2016/08/16 のログ
ご案内:「魔族の国・何処かの領地」にパトリックさんが現れました。
パトリック > (国のことを調べるなら王宮。民のことを調べるなら酒場。では魔族のことを調べるなら?
 答えは簡単。魔族の領地だ。 えっちらおっちらと旅をしてようやくたどり着いたその場所は、
 一見すると普通の街のようである。 行き交う人々がだいたい魔族なのを除けば。)

すごいねー、しかし…。 まあ、これだけ魔族がいる割に皆おとなしいのが救いだよね。
(広場のベンチに座って辺りを見回す。 ”比較的”おとなしい魔族たちの領土に潜入したのは、
 頼まれ事…ある魔族について調べるためだ。 とはいえ、魔族は文字通り正体が掴めない。
 話しかけたらいきなり大変な目に遭う可能性だって、ゼロではない。
 例えば、今自分の前を通り過ぎた奴隷や、たっぷりと肉体改造を施されて獣のように
 なってしまった、何者かもわからぬ存在のようにされるとも限らない。)

……まいっか、早め早めにことを済ませておかないと。
(よいしょ、と立ち上がって、街をうろうろし始める。 虎のことは虎に聞け…シェンヤンで教わった諺だ。
 つまり、魔族のことは魔族に聞くのがベストである。 といっても正面切って聞けないので、
 探すのは文献…図書館や書庫、書物を扱う店などだ。)

パトリック > (取り敢えず見つけたのは書物を扱う店だった。 そろそろと店の中に入る。
 薄暗い店内は埃の匂いと、あまり嗅いだことのない匂いに満ちていた。
 人一人通れるぐらいの狭い本棚の間を通り抜けると、奥には店主が控えている。
 山羊のようなあごひげと、ぐねぐねと捻れた角を持つ店主が、じろりとこちらを睨んだ。)

……本を探している。
(そっと相手に告げる。 店主は微かに首をかしげ、鼻を鳴らした。
 同意であろう。 そう判断して、キーワードを口にする。)

グロット…グリム・グロットについての本だ。文献でもなんでもいい。
(その言葉を聞いた瞬間、店主の眼の色が変わった。 ヤバい。
 いろんなひどい目に会った経験と本能が、一気に危険状態に突入したことを理解する。
 一瞬のうちにきびすを返して猛ダッシュ。 そのまま店内へ飛び出て地面に伏せた。)

やっべ…!
(頭の上を貫く光条。 あと一歩遅かったらおでこに大きなピアス穴が開く所だった。
 店から出てきた店主に、まとっていたマントをえいやとぶつけて大急ぎで路地裏に逃げ込んだ。
 逃げ足の早さと生き汚さだけは自分の持ち味だ。 しばらくの後、喧騒が収まるまで
 裏路地で潜んでいればよいだろう。)
 

パトリック > どうしようかなー。 マントは捨てちゃったし……。 よし。
(表通りに響いていた声が静かになるのを待ってため息を一つ。
 倣った欺瞞魔法を自分にかけ、他人から魔族っぽく見せるようにしてからそしらぬ顔で通りヘ。
 少なくてもグリム・グロットの名はこの土地では歓迎されていないようだ。)

魔術はあんまり得意じゃないけど、持っててよかったな…。
(この魔族の領地を抜けるぐらいまでは長持ちするだろう。
 ほとぼりが覚めるまでは、郊外に潜むか何かする必要があるかもしれない。
 今から調査を再開するにはリスクが高いし。 ふうむと小さく唸って、
 通りを眺められる公園へ。 ベンチに腰掛け、小さくため息をついた。)

ご案内:「魔族の国・何処かの領地」にヴィールさんが現れました。
ヴィール > 魔族の国を訪れたことは今までなかった。
ならば何故やってきたのかといえば、探し物があったからに他ならない。
口が固い数人の付き人を連れ、大人しめの魔族がいると聞く領地へ。
――付き人は宿に待機させ、ひとりぶらっと出かけた先。街中をざっと見て回りながら足を運んだのは公園だった。

「―――アンタ。ここらで宝石とか、豪奢なものを扱ってる店を知らないか」

目深にかぶったフードの下、明朗とした声を出す。
問うたのはベンチに座る男。魔族っぽく見せる欺瞞魔法のせいで相手が誰かなどわかっていない。

パトリック > (遠目に話をしているさっきの店主と誰かが見える。 あまり長くいるのもよい話ではなかろう。
 とりあえず一度この場を離れて仕切りなおしをするべきだ。 そう考えた所に、声をかけられてびくりと震えた。
 声の主は青年…ぐらいだろうか。 どこかで見たことがある気がする。 気のせいかもしれないけれど。)

ああ……いえ、すみません。 ぼくもここに来たのは初めてで、あんまりわからないんです。
でも、今はちょっと騒ぎが起きてるみたいですから…店を探すにしても、少し待ったほうがいいかもしれないですよ。
(ほら、と遠目に見える店主たちを指差す。 少なくてものんびり店をやっている様子でないことは彼にもわかるだろう。)

ヴィール > 声をかけた彼は、一度震えた後此方を見上げた。
フードの下は薄暗くも、切れ長の鋭い瞳だけははっきりと見て取れるだろう。

「………そうか。来たのは初めて……ということは、此処に住んでいないのか」

小さく呟いたところで彼が指差す先。
見遣ればただならぬ雰囲気の店主たちが見て取れる。思わずフードを深く被り直した。
足には自信があるが、場所が場所だ。下手に動くのは不味い。

パトリック > (前に会ったことがある気がする。 その思いは強くなった。
 あの切れ長の瞳には覚えがある。 たしか身長はもう少し低かった気がするけれど。)

…ええ、まあ。 旅をしていますから、どこかに住んでいるというわけでもないんです。
(大人しく頷く。 相手に見破られてはまずいし、適当な言葉でお茶を濁す。
 相手がフードを被ったのを見てそっと立ち上がる。)

お互い、ここにいてもあまりよいことはなさそうです。 どうします?
(話しかけてくれた魔族には悪いが、グロットのことを尋ねるには良いかもしれない。
 自分もここにいたくはないし、とりあえず二人で隠れられる場所をさがすか、と提示した。)

ヴィール > 彼が記憶を引っ張り出しているとは思いもよらず、フードを被り直してからため息をつく。
お茶を濁した言葉には気づいたが、今の所は一応納得したフリをしよう。
騒ぎになってしまうのは此方としてもまずい。

「……なら、どこか目立たない場所にでも移ろうか」

だから提案は有難かった。
少し考えた後、ひとまずといった様子で口を開く。

「……俺が今泊まっている宿がある。お前が良ければそこに移動しようと思うが……どうだ?」

パトリック > はい、ではそのように…。 何しろ今は物騒です。誰でも痛くない腹を探られたくないですからね。
(相手の提案に素直にうなずいた。 野宿だって慣れたものだが、やはり屋根付きの場所がよい。
 それに、ほんの少しだけ恩?を売れたなら相手も自分を悪いようにはしないだろう。
 立ち上がって相手についていくことにした。)

ヴィール > 「痛くもない腹か……まぁ、確かにそうだな」

くっ、と小さく笑い声を零し、彼が立ち上がれば背を向ける。
そのまま今来た道を辿り、連れ立って宿へと――

ご案内:「魔族の国・何処かの領地」からヴィールさんが去りました。
ご案内:「魔族の国・何処かの領地」からパトリックさんが去りました。