣を振るう。
「じゃあくたばってろ」
喉を切裂き、鮮血と溺れる呼吸の響きが混じりあう。
赤色に汚れながら笑う男は、どっちが魔族やらわからなくなりそうな心地で、迫る敵の方へと悠然と歩いていった。
ご案内:「タナール砦にほど近い魔族の砦」にテイアさんが現れました。
■テイア > 男のいる室内へと壊された入口に魔族たちが群がる。
次から次へと侵入者である男を排除しようと襲いかかっていき。
「…風よ奔れ」
静かな声が響く。
群がる魔族の後方から、一陣の風が吹くと次の瞬間真空の刃が次々と魔族たちを切り裂き、吹き飛ばしていく。
「………。」
しゅるりと闇に紛れる隠形の術が体から解け落ちると、さらりと闇の中から銀髪が流れ鋭い二色の瞳がその光を現す。
――我ながらなんともお節介なことだ
そう自らの行いに嘆息すると、すでに抜き身の透明な刃を目の前の敵へと向ける。
「――まだ生きているか?生きているなら返事をしろ。」
女は、鋭い刃で敵を切り捨てながら部屋の中へとよく通る声を響かせる。
これでもう男が死んでいるとなれば、骨折り損もいいところだったが…。
■ヴィクトール > 残りの軍勢を叩き切ろうとしたところで、風のゆらぎを感じれば、とっさに身を低くする。
その瞬間、魔族たちが切り裂かれながら転がっていくのが見えた。
転がる敵勢、そしてそこに現れたのは場に似つかわぬような美女の姿である。
放たれる雰囲気は魔族とは違うように感じると、すっと立ち上がりながら顔にかかった鮮血を襟でぐいっと拭う。
「ピンピンしてるぜ? ……で、あんた誰だ?」
こんないい女なら、忘れないだろうし手を出していそうだがと思いつつ、訝しげな表情をしながら彼女の方へと歩む。
両手に握った双剣には、大量の魔族の血が張り付いており、ポタポタと歩くだけで血の雫が道標のように滴るほどである。
金色の瞳が、血に飢えた獣のように煌々と輝き、ニタリと笑う笑みに溢れる黒い魔力は、まるで魔族の様に闇の気配を感じさせるかもしれない。
■テイア > 最後の一人を切り捨てると、素早く剣を振り下ろす。
その速さにピュンと甲高い風を切る音が響き、びしゃっと刀身についた血が地面へと滑り落ちた。
女自身は返り血ひとつ浴びておらず。
「それは結構。なに、ただの通りすがりだ。少し調べごとがあって訪れたのだが、多勢に無勢のように見えたのでね。…最も、余計な世話だったようだが。」
相手が歩んでくるその後ろには、死屍累々といった体で魔族の死体が転がっている。
双剣から滴る血が男の歩む軌跡を示すのをちらりとみやって言葉を紡ぐ。
血に飢えた獣のように爛々と光る金の瞳と、その笑み。にじみ出る黒い魔力を感じ取って一先ず名乗ることはせずに、じっと観察するように二色の瞳で男を見つめ。
■ヴィクトール > 「ありがとよ。なぁに、いい女が来たってんなら悪くはねぇよ」
剣を振るう動き、その速度といい、前に自分を騙した女の姿一瞬重なってみえた。
やはり女の技ってのは速度に特化したもんになりやすいのかねと、心の中で独り言を呟きつつ、こちらを確かめようとする視線にニヤリと笑う。
「あんまりジロジロ見てっと、気分乗って食っちまうぜ? ……まぁ、その前にオーギュストのおっさん探さねぇとな」
滅ぼす前にくたばってどうするつもりなんやらと呟けば、双剣を元の大剣へと変化させていく。
その瞬間剣は黒い靄に包まれ、魔族とよく似た魔力の気配を発していた。
真っ黒な刀身を持つクレイモアを、ブンッと一振りすれば、こびりついた血がビシャッと赤い一閃となって地面を描き、鞘へと戻されていく。
「んで、そっちの調べ事ってなんだよ? アンタみたいな美人が一人でくるほどだ、面倒くせぇもん調べてこいとか言われたんじゃねぇのか?」
こんな魔族の国に足を突っ込むような場所にわざわざ来たのだから、それ相応に大変なことでもあるのだろう。
気になったそれを何気なく問いかければ、金の瞳が彼女を見つめる。